2023年10月24日 決算特別委員会
政策企画部に対する質疑(大要)
・達増県政の評価について
【斉藤委員】
達増県政の評価についてお聞きをしたいと思います。
一番の評価は、先の知事選挙だったと思います。知事選挙では10万4千票の大差をつけて5期目の当選を果たしました。33市町村の中で28の市町村で達増氏が勝利すると。達増県政の実績と政策が評価されたと。
特に実績で県民が評価したのは、私から言わせれば、1つは、この間戦後最大の大災害―東日本大震災復興の取り組みで被災者の医療費免除を11年継続して実施したこと、さらには心のケアの取り組みは今でもしっかりした体制で継続し、10年経ってからは被災者支援センターを設置して最後まで被災者の生活再建を支援すると。こうした全国に誇る取り組みが評価されたのではないか。
子育て支援では、全国トップクラスの子育て支援―第二子以降の保育料の無償化、在宅育児支援―実はこの2つを一緒に取り組んでいるのは岩手だけなんです。だから全国トップと言ってもいいのです。そういうものを思い切って市町村と一緒に取り組んできたというのも高く評価をされたのではないか。
昨年今年と物価高騰が県民の切実な課題になりましたが、昨年は5月、今年は4月28日、全国に先駆けて物価高騰対策を打ち出すと。
こうした全国の中でも本当に評価される取り組みというのが県民に評価されたのではないかと思いますが、達増県政の評価された実績を担当課としてどう受け止めているか示してください。
【政策企画部長】
達増知事が就任した平成19年以来、岩手が直面する危機を希望に変えていくため、いわて希望創造プラン、いわて県民計画、いわて県民計画2019-2028などの計画に基づき、県政の諸課題に取り組んでまいりました。その結果、一人当たり県民所得については、ものづくり産業の集積などの総合的な産業振興を進め、平成19年度は国民所得の77.3%で全国で39位でありましたが、令和2年度は国民所得の89.2%で全国32位まで上昇、有効求人倍率についても、平成19年度の0.70倍から令和4年度は1.32倍まで上昇、医師確保につきましては、医学部定員や奨学金養成医師の拡大などの施策を講じた結果、10万人あたりの医師数は全国順位は低位となっておりますが、平成18年度の186人から令和2年度は223人に増加するなどの成果が表れております。
一方、人口減少対策につきましては、合計特殊出生率、社会増減などにおいて取り組みの効果が十分に発現するには至っておらず、さらなる取り組みが必要と考えております。
この間、数次にわたる台風や地震災害、東日本大震災津波という未曾有の大災害、そして先般のコロナ禍など当初想定し得なかった事態に見舞われることも多々ございましたが、その都度県民のご理解をいただきながら、臨機に必要性や優先度を見極め、県政を推進してきているものと認識してございます。
今後も県として復興関連の施策を確実に推進させるとともに、県民生活や地域経済に大きな影響を与えているエネルギー・物価高騰対策や人口減少の進行などの喫緊の課題に取り組んでまいります。
【斉藤委員】
私が冒頭に述べたのは、全国と比べて達増県政がどう優れた取り組みをやったかと。こういう角度でないと達増県政の評価というのは分かりやすくならないんですね。それは私の評価ですから。県民はそこをしっかり評価した結果だったと思います。
・いわて県民計画第2期アクションプランについて
【斉藤委員】
いわて県民計画第2期アクションプランに関わって、人口減少対策で知事は「若者の所得を上げる」と。これは大変大事な提起だと思います。具体的にどう若者の所得を上げる取り組みを行うのか。いま検討している中身でいいので示してください。
【政策課長】
若者の所得を上げる取り組みについてでありますが、本県の人口減少は出生率の低下による自然減と10代後半から20代前半の就職期にあたる若年層の転出による社会減が大きな要因となっていることから、子育て世代の所得の向上と若者、特に女性の県内定着を図ることが重要と考えております。
このため、若者の所得の向上に向け、自動車や半導体関連産業を中心とした産業集積や高度化、地域資源や特性を生かした産業振興など、産業全体の底上げをはかってきたほか、いわてで働こう推進協議会、いわて女性の活躍促進連携会議などを中心として、官民一体で魅力ある雇用環境の構築やトップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけ、就職情報マッチングサイトによるマッチング支援などに取り組んできました。
その結果、高卒者県内就職率の向上やU・Iターン就職者の着実な増加等につながっており、本県の10代後半の正社員の年収中央値は全国平均を上回る水準となっています。
さらに、先般開催した人口問題対策本部会議において、女性が活躍できる多様な雇用の場の創出、若年層をはじめとした所得のさらなる向上などの今後の施策の方向性を確認したところであり、来年度以降の取り組みに向けて従来の取り組みを一層強化・拡充するとともに、ワークライフバランスに配慮した働き方改革、デジタル技術等を活用した柔軟で多様な働き方の普及や、性別や年齢に基づくアンコンシャスバイアスの解消、若者や女性がいきいきと活躍できる環境づくりなどの観点を重視しながら、効果的な事業の検討を進めてまいります。
【斉藤委員】
全国都道府県で人口減少を食い止めている岩手県と同規模の県の取り組み、どういう県があって、その取り組みに学ぶべき教訓は何か。こうした検討はされているでしょうか。
【政策課長】
同規模の県の取り組みに学ぶべき教訓などの検討についてでありますが、東北各県の合計特殊出生率を見ますと、2015年前後の直近ピーク時と比較して0.16ポイントから0.32ポイント低下し、令和4年の出生率が1.09から1.32の間におさまっているなど、本県と同じような動きとなっています。
また出生率は全国的に西高東低の傾向が見られ、その背景には男女の働き方などがあると国の分析結果が示されています。
社会減の要因としては、本県の有効求人倍率は近年1倍を超えて推移しているものの、東京圏の有効求人倍率がさらに高い傾向にあり、東北圏と東京圏の交通の便による近接性も相まって、本県を含む東北圏出身者が東京圏に転出し、東京一極集中化が顕著となっていると認識しています。
こうした状況から、地域ごとに実情や課題等は異なりますけれども、今年度スタートした全国トップレベルの子ども子育て施策の立案に際しては、福井県の取り組みを参考にしたほか、本年5月に東北6県で人口減少対策にかかる特徴的な施策について情報交換を行うなど、条件の近い東北各県をはじめ、全国各地の取り組み事例を参考にしながらさまざまな施策を立案しているところです。
引き続き他県の事例も注視しながら、官民一体で魅力ある雇用環境の構築やトップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけなど、働き方改革に向けた県独自の改革を進めるとともに、地方の社会減の大きな要因となっている東京一極集中の是正に向け、地方を重視した経済財政政策の実施など、国による抜本的な対策を一層推進するよう国に強く求めていきます。
【斉藤委員】
ぜひ多角的に、岩手県の実情だけではなくて、他県の学ぶべき取り組みがあればしっかり生かしていくという形で全国的な分析もしていただきたい。
そこで実は、かなり地域性があるということもあるんだと思います。経済力だとかそういうのが同等でも、地域性によって違いも出てくるのではないかと思っていますが、地域性に限らず全国的に人口減少が進んでいるというのが一番の問題だと思います。特に特徴的なのが、昨年は全都道府県で自然減なんです。これは沖縄が統計をとって初めて自然増から自然減になったと。社会増は東京一極集中なんだけれども、増えているところの自然増というのは逆に少ないのです。宮城県も東京も。だからそういう意味でいけば、社会増になっていることが全部うまくいっているわけではない。そういうこともしっかり見定めて。
しかし全体として人口減少に歯止めがかからないという、その根底に失われた30年―経済が停滞し暮らしがますます大変になっている。これは岸田首相も昨日の所信表明で認めました。コストカットの30年と。賃金を減らし、そして社会保障も切り捨ててきた。まさにこのコストカットの30年が失われた30年になってしまった。その根本的な転換が求められているのではないか。その土台が今崩されているわけですから、この土台を再構築しながら地方は地方で努力するということが本当の筋道ではないか。部長さんにその見解をお聞きします。
【政策企画部長】
決算特別委員会の総括質疑で知事の方から答弁申し上げました通り、税や社会保障、高等教育などの負担増については、国として対応が必要な分野であることから、今後も全国知事会等と連携ながら、国に対し大胆かつ強力な財政出動、そして地方重視の行財政政策の必要性の提言等をしっかり行っていく必要があると考えております。
また、賃上げにつきまして、全国的な経済の低迷がその背景にあるものの、県内企業の生産性の向上、高付加価値商品の開発などを通じ、県が後押しできるものも多々あると考えております。
食料・エネルギーの受給率につきましても、国全体で大きな課題でありますが、本県に着目すると、食糧供給基地としての強み、全国トップクラスの再生可能エネルギーの可能性を有していると考えております。このため第2期アクションプランにおきまして、商工業・観光産業・農林水産業・建設業をはじめとしたあらゆる産業のDXの促進、化石燃料中心の経済・社会・産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させるGXの推進、これを重点事項に掲げまして具体的な施策を推進するということとしております。
予算においても、重点事項推進枠として事業の充実を図ることとしております。来年度につきましても、こういった基本的な考え方に基づきまして、こうした失われた30年と言われておりますけれども、地方としてできることをしっかりやっていくという観点から引き続き取り組みを強化してまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
最初に述べたように、若者の所得を上げるということがキーポイントになると思っております。県の方針でも「若者や女性に魅力のある労働環境の構築」と。全体としてはまだまだ不十分でも、県内に若者・女性に魅力のある職場は少なくなくあると思うんです。いわてで働こう推進協議会でも、地元企業の認知度が低いんですね。本当に若者・女性に魅力のある職場はこれだけあって、それをどう広げるか。これが大変重大な課題になるのではないかと思いますが、これについて聞いて質問を終わります。
【政策企画部長】
委員ご指摘の通り、やはり若者・女性の皆さんが岩手の中で、さまざまな選択の中で岩手を選んでいただける、自由な可能性の中から岩手を選んでいただける状況をつくることが重要と考えております。
いわてで働こう推進協議会、いわて女性の活躍促進連携会議を中心といたしまして、官民一体となって魅力ある雇用環境の構築、トップ層の意識改革などに向けた企業への働きかけ、アンコンシャスバイアスといったものの解消、こういった取り組みを重点と考えておりますので、来年度以降の取り組みに向けてこうした従来の取り組みも一層強化・拡充するとともに、いま申し上げましたような視点を重視しながら効果的な事業の検討を進めてまいります。