2023年10月24日 決算特別委員会
復興防災部に対する質疑
(大要)


・いわて被災者支援センターの取り組みと体制強化について

【斉藤委員】
 昨年度のいわて被災者支援センターの実績はどうなっているでしょうか。それを踏まえた今年度の活動の強化点はどうなっているか示してください。

【被災者生活再建課長】
 いわて被災者支援センターの昨年度の実績と今年度の強化点についてでありますが、令和4年度は、176人から相談があり、令和3年度と比較すると67人減少しておりますが、相談対応回数は、令和3年度の1,288 回から1,376 回増加し、2,664回となったところでございます。
 このような状況も踏まえまして、今年度は、避難者に対する帰郷意思の確認等の調査を県が直接行うとともに、相談支援に対応する職員の人件費を増額し、センター業務を相談支援に、より特化する体制としているところでございます。
 また、市町村職員等を対象とした被災者支援担当者研修会の開催や、相談者への支援方針の共有など、市町村や市町村社会福祉協議会との連携強化を図りながら支援しているところでございます。

【斉藤委員】
 被災者支援センターですね、相談人数は少ないんですけれども、相談対応回数が前年度と比べて倍以上と。それだけ困難な相談に対応しているということだと思います。
 今年度の取り組みも実際に聞いてまいりましたが、9月末現在、半年ですでに1314回ですから、前年度並みに今年も、今年は訪問同行支援、これは昨年度45回だったけれども、すでに40回になっています。そういう点では、今の体制では本当に対応しきれない。おそらく相談したい人もっといるんだろうけど、手一杯で、事務所にいなければ電話の相談を受けられないし、同行支援に行けば電話対応も弱くなってしまうと。そういう点で、今年度どう体制を強化したのか。体制の強化が弱いのではないかと思いますがいかがですか。

【被災者生活再建課長】
 いわて被災者支援センターの体制強化についてでありますが、相談対応回数や、訪問・同行支援の回数が増加傾向にあることを踏まえまして、令和5年度は、相談体制の充実を図るため、相談支援に対応する職員の人件費を増額し、センターの業務を相談支援に、より特化した内容に見直しを図ったところでございます。
 また、住宅ローンの返済や生活設計の見直しなど、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャル・プランナーなどの外部の専門家と連携しながら、きめ細やかに対応できる体制を構築し、支援をしているところでございます。
 今後とも、相談件数や内容、支援の状況などを踏まえた業務の見直し検討とともに、 弁護士等の専門家や市町村、市町村社会福祉協議会などとの一層の連携強化により、相談体制の充実に努めてまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 体制強化したというけれども、今までは相談員3名、事務員1名だった。それを相談員4名分にしただけなんです。実際には相談員を増やして、事務部門はNPO法人が自前でやっているということですから、本当に必要な財政的・体制的支援をしっかりやるべきだと。
 被災者の相談内容の特徴と対応はどうなっているでしょうか。個別支援計画の作成と支援の状況はどうなっているか示してください。

【被災者生活再建課長】
 被災者の相談内容の特徴と対応についてでありますが、現在は、先ほども申しました通り、住宅ローンや家計の見直し、家庭間のトラブルなど経済面や生活面に関する相談が多く、市町村、市町村社会福祉協議会などと連携して対応しているとともに、専門的な支援が必要なケースについては、弁護士やファイナンシャル・プランナーと連携し、一人ひとりの状況に応じたきめ細やかな支援を行っているところであります。
 また、個別支援計画の作成と支援の状況についてでありますが、令和3年度の開設から本年9月末までに、480人から相談が寄せられ、このうち、継続した支援が必要と認められた326人について、個別支援計画を作成しており、これまでに212人の支援が終了し、114人の支援を継続している状況になっております。

【斉藤委員】
 相談支援の内容ですけれども、私も詳しく聞いてまいりました。
 令和4年度は、一番多かったのは「家族関係の相談」630件、2番目が「家計」471件、「債務」が407件と。今年はまだ半年なんですが、一番多いのは「債務」で314件、次に「家族」、そして「家計の問題」と。本当に借金苦、住宅ローンの返済ができなくなったとか、再建後事業をやったけれどもコロナ禍で事業が成り立たなくなったとか、生活苦というよりは本当に債務問題が一番多い相談件数でありました。
 債務の1つでありますが、災害援護資金の延滞件数はどうなっているか分かりますか。

【被災者生活再建課長】
 災害援護資金の滞納状況ということでございますが、現在把握しているのが令和4年9月末時点の状況となっております。市町村への滞納件数は263件、滞納額は2億3,443万9千円となってございます。

【斉藤委員】
 滞納件数は263件、滞納額は2億3400万円余ということですね。あとで263件の比率を教えてください。
 先ほども言いましたけれども、令和4年度で相談件数が倍になって、今年も同じく倍です。訪問同行支援は昨年よりも倍のペースで回数が増えています。そして専門家相談も、弁護士やファイナンシャル・プランナー、弁護士の場合には個別相談までやっていると。これも去年を超える規模です。法律相談をやりますと、それで解決するわけじゃないんですよ。そこで解決方法が示されて、被災者支援センターの方々が継続して解決まで支援するとなるんです。
 やはり被災者支援センターというのは、誰ひとり取り残さないということで、達増県政が10年経過してもこの取り組みを重視するというので、全国が注目している取り組みです。やっているのは良いんだけれども体制が弱すぎる。
 部長さん、こうしたこの実績を踏まえて、要望も減少するどころかますます必要度が高まっている。思い切って体制の強化が必要なのではないでしょうか。

【復興防災部長】
 被災者支援センターの体制強化というお話でございます。委員ご指摘の通り非常に件数等も増えているというのはその通りでございますし訪問回数も増えているというのもその通りでございます。いずれ被災者に寄り添った対応をしていくことが第一の基本と考えてございます。
 被災者支援センターは被災者の支援ということで対応してございますが、ここだけで全て解決できるとは思ってございませんので、市町村等の相談窓口等もございますから、重層的支援に取り組む市町村と有機的な連携を図りながら、センターの充実強化のほかに、関係機関との連携強化を進めてまいりたいとかんがえてございます。
【被災者生活再建課長】
 先ほどご質問のありました災害援護資金の市町村への滞納件数の割合ということでございます。割合としますと26.4%となってございます。

【斉藤委員】
 新型コロナの融資の場合には、非課税世帯とか返済が難しい場合には返済免除になっていますから、さらに前進した制度を、いま本当に困っている人に、滞納になりますと利息もつきますから、倍々でサラ金になってしまうんですよ。そういう新型コロナの場合の対応も踏まえて、ぜひむりやり借金とりしないで、改善するように努めていただきたい。

・福島原発事故による汚染水(処理水)について

【斉藤委員】
 福島原発事故による汚染水による損害賠償ですけれども、昨日私が質問しましたら、全国知事会としても今週中に対応する、県単独でも要望するということでありました。今週ということですから、どういうスケジュールで対応されるのか示してください。

【放射線影響対策課長】
 ALPS処理水の要望についてでございますけれども、全国知事会では10月27日、岩手県単独では10月25日を予定してございます。

【斉藤委員】
 昨日も具体的に、中国向けの生産物の輸出は全国的に836億円、いろんな数あるようですけれども、岩手県も6億8千万円なんですよ。このまま輸出の禁止が継続したら丸々損害になりますよ。国は1009億円の基金を積み立てたというけれども、この1009億円は損害賠償じゃないんです。基本的には風評被害とか漁業支援なんですね。東京電力が損害賠償を補償するというんだけれども、事実上破産した東京電力に800億円とか1000億円とか、そんな能力はないんじゃないでしょうか。
 海洋放出を決めたのは閣議決定、政府ですよ。国が責任をもって対応する必要があると思いますがいかがですか。

【放射線影響対策課長】
 ALPS処理水の海洋放出に伴う損害は国が責任を負うべきではないか、についてでありますが、原発事故に起因する損害につきましては、原因者である東京電力が一義的にその責任を負うべきものであり、東京電力に対し、損害の実態に即した賠償を速やかに行うよう求めていくことを基本としてございます。
 なお国に対しては、損害の実態に見合った賠償を迅速かつ確実に行うよう東京電力を指導するなど、国が最後まで責任を持って対応するよう要請しているものでございます。
 なお東京電力の支払につきましては、原子力損害の賠償に関する法律で、東京電力が支払えない部分につきましては、国がその部分を必要に応じて支援するという仕組みがございます。

・自衛隊に対する青年の個人情報の提供について

【斉藤委員】
 自衛隊に対する青年の個人情報の提供の実態はどうなっているでしょうか。
 情報提供の中身、情報提供する法的根拠は何でしょうか。

【防災課総括課長】
 自衛隊に対する個人情報の提供についてでありますが、本県では、県内全市町村が18歳に該当する方の氏名、生年月日、性別及び住所について、紙媒体などにより情報提供を行っていると聞いてございます。
 その法的根拠としましては、自衛隊法施行令第120条に、「防衛大臣は、自衛官又は自衛官候補生の募集に関し必要があると認めるときは、都道府県知事又は市町村長に対し、必要な報告又は資料の提出を求めることができる」と規定されております。各市町村では、この求めに応じ、提供するか否かを判断した上で提供しているものと認識してございます。

【斉藤委員】
 全国の実態をお知らせすると、61%にあたる1068自治体が提供していると。4割は提供していないんですよ。いま答弁あったように「提出を求めることができる」ですから、自治体に義務づけはないのです。だからやっていないところもあるんですよ。
 こういう訴えをいただきました。進学校に通う女子学生の3年生、「自衛隊から募集のダイレクトメールが届いてびっくりした」「赤紙のように感じた」と。こういうことなんですよ。
 全然法的義務はないんだから。自治体がこういう調査をしました。入隊した自衛隊員が何によって情報を確保したか。ダイレクトメールは1.4%でした。何の役にも立っていない。それなのに、全自治体にこれを事実上強制するようなやり方というのは、自治体を自衛隊の下請け機関にするようなものですよ。
 少なくとも個人情報保護の観点からいったら、住基法は個人情報保護を提出することを禁止していますので。そして本人の同意なしに勝手に自治体がこれを提供すること自身も法的疑義がありますよ。だから提供する青年に対してそれを認めるかどうか、許諾を自治体は最低限確認すべきだと。全国4割は提供していないんだから。
 自衛隊から協力要請されたからやっていますなんていう、自主性のないやり方はやめていただきたい。本人の了解を得てやるべきだと。実際に役に立っていないんだから。
 そういう実態も含めて、いまの自衛隊というのは安保三文書に基づいて敵基地攻撃を行う自衛隊なんですよ、これからの自衛隊というのは。いざというときは命を懸ける、これは自衛隊法に書かれているんです。そういうところに安易に情報提供すべきじゃないと思うけれども、いかがですか。

【防災課総括課長】
 各市町村が保有する個人情報の取扱いにつきましては、個人情報の保護に関する法律によりその取扱いが定められておりまして、各市町村においてこの法律の規定を踏まえ、提供しているものと考えてございます。

【斉藤委員】
 最終的にはそういうことでしょう。
 ただ、法的根拠がないということは認めますね。自治体の義務ではないと。やっていないところもあるんだから。それは明言していただきたい。市町村の義務ではないと。県にとっても。それは確認できますか。

【防災課総括課長】
 委員ご指摘の通り、求めに応じて提供することができることになっていますので、義務付けはされていないということはその通りであるかとは思います。