2023年12月6日 12月定例県議会本会議
高田一郎県議の一般質問
(大要)


【高田議員】
 日本共産党の高田一郎でございます。通告の通り順次質問してまいります。

1、物価高騰から県民の暮らし守る課題について

・物価高騰に対する知事の認識について

 第一に、物価高騰から県民の暮らしを守る課題であります。
 今回の物価高騰がとりわけ国民生活にとって深刻な打撃となっているのは、自民党政治の下で30年という長きにわたって経済が停滞・衰退し、いわゆる「失われた30年」と言われるように、暮らしの困難が続いているところに物価高騰が襲い掛かっていることによるものであります。この30年間で実質賃金はピーク時から64万円も減少し、先進国では唯一賃金が上がらない国になっています。一方では、三度にわたる消費税増税や社会保障の分野での負担増と給付削減、高い学費、そして暮らしと経済の基盤である食料とエネルギーを輸入に頼る不安定な経済社会となっていることであります。30年に及ぶ経済停滞に物価高騰が襲い掛かっていることが県民生活の厳しさを深刻にしていると考えますが知事にまずその認識を伺います。

【達増知事】
 高田一郎 議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、物価高騰に対する認識でありますが、1990 年以降、日本の平均賃金や1世帯当たり平均所得金額は十分に伸びておらず、家計における可処分所得が減少してきている状況です。
 このような中、県が先月公表した「岩手県の景況」では、「県内の景気は、持ち直しの動きが続いている」としているものの、盛岡市の消費者物価指数は、食料品や光熱費等の上昇の影響を受け、令和4年10月以降、プラス 3.0%を超える水準で推移しており、直近の令和5年10月は4.5%の上昇となっています。
 県が商工指導団体と連携して実施している「エネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査」においても、「光熱費や原材料費の高騰で、利益が減少している」 といった声が多く寄せられるなど、県民や事業者への影響は、非常に大きいものと認識しております。

・補正予算に対する基本的な考え方について

【高田議員】
 先月29日に総額13兆円規模の補正予算が可決・成立しました。
 物価高騰対策はわずか2.7兆円と全体の予算の2割、目玉とする減税や給付は一回限りで、その後には大軍拡増税が予定され、世論調査でも7割近くの国民が評価をしていません。地方創生臨時交付金(重点支援交付金)の本県への交付限度額は45億円となり、昨年度3月の交付金の7割程度となるものであります。財政調整基金も活用し、これまでの支援策を継続・拡充すべきだと求めてきました。補正予算を提案する知事の基本的な考えをまず示してください。

【達増知事】
 次に、補正予算の提案についてでありますが、本県では、今年度、累次の補正予算を編成し、 生活者支援・事業者支援として、総額63億円余の対策を講じてまいりました。
 今般の国の経済対策を受け、これらの継続・拡充に加え、現下の情勢を踏まえた喫緊の課題に新たに対応することが必要であると考え、追加の物価高騰対策等を本定例会に提案することとしたところです。
 これら対策に活用できる国からの交付金は、議員御指摘のとおり、4億円程度の配分であることから、必要な物価高騰対策を確実に実行するため、国からの交付金に加えて、県の一般財源も活用することで、物価高の影響を受けている生活者・事業者を支えてまいります。

・中小零細業者への支援について

【高田議員】
 物価上昇しても価格に転嫁できない農林業や中小零細事業者、公定価格に基づく介護・医療施設等では、利用者へ転嫁できずに厳しい経営を強いられており、特別の支援が必要です。
 中小零細事業者は売上が上がっても粗利益は落ち込む中で、融資の返済とともに賃上げに取り組みながら事業の継続に努力しています。この5年間で県内の事業所は3077事業所が減少するなど厳しい現状にあります。「中小企業者等事業継続緊急支援金」の売り上げ要件を緩和し支援金を引き上げ拡充すべきであります。県内9市町では、県の事業に上乗せ(大船渡市:法人15万円、個人7.5万円など)を行い事業者から大変歓迎されています。物価高騰で影響を受ける事業者への最も歓迎されている事業であり、市町村と連携して取り組むべきではないでしょうか。

【商工労働観光部長】
 中小企業者への支援についてでありますが、「中小企業者等事業継続緊急支援金」は、エネルギー価格・物価高騰の影響を受ける中小企業者に緊急的な支援を行う制度として、これまで2回にわたり、市町村とも連携しながら実施し、事業者の事業継続に一定の役割を果たしてきたものと認識しております。
 物価高騰等は依然として続いておりますが、今後は、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしの実現に向けて、中小企業者の賃上げを促進していく施策がより求められていると考えております。
 このことから、今議会に、中小企業者の賃上げ支援のための予算案を追加提案する予定であり、今後は、この支援事業を通じて中小企業者の事業継続を支えてまいります。

・ゼロゼロ融資について

【高田議員】
 ゼロゼロ融資の実績と条件変更の対応状況、倒産の状況はどうなっているでしょうか。ゼロゼロ融資の債務を「別枠債務」にして、事業継続に必要な融資が受けられるようにすべきではないでしょうか。

【商工労働観光部長】
 次に、ゼロゼロ融資についてでありますが、県の融資制度として実施していた、新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資の貸付実績は、累計で12,110件・1,944億790万円余となっており、このうち、令和5年10月末時点で、条件変更は、延べ484件、67億3,884万円余、倒産は、岩手県信用保証協会が把握しているもので16件となっております。
 なお、事業継続に必要となるゼロゼロ融資の借換需要と新たな資金需要の双方に対応する 「新型コロナウイルス感染症対策資金」を、本年1月10日から実施しており、10月末時点の保証承諾実績は1,324件、金額は324億5,531万円余となっております。

・経営指導員の減少について

【高田議員】
 事業所を支援する経営指導員の役割も大きく、県内の商工団体からは「一番経営指導に取り組んでいるにもかかわらず賃金が低く経営指導員が減っている」と支援を求める声が上がっています。東北6県、全国の状況はどうなっているのでしょうか。

【商工労働観光部長】
 商工指導団体の経営指導員等についてでありますが、商工会、商工会議所、岩手県商工会連合会、 岩手県中小企業団体中央会の経営指導員等の人件費や伴走支援に要する経費などについて、本県では、令和5年度において14億1,228万円余を措置しているところです。
 東北6県における令和5年度当初予算ベースでは、青森県が16億1,807万円余、宮城県が21億945万円余、秋田県が16億3,945万円余、山形県が12億7,958万円余、福島県が24億7,992万円余と承知しておりますが、全国の状況の把握については困難な状況にあるところです。
 なお、本県では、従来の補助金に加え、コロナ禍や物価高騰に対応するため、商工指導団体の相談対応スタッフの増員や専門家派遣の拡充などの体制強化も図っております。
 また、政府予算要望において、経営指導員等の人件費に係る財政措置を複数年にわたって拡充するよう国に要望しており、引き続き、商工指導団体の体制強化に努めてまいります。

・医療・介護現場への支援について

【高田議員】
 医療・介護現場では、電気代・光熱水費等が上がっても利用者への転嫁ができず、特養ホームでは6割が赤字となっています。事業継続が困難で厳しくなっているのは、電気代等物価高騰分に支援金が追い付いていないからです。昨年度は、介護施設では1床1万円、医療施設では施設区分ごとの基礎支援金に加えて、病院を有する施設に1床1.5万円の支援でありました。少なくとも昨年並みにするなど拡充すべきですがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 医療・介護施設への物価高騰支援についてでありますが、昨年度は、介護施設を含む入所系社会福祉施設に定員1名当たり1万円、病院・有床診療所には基礎支援金30万円に加え1床当たり1万5千円、今年度は、4月臨時会で議決いただいた1号補正予算において、上半期分として、入所系社会福祉施設に定員1名当たり6千円、病院・有床診療所には基礎支援金20万円に加え1床当たり1万円の支援を行ってきました。
 一方、光熱費等の高騰が依然として続いていることから、施設の負担を軽減し、適切なサービスの提供を維持するため、国の経済対策と連動して下半期分も継続して支援するとともに、新たに食材料費も支援対象に追加する予定としています。
 これにより、4月の1号補正予算による実施分と合わせ、昨年度以上に拡充した支援となる見込みです。

・畜産農家への支援について

【高田議員】
 農業、とりわけ畜産農家は深刻な危機が続き、毎年酪農家は30戸、肉用牛農家は200戸程度離農に追い込まれています。この間のセーフティーネットだけでは不十分です。配合飼料・粗飼料高騰への支援や乳牛1頭当たり2万円の補助を行うなど支援を拡充すべきではないでしょうか。

【農林水産部長】
 畜産農家への支援についてでありますが、県では、これまで、畜産経営の安定に向け、飼料等の価格上昇分を補てんする国事業の活用を進めるとともに、県独自に、累次の補正予算により、飼料や肥料の購入費、酪農経営への影響を緩和するための支援を実施してきたところです。
 また、酪農家の経営課題に応じた支援の強化に向け、約600戸の酪農家全てを訪問し、個別課題に応じた実地の指導を行うほか、肉用牛繁殖農家の生産性向上に向け、分娩間隔の短縮や子牛の発育改善の指導などを行っています。
 飼料価格は、依然として高い状況にあることから、今後も、必要な対策を継続しながら、畜産経営の安定が図られるよう取り組んでいきます。

・国の経済対策の対象外となる県民への支援について

【高田議員】
 福祉灯油が今回提案され、昨年を上回る1世帯7千円になったことを高く評価します。政府が経済対策の目玉とされる一人当たり4万円の所得税・住民税減税と非課税世帯への7万円の給付金は1回限りであり、あとには増税が待ち構えているだけに、政権の人気取りだと国民は見透かしています。しかし、それでも給付金や所得税減税の恩恵に及ばない国民が1,000万人といわれております。このはざまにいる県民への支援が必要ですが、対象となる規模はどうなるのでしょうか。

【政策企画部長】
 国の減税及び給付金の対象外となる県民への支援についてでありますが、今回の国の経済対策に盛り込まれた令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円の減税について 国の説明によると、生活支援に加え、可処分所得の引上げを狙い、ひいては消費の拡大、構造的賃上げにつなげるデフレ脱却のための一時的な措置として実施されるものと承知しております。
 また、住民税非課税世帯に対する7万円の支援については、物価高に苦しむ低所得者対策として、既に実施されている3万円の支援に追加するものと承知しております。
 住民税の均等割のみ課税されている方が全国で約 500 万人、 定額減税の恩恵を十分に受けられないと見込まれる所得水準の方が全国で約400 万人との報道がありますが、国においては、今後、詳細の制度設計をするとのことでありまして、現時点ではこれらのデータや推計方法の詳細が明らかではないため、本県の両支援のはざまにある方々の推計は困難な状況にございますが、今回の所得税等の減税は、デフレ脱却という国のマクロ経済政策の一環として行われるものであり、また、住民税非課税世帯に対する7万円の支援は、今年、国が実施した3万円の支援に対する追加的措置であることから、今回の経済対策に盛り込まれているように、両支援のはざまにある方々に対し、国において丁寧に対応されるべきものと考えています。

・消費税減税、インボイス中止について

【高田議員】
 今あらゆる分野で物価が高騰している時に最も効果的なのは消費税減税です。時事通信の世論調査でも約6割近くが消費税減税を求めています。食料品等の高騰でエンゲル係数が40年間で最高となり、食べるものを減らさざるを得ない現状であります。すでに世界で107ヶ国・地域が減税に踏み切っています。
 インボイスがこの10月から導入されました。すでに取引先から値引きなどが行われ、課税業者となれば増税になります。フリーランスは「廃業検討」が7割になっています。5%減税にすればインボイスは必要ありません。中止こそ求めていくべきと考えますが知事の見解を伺います。

【達増知事】
 インボイス制度の中止についてでありますが、取引における消費税額の正確な把握を目的としたインボイス制度は、消費税の仕入税額控除方式の一つであり、我が国も、令和元年10月の軽減税率制度導入に伴い、本年10月から開始していますが、県内の零細企業や個人事業主にとって負担が増えるなどの声が挙がっているとの報道もあります。
 コロナ禍において、様々な国で、落ち込んだ需要を喚起するため、消費税の減税などの経済対策が取られているものと承知しており、物価高に見舞われている我が国においても、地域で生活する人々の消費する力が維持され、活力が損なわれることなく経済が動いていくことが、何より重要と考えています。
 消費税は、国民が日常的に消費する財やサービスに課税されており、物価が高騰している中、その軽減は国民生活の負担を減らすものと考えていますが、地方においては社会保障財源として不可欠なものでありますことから、軽減に当たっては代替財源の確保が必要であります。
 県といたしましては、これまで、全国知事会等を通じて、物価高騰対策の拡充や、事業者生活困窮者への支援等について要請してきたところであり、今後も引き続き、国に対し、インボイス制度に伴う中小企業者等の負担に対する継続的な支援を含め、大胆かつ強力な財政出動と、地方重視の経済財政政策の必要性について、様々な機会を通じて提言等を行ってまいります。

2、賃上げと待遇改善―人間を大切にする働き方改革について

・最低賃金に対する知事の認識について

【高田議員】
 次に、人間を大切にする働き方改革についてであります。
 岩手県の最低賃金893円(全国最低)は、月160時間働いても約14.3万円(年収約171万円)とワーキングプアそのものであります。全労連加盟の地方組織が各地で行った最低生計費試算調査では、全国どこでも21万円〜26万円(時給1,313円〜1,625円)です。しかも時給1,113円の東京都との格差は年収40万円と格差が広がりました。現在の最低賃金は、地域格差と人口流出、貧困と格差を広げるものであります。全国一律時給1500円が早期に必要ですが、最低賃金に対する知事の見解を伺います。

【達増知事】
 最低賃金に対する認識についてでありますが、地域別最低賃金は、公益、労働者、使用者の代表から構成される岩手地方最低賃金審議会における様々な議論を踏まえて、岩手労働局において決定したものと認識しております。
 一方で、令和4年の毎月勤労統計調査における岩手県の所定内給与額は、全国で33番目であり、令和4年就業構造基本調査に基づいて試算すると、本県の10代後半の正社員の年収中央値は、全国の中央値を上回る水準であるなど、県内の企業の多くは、最低賃金にかかわらず、 実際の賃金を決めているものと考えております。
 中央最低賃金審議会は、地域別最低賃金の全国的な整合性を図る観点から、今般、地域別のランク区分を4つから3つに変更しているところであり、引き続き、岩手労働局との情報共有に努め、概ね5年ごとに行っている制度の見直しの動向を注視してまいります。

・中小企業の賃上げへの直接支援について

【高田議員】
 賃上げ事業所の62.2%(日商)が防衛的賃上げとなっています。中小企業における賃上げ支援に直接支援が必要ですが、この間どう検討されているのでしょうか。国の賃上げ促進税制・県の「賃上げ環境整備事業費補助」の実績と賃上げ効果を含め示してください。

【達増知事】
 賃上げ支援等についてでありますが、今議会では、今般の国の経済対策に呼応し、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金も活用しながら、緊急的な対策として、県内の賃金水準上昇を促すための新たな支援策を追加提案する予定であり、構造的な賃上げと物価高騰に負けない県民の安定した暮らしの実現に向けた取組を早急に進めてまいります。
 また、「中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助」については、今年度54事業者に対して、約8,100万円の交付決定を行っているところであり、これらの事業者においては、補助要件である給与支給総額を年率平均2%以上増額するものと考えております。
 なお、令和4年度から実施されている国の賃上げ促進税制について、令和3年度においては、中小企業を対象に所得拡大促進税制として実施されていたところであり、国全体で、131,517法人が総額1,450億円余の適用を受けておりますが、都道府県別の状況は公表していないとのことであります。

・実質賃金低下、雇用におけるジェンダー平等阻害要因について

【高田議員】
 「就業構造基本調査」によれば、県内では非正規労働者は18万4300人(29.6%)、女性労働者全体における非正規労働者の割合は44%、フリーランスは12,400人(2%)にもなっています。年収200万円以下のワーキングプアは21万4700人、実に県内労働者の3分の1、34.5%にもなっています。この現状が労働者全体の実質賃金を引き下げ、雇用におけるジェンダー平等を阻害する大きな要因となっていると考えますがいかがでしょうか。

【商工労働観光部長】
 実質賃金の低下とジェンダー平等の阻害要因についてでありますが、本県における女性の所定内給与は、女性労働者に占める非正規雇用者の割合が高いことなどを要因に、男性の8割程度にとどまっていることから、県では、「いわてで働こう推進協議会」 の取組として、岩手労働局などと連携し、県内経済団体に対して正社員への転換や処遇改善の促進について継続して要請しているところでございます。
 人口減少の進展に伴い、若者や女性の地元定着やU・Iターンを促進していく上でも、女性を含めたすべての人が働きやすい雇用労働環境を構築していくことが重要であることから、今年度、新たに「魅力ある職場づくり推進事業費補助金」を創設し、柔軟で多様な働き方の実現やオフィス環境の改善等の中小企業の取組を支援しているところであり、こうした取組を通じまして、女性の労働環境の改善を促進して参ります。

・会計年度任用職員の実態と改善について

【高田議員】
 雇用は期間の定めのない直接雇用が大原則、有期雇用は合理的理由がある場合に限定するのが国際基準であります。法改正が求められていますが、自治体がまず率先して非正規雇用の待遇改善が必要です。非正規、会計年度任用職員の実態、職種と職員数、賃金はどうなっているでしょうか。

【総務部長】
 会計年度任用職員についてでありますが、まず、職員数については、本年5月時点で1,434人となっており、そのうち、フルタイムは41人、パートタイムは1,393人となっております。
 給与については、本定例会に提案している条例改正案による改定後における今年度のパートタイムのモデル年収は、改定前より約13万円増加して約224万円となり、来年度は、勤勉手当の支給に伴い、更に約29万円増加して約253万円となり、制度導入前の臨時職員と比べると約70万円の増額となるところです。
 今後も、会計年度任用職員の処遇の確保に向け、常勤職員との均衡を踏まえつつ、地方公務員法に定める給与決定の諸原則に則り、国や他県の動向等に留意しながら、適切に対応してまいります。

3、子育て支援策と社会保障の拡充について

・学校給食費の無償化について

【高田議員】
 次に、子育て支援と社会保障の充実について質問いたします。
 子どもの数が減り、人口減少となったのは、人間らしい雇用の破壊、教育費をはじめ子育てへの重い負担、ジェンダー平等の遅れなど、子どもを産み育てることを困難にしてしまったからであります。
 子育て世代の最大の要望は教育費の負担軽減です。学校給食費の無償化は県内10市町村が行われ、一部補助が19市町村になっています。県都盛岡市では無償化を掲げた市長が誕生するなど、無償化への要望が大きく広がっています。千葉県は第3子以降無償化を今年から実施し、沖縄県は25年度から第3子以降無償化をスタートさせ、26年度から完全無償化を検討しています。第3子無償化を市町村と連携し実施する場合、必要な財源はどうなるのでしょうか。

【教育長】
 学校給食費の無償化についてでありますが、本県において、県内の全市町村において全額無償化を実施する場合の所要額は、約42億円、第3子以降を対象とする場合は約8億3,000万円となる見込みと試算しており、実施には継続的、安定的な一般財源の確保が必要となります。

・県立学校の完全給食の実施について

【高田議員】
 県立学校の義務教育課程では、県立一関一高付属中学校が未実施、県立一関清明支援学校はデリバリー給食となっています。そもそも学校給食は教育の一環として行っているものであります。なぜ行われてこなかったのでしょうか。完全給食を実施すべきですが今後の対応について伺います。

【教育長】
 県立学校の給食についてでありますが、 一関清明支援学校は、一関聾学校と一関養護学校が統合し、平成24年2月に旧一関農業高校校舎に移転したところですが、同校舎には、給食施設がなかったことから、外部調理委託によるデリバリー給食を実施してきたものです。
 これまで、一関市教育委員会と市の共同調理場からの給食の提供について協議を行ってきたところですが、共同調理場の施設設備や体制面などでの課題が様々あげられているところであります。
 また、一関一高附属中の給食については、平成21年の開校に当たり検討した際、配膳室や運搬用のエレベーターが必要になるなど、施設設備面での課題に加え、中学と高校の教員の乗り入れ授業の実施のため、両校の時程を合わせる必要があり、必要な昼食休憩時間の確保が難しいなどの課題があげられました。
 当時、全国33校の公立中高一貫校では、完全給食が6校18%、ミルク給食が13校39%、給食の提供がない学校が14校42%といった状況にあったことから、これらを総合的に判断して、ミルク給食とすることとしたものであります。
 なお、開校後、保護者からの要望がある場合には、業者からの弁当斡旋についても検討していくこととしたものであります。
 県教育委員会としましては、一関清明支援学校については、これまでの検討経過や課題を踏まえつつ、 また、一関一高附属中学校については、全国の中高一貫校の給食の実施状況や課題なども踏まえた上で、それぞれ今後の給食の在り方について考えてまいります。

・保育料無償化の拡充などのさらなる支援策について

【高田議員】
 3歳未満児の保育料を第3子から所得制限なく無償化、在宅育児支援金とセットで行っているのは全国では本県のみです。いわて子育て応援保育料無償化補助及びいわて子育て在宅育児支援金に係る県内市町村の対応状況はどうなっているでしょうか。知事は知事選挙で、これにとどまらず「施策のフル稼働と一層の拡充を図る」と子育て支援のさらなる拡充を公約しました。第一子からの保育料の無料化にも取り組むべきですが、市町村と連携すればどれだけの財源が必要と試算されているのでしょうか。子育て支援策の拡充に向けた知事の考えを含めてお答えください。

【達増知事】
 子育て支援策についてでありますが、今年度、全国トップレベル水準の子ども・子育て環境の実現を目指して開始した施策の実施状況は、現在、第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化については全市町村で、在宅育児支援金については26市町村で取り組まれており、県内の多くの子育て家庭に利用されているところです。
 議員ご提案の第1子から保育料を無償化した場合には、粗い試算ではありますが、県は追加で5億8千万円余の財源を要するほか、市町村においても、9億1千万円余の更なる財政負担が生じることとなり、その実施に当たっては、市町村の意向を十分に伺う必要があると考えています。
 子育て支援施策については、岩手県人口問題対策本部会議において、今後の対策の方向性として、仕事と子育ての両立を実現するための子育て支援サービスの充実や、各市町村がそれぞれの地域事情に応じた少子化対策に取り組めるような支援を掲げたところであり、これを踏まえ、施策の一層の充実を図っていきます。

・年金制度について

【高田議員】
 次に、年金制度を見直して高齢者に安心を届ける課題です。
 年金はこの10年間で7.3%も減少し、女性年金者の8割が10万円以下、国民年金は6万円程度です。年金が減少する中で、医療費や買い物、通院への負担など厳しい生活を余儀なくされております。最低保障年金制度がない国は先進国で日本だけであり、各地で年金訴訟が起きています。物価が上がっても年金は下がり続けるマクロ経済スライドは見直しをするべきと考えますが知事の見解を伺います。

【達増知事】
 マクロ経済スライドの見直しについてでありますが、年金のマクロ経済スライドについては、平成16年の年金制度改正で導入されており、賃金や物価の改定率よりも、年金の給付額の伸びを緩やかにする仕組みで、将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう調整するものと認識しております。
 最近の本県の物価上昇率が全国を上回って推移する中、高齢者の割合が高い本県においては、こうしたスライドが県民の暮らしに与える影響は大きいものと考えます。
 一方、全国的な規模で、若しくは全国的な視点に立って行わなければならない公的年金については、国が責任を持って担うべきものであることから、国においては、長期的な観点から、持続可能な年金制度の議論を行うとともに、現下の年金受給者の暮らしの実態等を把握しつつ、必要に応じ対策を講じる必要があると考えます。
 県としては、県民の暮らしを守るため物価高騰対策や生活困窮者支援について、引き続き、全国知事会の要請など様々な機会を捉えて、国に対し対策を求めてまいります。

・年金で入れる特養ホームの整備について

【高田議員】
 県内の特養ホームの早期待機者は、722人(4月現在)、「第8期施設整備計画」では504床に対し319床の開設見込みです。保険料を払っても必要なサービスが受けられない、この現状を県はどう解決しようとしているのでしょうか。

【保健福祉部長】
 特別養護老人ホームの整備についてでありますが、早期に入所が必要な方は昨年調査時より 222人減少していますが、依然として待機者が生じている状況から、県としては、引き続き市町村が地域の実情に即した計画の下、特養ホームを始めとする介護サービス基盤の整備が着実に進められるよう必要な支援を行って参ります。

・介護保険制度について

【高田議員】
 介護保険の報酬改定が大詰めを迎えています。この間、制度の持続可能性のため給付削減・縮小、保険料・利用料の負担増がこの間繰り返されてきました。介護保険料は発足時の2倍です。その結果、利用者・家族の生活、事業所の運営、介護労働者の労働条件は持続不可能な状態になっています。介護事業所の譲渡を考える介護事業所も生まれており、まさに危機的事態です。いま論点となっているのは、利用料の2割負担や要介護度1、2の保険外しなどです。介護職員の処遇改善賃上げや施設を安定させる介護報酬改定はぜひともやっていかなければならない課題であります。しかし、これは利用料や保険料負担に跳ね返ります。国庫負担を現在の25%から50%にするなど抜本的な改革が必要となっています。介護保険制度の改悪許さず国庫負担の引き上げ等抜本的な見直しを求めていくべきですがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 介護保険制度についてでありますが、国において、現在、令和6年度の制度改正に向け、地域包括ケアシステムの深化・推進、制度の持続可能性の確保などの観点から、社会保障審議会での議論を踏まえ、具体的な見直しの検討が進められているものと承知をしております。
 県としては、介護を要する高齢者が、必要なサービスを必要なときに利用できることが重要であると認識しており、これまでも、国に対して、制度運用上の課題等を十分把握した上で、低所得者対策等も含め、必要な見直しを行うよう要望してきたところであります。
 今後も、国における議論の動向を注視しつつ、必要な働きかけを行って参ります。

・エアコン設置への補助について

【高田議員】
 今年の夏は猛暑日が各地で続き、熱中症による救急搬送者は県内で1,278人にもなりました。救急搬送者の6割は高齢者であり、5割が住居での発生、これは全国比でも10ポイント高くなっています。エアコンは猛暑から命と健康を守る最低限の生活必需品となっています。しかし、生活保護世帯では、条件付きで保護開始世帯に限定しています。低所得者が福祉資金等での対応できますが、それぞれ実績はどうなっているのでしょうか。エアコン助成を市町村と連携して取り組むべきですがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 エアコン設置への助成についてでありますが、本県における生活保護世帯に対するエアコンの購入費用の支給については、昨年度は25件、今年度は11月までに46件の実績がありました。
 また、低所得者世帯等に対するエアコンの購入等に係る生活福祉資金貸付については、昨年度は12件、今年度は11月までに18件の実績がありました。
 低所得者世帯のみを対象とした補助制度については、既に設置している世帯との公平性の課題があること、また、市町村からの要望等も受けていないこと等から、県としては、まずは、現行制度の周知や熱中症対策としてのエアコン利用の有効性の周知が必要と考えており、生活保護世帯に対する日頃のケースワーク、社会福祉協議会における生活福祉資金窓口、市町村の地域包括支援センター等を通じた介護サービス相談等の様々な機会を捉えて周知を図っているところであります。
 県としては、引き続き、関係機関等と連携して、いわゆる熱中症弱者と言われる方々に対する積極的な見守り・声かけ等により、熱中症予防に取り組んでまいります。

・高すぎる国保税の問題について

【高田議員】
 次に、高すぎる国保税について質問します。
 盛岡市の国保税は標準世帯(夫婦39歳以下、就業者1人、子ども2人)で40万円に対し、協会けんぽでは19万8000円と2倍の開きがあります。にもかかわらず、国が主導して保険料の統一を進めており、「岩手県第2期国保運営方針」では「保険税水準の統一による影響及び課題について検証、協議」を今年度中に行うとしています。一人当たりの医療費は、釜石市で46万527円、九戸村は29万8710円と県内でも1.54倍の格差がある中で「保険料統一」となれば大きな税の負担増が起きてしまいます。先取りして取り組まれている大阪府では、9割の自治体が増税となっていますが、他県の状況をどう県は把握されているでしょうか。国保の「構造的問題」の解決なしに「保険料の統一」は行うべきではないと考えますが、検討状況を含め答弁を求めます。
 いま取り組むべきは、協会けんぽよりも2倍も高い国保の構造的問題を解決するために、国費1兆円を国に強く求めることが必要と考えます。そして盛岡市でも取り組まれている短期保険証・資格証明書発行の中止、子どもが増えるたびに増税となるような子どもの均等割免除などに取り組むべきですがいかがでしょうか。

【保健福祉部長】
 他県の国保税の状況についてでありますが、医療の高度化や被保険者の高齢化の進展により、 一人当たりの医療費は年々増加傾向にあり、医療費の増加に伴い、被保険者の方に応分の負担をお願いせざるを得ないことから、全国的に保険税は上昇傾向にあるものと認識しています。
 議員御紹介の大阪府では、管内の多くの自治体において、これまで保険税の上昇を抑制するために、一般会計からの法定外繰入れなどが行われており、これらの解消に向けた取組を進める中で、保険税の引上げが行われたものと伺っています。
 次期岩手県国民健康保険運営方針についてでありますが、国民健康保険制度が抱える構造的課題として、被保険者の年齢構成が高く、医療費水準が高いこと、年金生活者や無所得世帯の割合が高く、所得水準が低いことに加え、保険料負担の重さや市町村間の差異等が挙げられています。
 また、本県で多数を占める小規模な保険者においては、高額な医療費が発生した場合、保険料が変動し、財政運営が不安定になることが課題となっています。
 こうした保険料の変動を抑制し、国保財政の安定的運営を図るため、都道府県単位での保険料水準の平準化を進めていく必要があると認識しており、県では、段階的に取り組む方向で、これまで市町村と協議を重ねてきたところであり、今年度策定する次期岩手県国民健康保険運営方針に、平準化の目標年度や取組等を盛り込むこととしています。
 国保の課題への対応についてでありますが、国の財政支援については、構造的課題を抱える国保の財政基盤を強化するため、全国知事会として新たな財政支援を講じるよう要望しているところであります。
 また、国保税の滞納世帯に対し、世帯の実態を詳細に把握した上で短期被保険者証及び資格証明書の交付を行う盛岡市の取組について、県内各市町村に情報提供を行い、きめ細かな対応に努めるよう助言しているほか、子どもの均等割減免措置の対象年齢及び軽減額の拡大については、国に要望を行っているところであり、今後も、国保の課題への対応について、市町村への助言や国への働きかけを行っていきます。

4、気候危機打開とエネルギーについて

・市町村の「温暖化対策実行計画」策定への支援について

【高田議員】
 第4に、気候危機打開エネルギーと食糧自給率の向上について質問します。
 COP28(国連気候変動枠組み条約締結国会議)が現在開催されています。国連環境計画では、各国の目標を達成しても3度上がると分析し「あらゆる分野での変革が必要」と指摘しました。日本の取り組みがとりわけ遅れており、90年比で削減量も削減目標も他の主要国と比べても桁違いに少なくなっています。石炭火力はCO2の削減や再生可能エネルギー導入の障害となり、電気料金を押し上げ、物価高騰に拍車をかけています。再エネ拡大、化石燃料の段階的廃止こそ取り組むべきです。同時に57%と積極的な削減目標を決めた本県での確実な実行が求められています。
 第1に、「温暖化対策実行計画」策定はわずか7市町村であり、CO2削減目標も久慈市以外は県の目標を大きく下回る計画(八幡平市▲39%)となっています。市町村の計画策定は努力義務となっていますが、すべての自治体で計画策定ができるよう支援すべきではないでしょうか。

【環境生活部長】
 地球温暖化対策実行計画についてですが、市町村実行計画の区域施策編は、これまでに県内7市町で策定されており、今年度からは、県として計画の策定経費に対する補助も行うなど、市町村への積極的な支援を図っております。
 その結果、現時点で新たに9市町村が今年度中に、さらに6市町が来年度中に計画を策定する予定となっており、来年度末には計22市町村、県内の3分の2の市町村で策定済みとなる見通しになっております。
 今後も実行計画の策定を含む地域脱炭素に向けて、市町村に寄り添った支援を行ってまいります。

・脱炭素に向けた県の取り組みについて

【高田議員】
 第2に、「県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針」の具体的な取り組みついて示してください。
 産業部門・業務部門の排出構成比は45.6%となっています。岩手県は排出量の多い200事業所に対し「地球温暖化対策計画書」の提出を義務化するとともに、省エネ性能の高い設備機器や再エネ導入への支援を行ってきました。200事業者の削減状況と取組の実績や効果を示してください。
 家庭部門の排出構成比19.3%は全国よりも高く、主な排出源は電力・灯油で消費全体の87%にもなっています。家庭部門の57%削減を目指すのであれば、省エネルギー住宅、省エネルギー設備など推進の具体的な目標などに取り組むべきです。国は経済対策で省エネ住宅・リフオームなどの支援策を拡充しました。国・県の支援策と連携して取り組むべきです。家庭のエネルギー消費で最も多いのは、照明・家電製品等です。テレビ、エアコン、冷蔵庫、照明器具等は市町村と連携して支援し、普及を促進していくべきですがいかがでしょうか。
 運輸部門(排出構成比18.4%)は、自動車からの排出量が96%となっています。公共交通や自転車などの促進、EV車への転換が必要です。EV車は東北で4番目と保有率が低くなっていますが、その要因はどう分析しているのでしょうか。導入目標と環境整備をどう拡充するのか、県の方針を示してください。県、事業者、関係者でEV車の普及を検討する協議会などを設置し具体的な取り組みを進めるべきですがいかがでしょうか。

【環境生活部長】
 基本方針についてでありますが、第2次岩手県地球温暖化対策実行計画では、県の事務事業による温室効果ガスの排出を2030年度に基準年度比で60%削減する目標を掲げており、その実現に向けて、本年10月に「県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針」を策定したところです。
 この方針では、新築建築物を省エネ性能50%以上のZEB Ready相当以上とすること、一定期間以上の供用が見込まれる県有施設にLED照明を導入すること、一定規模以上の県有施設の約50%以上に太陽光発電設備を設置すること、公用車の導入は代替可能な車種が無い場合等を除きEVとすること、これらを全庁的な原則として掲げております。
 現在、年度内を目途に必要な工程表を作成すべく作業を行っている段階であり、今後、県内の市町村や事業者にもこのような動きを広めていきたいと考えております。
 脱炭素経営カルテについてですが、カルテを提出した約200事業者には、新型コロナからの需要回復などによって二酸化炭素排出量がむしろ増加したところも含まれますが、各種対策によって排出量を削減したところも数多く存在します。
 その中には、令和4年度に前年度比で約44%削減した乳製品メーカーもあり、当該事業所では、再エネ電力への切り替えや電動フォークリフトの導入などを行っているほか、今後、地元の風力発電による電力も活用することで、2035年度にカーボンニュートラルを実現する目標を立てております。
 脱炭素経営カルテは、今月中を目途にその一部を県のウェブサイトで公表する予定にしており、企業の相互参照を促すことで、優良事例の横展開につなげたいと考えております。
 家庭部門の省エネについてですが、物価上昇で省エネに対する関心がより一層高まる中、 省エネ家電への買い替えの効用については、県としても 「いわてわんこ節電所」のウェブサイトを通じて啓発を行っております。
 また、家庭部門の省エネにおける役割分担については、市町村とも議論を行う中、省エネ家電への買い替え促進事業を実施する県内市町村が複数生まれております。
 今後の家庭部門における脱炭素の進め方については、引き続き、県市町村GX推進会議や温暖化防止いわて県民会議で議論を深めてまいります。
 EVの普及についてですが、EVはガソリン車と比べて航続距離が短いといった特徴があり、そのことが広大な面積を有する本県での普及割合に影響している可能性もありますが、EVの導入促進は重要な課題の一つであると考えております。
 県としてはEVバスの導入に対する補助などを行っておりまして、走行距離の長いバスのEV化は排出量削減に大きな効果が期待できる中、今年度は県内で新たに2台のEVバスが導入される見通しとなっております。
 また、政府が2035年までに新車販売で電動車 100%を実現するとしている中、県としては今後導入する公用車を原則としてEVにする方針を打ち出しており、県内の市町村や事業者にもこのような動きを広めていきたいと考えております。
 「温暖化防止いわて県民会議」 には、自動車販売業界にも参加いただいておりますので、EVの普及に向けて、県民会議を通じた議論を深めてまいります。
【県土整備部長】
 省エネルギー住宅への支援策についてでありますが、2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、高い省エネ性能を有する新築住宅の普及に加え、既存住宅における省エネ性能の向上も重要と考えております。
 国が住宅の省エネ化の支援として新たに事業化した補助事業と、県の「住まいの省エネルギー改修推進事業」は、同一住宅でも補助対象の設備等が重複しなければ、これまでと同様に併用可能であり、工事の内容に応じて有効に活用いただけるものと考えております。
 これまでも、建築主等から県に対しリフォーム補助等に関する相談があった際には、国の補助事業についても紹介しております。引き続き国の新たな補助事業の概要を情報提供するなど、双方の事業を有効に活用いただけるよう省エネ住宅普及に向けた支援を進めてまいります。

5、食料自給率向上について

・食料自給率低下の要因について

【高田議員】
 次に、食料自給率向上について質問します。 
 コロナ危機とウクライナ侵略によって世界が「戦後最大の食糧危機」に直面しているときに、わが国の食糧自給率38%の実態は国民の生存を脅かす事態であります。
 「食料・農業・農村基本法」は国内生産の増大を基本に、自給率の目標を2000年以降5年ごとに定めてきましたが、達成することは一度もなく食料自給率は下がる一方です。次期通常国会に新たな「基本法」の見直しが提案されます。農業の衰退、自給率の低下、これを作った原因の検証抜きに食料・農業・農村のために役立つ「基本法」とはなりません。知事は食料自給率が最低を更新し続けているその要因をどう認識されているのでしょうか。

【達増知事】
 食料自給率についてでありますが、食料の安定的な供給は、国内の農業生産の増大を図ることを基本に、輸入と備蓄を適切に組み合わせるとされていますが、食生活の変化とともに、食料供給の多くを輸入に依存してきたこと等により、食料自給率は、先進諸国と比べ、低い水準となっています。
 昨今の国際情勢の変化により、食料の安定的な輸入に懸念が生じる中、良質な食料の安定供給を確保することは、国の基本的な責務であり、我が国の食料自給率を高めていくよう努めていくことが重要であります。
 このため、先般、全国知事会の農林商工常任委員長として、国に対し、食料や生産資材の過度な輸入依存から国内生産への転換等の食料の安定供給の確保などについて提言したところであり、本県においては、今後とも、食料供給基地としての役割をしっかりと果たすことができるよう、農業団体等と連携しながら取り組んでいきます。

・担い手確保に向けた「基本法」のあり方について

【高田議員】
 県内の農業就業人口は、この20年間で12万人から4万人と3分の1になりました。耕作放棄地の増大、鳥獣被害も拡大し人的被害も過去最大となっています。以下の項目について県の考えを伺います。
 第1に、新規就農者は260人の目標を超える291人(令和4年)になっています。山形県を超えるような東北一を目指すべきです。
 第2に、経営形態・規模を問わず、農業に携わる多様な人々を大事な担い手と位置づけ、数多く確保・維持することも目標にするべきです。
 第3に、担い手確保の最大の力になるのが価格保障、所得補償です。自給率向上、担い手確保に確実につながるもので、欧米では農業政策の土台になっています。市場原理優先、農家に自己責任と効率ばかりを求めるのではなく、所得補償と価格保証を「基本法」の柱とすべきと考えますが、県の考えを示してください。

【農林水産部長】
 「食料・農業・農村基本法」についてでありますが、本県では、地域農業の核となる経営体を中心として、小規模・兼業農家など多くの経営体が生産活動に携わっており、こうした経営体が将来にわたり、意欲をもって生産活動に取り組むことのできる環境を整備していくことが重要です。
 県では、現在、厳しい経営環境におかれている生産者の状況を踏まえ、国に対し、生産資材の価格高騰を踏まえた収入保険制度の見直しなど、多様な農業者のニーズを踏まえた効果的なセーフティネットの構築や、再生産に配慮した適正な価格形成の実現などを要望しており、引き続き、基本法見直しの動向を注視しながら、必要な対策を要望していきます。

・有機農業拡大への取り組みについて

【高田議員】
 政府は、「環境負荷低減を行う農業を主流化する」として、化学肥料の削減や有機農業拡大など持続可能な農業を進めることを掲げています。しかし、「消費者の理解醸成」だけでは進みません。千葉県いすみ市では、再生産できる価格で市が買い上げ、有機米を全小中学校に提供し、他の有機野菜などの拡大にも取り組む中で有機農家が定着しています。さらに移住相談が倍増しています。環境や生物多様性の保全は農政の一つの柱ではなく、農業政策の土台になっていかなければなりません。学校給食等への有機農産物の提供、指導員の育成、県の役割など明確にして取り組むことが必要ですが、有機農業拡大への県の今後の取り組みについて伺います。

【農林水産部長】
 有機農業についてでありますが、有機農業をはじめとした環境保全型農業の推進は、地球温暖化の防止や生物多様性の保全など、本県農業の持続的な発展に向け、重要であります。
 県では、市町村と共同で策定した県環境負荷低減事業活動の促進に関する基本的な計画に基づき、栽培技術の指導や実需者との商談会の開催、市町村が行う有機農産物の学校給食での利用支援などに取り組んでいます。
 また、農業者や農業普及員等を、有機農業の知識や技術を学ぶ研修会に派遣し指導員として育成するほか、農業者や流通関係者、消費者等と「いわてグリーン農業推進会議」を設置し、取組の情報交換を行っており、今後とも、有機農業をはじめとした環境保全型農業を推進していきます。

6、県立大船渡病院の超過勤務手当の不支給問題について

【高田議員】
 次に、県立大船渡病院の超過勤務手当不支給問題について質問します。
 県立大船渡病院の看護師の超過勤務手当が激減している問題を指摘し、この間その改善を求めてきました。県立遠野病院で看護師の不払い事件を引き起こした総看護師長が大船渡病院に4月に赴任したとたんに、超過勤務を認めないとの対応で、1人当たりの超過勤務時間について、4月から10月までを昨年度と比較すると、昨年度は平均で11.3時間、今年度は3.1時間と激減しています。これまで医療局は、「患者の減少と業務改善だ」と答え、対応は「適切だった」と繰り返してきました。なぜ看護科だけで超過勤務が昨年と比べて激減しているのか具体的な理由を示してください。
 医療局長は「時間外に行った勤務は適切に支払うべき、申請されていないのであれば確認し必要な対応を行う」と答弁してきましたがどう対応されてきたのでしょうか。
 県立大船渡病院では、院長名で4月〜9月の超過勤務を申請しなかった分を11月17日までに看護科を通さず報告を行うよう通知を出しています。超過勤務の申請状況はどうだったのでしょうか。
 党県議団は先月24日、看護師と懇談しました。看護師からは「夜勤補助者が配置されているのになぜ超勤するのか圧力をかけられる」「退院準備やカルテの準備、検査の後片付けも認められない」「業務量は増加しているのに超勤申請が認められず差し戻される」「圧力をかけられ申請できずこれまでと何も変わらない」との訴えが相次ぎました。
 医療局長に質問します。こうした現場の看護師の訴え、超過勤務を申請できない深刻な実態をどう受けとめているのでしょうか。

【医療局長】
 大船渡病院看護科における超過勤務の減少の理由についてでありますが、まず、患者の動向として、入院患者数、外来患者数ともに減少していることが、業務負担が減る要因の一つと考えており、看護師のほか、医師の超過勤務についても減少しているところです。
 また、大船渡病院では、長時間労働の是正や休憩時間の確保など、法令遵守の徹底をはじめ、職員のワークライフバランスや健康保持を図るため、業務による職員の拘束時間を必要最小限とすること、次の勤務時間までのインターバルを十分に確保することを目指し、特に、看護科においては、今年度から、休憩時間確保のための診療科を越えた応援体制の確保、翌日の手術、検査、処置に合わせた出勤時間の調整など、医療局全体として検討した看護の勤務体制の課題に着目した業務改善の取組を進めているところであり、このような取組も職員の負担軽減や超過勤務の減少に寄与しているものと認識しています。
 次に、超過勤務の申請への対応についてでありますが、大船渡病院において、本年10月、看護科職員に対し、本年4月から9月までの勤務において申請がされていない超過勤務がある場合には、勤務内容や時間について、事務局あて報告するよう通知したところであり、現在、職員から報告のあった超過勤務の状況について精査を進めているところです。
 次に、超過勤務の申請状況についてでありますが、本年4月から9月までの超過勤務について、看護科対象職員300人のうち60人から、計1,281時間、一人一月当たりにすると平均約 3.6時間の追加報告があったところです。
 現在精査中でありますが、追加の報告が多かった職員については、日勤を中心に勤務時間終了後に業務をしているケースや、休憩時間中に業務に従事していたケースなどが報告されているところです。
 次に、現場の実態についてでありますが、 職員団体等から、超過勤務の申請がしづらい雰囲気があるというような話を受けており、時間外に行った業務に対する手当は適切に支払われるべきものと認識しています。
 この時間外に行う超過勤務につきましては、事前命令、事後確認の手続きの原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告についても確認のうえ進めているところでございますが、日頃から業務内容の把握、業務の調整など適切なマネジメントを行い、職員の負担軽減やワークライフバランスの確保、健康保持等につなげていくことが重要であると考えております。
 今後、職員負担の軽減と超過勤務の縮減について、職員の一層の理解と共感が得られるよう丁寧に取り組みながら、働きやすい職場環境づくりを進めてまいりたいと考えております。

7、パレスチナ自治区ガザにおける人道的危機について

【高田議員】
 最後に、パレスチナ自治区ガザ地区における人道的危機について質問いたします。
 県議会が本会議で決議を全国で初めて上げたことは重要なことであります。しかし今イスラエルの人道的危機はさらに深刻になっています。この2ヶ月間で死者は16248人、負傷者4.2万人、7割は女性と子どもになっています。この間二度の休止延長で人質が一部解放されましたが、イスラエルの軍事作戦はその後再開され、わずか4日間で400人が死亡し、1000人が負傷したと報じられています。イスラエル軍は「一定程度の犠牲はやむを得ない」などと言っています。
 岸田政権は、無差別攻撃を行ったハマスを非難するだけで、ガザ地区を封鎖し水も食料も断ち切り、病院、避難所などを攻撃し続けているイスラエルに対しては「国際法違反」と言わず、「即時停戦」も口にせず、アメリカ言いなりの対応になっています。ロシアに対しては国際法守れという「二重外交」ではなく、どんな国であっても国際法に反することは許されないという立場で外交努力を行うべきであります。
 知事はジェノサイドという攻撃、国連決議をどう受け止めているのでしょうか。
 知事の見解をお伺いし、私の質問を終わります。答弁によっては再質問いたします。

【達増知事】
 パレスチナ自治区ガザにおける人道的危機でありますが、パレスチナイスラム組織ハマスがイスラエルの一般住民などを攻撃し、多くの死傷者を出したうえに大勢の人質をガザ地区内に拘束していることは、国際法上も人道上も許されないことであり、一刻も早い人質の全面開放を求めたいです。
 一方、イスラエルによるガザ地区に対する大規模な爆撃や地上侵攻は、今朝の報道等によりますと、子どもと女性を多く含む 1万6千人以上の犠牲者が出ており、ガザ地区封鎖による燃料や物資の不足などが引き起こす人道上の危機と合わせて、やはり国際法上も人道上も認められないものと考えます。
 国連憲章は自衛権の行使を認めており、 イスラエルは自衛のための軍事行動であると主張しているようでありますが、今回の軍事行動は自衛をはるかに逸脱するものであり、直ちに停止すべきものだと思います。
 11月15日に国連安全保障理事会が採択した 「十分な日数の人道的な休止」、「人道回廊の設置」、 「ハマス等に拘束されている人質の即時・無条件の解放」などを求めた決議については、直ちに実行されるべきものでありましょう。
 そして、世界中の国々が力を合わせて、違法な軍事力行使を防ぐために作られた国際連合の枠組みを生かした平和外交の努力により、この危機的状況が解決されることを希望いたします。

<再質問>

・賃上げ支援について

【高田議員】
 それでは再質問いたします。
 まず物価高騰対策、賃上げ支援金について質問いたします。
 午前中議案説明されましたので、全体像がちょっと分かりませんので質問したいと思います。
 年間9万6000円以上の賃上げを行った事業主に対して2分の1を補助するということで、今までやってこなかった賃上げ支援、直接支援をやるということは大きな前進であり、私は評価したいと思います。おそらく、すでに賃上げをした事業所も対象になるんだろうなと思いますし、20人以下の小さな事業所なども賃上げを側面から支援するという事業だなと思います。
 それでお伺いしたいのですけれども、この賃上げを行う見込み企業数と賃上げになる規模といいますか、賃上げ効果について、どのように把握されているのかお伺いしたいと思います。
 もう1つは、他県の取り組み状況についても伺います。おそらく実施状況なども調査をしながら、必要な制度設計がされたのではないかと思います。もし資料があれば示していただきたいんですけれども、予算規模とか賃上げ要件、全国で取り組んでいる自治体ではどのような状況になっているのか、これも示していただきたいと思います。

【商工労働観光部長】
 賃上げに関する今回提案を予定している事業の効果と他県の状況などでございますけれども、詳細については、現在要件など検討を進めているところなんですけれども、他県の状況からお話しますと、他県の賃上げ支援はどちらかというと、賃上げ環境整備事業の補助と同じように、設備投資をして賃上げに結びつけた事業者に対する支援というのが中心だと承知しておりまして、今回うちの県でやるような直接的な賃上げをしたところに対する支援をやっているところは、7県で行っていると承知しています。そこでやっている規模がだいたい10億円規模ですので、今度やろうとする規模はかなり広く拾おうとしておりますので、もちろん先ほどありました、すでに上げているところとかも対象にしたいと考えておりますので、その効果を含めまして、非常に高いものが期待できるのではないかと考えているところでございます。

・中小企業者等事業継続緊急支援金について

【高田議員】
 中小企業者等事業継続緊急支援金について質問いたします。
 私は質問の中で、この支援金事業というのは、中小事業者にもっとも歓迎されている事業であって、これをさらに充実してほしいという質問をいたしましたが、残念ながら今回の補正予算には計上されておりません。
 しかし今年度の予算がなくなって、さらに追加の補正措置をするということで、1億1300万円が予算計上されています。これはやはりこの事業が非常に歓迎されているということで、多くの事業者が申請したいということで、増えている結果だと思うんですね。
 だから今回の補正予算が、物価高騰の影響を受けている生活者・事業者を支援するための補正予算なんだというのであれば、私は継続した対応が必要なんだろうなと私は思います。
 それで部長の答弁をお聞きして、物価高が続いているけれども、賃上げが強く求められていると。なかなか苦しい答弁じゃないかと思うんですね。物価高騰対策と賃上げ対策は違うんです。性格的には。今回の補正予算全体を見ましたけれども、これまでやってきた事業は基本的に継続ですよね。バス、タクシー事業者についても、酪農家に対しても、介護・医療施設についても引き続き継続すると。しかし中小企業へのもっとも歓迎されている継続緊急支援金については打ち切るということは、ちょっとおかしいのではないかと思います。本来セットでやるべきだと私は思います。
 それで知事にお伺いしたいんですけれども、これは物価高騰対策と賃上げ対策は別だと思うんですね。やはりセットでやるということが強く求められている。物価高騰で本当に困っている方々への直接支援ですから、これこそ物価高騰対策じゃないかなと思うんですが、この点について知事の考えをお伺いしたいと。今回の補正予算に計上しなかったんですけれども、できれば2月補正で対応するとか、そういったことも含めてぜひ検討していただきたいと思いますけれども、知事から直接答弁いただきたいと思います。

【達増知事】
 中小企業者への支援についてでありますが、ご指摘の通り、物価高騰という問題、そして賃上げという問題、それぞれあると思います。
 物価高騰対策によってこの賃上げが可能になり、また賃上げを可能にするような物価高騰対策を中小企業者に行うということで、県内の中小企業者からも賃上げへの対応を課題とする事業者が多いことから、今回の追加対策としては、県内の賃上げを促進する施策の実施を検討しているものでございます。

・省エネ住宅、リフォーム事業ついて

【高田議員】
 省エネ住宅、リフォーム助成事業などについてお聞きしたいと思います。
 私はこの間、建築関係者の皆さんと懇談する中で、共通している2つのことをよく言われます。1つは、住まいの貧困が相当広がっているということです。住宅が壊れても直さない。リフォームが必要な住宅が本当に増えているという声です。なかなか改修できないと。もう1つは、仕事がないということです。なんとか仕事をつくってほしいんだと。いろいろお聞きしますと、いま新築着工数が激減をしていると。岩手でもかつてのピーク時は1万6000戸、いまは6000戸になっております。減った中で、多くの新築について、大手ハウスメーカーで対応しているというんです。だから地場の建築屋さんにほとんど仕事が回ってこないという状況です。
 ですから私は、地球温暖化対策ということで、省エネ住宅の充実、これも大事です。これはもっとやるべきだと思います。省エネ住宅の実績は、今年度わずか7戸になっていますから、これもさらに充実する必要があると思うんですけれども、住宅リフォーム助成事業もぜひ実現していただいて、この2段階で取り組むということが大事じゃないかなと思いますけれども、この点についてお伺いしたいと思います。

【県土整備部長】
 省エネ住宅の推進にかかるご質問についてお答え申し上げます。
 国の支援策であります省エネ住宅とリフォーム等への補助につきましては、交付申請のための事前登録を行った事業者が申請者となりまして、事業者に対して補助金が交付され、これを建築主に還元する形で支援されるものなんですが、県の「住まいの省エネルギー改修推進事業」につきましては、この申請者は建築主となっておりまして、リフォーム等を行う事業者に事前登録を求めていないことから、結果として比較的小規模な県内の事業者が行うリフォーム等にも利用しやすいものとなっていると考えているところでございます。
 引き続き県の事業の活用が図られるよう周知に努めるとともに、引き続き省エネ住宅の普及に効果的な事業の検討を進めてまいりたいと考えております。

・特別支援学校の学校給食について

【高田議員】
 学校給食の問題ですけれども、私は学校給食費の無償化を求めてきましたけれども、今日一関清明支援学校と県立一関一高附属中学の給食の問題について質問いたしました。なぜ一関だけなのかという思いもあるんですけれども、あり方を検討するということなんですけれども、これは前向きにとらえていいのかどうかということなんですね。私は特別支援学校の学校給食というのは非常に大事だということを感じております。特別支援学校における給食というのは、自ら健康管理する力や食べ物の安全性などを自ら判断して身に付ける、きわめて重要な、コミュニケーションの発達を促す教育活動だと。これは文科省がこういうことを言っているんです。そして、文科省の特別支援学校における学校給食の設置基準ではこのように記述しているんです。「食事内容について、各地域や家庭での実態を把握して、食事の実態を把握して、そして日本型食生活の実施とか、調理後できるだけ早く短期間に、適温で提供する」。この特別支援学校の学校給食の重要性、これを文科省も強調しているわけです。ですからこのあり方を考えるということは、この実施に向けて、前向きにとらえていいかということなんですが、そのことを教育長に改めてお伺いしたいと思います。

【教育長】
 一関清明支援学校の給食についてでありますが、学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資するものでありまして、食育の推進の点からも大切なものであると認識してございます。
 先ほどご答弁申し上げました通り、一関清明支援学校が今デリバリー給食という形になっているということについては、先ほどの経緯でご説明したところでございますが、自校給食等の実現に向けてはさまざまな課題もありますので、関係者との意見交換、あるいは協議等を進めながら、あり方について方策を探っていきたいと考えてございます。

<再々質問>

・賃上げ支援と中小企業者等事業継続緊急支援金について

【高田議員】
 賃上げ支援金については、直接支援をしているのは7県という話がありましたけれども、事業規模が2倍なんだと思います。いずれ新しい試みでありますけれども、これも企業負担もありますから、どれだけの事業所が対応できるか、これからの取り組みだと思いますけれども、これだけ全国でも一番の中身になっているようでありますので、ぜひ多くの事業者が取り組んでいただけるような積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 しかし中小企業者等事業継続緊急支援金ですけれども、これはセットでやるのが重要なんです。知事からも物価高騰対策よりも賃上げだという話がされましたけれども、そうじゃないと私は思うんですね。なぜ今回補正予算でさらに追加の補正予算がついたかというと、やはり需要があるからだと思うんですね。一番中小事業者に歓迎されているんです。一関もそうですけれども、奥州とか陸前高田、大船渡なんかはさらに上乗せして、法人は30万円、個人は15万円という支援をして中小事業者を励ましているんですよね。私も身近なところで、「この支援金があったから、ちょっと辞めようかと思ったけれども、頑張ってみる気持ちが湧いてきて、いま頑張っている」という話をされました。
 いま物価高騰対策に求められているのは、こういった困っている事業者を直接支援することだと思うんです。他の4月から9月までやってきた事業は引き続き継続しながら、なぜ中小事業者にもっとも歓迎されている事業継続緊急支援金を止めてしまうのかというのはちょっと理解できないと思います。
 改めて、本来セットでやるべきだし、今回の補正予算提案になりませんでしたけれども、2月の補正とか何らかの形で事業を継続していくべきではないかと思うんですけれども、改めてお伺いしたいと思います。

【商工労働観光部長】
 事業継続緊急支援金についてですが、我々も今回の補正予算を提案するにあたって非常に考えたところでもありますし、両方やれればもちろん一番良かったのでございますけれども、その限られた財源の中で、いま賃上げへの対応の要請が非常に強いと感じておりましたし、やはり賃上げしていかないと物価高騰に生活が耐えられなくなるというのもありまして、企業からも賃上げ対応の声を多くいただいておりましたので、両方やろうとするとどうしても賃上げの方が中途半端になってしまって、今回のような大きい事業規模でありますので、そういう余地もございましたし、コロナ禍から始まりまして、地域企業経営支援金、物価高騰対策事業継続緊急支援金という形で、お話あったように、事業者さんが元気をもらって事業を継続できたというのは本当にありがたいのですが、いま賃上げの要請が非常に強い、必要性が高い状況にありまして、これを元気にしてきた支援金を、今度は賃上げにシフトさせて、こっちをしっかりとした形で構築して対応していきたいという考えでございます。

・大船渡病院の超過勤務激減問題ついて

【高田議員】
 医療局長にもお伺いしたいと思うんですけれども、私の質問にも答えていない部分があったのではないかなと。
 私は具体的に、24日に看護師と懇談した中で寄せられた声を紹介をして、この声をどう受け止めるのかというお話をしました。その答弁がありませんでした。局長からは「業務改善に取り組んでいる」という話で、職員の共感を得られるような職場にしていきたいと、これはその通りだと思うんですけれども、いま現場で起きていることは、パワハラなんです。
 もう1つ声を紹介しますけれども、「ナースコールの対応などで、超勤をせざるを得ない状況になっても、命令しないんです」という言葉が返ってくると。そういう言葉がたくさんあるんです。
 だから今回の病院長名で超過勤務を申請しなさいと言っても、300人のうち60人しか報告がない。報告するのが「怖い」と。そういう状況になっているんです。なかなか認められないので、打刻をしてから超過勤務にあたるんだという声が少なくない看護師から寄せられているんです。ここまでくればもうパワハラ、ブラス労働基準法に抵触するような中身だと思います。
 私は医療局長に訴えたいんですけれども、やはり良い職場環境、職場の共感が得られるような職場にしていくというのであれば、この看護師の声を医療局長自身が直接足を運んでよく聞くと。そこから信頼が始まる、職場の共感が得られるような、そういうことにつながっていくのではないかと私は思うんですけれども、遠野病院の二の舞になってはならないと。現場の看護師さんの声です。遠野病院では、医師を含めて23人が離職をしました。同じ総看護師長のもとで、また繰り返してはならない。働く人たちの強い思いです。ですからぜひやっていただきたいと思います。改めて医療局長にお聞きしたいと思います。

【医療局長】
 パワハラの認識でございますけれども、10月の半ばに大船渡病院において、事務局長等が、副総看護師長、看護師長等にヒアリングを行っております。そういうようなお話を聞く中では、私にパワハラがあったという認識、もしくは報告等はございませんので、そういうものはなかったと考えているところでございます。
 ただそういう中で、先ほど来お話させていただいておりますように、職員団体等から「超過勤務がしづらい」というお話はいただいたところでございます。
 今回追加の超過勤務申請が60名ほどあがってございますので、そちらにつきましては今後職員との面談を通じて詳細を確認しながら働きやすい職場づくりに向けた取り組みを丁寧に進めていきたいと考えているところでございます。