2023年10月20日 9月定例県議会本会議
議案および請願に対する討論全文
日本共産党の斉藤信でございます。議案第14号について反対討論を、請願陳情受理番号第2号に反対、受理番号第5号の不採択に反対の討論を行います。
・県立福岡工業高校と一戸高校の統合について
議案第14号は、岩手県立学校設置条例の一部を改正する条例であります。その中身は、新たな県立高等学校再編計画・後期計画を一部見直し、福岡工業高校と一戸高校を統合し、新たに県立北桜高校を設置するものであります。
県立福岡工業高校と一戸高校の統合計画については、2021年5月に策定された高校再編後期計画では、工業学科が1学科、総合学科が3学科で統合する計画が決められました。しかし、県北で唯一の専門高校である福岡工業高校の2学科での存続を求める声が学校、生徒、自治体の関係者等から強く要望されてきました。福岡工業高校は、2学科の小規模な専門高校でありますが、21年度には、ジュニアマイスターの特別表彰が5名、ゴールド認定が13名を含め33名が認定され、国家資格取得でも延べ227名が合格するなど、県内でも全国的にもトップクラスの素晴らしい実績を上げております。
地元二戸市は、福岡工業高校と福岡高校の存続と魅力の向上をめざし、福岡工業高校等の実績・魅力を紹介するパンフレットの作成と通学費の2分の1補助など1000万円の予算で取り組みを行いました。その結果、福岡工業高校の入学者は2020年度は39人だったものが21年度には57人、22年度は60人と2学級規模を維持する入学者となりました。
高校再編計画の基本方針は、「生徒の希望する進路の実現」と「地域や地域産業を担う人づくり」であります。この基本方針と、福岡工業高校の実績、自治体の取り組みを評価するなら、福岡工業高校を2学科で存続することは当然のことではなかったでしょうか。
昨年7月の県議会文教委員会で、県教委は地元の要望を一部受け入れ、工業学科を2学科で統合する計画に見直すことを表明しました。一歩前進でありましたが、統合計画は変わらず、統合が進めれてきました。その結果、23年度の入学者は福岡工業高校で33人に激減しました。一戸高校も前年の80人から66人に減少しました。統合が生徒の期待を広げるどころか背を向けられているのではないでしょうか。県北で唯一の実績も伝統もある福岡工業高校の存続の願いに反した統合であることが、議案第14号、県立学校設置条例の一部を改正する条例に反対する理由であります。
・児童・生徒及び保護者に向けたマスク着用の影響についての情報の周知徹底を求める請願
請願陳情受理番号第2号は、「児童・生徒及び保護者に向けたマスク着用の影響についての情報の周知徹底を求める請願」であります。
新型コロナ感染対策については、政府が科学的根拠もなく2類から5類への移行を強行しました。その結果、新型コロナの感染状況も正確に把握せず、国民に情報発信もしない、感染対策に対する政府の補助も縮小廃止する事態となっています。
しかし、沖縄県は今年7月に、県内では8月から9月にかけて第9波というべき感染拡大が起こりました。その感染拡大の規模は、ピーク時では盛岡医療圏で第8波を超え、全県でも第8波にほぼ匹敵する感染拡大となりました。学校における感染状況は、第9波のピーク時の9月で学級閉鎖が40件、学年閉鎖が22件、学校閉鎖が2件でした。第8波のピーク時の12月は学級閉鎖23件、学年閉鎖11件、学校閉鎖2件となっており、学校における新型コロナの感染は第8波を上回る規模でありました。
新型コロナの感染状況は、国内でも県内でも収束というべき状況ではなく、冬にかけて第10波の到来も予想される事態であります。こうした中で新型コロナ感染対策で最も重要なことは、感染状況を正確に把握して、正確なデータに基づく情報発信を行い、感染状況に応じて必要な感染防止対策を徹底することであります。
マスクの着用問題で最も重要なことは、感染拡大の状況を正確に把握し、情報発信を行って、感染拡大の状況に応じて、マスク着用も含めた必要な感染防止対策を徹底することであります。
政府は、「マスクの着用は個人の判断にゆだねることを基本」としています。当然のことです。文科省は「マスクの着用を求めないことを基本とする」としていることは、新型コロナの感染が第9波が到来し、第10波も予想される中では、極めて楽観的な無防備なものだといわなければなりません。
今回の請願は、マスク着用の影響について情報の周知徹底を求める請願ですが、今、県教委と学校に求め取られている新型コロナ対策の課題は、いまだに収束していない新型コロナ感染の拡大に対し、正確に感染状況を把握し、情報発信すること。感染状況に応じて児童・生徒の命と健康を守る感染防止対策の徹底であるとの立場から反対するものであります。
・令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括交付金(医療分)の継続と拡大を求める請願
請願陳情受理番号第5号は、「令和5年度新型コロナウイルス感染症緊急包括交付金(医療分)の継続と拡大を求める」ものであります。
政府は、5月8日から新型コロナをインフルエンザと同等の5類に移行しました。その結果、これまでは感染拡大防止や医療提供体制の整備等について地域の実情に応じて、柔軟かつ機動的に実施できる「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援金交付金(医療分)」が交付されてきましたが、大幅に縮小されています。昨年度の岩手県に対する交付額は193億7244万円、今年度は9月末時点で15億2597万円となっています。
重大なことは、今年8月から9月にかけて、第9波というべき新型コロナの感染拡大が起こったことであります。第9波は、盛岡医療圏では第8波を超える規模で、全県的にも第8波に匹敵するものでありました。新型コロナは収束するどころか、感染拡大の波が引き続き起こっており、冬に向けて第10波の可能性もあり得るという状況であります。
新型コロナの感染力は変わらず、絶えず変異しているのが特徴であります。医療現場では、これまで通り、コロナ患者に対しては防護具を着用して最大限の注意を払い対応しています。こうした医療現場への支援を縮小廃止することは、医療機関の医療と経営にとっても医療従事者の特別の対応に対しても、何らの支援もしないという自己責任を押し付け、経営を悪化させるものであります。
国の財政事情を理由に、新型コロナ感染拡大の波が収束していない状況で、これまでの必要な緊急包括交付金を縮小廃止することは許されるものではありません。
一方で軍事費を2倍にする大軍拡は、国民の暮らしも医療・福祉も破壊するものだということを指摘し、請願不採択に対する反対の討論といたします。
ご清聴ありがとうございました。