2023年10月24日 決算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)
・新型コロナ対応にかかる体制、超過勤務の状況について
【斉藤委員】
新型コロナ感染対策に関わる県職員の超過勤務の状況、保健所の体制などについてお聞きをいたします。
昨年度の新型コロナ対策の体制はどうとられたのか。保健所の体制はどう強化されたのか示してください。
【人事課総括課長】
令和4年度のコロナ対策の体制でございます。本庁に関しましては、入院搬送調整やワクチン接種体制の構築業務を担う医療政策室の担当職員4名の増員のほか、感染症対策にかかる幅広い識見を有する医療特別参与を任用いたしまして、随時助言をいただきながら患者の状態に応じた入院調整や高齢者施設におけるクラスター対策などを進めてきたところでございます。
保健所に関してでございますが、積極的疫学調査等にあたる保健師10名を前年度から引き続き追加配置するとともに、会計年度任用職員として保健師・看護師19名任用するなど体制の強化に努めてきたほか、全庁的な応援体制を組みながら、感染拡大時においては、広域振興局内の各部からの業務支援を機動的に行ってきたところでございます。
【斉藤委員】
今の答弁ですと、保健師については、正規で10名、会計年度任用職員で19名ということでよかったでしょうか。
それで今年度の対応状況、体制はどうなったか。5類移行後に変化はあるのか示してください。来年度の見通しはどうなのか。
【人事課総括課長】
今年度の状況でございますが、令和4年度から切れ目なく新型コロナウイルス感染症対策にあたることができるように、今年度におきましても医療政策室の担当職員20名および保健所に追加配置している保健師10名を継続配置するなど、必要な職員体制を構築してきたところでございます。また、医療政策室に医師の資格を有する医療企画監を新たに設置し、新型コロナウイルス感染症対応を踏まえた新たな感染症対策の推進体制の検討などに取り組んでいるところでございます。
一方、新型コロナウイルス感染症の5類移行にともないまして、積極的疫学調査の終了や軽症者宿泊療養施設の運用縮小などにより、7月以降医療政策室を中心に業務量が減少したことを踏まえまして、感染の再拡大等に備えた業務支援体制をあらかじめ構築したうえで、医療政策室の体制を順次縮小しているところでございます。
来年度の体制につきましては、今年度の状況等を踏まえながら今後検討してまいりたいと考えてございます。
【斉藤委員】
昨日の総括質疑で、8月から9月にかけて第9波、これは第8波並だったと、これは知事もお認めになりました。第9波が第8波並だったということになると、第10波も起こりえると。直近でいけばこの冬ということになりますので、決して5類に移行したからコロナが収束過程に入っているとは日本の場合には言えない。岩手県の場合も言えない。ところが5類に移行して必要なデータの収集が行われない。県民に情報発信されることがきわめて少なくなった。業務量の減少はあると思いますけれども、しかし必要なことまでやられていないというのも昨日率直に指摘をいたしました。おそらく9月上旬が第9波のピークでしたけれども、その時点で第9波という会見もないし、今までそういう表明はこの議会までなかったのです。県民には全然知らされなかった。きわめて重大なことだと思うんですよ。だから人事を司るところも、そういう今の新型コロナ感染の状況について正確に把握したうえで、必要な体制を維持・構築していただきたい。
もう1つは、やはり新型コロナで保健所の仕事というのは多岐多彩にわたっているので、かなりの歪みというか、そういうことも今まであったんだと思うんですね。ですからこの機会に全体として保健所の体制が強化されるように、そのことを求めたい。これは部長に一言聞きましょう。
【総務部長】
コロナの対応につきましては、私自身も保健師のOGの方々の確保に奔走いたしまして、以降も関係した方々とその後の反省会といいますかご意見をいただこうと思っておりまして、そのようなことも予定しておりましたので、私自身当時総務部の理事としてコロナ対応をしっかりやるようにということで、特命を受けて私もいろいろやってございましたので、今でもそこはしっかりやらせていただいているつもりでございます。
保健所の体制につきましては、これはご指摘の通り、国の方でも保健師の体制を少し見直すべきということで増員を図るといったようなことも聞いておりますので、本県はいち早くそこに対応していると思っております。よそでは、1回それが終わったので体制を縮小してお辞めになったという状況もあるように聞いておりますけれども、本県ではそういうことがなく、保健師さんのOGの方々については、例えば県南振興局でありますけれども、健康管理という形で週に何回かお手伝いいただいているということで、いろんな働いていただくところがあると思っております。児童相談所もしかりであります。そういった形でしっかり体制を整えてまいりたいと思ってございます。
【斉藤委員】
昨年度の県職員の超過勤務の実態について、80時間、100時間超の勤務の実態はどうか。そしてその主な要因は何なのか示してください。
【人事課総括課長】
知事部局におけます昨年度の超過勤務の状況でございます。令和4年度の一人当たりの月平均超過勤務時間数は、全庁で16.1時間となってございまして、令和3年度から0.5時間増の微増となってございます。
昨年度に全庁で月80時間以上の超過勤務を行った職員は261名、月100時間以上の職員は150名となってございます。
これらにつきましては、新型コロナウイルス感染症対応に加えまして、その後の物価高騰対策の実施等にともないまして業務量が増加したものが主な要因と考えてございます。
【斉藤委員】
80時間100時間ということになりますと、過労死ラインなわけなので、本当にここの改善の方向を示してください。
【人事課総括課長】
委員ご指摘の通り、健康面での不安ということもございますので、健康管理の面からは産業医が個別に面談を行っているほか、全体として業務の見直しの徹底でありますとか、適切な勤務時間の管理といったところを行っているところでございます。
また、これまでもやっておりますが、いずれしっかりとした事前命令、事後確認の徹底といったところを改めて周知をしてまいりますし、業務の状況を我々としても部局を通じて常に把握をしているところでございますので、状況によっては業務支援を活用するなど、業務の平準化などにも取り組んでいるところでございます。
【斉藤委員】
ちなみに去年の80時間100時間を超えた部局で見ますと、保健福祉部が半分以上を占めましたから、これはコロナ対応が主な要因だったと思います。
人事院勧告が出されましたが、いま大問題になっているのは30年間賃金が上がらない国になってしまったと。そのことについて、県の職員の賃金、ピーク時と比べて今の賃金・ボーナスの水準はどうなっているか。どのぐらい減少しているか示してください。
【人事課総括課長】
県職員の賃金についてでございます。40歳の主査級の職員を例にとりまして、年収ベースでもっとも水準の高かった平成11年度の改定前の給与額と現時点での給与額を比較いたしますと、年収額で約83万円の減となってございます。
【斉藤委員】
いま年収額で83万円と出ました。これは民間に準拠ですから、民間も減ったから公務員もこれだけ減ったと。本当にダブルパンチだと思います。
あわせて、県職員の場合はボーナスもピーク時から大幅に減少していると思いますがそこを示してください。
【人事課総括課長】
支給月数で申し上げますと、いま手元にある資料で、平成9年は5.25月分、令和4年度につきましては4.40月となっている状況でございます。
金額の部分でございますが、平成11年で223万9千円となっているところ、令和5年度の額でみますと174万9千円ということで、約49万円の減となっているところでございます。
・会計年度任用職員の待遇改善について
【斉藤委員】
会計年度任用職員の制度が実施されて丸3年経過しました。正職員と会計年度任用職員の実態、フルタイム・パートタイムの状況・比率はどうなっているでしょうか。
【人事課総括課長】
会計年度任用職員の任用数でございます。知事部局におきまして、令和5年5月1日時点で1434人を任用してございまして、常勤職員を含めた一般職員の総数5723人のうち、会計年度任用職員の占める割合は約4分の1となってございます。
会計年度任用職員のうち、フルタイムの職員は41名で約3%、パートタイムが1393人で約97%という状況でございます。
【斉藤委員】
会計年度任用職員というのは、臨時職員の待遇改善が目的でしたが、残念ながら抜本的な待遇改善になっていないと。建前的には1年雇用なんですよね。会計年度ごとですから。そういう点では、いつ雇い止めになるか不安がつきまとうという状況出あります。
それで、これまで継続して任用された職員数はどうなっているでしょうか。継続年数ごとに示してください。
【人事課総括課長】
会計年度任用職員の継続任用の状況でございますが、令和5年5月1日時点で申し上げますと、知事部局において任用した職員1434名のうち、令和4年度から1263名・約88%の職員が継続任用となっているところでございます。これにつきましてさかのぼりまして、令和3年度に任用された職員はそのうち1158名・80.8%、さらにさかのぼりまして令和2年度に任用された職員は1053名・約73.4%ということでございます。
【斉藤委員】
会計年度任用職員の賃金、年収はどうなっているでしょうか。そして実際に会計年度任用職員制度が実施される前から雇用されている人もいますから、聞くところによれば通算7年働いている人が9割以上だという話もありますが、そうした実態はどうなっているでしょうか。そしてそれぞれの賃金・年収はどうなっているでしょうか。
【人事課総括課長】
経験年数ごとの給与でございます。まず高校卒業後そのまま県に任用された職員の場合で申し上げますと、フルタイム勤務の場合、月額約15万円、年収ベースで約220万円となってございます。週30時間のパートタイムでみますと、月額約12万円、年収で約170万円となっているところでございます。
県の会計年度任用職員の約9割を占めます社会人経験が6年以上の職員の場合でみますと、フルタイムの場合は月額が約19万円、年収ベースで約272万円、週30時間のパートタイムでみますと、月額約14万円、年収約210万円となっているところでございます。
【斉藤委員】
最初の答弁で、フルタイムはわずか3%なんですよ。これが会計年度任用職員に制度が変わったときに率直に言えば「改悪」になってしまったと。初年度でパートで採用された人は170万円なんですよね。これはワーキングプアですよ。読売新聞が10月20日の社説で会計年度任用職員について、「行政は正規雇用の道を広げよ」と。読売新聞がこう出したのは注目したんですけれども、この中で「年収が250万円未満の人が8割にのぼった」と。読売は250万円以下ということで8割と言っていますけれども、この基準でみると岩手県も8割になるんですか。
【人事課総括課長】
割合につきましては把握していないところでございますが、いずれ今回人事委員会からの勧告が出されまして、月例給・ボーナスの引き上げのほか、来年度から会計年度任用職員の勤勉手当の支給にかかる対応について言及をされているといったところでございまして、我々としても今後国や他の団体の動向に留意しながら、適切にその点については対応していきたいと考えているところでございます。
【斉藤委員】
先ほど冒頭で言いましたけれども、7年継続勤務しているのが9割だというのを口頭で聞いたんですけれども、それが実態でしょうか。
【人事課総括課長】
会計年度任用職員の経験年数、社会人経験6年以上の職員が約9割を占めるというのはご指摘の通りでございます。
・物価高騰対策にかかる財源について
【斉藤委員】
国の経済対策で、重点的な地方交付金というのも提起をされています。去年の年末のときには1兆3000億円規模でした。重点というんだからこれを上回る規模が想定されますが、その点での情報はどうなのか。
グリーン・ブルーボンドの実績と活用のあり方について示してください。
【財政課総括課長】
まず物価高騰対策ですが、委員からご指摘のありました交付金の内示については、現時点で具体的な情報は示されておりません。いずれ国において検討が進められておりますので、県としてもこれと連動して生活者支援・事業者支援の各事業に早急に予算化を検討していきたいと思います。
グリーン・ブルーボンドについては、実績については、本年7月に50億円を発行しました。調達した資金については、第三者機関により評価を取得した岩手県グリーン・ブルーボンドフレームワークに掲載された事業に充当するとしています。具体の充当先・充当額については、年度末に整理するといったものですが、具体的には気候変動対応のための河川改修、三陸海岸における海岸の保全強化に資する事業等に活用する予定です。