2023年11月1日 決算特別委員会
県土整備部に対する質疑(大要)
・気候危機打開と住宅の断熱化について
【斉藤委員】
県の地球温暖化対策実行計画改定版で、実は、家庭部門の削減目標は57%と高いんですね。これは住宅関係での削減目標というのはあるのでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
温室効果ガス排出量削減目標についてでございます。委員からご紹介ありました通り、57%の削減目標、これが家庭部門の削減目標となっておりまして、住宅がその一部となっていることで、内訳まではないところでございます。
【斉藤委員】
家庭部門といえば、やはり住宅での削減というのが大変大事な課題なんだと思うんですね。だからしっかり目標を持つべきだと。今も議論がありましたけれども、新築リフォームなどの住宅の断熱化を進める取り組みというのが、国際的に見ても日本は遅れている。そういう中では、かなり思い切った目標を掲げて取り組むべきだと思いますが、どうでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
地球温暖化に関する住宅関係の取り組みでございますけれども、住宅関係としましては、高効率照明、高効率給湯器等の導入とか、新築住宅のZEH化の支援等、そういったことを取り組んでいくというところでございます。目標についてどうあるべきかというのは、今後いろいろと検討させていただきたいと思います。
【斉藤委員】
先ほども議論になった、住まいの省エネルギー改修推進事業の実績なんですが、令和4年度は10件の予定で7件、今年度は10件の予定で今のところ6件です。中身は、省エネ診断から設計、省エネ改修、今年度は構造補強まで、かなり充実した補助だと思うけれども、それが10件もいかない理由は何ですか。
【建築住宅課総括課長】
なかなか件数が伸びていないところでございますけれども、利用者の方の金額とのバランスで使いにくい面、金額の大きさとかあろうかと思います。そういったところは、使い勝手がいいような見直しなどは工夫していきたいと思っているところでございます。
【斉藤委員】
分析が足らないと思いますよ。これは事業費3分の2補助ですから、上限があるけれども。10件程度の目標というのはモデル事業で、モデル事業でも7件6件ということになると、モデル事業にならない。住宅の省エネをどう進めるかということも再検討すべきだと思います。
それで、国はかなり充実した新築・リフォームへの事業がたくさんあるんですね。例えば、先進的窓リノベ事業というのは、上限200万円で補助率2分の1なんですね。かなりのものです。これはどのぐらい使われているのか分かりますか。
【建築住宅課総括課長】
国の事業でございますけれども、手元の資料でいきますと、今年度は戸建て住宅で74%消化されていて、集合住宅だと82%申し込みがあるというのはホームページで紹介されているところでございます。
【斉藤委員】
そうすると、先ほど戸建てで、令和4年度は3029件のうち74%は利用されているということですね。ただ、先進的窓リノベ事業というのはリフォームなんですよ。リフォーム件数は分かりますか。新築じゃなくてリフォームの補助ですから。
【建築住宅課総括課長】
いまの74%、82%とご紹介しましたのは、先進的窓リノベ事業の10月末現在での国の補助金の執行状況、100%になると売り切れという状況の中で、ご紹介させていただいたところでございます。
【斉藤委員】
リフォームの件数が分からないから74%の実態が分からないわけですよ。国も県も一緒になって、これは全体が進めばいいわけだから、国のやっている事業は分からないということでは住宅の省エネは進みません。そこを正確な資料、しっかり提供して進めていただきたい。
私は今までも、住宅についてはZEH基準というのは欧米から見たら一番最低基準なんですね。それより高い目標を長野県も鳥取県もその他の県も設定をして、そして本当に高気密・高断熱、太陽光発電その他を設備した住宅を推進していますけれども、これは検討していると言っているんだけれども、検討状況はどうなっていますか。いつまでに打ち出せますか。
【建築住宅課総括課長】
国の方では、昨年12月にZEH基準を上回る断熱性能の基準を示したところでございます。県としては、この国の基準や先進自治体の取り組みを参考にしつつ、今年度に「いわて型住宅ガイドライン」を改定しまして、この中にZEH基準を上回る高い省エネ性能の基準を盛り込む予定としておりまして、省エネ住宅の普及に効果的な事業を検討していきたいと思っているところでございます。
【斉藤委員】
そういうことであれば、例えば、信州健康ゼロエネ住宅、ここではレベルに応じた150万円とか120万円といった助成をやっていますから、ぜひそれとセットで、今後の省エネ住宅の推進を図っていただきたい。
・災害公営住宅の課題について
【斉藤委員】
災害公営住宅の問題についてお聞きをします。
高齢化の状況、集会所の活用状況はどうなっているでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
災害公営住宅の状況でございます。65歳以上の高齢者を含む世帯の状況は、令和5年9月末現在で1478世帯のうち806世帯・54.5%となっているところでございます。そのうち高齢者の一人暮らし世帯は502世帯で全体の34%となっているところでございます。
集会所の活用状況でございますけれども、集会所のある29団地の令和5年度第二4半期における一月あたりの集会所の活用状況は、0回が2団地、1〜4回が22団地、5〜20回が5団地となっているところでございます。
【斉藤委員】
災害公営住宅の高齢化はかなり深刻で、独居世帯が34%ですから、3分の1以上です。100戸以上の災害公営住宅に行きますと、毎日のように救急車が来るという話です。本当に震災から12年余経って、大変な状況なんですが、ところが本来コミュニティ形成の場となるべき集会所がまったく使われていないと。本当にこれは残念なことです。0回というのが2団地、1回が11、2回が7、3回4回が4団地です。4回といっても週1回です。ましてや0〜1回2回というのはほとんど閉まっていると。
何度も指摘しているんですが、この集会所というのは、阪神淡路大震災のときに孤独死が発生をして、コミュニティをつくらなくちゃらないというので、その教訓で比較的大きな集会所、ここには支援員の事務室も設置されています。それが使われていないのは本当に重大なことで、ただ使われているところもあるんですね。
使われているところ、例えば、山田の大沢は20回、ここには支援員が配置されています。大船渡のみどり町は12回、これも支援員が配置されています。盛岡の南青山16回、ここも支援員が配置されています。いわば生活支援相談員が配置されているところは、行事もつくられるし、人がそこに居ますから、いつでもそこに行けると。せめて50戸以上の災害公営住宅には支援員を配置して、コミュニティを形成支援すべきだと思うけれども、いかがですか。なぜそれができないんですか。
【建築住宅課総括課長】
生活支援相談員につきましては、社会福祉協議会が地域の支援ニーズを踏まえて、4カ所の災害公営住宅のほか、防災集団移転先の団地ですとか、被災者が通いやすい商店街などに設置して、災害公営住宅の入居者に加えて、持ち家を再建した被災者等も対象に支援を行っていると聞いているところでございます。
我々としても、集会所を積極的に利用していただきたいと思っておりますので、関係部局と連携しながら取り組みを進めたいと思います。
【斉藤委員】
毎回そういう答弁なんですよね。それで進んでいないんですよ。被災者支援総合交付金は、実際には使われずにかなりの部分が不用額になっています。使える交付金があるのになぜ使わないのか。お金がないなら仕方がないが、被災者支援総合交付金があるのだから、必要なところには配置すべきだと。直接的には社協の支援ですから、地域福祉課になると思いますけれども、ぜひ連携をとって、配置しているところとしていないところの違いがはっきりしていますから、時間とのたたかいなので、早急に来年度からできるだけ配置が進むようにお願いをしたいと思っております。
次に家賃問題なんですが、収入基準の引き上げを令和4年度に行ったということは、1歩も2歩も前進したと評価をしたい。しかし収入基準の引き上げを行っても対象にならなかった方々もいます。今までの収入超過基準と比べて、引き上げによってどのぐらいの方が対象になり、ならなかった世帯はどのぐらいなのか。
【建築住宅課総括課長】
令和4年4月から実施した収入基準の引き上げによりまして、収入超過基準を超える収入のあった74世帯のうち61世帯が収入超過認定の対象から外れたというところでございます。
また、収入基準の引き上げ後も収入超過認定されている世帯は25世帯となっているところでございます。
【斉藤委員】
収入超過者になりますと、家賃が最高額になるんですよ。約7万円です。たとえ共働きで今まで頑張って収入が増えたという方々は、収入が増えれば本当は喜ばしいことだけれども、災害公営住宅から出て行かなくてはならない。これは食い止めるべきだと。災害公営住宅というのは、所得に関わらずすべての人が入居できた。災害公営住宅に限定してでも、収入超過になった人も所得に応じた家賃で最後まで希望すれば入居できると。残っているのは今25世帯ですから、そういう措置をとるべきじゃないか。予算委員会のときにこれを質問したら、その段階では収入超過者のうち3世帯は退去したという話でした。最高額の家賃7万円払うんだったら、家を建てた方がいいとか、民間のアパートに入ってもいいとなってしまう。本当に被災地特例で、25世帯の方々も希望すれば災害公営住宅で、住み慣れたところで、そして現役世代ですから、コミュニティの形成にとっても重要な人たち、自治会の副会長をやった方々もいるんです。そこをしっかり見て、コミュニティの形成にとっても、住み慣れた場所で入居が続けられるような措置をしっかりとるべきだと思いますけれどもいかがですか。
【建築住宅課総括課長】
被災者が安心して住み続けられるための制度として、先ほどもご紹介しましたが、令和4年4月から入居要件となる世帯の収入基準を15万8千円から25万9千円に引き上げるという対応もいたしましたし、高額所得者には退去を求めないという措置も講じております。基本的には退去は求めていないということでございます。こういったいろいろな見直しも行っておりますので、今後とも収入基準引き上げ等にともなう入居者の状況等の把握に努めていきたいと思っております。
【斉藤委員】
災害公営住宅の入居率は84%です。だから空いているわけです。空いているときに退去するということがいいのかと。これは積極的に活用した方がいいわけでしょう。そういうことも含めて、例えば陸前高田市では、みなし特別公共賃貸住宅制度で中堅層も入れるようにした。いま30世帯ぐらい入っていますよ。そういう措置をとっているところもあるのだから、いつまでも放置しないで解決していただきたい。
災害公営住宅のコミュニティ形成にとって、最近ある災害公営住宅で火災予防訓練を実施しました。他のところでもやっています。私は自治会長に言われたのは、防火訓練をやるのに誰を助けるか、入居者の名簿がないと。これは大問題だと思います。入居者の名簿は県が責任をもって提供すると。そうすれば自治会としても、何かあったときに誰を助けなければいけないか分かるわけです。防火訓練はコミュニティ形成のためにやっているんです。そういう名簿があるところの現状、名簿の提供、これは何度も取り上げていますけれども、改善をしていただきたい。
【建築住宅課総括課長】
入居者の名簿の状況ということでございます。令和5年9月末現在で、31団地中11団地で整理されていると聞いております。入居者に対しましては、個人情報の提供の可否などの確認を行っているところでございます。
【斉藤委員】
11団地で名簿、これはほとんど自力でやっているんですよ。自治会が入居者を全部訪問したりして。でもそれができないところが多数なんです。何かあったときにそれでいいのかと。誰が責任をもって助けるんですか。先ほど救急車がしょっちゅう来ると。困ったときの連絡先が自治会で把握されていなかったら、どこにも連絡しようがないんです。そういうこともありますから、個人情報保護が必要だったら丁寧に指導してやればいいのです。
そういうことでいくつか改善すべき課題を提起をしました。
実はいま、電気代も上がって共益費の問題もあるんですね。上がったから共益費も上がったというだけにしないで、陸前高田市は共益費は市が出すということもやっているので、ぜひそのことも含めて、提起された課題については改善に真剣に取り組むべきだと。このことを述べて終わります。