2023年10月27日 決算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)
・県立病院の新型コロナ対応について
【斉藤委員】
新型コロナ第8波・第9波に県立病院はどう対応したのか。入院患者数、県立病院のクラスターの発生や休業者数の状況などを示してください。
【医事企画課総括課長】
新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れるため、フェーズにあわせて病床確保しており、県立病院においては6病院22床を配置している感染症病床を含め、9月までは最大で20病院237床、10月からは最大で17病院141床を確保しているところです。
入院患者数については、令和4年11月1日から令和5年1月31日の間に1543人、令和5年7月1日から9月30日までに583人を受け入れてきたところであり、第8波では延べ患者数で県全体のおよそ6割、いわゆる第9波ではおよそ4割を県立病院で受け入れてきたところであります。
【職員課総括課長】
県立病院のクラスター発生状況についてでありますが、令和4年2月から現在まで63件のクラスターが発生しており、そのうち令和4年11月から令和5年1月までに21件、令和5年7月から9月までに12件発生しております。
職員の休業者数の状況ですが、第8波においては12月13日に1日あたりの休業者数が最大の293人となり、いわゆる第9波においては8月29日に1日あたりの休業者数が最大の169人となっております。
なお直近の休業者数は30人程度となっております。
【斉藤委員】
第8波・第9波で県立病院が大変重要な役割を果たしたということを評価したいと思います。
・ハイボリュームセンターの整備について
【斉藤委員】
それで県立病院の充実強化とハイボリュームセンターについて私もお聞きしたいんですけれども、この間の議会での答弁を見ますと、ハイボリュームセンターというのは、今ある中核病院に機能・人材を集約すると。
もう1つは、新たな保健医療計画で、ガンなど3つの疾病で新たな医療圏をつくると。ここでつくられるものがいわゆるハイボリュームセンターという位置づけになるのかどうか、そこを示してください。
【経営管理課総括課長】
ハイボリュームセンターにつきましては、お話いただきましたように、県内で高度専門的な医療を安定的に提供できる体制を確保していくため、まずは中核となる病院に、疾病事業別医療圏、いまご紹介いただきました医療圏の設定等に対応して一定の集約を図って、症例数、手術件数等を確保していくといったことを検討したいと思っております。
【斉藤委員】
そうすると、ハイボリュームセンターというのは1カ所じゃなくて数カ所ということで理解していいですか。
【経営管理課総括課長】
具体的にどういった病院にどういった機能を集約していくかということにつきましては、現在検討されております次期保健医療計画におけます疾病事業別医療圏の設定等を踏まえながら検討してまいりたいと思っております。
・県立大船渡病院における看護師の超過勤務問題について
【斉藤委員】
大船渡病院における看護師の超過勤務が、今年度に入って総看護師長が代わったら激減をしたと。この問題について取り上げたいと思います。
4月から総看護師長が代わったら超過勤務の申請が認められなくなったと。こうした問題が続出しています。私にも直接訴えがありました。大船渡病院の県医労の支部、県医労の本部からも医療局にその実態と解決の要請が出ていたと思いますけれども、医療局長、どのようにこの問題を把握していますか。
【医療局長】
県立病院では、職員の負担軽減やワークライフバランスの確保、健康保持を図るため超過勤務の縮減に向けたさまざまな取り組みを進めており、大船渡病院におきましても鋭意取り組みを進めているところでございます。
大船渡病院におきましては、超過勤務の申請が認められなくなったということはございませんが、職員団体等から「超過勤務の申請がしづらい雰囲気がある」という話を受けております。時間外に行った業務に対する手当は、適切に支払われるべきものでありまして、申請されていないものがあるのであれば、その状況を確認したうえで必要な対応を行うよう病院と調整しながら進めているところであります。
【斉藤委員】
本当に切実な声を後で紹介しますが、昨年度4月から8月まで一人当たりの看護師さんの月平均超過勤務時間は10.8時間でした。今年度に入ったら3.5時間の激減です。この激減した理由は何ですか。
【職員課総括課長】
超過勤務減少の理由についてでありますが、患者の動向といたしまして、令和5年4月から9月までの入院患者数、外来患者数ともに減少しておりまして、業務負担が減る要因の1つと考えており、看護師のほか医師の超過勤務についても減少しているところです。
また大船渡病院では、長時間労働の是正や休憩時間の確保など、法令順守の徹底をはじめ、今年度から職員のワークライフバランスや健康保持を図るため、業務による職員の拘束時間を必要最小限にすること、次の勤務時間までのインターバルを十分に確保することをめざし、多種多様な業務改善の取り組みを進めております。
具体的には、休憩時間を確実に取得するため、外来部門は診療科を越えて応援する体制へ見直しております。また、翌日の手術、検査、処置の予定に合わせた出勤時間の調整―遅出勤務の開始とか、電子カルテをベッドサイドでリアルタイムに入力する、あるいは夕方の終業時刻周辺の業務を見直して拘束時間の減少などを進めているところでございます。
【斉藤委員】
患者数減少しているのは全県共通していますよ。全県どうなっているかというと、去年の4月から8月までは一人当たり10.3時間、今年は9.1時間なんです。この程度なんです。大船渡病院だけが激減しているという理由にはならないんですよ。
看護師の実態がどうなっているか紹介しましょう。それはあなた方にも伝わっている中身です。
「4月は超勤の申請をしていない。業務量が多く、置いて帰れないので退勤した形で働いている」
「総看護師長が新しくなり、超過勤務申請を差し戻されている」
「超勤していいても圧力が強すぎて超勤申請できない状態にある」
「超過勤務を申請しても差し戻されて取り消される」
「4月になってから『早く帰れ』の圧力がすごい。患者数が変わらず業務内容が減っていないのに、早く仕事が終わるわけがない」
「『看護師は椅子に座って記録するな。デスクトップを使用するな』という発言があってパワハラと感じ、不快な思いをしながら仕事をしている」
これは看護師さんの生の声です。
看護師さんは「業務量は変わっていない」と言っている。業務量は変わっていないけれども、この総看護師長さんは3年前、遠野病院で超過勤務を申請させないで大問題になった。何回も私ここで取り上げました。
聞きますけれども、遠野病院問題は労基署にも訴えられて、何人に、いくらの不払い超過勤務手当が支払われましたか。示してください。
【職員課総括課長】
遠野病院で未払いの超過勤務の総額でございますが、支給人数が87人で、総額2424万8855円でございました。
【斉藤委員】
これは4月から12月までの9ヶ月分でした。1年分じゃないんです。9ヶ月しか調べなかった。労基署の指示でもありました。
87人と言ったけれども、看護師さんは88人です。88人中87人に2400万円余が支払われた。
この前歴のある総看護師長さんが3年ぶりに大船渡病院に赴任した途端にですよ、4月から超過勤務手当が激減しているんですよ。8月までいくらか改善しているかと思って聞いたら、4月6.5時間、5月3.5時間、6月3.4時間、7月1.9時間、8月2.2時間と。看護師さんから具体的な訴え、リアルな訴えがあったにも関わらず何も改善されていないじゃないですか。労基署に訴えられないとあなた方は本気で調べないんですか。そんなことでいいんですか。超過勤務が激減した具体的な理由を言ってください。何が減ったのか。
もう1つ、いまパソコンで始業時間と終業時間が分かります。いわゆるこれは勤務時間です。勤務時間分の給料・手当が払われていますか。そういう調査をしていますか。
【職員課総括課長】
超過勤務時間が減少した理由、すいません繰り返しになるかもしれませんが、先ほども申し上げましたが、休憩時間を確実に取得するため、外来部門は診療科を越えて応援する体制を見直しております。場合によっては、今までお昼休みの休憩時間についても超過勤務扱いだったところもございますが、そちらは応援体制を敷くことによって十分休憩を取れるようになったとか、患者の看護記録をノートパソコンによりベッド脇でのリアルタイムで入力するなどの動線の見直しを図りました。今まではどちらかというと、ベッドサイドでやった中身をナースセンターに戻ってから入力することがございましたが、そうではなくてベッドサイドでそのまま入力するということで、看護師さんの動線も改善されたとか、そういったことがございます。
【斉藤委員】
私が聞いたのは、始業時間と終業時間、この分きちんと給料・手当が払われているかと聞いたんですよ。超過勤務の申請が出された分しか払っていないんじゃないですか。違いますか。ここのことにはっきり答えてください。
【職員課総括課長】
始業時間と終業時間との乖離の部分についてでありますが、勤務時間については、令和3年度から医療局は勤務管理システムを導入しておりまして、出退勤時刻等勤務時間の記録を客観的に把握しているところであり、乖離部分については、業務による在院か、業務外による在院かを随時確認しております。
また超過勤務については、事前に命令して事後に確認するという手続きの原則に基づき、必要な超過勤務についてはしっかりと認めているほか、事後報告についても確認のうえ適切に進めております。
【斉藤委員】
遠野病院でもそう言ったんです。そうやってやったんですよ。結局超過勤務の申請ができなかった。しかし労基署が入って、今の乖離の部分はみんな勤務時間で基本的には認められたんですよ。
改めて聞きます。勤務時間と給与・手当が払われた乖離はどのぐらいありましたか。そういう調べ方をしていますか。超過勤務申請された分しか手当を払っていないんじゃないですか。
【職員課総括課長】
超過勤務申請されたものは適切にお支払いしております。乖離の部分については先ほど申し上げた通り、勤務管理システムで管理しておりまして、その病院にいらっしゃる時間が業務なのか業務外なのかをしっかり確認しておるところでございます。
超過勤務については、事前命令を原則にしておりまして、そちらについては本人から申告した分については、しっかり事後を確認して適切に支給していますし、あるいは救急患者等の対応でどうしても事前に命令できない場合については、事後の申告によってその業務内容を確認して適切に支給してございます。
【斉藤委員】
看護師さんは「超過勤務の申請をできない」と言っているんですよ。「申請したら差し戻される」と。だからもうやらなくなっているんです。この総看護師長さんは本当に驚くべき、遠野と同じなんですけれども、「遠野のスタッフは精神的に追い詰められて退職したのに反省していないのか」と。遠野病院は23人辞めました。辞めさせられました。「超勤を総師長に報告する師長たちも疲弊している」「総師長が看護事務室で怒鳴っているのを見た職員がいる。パワハラだ」と。怒鳴る声が廊下に聞こえていると。こうやって必要な超勤が申請できないから、超勤手当がこれほど激減するわけです。
業務改善なんていう、総看護師長が言ったから、4月5月6月とそんな効果出ると思いますか。出るわけないでしょう。業務改善というのは、看護師さんが理解・納得して初めて進むんですよ。総看護師長の鶴の一言でそんなに改善が進むわけないじゃないですか。
私は本当にこのリアルな看護師さんの声を聞いて、まったく遠野と同じだと。総看護師長さんが同じなのと、事務局長さんも同じだ。同じ轍を踏んでいいのか。だから冒頭私は医療局長に聞いたんですよ。
あなた方の説明で、4月から突然こんなに超過勤務手当の支給が激減する、考えられないでしょう。遠野もそうだったんですよ。同じ総看護師長が赴任した途端に超過勤務手当が激減した。本当は2年間激減したんですよ。調査は1年、実際には9ヶ月だった。それで2400万円ですよ。
始業時間と退勤時間、基本的に勤務時間ですよ。忙しい看護師さんが残って別なことをやるなんて考えられない。早く家に帰りたいんです。基本的に業務ですよ。労基署が入ったらみんな勤務になりますよ。だから課長さんが業務であるかないかという言い訳をしてたらこの問題は解決しないし、こういうパワハラ、超勤を認めない総看護師長を養護したら、また遠野病院の二の舞になりますよ。
最後に医療局長、責任を持ってこの問題を早期に解決すべきだ。そうしなかったら遠野と同じように犠牲者が出ます。辞めざるを得ない人たちが出ます。絶対にそうしてはならない。答えていただきたい。
【医療局長】
いずれ超過勤務につきましては、事前に命令して事後に確認するという手続きの原則に基づきまして、必要な超過勤務をしっかりと認め、事後報告についても適切にされているところでございます。
日頃から業務の内容の把握、調整など、適切なマネジメントを行い、職員の負担軽減やワークライフバランスの確保、健康保持等につなげていくことが重要であると考えております。
引き続き、職員の理解と共感を得ながら働きやすい職場、環境づくりに向けて取り組んでまいりたいと考えております。