2023年10月30日 決算特別委員会
商工労働観光部に対する質疑(大要)
・物価高騰対策について
【斉藤委員】
物価高騰による中小企業・小規模事業者への影響と経営課題について簡潔に示してください。
【経営支援課総括課長】
県と商工指導団体が連携して8月末時点で実施しました事業所影響調査によりますと、物価高騰等の影響、「経営に影響している」という企業が90%を超えております。「価格転嫁」については72.9%ができていないという回答です。
挙げられた経営課題につきましては、「原料・資材高騰への対応」「電気料金値上げへの対応」といったようなとこが多くなっておりまして、前回5月末時点の調査結果と同様、やはり物価高騰等の影響を経営課題としている事業者が多い状況にあります。
【斉藤委員】
経営課題についてはもう少し正確な答弁がほしかったんだけれども、「原料・資材価格への対応」が55.6%、「電気料金値上げへの対応」が47.2%と。「原油高への対応」が38.7%となっているんですね。そして「人材確保」「価格転嫁」というのが続いて、驚いたのは「電気料金値上げ」が2番目にきていると。
そういう点では、10月に沿岸の水産加工会社に行ってきました。水産加工会社というのは何が一番大事かというと冷凍庫です。去年年間で5000万円かかった電気代が今年は9000万円だと。こうした水産加工の実態を把握されているでしょうか。
【経営支援課総括課長】
水産加工業における電気代の負担というのは今お話のあった通りかと思います。あと先ほど千葉秀幸委員からもお話をいただきまして、やはり業種によって電気を多く使う業種にとってはより一層電気料金値上げというのものが経営に重くのしかかっているという状況であると思います。
【斉藤委員】
こうした電気料金値上げに対する支援は何もないと、このことも言っておりました。
もう1つ、省エネの冷凍施設に対する補助というのがあって、それを積極的に導入していると。かなり省エネの新たな冷凍施設というのが出ているんですね。この補助というのは県は関わっていますか。
【経営支援課総括課長】
すいません、私の方では承知してございません。
【斉藤委員】
いずれにしても、こうした原油高、原料・資材、電気料金値上げ、9割の中小業者が「影響を受けている」ということですから、本当に現実の困難に対して支援をするという、そのことが大事だと思うのです。
そこで、岩手県がやっているのは、中小企業等事業継続緊急支援金です。これは第一弾・第二弾とやりました。第一弾・第二弾の実績を示していただきたい。
【経営支援課総括課長】
いずれも今年の10月20日現在の数値になりますけれども、令和4年度事業として実施した第一弾につきましては、支払件数合計で10743者に対しまして金額は11億4660万円を支払いしております。
令和5年度事業として実施している第二弾につきましては、今現在申請を5496者からいただいており、うち4192者・4億6297万5千円を支払い済みの状況でございます。
【斉藤委員】
第一弾が10743件で11億4660万円と。さまざまな補助制度の中では幅広く支援しているんだと思うんです。ただこの時の予算は20億円だった。だから補助は半分ちょっとということでした。第二弾は答弁あったように、5496件で4億6297万円と。第二弾で半分になってしまった。
中小企業の状態というのは決して好転しているわけじゃないと思うんです。いわば、資材代だとか売上原価が上がって売上が伸びたように見えるけれども、収益はますますひどくなっていると。この支援金の基準は、売上減少が一貫して20%以上なんです。売上原価が上がったら売上高は上がるわけだから、そして収益は下がっていると。こういう今の経営状況の変化を踏まえて、この事業は拡充すべきだと思いますがいかがですか。
【経営支援課総括課長】
この支援事業は、今年の4月から9月までの期間を対象にしているということですので、まずは支援対象となる方にもれなく支援が行えるようにというところ、そこをまず重点に置いて取り組んでまいりたいと思います。新たな支援策につきましては、中小企業や小規模事業者への経営課題、先ほど申し上げましたような経営課題をとらえつつ、いま検討が進められております国の経済対策の動向を見極めながら、市町村ともきちんと連携しながら適時適切な展開に努めてまいりたいと考えております。
【斉藤委員】
曖昧な答弁でしたね。私が指摘したのは、第一弾も効果があったけれども、20億円の予算から比べれば半分程度だと。第二弾は10億円の予算、それでも半分程度なんです。やはり事業というのは、せめて7〜8割ぐらい使われなかったら、設計がまずかったということになると思うんです。売上原価が上がったら、売上減少20%以上という基準を見直して、もう1つは、単価が低すぎる。15万円と7万5千円ですよね。単価も引き上げるということも考えて、今年の後半分は拡充してやっていただきたい。
私もこの間、一関や大船渡の商工会議所、県の商工会連合会にさまざまな意見を聞いてきました。意外と一関も大船渡も、この事業継続緊急支援金に上乗せしているんですよ。同額とか10万円5万円と。そうするとこの事業の効果が大きくなるんです。これからやるものは、市町村と連携をして、効果がダブルになるようにぜひやっていただきたい。これは部長に聞きましょう。県としても拡充するし、効果がダブルになるようにしっかり取り組んでいただきたい。
【商工労働観光部長】
中小企業支援策の実施にあたりまして、特に本支援金のような国の地方創生臨時交付金を活用して実施する事業につきましては、県と市町村が連携を図ってそれぞれの予算を有効活用して実施することで支援の厚みが増すことから、望ましい形の支援のあり方だととらえておりまして、今後展開する支援策におきましても当然ではございますが、必要に応じて市町村と密接に連携を図りながら、中小企業者にとってより有効な支援策を展開できるよう努めてまいります。
【斉藤委員】
この事業継続緊急支援金に連動した市町村はどのぐらいありますか。
【経営支援課総括課長】
県で把握しているすでに事業を実施しているのは9市町でございます。
【斉藤委員】
中小企業の賃上げ支援については、関根議員が立ち入ってやったので、結論的に、これも2億円の予算でやったんですね。100者を想定して結果的には54者・8100万円。これは3分の2補助だから補助率としては高い、魅力ある。でもこの程度の数だったらほんの一部への支援にしかならないというのはその通りだと思います。関根さんも言ったように、いま赤字でも賃上げしなくちゃならない。無理してやっているんですよ。やはりそういうところに支援もすると。
賃上げ支援もぜひ工夫をして、頑張って賃上げしているところに行き渡るようなものにしていただきたいと思いますがどうですか。
【経営支援課総括課長】
やはりいま中小企業にとって非常に大きな課題となっている賃上げでございますので、それぞれ事業者が置かれた経営状況とか、そういったものによってどういう支援が必要なのかというのはいろいろあるかと思います。
6月補正で措置させていただいた賃上げ環境整備支援事業費補助は、どちらかというと今ある程度経営状況がきちんとしていて、次の取り組みに踏み込める企業に、より活用いただきやすいのかなと考えております。ただ、そうではない企業というのも当然あるわけですので、その辺の部分につきましては総合的にきちんと検討は進めてまいりたいと思います。
【斉藤委員】
物価高騰対策の最後に、私は商工団体をまわって共通して言われたのは、いま例えばGX対応・DX対応、伴走型の支援が本当に求められていると。そういう中で、中小企業団体中央会でも、商工会連合会でも、経営指導員が減っているんだと。頑張っているけれども、面倒を見切れないと。この商工団体に対して、経営指導員を配置する支援というのはすごく大事なのではないか。県の商工会連合会では「秋田と比べて経営指導員は半分しかいない」と。そういう意味で、経営指導員の体制をぜひ強化していただきたいと思いますがいかがですか。
【経営支援課総括課長】
先ほど来ご答弁申し上げている通り、やはり中小企業の事業の継続、それから次のステージへの発展といったようなところで、商工指導団体の経営指導員を中心とした職員が果たしていただいている役割は非常に大きいと、私もひしひしと感じております。やはりそういった体制を維持していくためには、それなりの県の対応というのも必要になってまいりますので、そこのところは商工指導団体の方からも県の方に直接ご要望等もいただいておりますので、そこのところは我々の方できちんと検討してしかるべき対応をとってまいりたいと思います。
・県内誘致企業の雇用状況について
【斉藤委員】
雇用の問題では、自動車・半導体など県内誘致企業の県内出身者の採用状況についてお聞きします。
【ものづくり自動車産業振興室長】
誘致企業の県内出身者の採用状況についてでございます。平成30年度から令和4年度までの5年間で、本県の新規立地件数が99件となっておりまして、これにともなう雇用人数は令和5年4月1日現在で約2500人となってございます。
雇用人数の出身地別の集計は行っていないため、大変申し訳ございませんが県内出身者の採用状況については把握していないところでございます。
【斉藤委員】
自動車、半導体、そしていま医療関連ですね。製造業の中でも中核だと思うので、半導体はいろいろいま複雑な状況がありますけれども、地域経済を支えていますので、県としてもしっかり把握しながらやっていただきたい。
・就業構造基本調査結果について
【斉藤委員】
就業構造基本調査の結果が出ました。岩手県の状況についてお聞きしますが、岩手県における非正規労働者の実態、推移、比率、男女別ではどうなっているか示してください。
【労働課長】
就業構造基本調査結果についてご答弁申し上げます。総務省が5年ごとに行っている調査によりますと、非正規労働者数は、平成24年度は19万8500人、平成29年度は18万9800人、令和4年度は18万4300人でございます。
令和4年度の状況を男女別で見ますと、男性が約5万9700人、女性が約12万4500人となっておりまして、全労働者数に占める非正規労働者の割合は、男性が約17.6%、女性が約44%となってございます。
【斉藤委員】
全体じゃなくて、役員を除く雇用労働者の中での比率を示してほしいんですよ。これは会社などの役員を除く雇用者で、正規は64.5%、非正規は35.5%です。そのうち女性は非正規が50.2%なんです。だから女性は非正規が半分という状況になっているということであります。
年収200万円未満のワーキングプアの状況はどうですか。
【労働課長】
年収200万円未満の労働者につきましては、岩手県の場合21万4700人でございます。平成29年度と比較しますと、平成29年度は25万300人ですので、減少しているところでございます。
【斉藤委員】
減少というときに、比率も言わないとだめなんです。雇用者数も減っているので。すぐ出ますか。
【労働課長】
比率でございますが、申し訳ございません、全労働者という形になってしまいますが、令和4年度が34.5%、平成29年度が38.2%でございます。
【斉藤委員】
今のは年収200万円未満、21万4700人、34.5%ということですね。大変な比率ですね。ワーキングプアが働いている3割以上。本当にこれは大変な事態だと。
今回新たにフリーランスの実態も調査されました。岩手県内のフリーランスはどれだけになっていますか。どういう方々が主なフリーランスですか。
【労働課長】
フリーランスでございますが、ご指摘の通り今年から統計に入りましたが、それによりますと、総数は12400人、有用者全体の約2%でございます。何をやっているかというところですが、職業別という統計がありまして、建設事業者が3100人で25%、生産工程従事者という方が2700人で21.8%、専門的技術職業従事者という方が2500人で20.2%という状況になっております。