2023年10月18日 文教委員会
教育委員会に対する質疑
(大要)


・新型コロナ第9波の感染状況と対応について

【斉藤委員】
 学校における新型コロナ第9波の感染状況についてお聞きします。
 第9波の感染状況、学級閉鎖、学年閉鎖、休校の状況、クラスターの発生状況はどうだったのか。第8波のピーク時と比べてどうだったのか示してください。

【保健体育課総括課長】
 新型コロナウイルス感染症の感染状況についてでありますが、8月以降の県立学校の学級閉鎖等の状況については、10月12日時点の延べ回数で、学級閉鎖は8月が7回、9月13回、10月2回、学年閉鎖は8月3回、9月4回、学年閉鎖はありません。学校閉鎖につきましては、8月1回、9月1回、10月はありません。以上となっております。
 市町村学校につきましては、県内における夏休み以降の感染拡大の状況を踏まえ、各市町村教育委員会に対し、9月11日以降の臨時休業を措置した状況について報告いただくよう協力を依頼したところでございます。市町村立学校の学校閉鎖等の状況は、9月11日以降10月12日時点の延べ回数でございます。学級閉鎖9月27回、10月3回、学年閉鎖9月17回、10月1回、学校閉鎖9月1回、10月はありません。
 昨年度の第8波の12月が回数が多かったんですけれども、そこと比較してみますと、学級閉鎖が第8波では23回、今回は40回、学年閉鎖が第8波11回、今回21回、学校閉鎖が第8波が2回、今回2回となります。
 また、公立学校におけるクラスターの発生状況は、10月11日時点で8月1件、9月7件、10月1件の状況でございます。クラスターにつきましても、昨年度第8波と比較いたしますと、11月が29回となっております。今回が9月が7回となっております。

【斉藤委員】
 今の答弁にあったように、第9波で学級閉鎖が40件、第8波は23件、学年閉鎖は21件で第8波は11件、学校閉鎖はそれぞれ2件と。
 実は市町村立学校の調査は9月11日以降の調査なんですよ。感染のピークは9月上旬でしたから、残念ながら大事なところがスポッと抜けた、その数でも第9波の方が学級閉鎖・学年閉鎖は多かったと。おそらく多くの生徒・父母の方々は、この状況・実態というのは知らされていないと思います。だから第8波と比べて第9波が学校の中でも大変な感染状況だったと。第8波の違いは、ピークは高かったけれどもかなり早く収束の方向に第9波は向かったということだと思います。ただ、第9波が第8波並、それを超えるような感染状況が学校の状況の中でも明らかになったというのは大変大事なことで、これを考えれば、やはり冬場に向けた第10波への対応を今から考えていく必要があるんだと。
 先ほど請願審査のところでその点については触れましたので、学校での感染防止対策はどう実施されたか。これからの第10波に向けてどういう対策を考えているか示してください。

【保健体育課総括課長】
 学校での感染防止対策についてでありますが、5類感染症への移行後の学校での感染症対策については、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル―2023年5月8日からのものでございますが、これに示されている通り、平時から求められる感染症対策として「マスクは着用を求めないことを基本とする」「発熱や咽頭痛、咳等の普段と異なる症状がある場合などには登校しないことの周知・呼びかけ」「換気の確保」「こまめな手洗いの指導」「日常の清掃により清潔な空間を保つ」などの感染対策を継続して実施すること―としております。
 これから寒い時期となりますが、換気やこまめな手洗いなど基本的な感染症対策を徹底してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 衛生管理マニュアルはいいんだけれども、感染拡大期にもマスクは基本的には求めないと。感染拡大期の対応はどうなっているんですか。それでいいんですか本当に。

【保健体育課総括課長】
 感染流行時におきましては、マスクについては教職員が着用する、または児童生徒に着用を促す、また感染リスクが比較的高い学習活動等にあたっては、活動場面に応じて、近距離・対面・大声での発生や会話を控えるなど、適切に対策を講じることとしております。

【斉藤委員】
 感染拡大期にどう対応したか、第10波にどう備えるか聞いたんだから、一般論を聞いたんじゃないのだから。
 実際に第9波に対してはどのように対応されましたか。

【保健体育課総括課長】
 先ほど申し上げましたけれども、衛生管理マニュアルで示されているものを基本といたしまして、また、学校・地域の実情に応じた感染状況を踏まえながら、各学校におきまして適切に判断して指導していただいたところでございます。
 なお、感染状況におきましては、機動的に各学校におきまして措置、校長の判断等によりまして措置をしていただいたところでございます。

【斉藤委員】
 この質問にあたって実態の把握を求めました。先ほど答弁があったように、市町村立学校は9月11日以降の調査だったんですよ。私はびっくりしました。感染拡大したのは8月末から9月上旬なんですよ。ここがすっぽり抜けていた。いわば把握していないということなんです。一番感染が拡大して学級閉鎖が増えたときの状況を県教委が把握していなかったんじゃないかと。
 いま国は、5類に移行してからコロナは終わったかのように、あらゆる対策を縮小・廃止しているんですね。しかし全国的にも第9波でしたよ。そういう意味で第9波の対応というのは残念ながら国に追随して、感染が拡大した、8波を超えるような状況があったにも関わらず適切な対応ができなかったのではないかと。そのことをしっかり反省をしてやるべきだと。教育長に聞きましょう。

【教育長】
 5月8日にこの衛生管理マニュアルが改定され、それを市町村教委を通じて学校現場に周知しているという中で、感染時における感染対策について先ほど担当課長から申し上げたような対策を講じているということで周知をしていたということであります。あとは学校現場において、その地域の状況を踏まえながら学校で判断していただいたということでございます。
 9月11日からの実際の数値報告をいただくということについて、委員から遅かったのではないかというお話もいただいておりますが、我々としては基本的には市町村立学校については、市町村教委でしっかり把握していただいて、このマニュアルに沿って対応していただいているという認識ではありますが、かなり流行が進んできているというところも踏まえて、県教委としても実態を押さえるべきということで、9月11日からですが押さえ始めたというところでございまして、以後もこういう場合については適時に対応していくようにしていきたいと考えてございます。

【斉藤委員】
 実は第35週・36週というのが岩手の感染は全国一だったんですよ。そのときの特徴は、学校のクラスターでした。50人60人規模で発生したのが感染者数増加の最大の要因でした。ピーク時はそうだったんですね。いま教育長答弁しましたので、ぜひ第9波がそういう状況だったということを、学校関係者にもしっかり情報発信して、第10波への対応を進めていただきたい。
 あわせて、インフルエンザの感染状況はいかがでしょうか。

【保健体育課総括課長】
 インフルエンザの感染状況についてでありますが、県が10月11日に公表した内容によると、10月2日から8日までにおける本県の1定点医療機関あたりのインフルエンザ用疾患の患者発生状況が1.02となり、流行開始の目安となる1.0を上回ったことから「流行シーズン」に入ったとされております。
 公立学校のインフルエンザによる臨時休業措置状況は、9月8日以降、これは厚生労働省による今シーズンの調査開始日となります。10月17日時点での延べ回数でございますが、学級閉鎖4回、学年閉鎖4回、学校閉鎖1回となっております。

【斉藤委員】
 インフルエンザも今までになく早くから感染拡大していると。おそらくこの冬は、インフルエンザとコロナのダブルの感染拡大になるのではないかと。そういうことも予想されますので、しっかりした感染防止対策をとっていただきたい。

・再発防止「岩手モデル」策定委員会の取り組みについて

【斉藤委員】
 この間10回の委員会が開催をされました。特にこの間ずっと議論になってきたのが、盛岡一高事件の検証でありまして、この検証結果、明らかになった問題と責任はどこにあるのか。被害者家族の理解と納得は得られているのか示してください。

【教職員課総括課長】
 盛岡一高事件の検証結果についてでありますが、再発防止岩手モデル策定委員会の理由の解明チームでは、学校および県教育委員会の組織としての対応について、当時在籍していた職員から聴取を行い、事実関係の確認を進めてまいりました。その確認の結果、当時の学校においては、被害生徒ご家族様から訴えを受けてからの初動調査や、県教育委員会と連携、元部員からの証言を踏まえた対応が不十分であったこと。県教育委員会におきましては、学校に対する具体的な助言・指導が行われず、結果として顧問教諭による暴力・暴言の事実確認が遅れたことなどが不適切な点として明らかになったところであり、このことにつきまして、今年7月に開催をいたしました第9回策定委員会においてご報告をしたところでございます。
 一方、被害生徒ご家族様からは、策定委員会で整備をいたしました事実関係が、ご自身の認識と異なっている部分がある旨のご指摘をいただいたところであり、県教育委員会といたしましては、こうしたご指摘を踏まえまして、これまでの聴取記録等を確認・精査をし、被害生徒ご家族様を訪問の上、改めて説明を行っているところでございます。
 今後におきましても、被害生徒ご家族様からのご意見やご指摘も踏まえまして、必要な調査・説明を行ってまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 この間検証をずっとやられてきたことには敬意を表しますが、これだけ時間をかけた要因は、学校・県教委・加害者側の調査ばかりやって、被害者側の問題意識・意見を除外して調査してきたことが片手落ちの調査になって、事実解明が進まなかったのではないかと思います。その点どうですか。

【教職員課総括課長】
 ただいま委員からご指摘をいただいた点につきましては、被害生徒ご家族様からもご指摘をいただいておりまして、こうした自身の認識と異なる点、あるいは疑問な点について、関係者に再度確認してほしいとのご要望をいただいているところでございます。県教育委員会としまして、関係者に改めて聴取を行うこととし、現在聴取項目等につきまして、被害生徒ご家族様と調査・確認を行っているところでございます
 今後におきましても、ご意見・ご指摘も踏まえまして、必要な調査・説明を行ってまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 県教委の対応で一番問題だったのは、裁判に対する対応だったと。一審判決で、教官室での叱責・暴言は違法だという判決がありました。そして一審判決の中で、顧問教諭は初めて自らの体罰を認めたと。認めた背景には、県教委が裁判の過程で、被害者側が生徒の証言を出したんですね。あわてて県教委が初めて調査をしたら、体罰があったということが明らかになった。この問題はきわめて重大だったと思うんですよ。顧問教師が一貫して体罰を否定したから応訴したんですね。しかし一審の裁判の中で、この教師の証言というのは全く違っていた。自らそれを認めた。これが一審の裁判の特徴でした。私はそれに対して、一審の判決について教育長の談話なんかでも、県教委の言い分はおおむね認められたと。こういう言い分なんですよ。裁判の中で明らかになった体罰、そして本当に追い詰めた暴言、この深刻さを全く過小評価したというのが県教委の最大の問題だったのではないかと思いますが、いかがですか。

【教職員課総括課長】
 今回の事実確認を踏まえた不適切だった点としても整理をしていますけれども、民事訴訟を提起されてから一審判決に至るまで、県教委からの指示や情報提供がないこととか、あるいは県教委としても裁判の対応に重点を置いて十分な事実確認を行わなかったということを不適切な点として挙げているところでございまして、こういった点も反省材料にしながら、再発防止策等を講じていきたいと考えております。

【斉藤委員】
 策定委員会の中で新たにこういう資料が出されました。平成29年5月に行われた第11回口頭弁論において、顧問教諭の証人尋問が行われたところであり、県教育委員会からは教職員課総括課長をはじめ5名の職員が傍聴していたと。いわば一審判決直前の証人尋問であります。総括課長以下5人出ていたんですね。ところが最近県教委の処分が行われましたけれども、県立人事担当課長ですよ処分されたのは。甘い戒告処分で。しかし総括課長もいて、この裁判の中身は教育長にも報告されていた。そうなると、単なる人事担当者の責任じゃないのではないかと。総括課長、教育長を含めてこの裁判の内容・証言を過小評価したといわざるを得ないと思います。だから一審判決を受けたにも関わらず、おおむね県教委の言い分が認められたという、全く反省のない教育長の談話になってしまった。そして二審の高裁では、もっと深刻な、恒常的な暴力も明らかになって、そういう証言も出されて、その二審判決の直前に自死事件が起きるんです。本当に自死する前に重大な事実が明らかになったにも関わらず、それに対応しなかったと。私はここに県教委の最大の問題があったのではないかと思いますが、教育長が一番ここに関わってきましたので、教育長さんどう受け止めていますか。

【教育長】
 岩手モデル策定委員会、さまざま部会を設置しまして、その1つに理由の解明を行うチームを設置しまして、当時の盛岡一高での事案を、生徒さんが在学中のところまでさかのぼりまして調査を重ね、そして最終的には、平成30年7月に不来方高校で同じ指導者に指導を受けていた新谷翼くんが自死するという事案に至ったわけですが、その過程において我々としても、第三者委員会を立ち上げて第三者委員会の報告書を令和2年7月にいただいてますが、その報告も含め我々としてさかのぼって調査をしているんですけれども、やはりその中で、組織的あるいは学校の対応の足りなかった部分、不適切だった部分、そういったものが相当程度明らかになってきておりますし、裁判の過程で証言を当該教諭は翻すわけですけれども、それ以後の県教委と学校とのやりとり、学校に対する指導、それから一審で負けた後の県教委と学校の関係においても学校に対する指導が不足したとか、さまざま反省すべき点はあったと、組織的にもあったと。そういう中で、そこに非違行為があるものについては、当該教諭をはじめ関係者を懲戒処分、あるいは懲戒に至らないまでも一定の措置をしたという流れの中で、今ここまできていると。我々としては、今年度スケジュールを示しておおむね了解をいただいてますが、今年度中になんとか岩手モデルを策定し世に出したいと。一方で、一高の被害者のご家族はまだ納得いただけていない部分ありますので、そこは我々として全力で調査も続け、資料には明らかに両論併記でお示ししております。なかなか十数年前の事実を、唯一絶対の事実を我々として明らかにできるのかというのはなかなか難しいところもありますが、そういったこともしっかり記述したうえで進めたいと。いずれ理解を得るために我々は最善の努力を続けていくということで、取り組んでおるところです。

【斉藤委員】
 私も10回傍聴してまいりました。遺族の方は、早く岩手モデルをつくって、不十分であればどんどん改定してくれればいいと。そういうものを示してもらわないと、この体罰・暴言、不適切な発言、これは止まらないのではないかという大変危機感を持った発言もありました。
 実際に、昨年今年と体罰、不適切な発言―生徒の人格を侵害するような発言で懲戒処分を受けていますよね。だから、私はなぜ岩手モデルを真剣に策定している議論している中でこういうことが続くのか。そこの根絶とあわせて岩手モデルをつくらないと、岩手モデルをつくったから無くなるわけじゃないんだと思うんです。そこの関わりで、こういう事件が根絶されるような取り組みを進めながら、ぜひ年度内に岩手モデルをしっかり仕上げていただきたい。改めて教育長にお聞きします。

【教育長】
 いま委員からご指摘いただきましたが、なかなか体罰、不適切な言動による懲戒処分、これが絶つことができないでおります。
 県教委としましては、さまざまな方法でコンプライアンス確立に向けて取り組んでおりますし、それはもう徹底的に今後もやっていかなければならないと。我々としても、まさにいま岩手モデル策定中にこんな事件を起こしてくれるのかという思いをもつものもたくさんあるわけなんですが、これは本当に繰り返し繰り返し我々として全力を尽くして、現場からそういう体罰・暴言をなくして、子どもを傷つけることがないように取り組んでいくということで、本当に機会あるごとに、県立学校長会議もありますし、市町村教育長さん方とお会いする機会も多々ありますし、徹底を図っていきたいと思います。