2023年10月25日 決算特別委員会
人事委員会に対する質疑
(大要)


・人事委員会の給与勧告の内容について

【斉藤委員】
 今回の給与改定の基本的な考え方は何でしょうか。

【職員課総括課長】
 勧告の基本的考え方についてでございます。
 人事委員会が行う給与勧告は、労働基本権制約の代償措置として、社会一般の情勢に適応した、適正な職員の給与を確保する機能を有するものでございます。
 職員の給与は、地方公務員法に定める給与決定の諸原則に従い、民間事業所従業員の給与を重視しつつ、国及び他の都道府県の職員の給与その他の諸事情を総合的に勘案して定めることとされております。
 こうしたことから、当委員会といたしましては、従前からこれら給与勧告の果たす役割に留意し、給与決定の諸原則に従い、県内の民間事業所従業員の給与を重視するなどしながら、検討を行ってきているところでございます。

【斉藤委員】
 今回の勧告は、月額給与でいけば1.10%、そして0.1ヶ月の期末勤勉手当の支給という、今までと比べれば高い勧告をしたわけでありますけれども、一番の問題は何かと言いますと、今の物価上昇に追いつかない。実質賃金は低下すると。もう1つは、若い世代は引き上げますけれども、中高年は全然上がらない。先ほど民間給与に準拠するというのと、国や他の都道府県との関連とありましたけれども、県職員の生活費・生計費を確保するというのも給与改定の基本的な考え方じゃないかと思うんですよ。実質賃金がまったく上がらず下がりっぱなしで、中高年の県職員は全然給与改定の恩恵にあたらないと言うことでいいのでしょうか。

【職員課総括課長】
 生計費のお話でございました。地方公務員法におきまして、職員の給与を定める際に考慮すべき事項の1つとして生計費というものを定めております。当委員会では、給与の勧告にあたりましては、民間の給与水準等の均衡を重視しつつ、国や他県の職員給与などを総合的に勘案することとしているところでございます。民間におきましても、給与決定にあたりましては、生計費等さまざまな要素が勘案されているものと理解をしております。民間の給与水準との均衡を図ることを通じまして、職員給与にも生計費等が反映されているものと考えております。

【斉藤委員】
 生計費も大事な基準だと。しかし今一番の問題は物価上昇なんです。物価上昇に賃上げが追いつかない。今回の給与改定はこれまでと比べれば前向きだったけれども、去年も今年も物価上昇に追いつかないんですよ。実質賃金はさらに低下すると。
 もう1つは、全体が一律に上がるのではなく、若い世代を引き上げる―これは当然だと思います、低すぎるので。しかし中高年になると全然上がらないんです。恩恵がないんです。そういう意味では、こういうことについて人事委員会では、生計費、県職員の生活を守るという点でどういう議論がされたのかを示してください。

【職員課総括課長】
 繰り返しになりますけれども、地方公務員法に定めます給与決定の諸原則に従いまして、県内の民間給与を重視しつつ、国や他の都道府県の職員の給与等を総合的に勘案することとしております。
 人事委員会の審議におきましても、本年の民間給与の改定が、物価の動向等も含めた経済・雇用情勢等を反映して決定されたものであるという理解のもとに、検討を重ねてきたものでございます。

【斉藤委員】
 結局物価上昇に見合わず、実質賃金が下がり続けると。
 実は総務部で、ピーク時と比べて県職員の年収がどのぐらい下がったか聞いたら、83万円です。いわば失われた30年の姿がここに示されている。県職員が83万円下がったということは民間も同じように下がったということです。民間も下がる、県職員も下がる、まさに悪循環ですよね。本当にここには生計費を守るという観点が弱いのではないかという感じをいたします。
 こうした中でどうやって生計費を守るかという議論をぜひもっと本格的にやっていただきたい。

・令和5年度実施の労働基準及び労働安全衛生に関する事業場調査結果について

【斉藤委員】
 月平均30時間を超える超過勤務を行う職員のいる事業場はどうなっているでしょうか。この間の推移を含めて示してください。

【職員課総括課長】
 平均30時間を超える超過勤務を行った職員のいる事業場についてでございますけれども、本委員会が行いました事業場調査では、教育職員以外の職員のいる事業場で、令和4年度実績は、41事業場となっておりまして、令和3年度実績38事業場から3事業場増加したところでございます。

【斉藤委員】
 令和4年度を調査したものが令和5年度の調査結果なんですけれども、30時間以上を超える超勤のいる事業場が残念ながら3つ増えてしまったと。これはもう逆行現象ですね。なぜそうなったのか。
 教員の場合なんですけれども、これは桁が違うんですね。月100時間を超える時間外在校等時間がある教育職員のいる県立学校の状況も示してください。

【職員課総括課長】
 月平均30時間を超える超過勤務を行った職員のいる事業場が増えた要因ということでございます。増加しました主な要因につきましては、昨年度発生いたしました鳥インフルエンザへの対応ですとか、豪雨災害への対応によるものと把握をしてございます。
 教育職員の在校等時間が月100時間超の職員がいる県立学校についてでございます。令和4年度の実績は12事業場となっております。令和3年度の17事業場から5事業場が減少したところでございます。

【斉藤委員】
 教育職員の100時間、80時間を超える超過勤務の状況はどうなっているでしょうか。
 この改善について人事委員会はどのような取り組みをされているでしょうか。

【職員課総括課長】
 教育職員の月100時間超、80時間超の時間外在校等時間についてでございます。令和4年度の実績で、時間外在校等時間が100時間超の教育職員は、実数で20人となっております。同じく80時間超は、実数で503人となっております。
 人事委員会といたしましては、改善の指導につきましては、在校等時間が100時間以上の教育職員がいる場合、文書での指導を行っているほか、毎年10事業場程度ではございますが、抽出をいたしまして、事業場を訪問いたしまして、業務の実態を踏まえた超過勤務の縮減について助言や指導をしているところでございます。

【斉藤委員】
 教育職員の場合には、一般の職員の場合には月30時間で調査するわけです。ところが教育職員の場合には80時間100時間で調査するというところに、大変異常な実態が教育現場のところに残されていると。
 特に教員は、これだけやっていて超過勤務手当が出ないのです。本当に給特法の改正が必要だと思うし、そういうことを人事委員会も国にしっかりやらないと、働かせ放題というのが実態です。そして一般の職員と比べても異常な超過勤務、超過勤務とは言えないから「時間外在校等時間」というごまかしの調査をするわけです。この改善が必要だと思いますけれども、最後に局長に聞いて終わります。

【人事委員会事務局長】
 教職員の長時間勤務につきましては、今回行った職員の給与等に関する報告・勧告の中にも一項目設けまして、県教育委員会に対して市町村教育委員会等とも十分に連携しながら、その取組を一層進めるよう要請したところでありまして、人事委員会としては、教育委員会に報告の内容を受け止めていただき、解消に向けた取組を一層進めていただきたいと考えております。