2023年10月26日 決算特別委員会
企業局
に対する質疑(大要)


・企業局の再エネ事業について

【斉藤委員】
 私も企業局が電気事業会計で、5年間で11億円弱の一般会計の繰り入れを行ったと。高く評価をしたいと思います。
 ある意味水力発電というのは、自然環境にも左右されますけれども、比較的安定的な事業だと思います。
そこで、この新規の風力発電事業、太陽光発電事業について、計画目標に対して昨年度どういう実績だったのかを最初にお聞きをいたします。

【電気課長】
 令和4年度の風力発電事業及び太陽光発電事業の実績についてでありますが、風力発電事業については、風況が概ね計画どおりであったことなどから、予算上の目標値5,770万kWhに対して、供給実績は約5,858万kWhであり、達成率は101.5%となっています。
 太陽光発電事業については、日射量が計画を上回ったことなどから、目標値142万kWhに対して、供給実績は約159万kWhであり、達成率は111.6%となっています。

【斉藤委員】
 予算のときに、新規の水力開発の取り組みについて、6地点の可能性調査の結果、1地点で可能性があると。新年度概略設計の予定だという答弁がありました。新規水力開発の概略設計の状況、今後のさらなる可能性調査はどう進められているでしょうか。

【業務課総括課長】
 新規水力開発の取組についてですが、昨年度は、新たな開発候補地点の検討として、6地点で可能性調査を実施し、開発の可能性が高い1地点を選定したところです。
 今年度は、昨年度選定した1地点と、令和3年度までに可能性調査を行ったところから3地点を選定しまして、合計4地点で新規水力開発候補地点の概略設計を実施しており、主要構造物のレイアウトと設計、発電計画諸元の算出、施工計画の検討、概算工事費の算定と経済性の評価を行っております。
 また、今年度は可能性調査を新たに4地点で実施しており、現地踏査のほか、水の取り入れ口から発電所予定地までの水路ルートや最大出力等の発電計画諸元を整理したうえ、概算工事費の算定と経済性の評価を行っております。
 今年度の調査結果を踏まえまして、開発の可能性が高い地点は、今後、概略設計に進めていくなど、開発候補地点の具体化、事業化に向けて取り組んでまいります。

【斉藤委員】
 概略設計が4地点、可能性調査は4地点ということで、かなり積極的に新たな水力発電の開発、可能性に取り組んでいるということも評価をしたいと思います。
 そこで、岩手県は地球温暖化防止対策で、2030年までに57%のCO2削減を打ち出しました。かなり積極的な目標であります。企業局とすれば、県の目標に対応して、どういう再エネの目標をもって取り組まれているのかを示してください。

【業務課総括課長】
 2030年度、2050年度にむけての目標についてですが、今お話しした新規水力開発につきましてお話ししますが、新規開発に向けて、可能性調査の実施後には概略設計、基本設計など、各調査段階で経済性の良否を検討しまして、調査の精度を高めた検討を進めていくことになります。
 現在は可能性調査の段階でありまして、開発地点の選定や事業化の判断に至っていないため、現時点において開発箇所数や時期といったところを設定できていない状況でございます。
 なお、これまでの企業局の水力発電所の建設実績においては、事業化の判断後に施行する実施設計から運転開始までは、概ね6年から8年間を要してございますので、今後の新規開発についても同程度の年数を要するものと考えております。

【斉藤委員】
 目標だけ決めても根拠がないとなかなか計画も示せないと思うんだけれども、ぜひ岩手県が57%の削減目標を掲げていると。これはやはり県庁のそれぞれの分野、市町村、事業者、それぞれのところで裏付けをつくっておかないと、県の目標だけで達成できるわけではないので、ぜひこの分野でも企業局が大いに貢献できるようにお願いをしたいと思います。

・新北上浄水場建設の進捗状況と今後の見通しについて

【斉藤委員】
 進捗状況はどうなっているでしょうか。

【業務課総括課長】
 工事の進捗状況についてでありますが、新北上浄水場は、北上工業団地における複数のユーザー企業から提出されました工業用水の使用計画等に基づきまして、中長期的な工業用水の需要量を予測し、平成30年度から令和8年度までの9年間を3期に分けて整備する計画であります。
 第1期工事につきましては、令和5年3月に工事を完了しまして、令和5年4月1日からユーザーへの給水を開始しております。
 今年度は、第二期工事の契約を締結したところでございまして、土木設備については、沈殿池や配水池などのコンクリート構造物の築造に着手しており、電気・機械設備については、機器設計等を実施しているところであり、概ね順調に進捗しているところでございます。

【斉藤委員】
 今回の新北上浄水場建設事業の大きなきっかけは、キオクシアの工場の新設・増設に対応するということだったと思いますが、半導体不況と言われる状況の中で、増設も今ストップする、早期退職者も募集するという状況になっておりますが、給水の関係で、今年度から2万トン給水開始となっているんですけれども、これをそのまま給水されているのか。これも修正があるのか。今後の見通しなどについてどのように受け止めているか示してください。

【業務課総括課長】
 今後の見通しについてでありますが、これまで、キオクシア岩手株式会社に対しましては、既設の浄水場から給水しておりましたが、同社による第2製造棟の整備等によりまして、北上工業団地の給水需要が、既設浄水場の給水能力を超える見通しとなったことから、新北上浄水場の整備を進めておりまして、本年4月1日から日量約2万立方メートルの給水能力を増強し、一部給水を開始したところでございます。2万立方メートルをそのまま給水しているわけではなく、給水能力の増強であり、そのうち一部を給水している状況でございます。
 キオクシア岩手株式会社をはじめとする各ユーザー企業に対しましては、年数回の訪問を通じて、工業用水の使用計画を確認するなど綿密な情報交換を行っているほか、工場拡張を予定しているユーザーに関しましては、関係者で随時、情報交換を行っているところでございます。
 企業局といたしましては、現在進めている新北上浄水場建設第二期工事の進捗を図りながら、北上工業団地における将来の工業用水の需要に的確に対応できるよう、工業用水を安定的に供給できる体制を整えてまいりたいと考えてございます。

【斉藤委員】
 工業用水の契約については、当初契約した量、その料金で、途中に吸水量が減っても契約の料金が有効になると理解していましたが、それでいいですか。

【業務課総括課長】
 委員からご質問のあったとおり、工業用水の料金は二部料金制をとっており、契約水量と使用水量がございます。契約水量は固定で、使用水量は使用した分を料金として徴収することとなっております。

【斉藤委員】
 せっかく350億円使って、これは3期までの事業費全体ですけれども、浄水場を建設するんですけれども、なぜ太陽光発電を設置できなかったのか。県有施設でいけばZEB ready以上ということになっているんですけれども、電気事業会計の利益から考えれば、融通も可能だったのではないかと思いますが、そうした検討がなされたのかどうか。これを最後に聞いて終わります。

【業務課総括課長】
 はじめに、今回の新北上浄水場建設の総事業費は、3期までで196億円ということでございます。
 太陽光発電設備を設置しなかった理由でございますが、建物の屋上に太陽光発電設備を設置する場合、強度・構造等コスト的に増えるところもございまして、電気事業会計は先ほどの通り潤沢な利益を出しておりますが、工業用水道事業はギリギリの状況であるという事情もあり、設置しなかったところでございます。