2023年10月31日 決算特別委員会
農林水産部
(第2部)に対する質疑(大要)


・水産業再生の取り組みについて

【斉藤委員】
 主要魚種については、先ほどの答弁で、サケは震災前比で2%、サンマは7%、スルメイカは11%ということでありました。
 魚市場ごとの水揚げ量、水揚げ金額はどうなったか。震災前との比較を示してください。

【漁業調整課長】
 県内魚市場の総水揚量につきましては、7万9千トンでございまして、これは震災前の45%となっております。
 総水揚金額につきましては137億円で、こちらは震災前の58%となっております。

【斉藤委員】
 主要魚種だけでなく、大変な状況だと思いますが、細かいことをお聞きしますけれども、震災前と比べて普代と野田の漁港がプラスになっているんですね。これはどういう要因・内容なのでしょうか。

【漁業調整課長】
 市場の水揚量の増加でありますが、県内では、定置網の中では、ブリ、マイワシ等の水揚量が震災前よりも増えておりまして、こちらが市場の水揚量の増加に影響していると考えております。

【斉藤委員】
 県内漁協の決算状況をお聞きしますが、私が予算委員会で聞いたときには、令和3年度は24漁協のうち16漁協が赤字でしたが、令和4年度はどうでしょうか。

【指導検査課長】
 県内漁協の決算状況についてでありますが、当期損失金を計上した漁協は、令和3年度決算では24漁協中16漁協でございました。
 令和4年度決算では、22漁協中5漁協となっております。

【斉藤委員】
 令和4年度はかなり大幅に改善をされて、全体も令和3年度は8億3300万円の赤字から、令和4年度は3億4300万円の黒字になっています。大幅に改善された理由はなんですか。

【指導検査課長】
 令和4年度の決算でありますが、漁業自営事業でサバやイワシが好調であったことや、ウニやアワビの水揚額が増加したことなどから、当期損失金を計上した漁協は減少したものの、主要魚種である秋サケ等が依然として不漁であることから、引き続き厳しい状況にあると認識してございます。

【斉藤委員】
 厳しい中でも、漁協の経営が改善されているということは評価をしておきたいと思います。
 そこで、岩手県水産業リボーン宣言に基づく取り組みの成果を示してください。

【水産担当技監心得】
 取組状況と成果についてでありますが、サケ資源の回復について、昨年度は、北海道からの種卵の確保に努めるとともに、大型で遊泳力の高い強靭な稚魚を生産し、放流実績は、目標を上回る約9,300万尾となっております。
 ウニ資源の有効利用について、蓄養出荷の取組が12漁協に拡大するほか、サケマス類の海面養殖について、今年度は6地区で約1,800トンと、前年度に比べ約1.5倍の生産実績となっております。
 来年度は、8地区で約1,900トンの生産が計画されるとともに、さらに養殖試験の実施に向けた調整を行っている地区もあります。また、自動給餌システムなど、ICTの活用も行われてきております。
 貝類につきましては、ホタテガイに比べ、貝毒の影響が少ないとされるアサリの養殖試験を、3漁協で開始しており、県としましては、今後とも、関係機関・団体と連携しながら、このような取り組みを通じまして、本県の水産業が持続的に発展していくよう取り組んでまいります。

【斉藤委員】
 厳しい中でですね、実は定置網にクロマグロがどんどん入ってくると。しかし割り当てがあって、漁獲の5倍以上を放流しているというのが、予算委員会で聞いたときの実態でありました。
 令和4年度は、小型魚は84.7トン、大型漁は63.3トン、入ったけれども放流したのが約739トンと。これは2月28日現在でしたから、令和4年度の実績と令和5年度、4月にかなりクロマグロが入ったんですね。5年度のクロマグロの漁獲状況、放流状況を示してください。

【漁業調整課長】
 令和5年度における本県クロマグロの漁獲量は、9月30日現在で、30s未満の小型魚が82.5トンでございます。大型魚は51.7トンで、前年同期比で小型魚が115%、大型魚は 200%の漁獲量となっております。
 令和4年度の実績としましては、小型漁の漁獲量が84.7トン、大型魚が63.3トンとなってございます。
 定置網に入ったクロマグロの放流実績でございますが、令和4年度が約739トン、令和5年度はまだ定置網の漁業権者の方で集計ができておりませんので、数字的には把握できていないところでございます。

【斉藤委員】
 令和4年度をすでに超えているということですから、漁獲割り当ては全部消化したということですか。今年の漁獲割り当ては増加したのですか。そこの対比を。
 実は12月というのが一番クロマグロの価格が上がるときなんですよ。漁民にしてみれば、この時期に出荷したいということになるんだけれども、その割り当てと漁獲高の関係を示してください。

【漁業調整課長】
 今年度のクロマグロの漁獲割り当てについてでありますが、小型魚につきましては96.8トン、大型魚につきましては64.9トンになってございまして、先ほど話しました漁獲量でいきますと、小型魚につきましては漁獲可能量の85%、大型魚が漁獲可能量の80%になっているところでございます。

【斉藤委員】
 定置というのは町の漁業で、そこにどんどん高級魚が入ってくると。しかし割り当てが少ないために、漁獲の5倍以上を放流することになると。放流というのもまた大変な作業なんですね。網に入ったものを全部流さなくちゃならないぐらいのことになるわけで、この間の推移を見れば、クロマグロというのはかなり資源が回復しているということなのではないかと。これは国の責任ですけれども、国全体の漁獲割り当てを拡大するということと、実は岩手県の割り当てというのは、大型魚より小型魚の方が多いんです。本来資源を守るというのだったら、大型魚を獲って小型魚を流すというのが本来の姿、私はこの点でも国内における割り当てがいびつではないかと。この是正も求められていると思いますけれども、この取り組みはいかがでしょうか。

【漁業調整課長】
 クロマグロの漁獲割り当てについてでありますが、県では国に対し、クロマグロの資源量の増加に合わせまして、漁獲可能量を速やかに増加させるよう要望しているところでございまして、こちらにつきましては今後も国に対して積極的に働きかけていきたいと考えているところでございます。
 大型魚に対して小型魚の漁獲割り当てが多いというところにつきましては、これは中西部太平洋マグロ類委員会というところが、本来クロマグロの資源管理につきましては、小型魚の方を保護するという目的にしておりまして、本来でありましたらば、国内に配分されている漁獲可能量ということでいきますと、小型魚で4,194.8トン、大型魚が6,776.8トンと、大型魚の方が実際には多くなっておりますが、ただ本県の定置網漁業では、従来、小型魚の漁獲実績が多かったことから、現在の配分になっておりまして、近年は、大型魚が非常に来遊しているというところもありますので、小型魚から大型魚への振替制度や融通制度を利用するとともに、漁獲の実態に合わせました漁獲可能量となるように国に対して要望しているところでございます。

【斉藤委員】
 実はもう1つ理由を言いますと、大型船による大型魚の漁獲高を優先していると。これは国会でも取り上げたんですけれども、諸外国は違うんですね。地元の漁民にたくさん割り当てをして、大型船については少なくしていると。これは日本の場合逆なんですよ。おそらく倍ぐらいは大型船への割り当てになっていると。ここの是正も強く求めていただきたいと思います。
 水産の最後に、10月26日にアワビの事前入札会があって、前年同期比26%の下落だったと。これは汚染水海洋放出による中国などの輸入禁止の影響ではないかと思いますが、岩手県の場合、他県と比べて量は少ないといっても、ナマコですね。これは北海道は暴落しているんですよ。ホタテもそうです。そうした状況について分かる範囲で示してください。

【水産担当技監心得】
 アワビの入札会については、11月に漁獲される分をアワビの入札を10月下旬に入札会を開催いたします。
 先日行われた11月分の入札会では、単価が約4万円ほど下落、 率にすると3割程度低下しておりまして、県漁連としてはALPS処理水による影響であろうと考えております。

【斉藤委員】
 この点も本当に看過できない問題だということも指摘をしておきたいと思います。

・林業分野の気候危機打開の取り組みについて

【斉藤委員】
 林業の関係でお聞きいたします。
 いわて木づかい住宅普及促進事業の目標と、これまでの実績はどうなっているでしょうか。

【林業振興課総括課長】
 いわて木づかい住宅普及促進事業についてでありますが、目標については、令和3年度は、新築130件、リフォーム20件、合わせて150件の想定件数に対して、新築116件、リフォーム10件、合わせて126件の実績となっております。
 令和4年度は、新築130件、リフォーム10件、合わせて140件の想定件数に対し、新築126件、リフォーム16件、合わせて142件の実績となっております。
 令和5年度は、目標が新築140件、リフォーム20件、合わせて160件の想定件数に対し、10月20日時点で申請は、新築112件、リフォーム9件、合わせて121件となっております。

【斉藤委員】
 いわて木づかい住宅、これは目標・実績も3年度4年度と前進をしてきて、令和5年度はホームページを見ると申請が終了となっていましたよね。なっていませんか。まだ受け付けていると。では令和5年度はまだ伸びるということですか。

【林業振興課総括課長】
 今年度の状況でございますけれども、前に資料提供したのは10月20日の時点でございましたが、先ほど聞いてきましたところ、新築が123件、リフォーム9件、計132件ということで、若干まだ申請の枠があるという状況で、まもなく終了になるかと思いますが、そういった状況でございます。

【斉藤委員】
 これは環境生活部でも取り上げて、県土整備部でも取り上げるんだけれども、いま気候危機打開、地球温暖化防止対策で、家庭部門のCO2削減の一つのポイントが住宅なんですね。高気密・高断熱の住宅、太陽光発電などを設置した、そうしたZEH基準を上回る住宅の整備というのが、これからの大事な課題になっていると。
 しかし林業は林業で、県土は県土でリフォーム助成をやっていて、どうも一本化にならない。国もさまざまな住宅リフォームへの助成の事業がありますね。国の事業も県の事業も、できれば市町村も含めて、一つの窓口にして、そして高気密・高断熱、太陽光発電などを設置した住宅の普及を統一して進める必要があるのではないか。この点について、どのような部間の協議がなされているのか。そのことを示してください。

【林業振興課総括課長】
 こちらで所管している「いわて木づかい住宅普及促進事業」と、県土整備部が所管している「住みたい岩手の家づくり促進事業」というリフォームとバリアフリーの加算のものがあるんですが、こちらにつきましては窓口を一本化しまして、岩手県木材産業協同組合ということで一括して申請をお受けをしているといったような状況でございます。さらに建築住宅課では、ZEH基準だとかいろんなさらに高性能といいますか、そういったところのリフォームとか構造の補強とかですね、そういったものもあるんですが、そちらについてはなかなか専門的な部分もございまして、そちらは県土整備部で受付をしているということでございます。
 そういったところで、申請書類の確認に専門的な知識が必要になるなど、全ての事務を一つの窓口で対応する上で課題があるということで、できるものは県土整備部とも連携して一本化しておりますけれども、そういった状況でございます。これにつきましては、まず県民が一元的に情報を得ることができるよう、関係部局とも今まで連携して、分かりやすい情報提供に努めてきているということでございますので、引き続きそうした取り組みを進めてまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 「いわて木づかい住宅普及促進事業」のチラシには、一番下に「住みたい岩手の家づくり促進事業」がちょこっと書いています。それはこちらの方の予算が大きいからこういうことになるんでしょう。
 私が提起したのは、そのバージョンアップなんです。いま私たちが目指すべき住宅はどういうことなのかと。高気密・高断熱、太陽光発電を設置したそういう気候危機打開、温暖化防止に貢献できる住宅を一体で取り組む必要があるのではないか。長野県なんかはそういう形で一本化して、住宅の性能のレベルも決めて補助額も決めている。鳥取県もそうです。そういうことで、ぜひなかなか各部ごとの協議が、何回も私取り上げているんだけれども、しっかり協議をして、バージョンアップした住宅整備に貢献できるような取り組みにしていただきたい。