2023年10月27日 決算特別委員会
保健福祉部に対する質疑(大要)
・知事選挙における知事候補の発言について
【斉藤委員】
岩手県のコロナ対応に関し、知事選挙の中で看過できない発言がありました。8月27日の盛岡市内での個人演説会でのある知事候補の発言であります。
岩手県が新型コロナ感染ゼロが続いたことについて、「カラクリがあったことが分かりました。これは県民性の問題でもなんでもないんです。検査の体制の話だったんです。他の都道府県というのは、保健所の管内で、それぞれの疑わしいサンプルをしっかり検査をしまして、これがコロナウイルスだとかそうじゃないっていうのを、細かい単位でやっておりました。ところが岩手県は、全県のものを岩手県内1カ所、たった5人の検査員で、『これは検査する』『これは検査しない』、その5人の選定によって行われてきたために、コロナの疑いのあるものもちゃんと検査されずに、はじかれてきたために、(2020年)7月29日までコロナウイルス感染症が出なかったというのが事実であると。これを知りまして、あぁ情報の隠蔽のようなものがあったんだ」と。
これは看過できない発言ですので、こういう事実があったのか、なかったのか。情報の隠蔽があったのかなかったのか、はっきり答えてください。
【感染症課長】
県内で初めて患者が確認された令和2年7月当時の新型コロナウイルスの検査体制についてでございます。
当時は、当初環境保健センターのほか、複数の民間医療機関において検査が実施されていたものでございまして、当時の環境保健センターの検査員数は11名であったものでございます。
また、検査対象につきましてですが、国の基準に基づき、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会が、感染の疑いがあるものとして示した、例としますと、患者との濃厚接触者または接触者、発症から二週間以内に流行地域に渡航もしくは居住した者と接触歴がある者、医師が総合的に判断した結果新型コロナウイルス感染症を疑う者等の基準のもとに、保健所や医療機関等から報告され、そうした該当するすべての対象者に対し検査を実施していたものでございます。
こちらが県としての公式見解となります。
【斉藤委員】
そういう事実はなかったということですね。
これは県政に対する誹謗中傷であり、選挙の公正を歪めるものだと。許されないと。候補者の資質・資格に関わる問題ではないかと思いますが、部長の所管をうかがいます。
【保健福祉部長】
ツイッターなどSNSで出てくる情報、さまざま発信の仕方、切り取られたりなどさまざまありますし、個人の発言については県として個々に対応していないものであります。
例えば、県政提言いただくとか新聞に県の取り組みについてご意見などいただいた場合には対応しておりますが、個々の発信・発言等については対応していないところではございますが、事実関係は先ほど課長から答弁した通りでございますので、こうした点は説明を求められればしっかりとご説明に努めてまいりたいと思います。
【斉藤委員】
私は公式の場で発言そのものを紹介して、「県は情報を隠蔽した」と言われているんですよ。重大な知事選の最中です。いま他人事のように言っているけれども、県が情報を隠蔽したという発言に対して、私は議会でこの発言をしっかり示して聞いているんだから、そんな答弁でいいんですか。情報を隠蔽したんですか、していないんですか。
【保健福祉部長】
令和2年7月29日に県内一例目出ましたので、その日に本部員会議をいたしました。その資料を議員の皆様方に提供しているかと思うんですが、令和2年7月29日までに、PCR検査1414件、民間が810件、行政検査588件ということで、きちんと検査は必要なものは十分行ってきたというものでございますし、この本部員会議では、国が示す定義にとどまらず、幅広く積極的疫学調査を実施するという方針を確認したところでございます。
【斉藤委員】
公正な選挙の最中に、「県が情報を隠蔽した」というような発言は看過できないと。選挙の公正にとっても、県のコロナ対応にとっても看過できないということで指摘をいたしました。そのことはしっかりと記録に残しておきたいと思います。
・新型コロナ対策について
【斉藤委員】
「7月以降の感染拡大時は第8波と同等の感染状況と認識している」と知事が答弁しました。第9波の感染拡大ということで、部長、こういう認識でよろしいですか。
【保健福祉部長】
総括質疑でも知事答弁からご答弁申し上げました通り、この夏やはり第8波と同規模の新規感染者数があったということで、我々も第9波ということで認識をしております。
【斉藤委員】
このことを繰り返し指摘しているのは、第8波と同等の感染拡大が8月9月にあったと。しかしそういう情報発信はされませんでした。
県央保健所の所長さんからいろいろ説明を聞いて、盛岡医療圏は第8波を超えているという話を聞いて本当にびっくりした次第です。
県の情報発信は、定点観測で、1医療機関平均の数なんですよ。1医療機関35人と言われても、県民はどれだけの感染状況か分からない。「全国一」と聞いたから私たちはびっくりしましたけれども、そういう意味で、5類に移行したけれども、第8波並の感染拡大が起きたというのであれば、ある意味深刻な感染状況を正確に、リアルに、県民が分かるように発信すべきだったのではないかと思いますがいかがですか。
【保健福祉部長】
感染状況のほかにも、やはり今は医療の逼迫状況とかクラスターの状況など、総合的な視点での発信が必要だと考えておりまして、そういった意味では5類移行になって、毎日の全数報告という形ではなくなったんですけれども、医療の状況、クラスターの状況なども県独自で把握に努め、発信に努めてきたところでありますし、30を超えた時点におきましては私自身が記者会見をさせていただきまして、県民向けに感染状況について発信に努めてきたところでございます。
【斉藤委員】
部長が記者会見したのはたった1回で、その後にそのときを超える1医療機関あたり35人を超えたんです。あとは環境保健センターのホームページで公開していますと。記者会見もしない。全国一と言われる感染状況だったら、せめて毎週1回は担当課長がしっかり説明するぐらいのことをやらなかったら、感染拡大防止の最大の課題は正確な情報発信、感染状況が分かって初めて県民は自主的・自覚的に対策をとるんですよ。そういう対応はされなかった、そうですね。
【感染症課長】
感染状況の定例的なマスコミ公表については、令和2年7月に県が一例目の陽性者が確認されて以降、令和4年9月26日に感染者の全数把握が見直されるまでの間、たしかに毎日記者ブリーフィングを実施していたところです。ただ、こうした中で全数把握の見直しが行われ、令和4年9月27日以降、県民に対してすべての感染者数が公表できなくなったという事実がございます。このことを踏まえまして、県政記者クラブと協議のうえ、その当時全数把握の見直し後においては、記者ブリーフィングに代えて感染情報にかかる資料を提供するという形で、記者会見自体は行われなくなったと。ただし、その際の申し合わせとして、感染拡大時の対応として、新規感染者数が過去最大になった場合などにおいては、ブリーフィングを実施するということになっておりまして、先ほど部長が30近くになったときに対応していただいたというのは、まさにそういった感染者が急拡大しているというところで部長の方でブリーフィングを行って記者レクをさせていただいたということでございます。
今後もそうした意味で、定点観測上の数値と、あとはまさに医療の逼迫状況、医療の病床数のところを加味しながら、県民に対して適時適切にブリーフィングを含めて情報発信をしていきたいと考えているところでございます。
【斉藤委員】
第9波の対応に対する反省が不十分だと思いますね。第8波も不十分だったけれども。
全国一の感染拡大で、例えば、定点観測で比較すれば今回35.24でしたが、第8波は37.81がピークでした。ほぼ同等なんですよ。30を超えた週が今回3回もあったんですから。たった1回ですよ記者会見は。実際には県民に伝わらなかったというのが事実です。
第8波の教訓については、いま振り返りを行っているという答弁がありました。この第8波の教訓というのはどういう形でまとめられて明らかにされるのか示してください。
【感染症課長】
岩手県感染症予防計画の改定を今年度行っているところでありまして、感染症法に基づき設置した岩手県感染症対策連携協議会において協議を行うこととして、こちらでさまざま今回の振り返りを含めて今後の予防計画の対策等もご議論いただいているところでございます。
こうしたところを踏まえまして、令和6年度施行する新興感染症対策の部分で、コロナ対策を踏まえた具体的な対策等の方向性を盛り込んでいきたいと考えているところでございます。
【斉藤委員】
そうすると、岩手県感染症予防計画の中でまとまって教訓は深められると。
もう1つ聞きますが、新型コロナの後遺症対策もこの感染症予防計画に検討課題として入っているのでしょうか。
【感染症課長】
新型コロナ等の後遺症対策につきましては、感染症予防および蔓延防止を目的とする感染症予防計画にかかる国の指針には具体的な記載がないところでございます。計画の策定過程において、連携協議会等の構成委員から意見をうかがいつつ協議を進めてまいります。
【斉藤委員】
検討課題にないというので私びっくりしたんですが、コロナ感染者の1割から2割が後遺症を発症していると。私の総括質疑でも部長さんが答えましたね、県の調査結果を。これは大変なことです。コロナが普通とインフルと違うところはここなんですね。今でも苦しんでいる。先日もNHKで特集が組まれました。やはりこの後遺症対策はしっかりと予防計画に組み入れるべきだと。これは部長に聞きましょう。
そしてこの課題の最後に、インフルエンザも今急速に拡大をしています。第10波の同時流行の可能性も知事も認めましたが、インフルエンザと第10波の同時流行もあり得るという状況に対して、具体的な対策はどうとられようとしているんでしょうか。
【感染症課長】
インフルエンザと第10波の同時流行の部分についてお答え申し上げます。いわゆる第10波の同時流行に備えた対策につきましては、平時から行っております基本的な感染対策や外来対応医療機関への受診・相談にかかる協力依頼等について、引き続きあらゆる広報媒体を通じて繰り返し県民の皆様に呼びかけてまいります。
また、季節性インフルエンザや新型コロナウイルスワクチンの早期の接種についてご検討いただけるよう、メリット・デメリットなど県民の皆さんが安心して接種を受けられるよう、県ホームページ等を通じまして情報提供にも努めてまいります。
【保健福祉部長】
後遺症対策は重要だと思っています。県の予防計画や新しい医療計画は、新興感染症、コロナではなく未知の感染症に対する医療であるとか公衆衛生とか、そういう視点での計画ですので、少し委員からご指摘の後遺症対策につきましては、どういう形で記載できるかというのは検討を進めてまいりたいと思います。
・ハイボリュームセンターの整備について
【斉藤委員】
新しい保健医療計画に関わって、ハイボリュームセンターの整備というのも大いにこの間議論されました。新しい保健医療計画の検討状況を見ますと、3つの疾病に応じて個別の医療圏を設定すると。ガン医療・脳卒中・新血管疾患―3つの疾病で新たな医療圏を設定すると。これとハイボリュームセンター―これは中核病院に専門性・機能を集約するということを答弁されていますけれども、どういう関連があるのか分かりやすく答えてください。
【医療政策室長】
ハイボリュームセンターについての定義でございますが、診療報酬等による公的な定義があるものではなく、例えば、複数の専門員が配置され、高度専門的な手術数や症例数が多く、充実した研修機能を有した医療機関について、日本学術会議の専門委員会がハイボリュームセンターとして整備しているというところでございます。
現在進めている次期保健医療計画の検討にあたりましては、専門人材や高度医療機器の配置の重点化により、県民に提供する高度で専門的な医療のさらなる質の向上とともに、手術数や症例数の確保による専門教育機能が充実した研修体制の整備を図るため、広域的な疾病事業別医療圏の設定を検討しているところでございます。
この疾病事業別医療圏の設定を踏まえ、今後の具体的な医療提供体制の確保については、中核となる病院における一定の機能集約を行い、症例数や手術数を確保した、いわゆるハイボリューム化に向けた検討が進められていると考えております。
【斉藤委員】
ハイボリュームセンターといった場合には、イメージとしては2つも3つもつくるのではなく、せいぜい1つぐらいなのではないかと受け止めておりましたが。
それから3疾病に基づく個別の医療圏ということになると、それとはまた違うと思うので、この違い、どういうものがあるのか。同じなのか違うのか。そこを分かりやすく言ってください。
【医療政策室長】
専門の学会がいうのは、症例数や手術数がある程度多いというところでございますので、それが1つの病院にあるかどうかというところではないというところでございますので、疾病ごとに症例数の集約というところと、またハイボリュームセンターと1つの病院にするというものとは違うというところでございます。
【斉藤委員】
今度の保健医療計画を見ますと、二次医療圏は維持して地域医療を守り、そしてこの3疾病に独自の医療圏をやるということでしたから、それは積極的に評価をしたいと思います。
ただ、このハイボリュームセンターと3疾病に関わる個別の医療圏というものは、まだまだよく分からないので、これ以上聞きませんが、分かりやすく説明していただきたい。