2023年10月30日 決算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)
・第2次地球温暖化対策実行計画について
【斉藤委員】
第2次地球温暖化対策実行計画改定で、温室効果ガス排出量の削減目標を2013年度比で57%削減と画期的な方針を決めました。これを推進する方針の骨格を示してください。
【グリーン社会推進課長】
削減目標達成に向けた取り組みでございます。
基本的な考え方といたしましては、県民、事業者、我々行政も含めて、さまざまな主体がそれぞれの立場でしっかりと一体的に取り組んでいくということが大事だと思っております。
少し具体的な例を申し上げますと、県民向けとしましては、省エネ性能に優れた住宅の普及、事業者向けには、脱炭素経営のシフトといったことが重要なキーワードになると思っております。他には、公共交通機関へのEV等の導入、あるいは市町村の実行計画の策定といった取り組みが重要になってきていると思っております。
現状2020年度の数字ですが、57%に対しまして30.3%削減ということで、過去最大の減少幅というところまできたところでございます。
今後につきましては、排出削減だけではなくて、取り組みが地域の経済活性化ですとか生活の快適さ、便利さの向上にもつながるといった側面も示しながら、県民・事業者等一体となって取り組んでいく必要があると考えております。
【斉藤委員】
それで、岩手県も県有施設における脱炭素化の基本方針、4つの方針を示しました。この具体化はどうなっているんでしょうか。
【グリーン社会推進課長】
脱炭素化基本方針の具体的な取り組みですけれども、今般10月中旬に方針を策定し公表したところでございます。
当面、来年度予算要求に向けまして、この方針に沿ってできることをやっていくというのが一番最初の取り組みになってくると考えております。あわせまして、早ければ年度内にそれぞれの4つの分野につきまして、工程表のようなものを作成いたしまして、これを関係部局としっかりと共有をしまして、その工程表にある程度従って今後整備を進めていくような体制をつくっていきたいと考えております。
【斉藤委員】
その中で、新築建築物については、ZEB ready相当以上ということであります。総括質疑で、県の総合福祉センターと県民生活センターの合築、モデル施設としてZEB readyではないZEB基準でやるべきだと、太陽光発電を設置すべきだと。知事が前向きに太陽光発電の設置を検討したいということでございました。岩手県の新築の建築物は、ある意味モデル施設になりますから、そういう方向をめざすべきではないのかと。
もう1つは、県有施設に太陽光発電を積極的に設置すると。設置可能な県有施設の50%以上、この50%以上というのはどういう規模なのか。これまで40施設の可能性調査をやって、その具体的な整備計画を今年度中につくるとなっていましたから、そのことを示してください。
【グリーン社会推進課長】
太陽光発電設備に関してでございます。
対象となる施設につきましては、今後精査をさせていただきたいと考えておりますが、基本的に10キロ以上の太陽光発電設備を置きたいと考えておりますので、比較的規模の大きな施設を抽出いたしまして対象施設にしたいと考えておりますが、現在作業中でございます。
考え方の2点目として、40カ所の令和4年度の調査のお話がございました。現在すでに太陽光発電が設置されている施設もございますが、それに加えまして、調査をした40カ所については、できるだけ優先して設置ができないだろうかと考えておりまして、その順序等につきましても工程表の中でしっかりと位置づけたいと考えておるところです。
【斉藤委員】
40カ所については可能性調査をやって、その導入計画を今年度中につくると、実は教育の分野で、実は40カ所のうち19カ所は高校、教育施設なんです。ただ、いま現実の課題として、宮古商工と宮古水産高校を合築で一体的に整備すると。ところが議案で出たときには太陽光発電の設置の計画がなかったんです。それは検討するというところまでいったんですが、新築でやるときに設置するのが一番合理的なんですよね。そういう方向で太陽光発電も新築には積極的に設置するという方向で考えるべきではないでしょうか。
【グリーン社会推進課長】
具体的には工程表の中で作成する過程でしっかり考えていかなければならないことではございますけれども、いずれにしても関係する部局としっかりやりとりした上で決定したい、考えていきたいと思っておりますが、基本的には今回の方針の策定は前向きに県としての脱炭素化を進めていくというのが基本的な考え方でございますので、できる限り方針に沿った形で整備が進むように関係部局とは話をしていきたいと考えております。
【斉藤委員】
先ほども議論になったんですけれども、EV化ですね。今年度予算にもEVのバス・タクシー、EVスタンドが予算化されました。どういう申請状況・交付状況でしょうか。
【グリーン社会推進課長】
今年度のEVバス・タクシー等への現時点での実績でございますが、EVバス2台につきまして交付決定まで手続きが終わったところでございます。
【斉藤委員】
そうするとEVタクシーとEVスタンドというのはまだ申請がないと。なぜなのかということをよく検討して、現場からの意見を聞いて、本来積極的な取り組みなんだと思うけれども、補助率が低いのか、EVの活用が、先ほども議論になったEVスタンドの関係でどうなのか。その辺の実態をよく聞いて対応していただきたい。
公用車も「全車EV化」となっているんですが、「(ハイブリッドを含む)」と書いているんです。こんな曖昧なことは止めた方がいいと。ハイブリッドというのは世界的にはEVに入らないです。こういうごまかしはしないで、EVでいくならEVでいくというふうにしないと、脱炭素化にもなりませんよ。その辺を厳密にお聞きしたい。()は付くんですか。
【グリーン社会推進課長】
()は付きますが、原則としてEVと書かせていただいておりますのは、基本的に使用形態ですとかさまざまな特性・事情によってですね、どうしてもEVだと難しいというケースがこれから出てこないとも限りませんので、そういった意味で原則としてEVとして「(ハイブリッド)」と残させていただいているところでございます。
【斉藤委員】
私はプラグインハイブリッドまでは許容できる範囲なのではないかと思います。
先ほどの骨格の方針の中でも、市町村の対応が求められておりました。県内市町村で地球温暖化防止対策の計画を立てているところ、削減目標を決めているところはどのぐらいありますか。
【グリーン社会推進課長】
市町村が実行計画、削減目標をつくるのは区域施策編と申しますけれども、実行計画を現在策定している市町村は7市町でございます。7市町はすべて削減目標を定めているところでございます。
【斉藤委員】
少ないんですよね。岩手県はかなり積極的に目標も改定して57%削減と。しかしこの課題こそ市町村と一体で進めるべき課題、県民・事業者と一体として進めるべき課題ですから、これもぜひ市町村との協議の場があると思うんですけれども、県政の中心課題に位置づけてやってほしいし、削減目標も聞きましたら、久慈市が62%削減で一番高いんだけれども、あとは岩手県の目標を上回っている市町はないんですよ。この目標設定と、あとは国の積極的な計画になっている3自治体も宮古市がまだないとか、そういう意味で、ぜひ全市町村あげて地球温暖化防止対策に取り組むということを重視してやっていただきたい。
住宅の新築整備、リフォームへの助成も窓口を一本化して、国の制度も県の制度も、できれば市町村の制度も一体で窓口一本化して対応できるようにすべきだと。どこまで協議が進んでいるでしょうか。
【グリーン社会推進課長】
住宅部門の窓口一本化の件でございます。現時点では県土整備部で個人向け住宅の県の補助事業ですとか国の説明資料といったものは一元的にまとめているページがございます。ただ、委員ご指摘のありました市町村の補助までという話がございましたけれども、そこまではいっていない状況でございますので、我々も脱炭素化の主導役といたしまして、引き続き県土整備部と連携して分かりやすい情報提供というものをしっかり実現していきたいと考えております。
【斉藤委員】
これは何度も言っているけれども進まないんですね。県土整備部でやっているのは、住宅リフォーム助成に対する補助なんです。林業でやっているのは県産木材。別々なんです。一体ではないんです。
そして今一番大事な、皆さんのところがイニシアチブをとるべき、高気密・高断熱の断熱性能、こういう基準がないんです。私は信州や鳥取の取り組みを紹介していますけれども、等級別に高いレベルの住宅には補助率も高くするという取り組みをすべきだと提言してきましたので、ぜひそのことを検討していただきたい。
・県央ブロックごみ処理広域化計画について
【斉藤委員】
盛岡広域環境組合と県央ブロックごみ処理体制検討協議会が設置されました。それぞれの目的と協議事項はどうなっているでしょうか。
【資源循環推進課総括課長】
盛岡広域環境組合と県央ブロックごみ処理体制検討協議会の設置目的等についてでございます。
盛岡広域環境組合は、構成8市町の一般廃棄物の処理を共同で処理するために設置され、ごみ処理施設の設置管理および運営を行うこととされてございます。
一方で県央ブロックごみ処理体制検討協議会は、盛岡広域環境組合で共同処理する焼却以外の中間処理と最終処分、3Rの推進等にかかる協議を行うために設置されたものでして、不燃・粗大ごみ・資源ごみ等の処理体制や最終処分体制などの協議を行うとされてございます。
【斉藤委員】
実はこの8市町は、ごみの減量・リサイクル、この調整をやって環境組合をつくるという話だったんですよ。ところがごみの減量もリサイクルの計画も方針も決めずに、環境組合は焼却だけ、具体的なごみの減量・リサイクル、プラスチックのリサイクルも新しく義務づけられました。これは別の協議会と。話がまとまらずに、1日あたり500トンというとんでも大型焼却施設をつくる計画になっているんです。そもそもどういう大型焼却施設をつくるかというのは、ごみの減量・リサイクル、プラスチックのリサイクル、本当に国の法律に基づいたリサイクルの計画があって規模が決まるんですよ。そういうことは全然議論が進まない。こういう片手落ちのものになったのではないか。
根本に「ごみは集めて燃やす」という焼却主義、これは世界的にいったら完全に時代遅れです。ごみをどれだけ減量するのか。燃やさないでどう処理するのか。ここを大前提にしたごみ処理計画を岩手県はしっかり指導すべきではないですか。プラスチックの循環法ができたけれども、これは本気になってやったらごみの量2割3割減らせますよ。そういう盛岡県央のごみ処理計画に見直すべきではないですか。
【資源循環推進課総括課長】
盛岡広域環境組合および構成8市町で検討することになるかと思うんですが、プラスチックごみの再資源化や生ゴミの削減など、ごみの減量・リサイクルに取り組むということにしておりまして、焼却にともなうエネルギー回収など脱炭素にも寄与する取り組みを進めることとしてございます。
国では、ごみ処理施設の整備にあたり、プラスチックの再資源化への対応や温室効果ガスの削減を求めておりまして、県としても盛岡広域環境組合の取り組みに対して技術的助言を行ってまいります。
【斉藤委員】
20年前の岩手県の広域化計画は見直す時期にきていると。そのことを率直に指摘をしておきます。今の答弁通り、しっかり8市町を援助してやってください。
・風力・太陽光発電と環境問題について
【斉藤委員】
県内での風力発電の計画について、イヌワシの生息域にかかる大規模風力発電計画はどのぐらいあって、知事の意見書として見直しを求めている件数はどのぐらいあるでしょうか。
吉浜地区における太陽光発電計画の県の環境アセス対応はどうなっているでしょうか。
【環境保全課総括課長】
イヌワシの関係でございます。県内を事業区域とする風力発電事業につきましては、現在竣工中のものでトータル29件ほどございますけれども、進捗が見られない計画もありますことから、最近の状況で申し上げますと、令和4年度に風力発電事業は8件、令和5年度には1件届け出がございました。そのうち3件でイヌワシに対する重大な影響が確認されているということでございます。これらの事業につきましては、岩手県環境影響評価技術審査会から、事業区域の大部分が主要な行動圏になっていると。それから営巣地に隣接していることが明らかで、事業を実施した場合消失する可能性が高いなどの厳しい意見をいただいておりまして、事業区域の再検討の計画の抜本的な見直しを求めているところでございます。
吉浜地区の太陽光発電計画の県の環境アセスメントの対応でございます。本事業につきましては、岩手県環境影響評価条例の第二種事業に該当するというところで、これまで事業者に対して判定続きの開始について指導してきました。また本事業は、地域住民から濁水ですとか土砂流出の発生を懸念する声が非常にあることから、環境アセスを通じて住民の懸念を丁寧に聞き取り、可能な限り事業計画に反映させることが重要であると伝えてきたところです。その結果、本年8月に事業者から、要否判定手続きを経ることなく、環境アセスを実施するという旨の通知がありまして、環境影響評価報告書が提出されております。今後も技術審査会の意見を踏まえて、一次意見を提出する予定としてございます。