2023年12月7日 文教委員会
教育委員会に対する質疑(大要)
・インフルエンザの感染状況と対応について
【斉藤委員】
インフルエンザの感染状況、学級閉鎖、学年閉鎖、休校の状況は、特にこの9月以降どのように推移しているでしょうか。
【保健体育課総括課長】
今シーズンのインフルエンザによる臨時休業措置状況は、厚生労働省による12月4日時点の公表資料によると、国立・私立学校を含め、学校等閉鎖が9月1件、10月2件、11月16件、12月1件、学年閉鎖は9月3件、10月14件、11月98件、12月13件、学級閉鎖は、9月1件、10月15件、11月112件、12月14件となっております。
学校での感染対策の実施についてでありますけれども、インフルエンザの感染防止には新型コロナウイルス感染症と同様に日常の健康監察、手指衛生や換気、マスクの着用、人と人との距離の確保など、基本的感染対策を行うことが有効でございます。このことにつきましては、文部科学省の通知、県保健福祉部の通知と、感染予防・蔓延防止の徹底を図るよう市町村教育委員会および県立学校に対して、重ねて周知してきたところでございます。
加えて、11月29日に公表された本県の1定点医療機関あたりのインフルエンザ様疾患の患者発生状況が33.97となり、警報基準とされている30.0を超えたことから、感染防止対策の徹底をより一層図るよう改めて市町村教育委員会および県立学校へ通知したところでございます。
【斉藤委員】
答弁にあるように、11月になって急拡大しているんですね。これが12月にもまた続いているということですから、やはりコロナ対策の教訓をしっかり生かして、インフルエンザの感染防止対策をしっかりやっていただきたい。
大事なのは、感染状況をリアルに伝えることなんですよ。そういう風にして一人ひとりが基本的な感染防止対策を徹底するというのが基本中の基本なので、残念ながら私は県や県教委としても情報発信が弱いと思います。そういう意味では、きちんと感染状況の情報発信を、県全体でも学校でもしっかりやって、そして適切な感染防止対策を講じるという風にしていただきたい。
これだけ学校の休業や学年閉鎖・学級閉鎖が起きていますけれども、スクールサポートスタッフも岩手県は本当に少ないと。各県はかなり配置しているのに少ないと聞いていますが、本会議でもそういう議論あったと思いますけれども、現状と、なぜ岩手県の配置が少ないのか。
【教職員課総括課長】
教員業務支援員=スクールサポートスタッフの配置でございます。令和5年度においては、小中学校7校について配置をしており、インフルエンザの感染対策も含めて業務負担軽減にいただいたところでございます。
なぜ足りないかということ、他県と比較することもありますけれども、当方で課題として思っておりますのは、国の補助事業におけます国の負担割合が3分の1ということで、残りは県負担ということで、増員にともなって県の負担が増加することが課題だと認識しております。これまでも、政府予算提言・要望や全国知事会を通じて、国に対して必要な財源措置を講じるよう、また、都道府県の財政負担の軽減が図られるよう要望しているところでございます。
現在、令和6年度に向けて配置数等の検討をしているところでございますが、引き続き国の補助事業を最大限活用し、国に対して必要な財源要望等も行いながら、スクールサポートスタッフの配置に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
【斉藤委員】
国の予算配分が3分の1というのは全国共通でしょうから、私は岩手の配置が少ないという1つの理由にはなっても、答えにはなっていないんだと思うんですね。やはり配置を減らしすぎたということで、コロナだって本当に第10波がどうなるか分からないんですよね。第9波が第8波並でしたから、そういうことも含めて、せめて全国並には配置するということが必要なのではないか。東北の平均ぐらいは配置すべきではないですか。
【教職員課総括課長】
ご指摘も踏まえながら、引き続き令和6年度の配置数に向けて検討を重ねてまいりたいと思います。
【斉藤委員】
令和6年度は国の措置で予算がかなり拡充されたのではないですか。
【教職員課総括課長】
国では全小中学校に配置するだけの予算は、概算要求として要求しているということでございますが、補助率等については変更はないということで、あとは補助単価も時給1000円までとか、1000円以上は県の負担とか、あとは交通費・通勤手当とか、健康診断、そういうさまざまなものは県が独自に負担するということもありまして、そういう面で3分の2+αの負担が、増やすことによってさらに持ち出しが増えてしまうというところが課題だと思っておりまして、いずれそういった状況、他県でも増やしているというのはその通りでございますので、そういった状況も踏まえながら現在検討しているところでございます。
【斉藤委員】
分かりました。自民党政治のなんと冷たいことか。それを今の答弁を聞いて痛感しました。
・不登校対策について
【斉藤委員】
本会議でも、ここでも引き続き議論になりました。不登校というのは、いまの学校・教育が抱える重大な問題だと思います。
そこで、不登校になった中学生の卒業後の進路はどうなっているのか。高校生の進路はどうなっているのか。どういうところに進学しているのか、していないのか。そういうことは把握をされているでしょうか。
【生徒指導課長】
国の調査、そして県の調査におきましても、不登校になった中学生・高校生の卒業後の進路の項目がない状況でございまして、データとしては把握していないところでございます。
【斉藤委員】
中学校の場合には、例えば不登校のままでも卒業ということなんだと思うんですよ。しかし、その後の進路というのが一番大事なわけですよ、一人ひとりの子どもにとってみれば。中学校は把握していると思うんですよね。そういうことをしっかり把握する必要があるのではないか。
あとは高校の場合には、やはり不登校と中退ですよね多いのは。不登校のまま卒業した場合、高校の場合は卒業にならないですよね。実際には中退になると。そうすると中退後の進路ということになると思います。
もう1つ、高校生で不登校というのもかなりの数あるんですけれども、中学校から一貫して不登校になっている子どもがそのうちどのぐらいあるものなのか。高校に行って新規に不登校になる人はどのぐらいになるのか。そうした実態把握も必要ではないかと思いますけれども、いかがですか。
【生徒指導課長】
中学校、さらに高校におきましては、進路ということにつきまして、生徒が自己のあり方だとか生き方を考え、主体的に進路を選択し、自立するための能力を計画的・組織的に育んでおり、さまざまな進路について、一人ひとりの希望に沿った進路選択ができるよう、きめ細かに指導・支援しているところではございます。
今後の中学校・高校の進路の実態の把握のあり方につきまして考えているところでございます。
【斉藤委員】
先ほどの教育振興計画でも、「誰ひとり取り残さない」となっているわけですよ。その一つの焦点は、不登校の子どもたち一人ひとりを絶対に取り残さないと。これが重要な試金石になるのではないかと思います。
一番困っている子どもたちに、本当に「あなたを取り残さない」というメッセージというのは大事だと思うので、そして今後の生き方、進路というのは生き方だから、先ほどの教育振興計画のサブタイトルで「自分らしく」と。不登校の子どもたちはこのスローガンでどうなんだろうかと。そこからはじかれるのではないでしょうか。不登校の子どもたちにも進路があるんです。だから、本当にそこまで見届けて支援をする。
父母の会の取り組みなんかを聞きますと、中学校では不登校だったけれども、通信制に行ったり、高校に行って学び直すことができたという経験もあるんですよ。だから中学校卒業というのが一つの転機になって不登校を乗り越えるという経験も少なからずあるようですから、この進路、転機、これをしっかりつかんだ支援をやる必要があるのではないかと思います。
それで、小中高を含めると2588人。やはり学校として、学校に来れなくてもつながっているという、格好良く言えばアウトリーチなんですけれども、つながっているその線は切らないで、相談を受ける、様子を聞く。学校に戻すということではなくて。そういうつながりはしっかり維持するということが「誰ひとり取り残さない」方策として大変大事だと考えますけれども、いかがでしょうか。
【生徒指導課長】
児童生徒、先生、保護者も含めてでございますが、つながりは大変重要であると認識してございます。不登校児童生徒の保護者が、悩みを抱えて孤立せずに、適切な情報や支援が得られるよう、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによる保護者への相談支援の実施、あるいは相談窓口の設置、保護者が必要とする情報を随時提供すること、こういったことの取り組みが必要と認識しております。
【斉藤委員】
ぜひ教育振興計画、また、不登校対策にこの問題をしっかり位置づけてやっていただきたい。
・教員の不祥事と再発防止「岩手モデル」の策定について
【斉藤委員】
体罰、不適切な言動等の不祥事と、再発防止「岩手モデル」策定委員会の取り組みについてお聞きします。
今年度に入って、教職員の懲戒処分の件数、そのうち教師の体罰、不適切な言動、セクハラは何件でしょうか。
【教職員課総括課長】
今年度は11月末現在で17件となっています。そのうち体罰、いわゆる児童生徒への暴力とか不適切な言動、わいせつ行為の処分件数は5件となっております。内訳でございますが、児童生徒への体罰による処分は戒告で1件、不適切な言動・暴言による処分は戒告で1件、暴力と暴言が合わさった処分が減給1件、戒告1件です。わいせつ行為による処分は免職が1件となってございます。
【斉藤委員】
17件の懲戒処分、これは今年度の途中ですから決して少なくないと思うけれども、その中で5件が体罰、不適切な言動、セクハラと。本当に再発防止「岩手モデル」を検討している最中で、まったく後を絶たないと。本当にこれは何なのかと。再発防止「岩手モデル」がつくられたって変わらないと思うんですよ。やはり再発防止「岩手モデル」をつくる過程がある意味体罰やパワハラ・セクハラをなくす取り組みそのものなんだと思うけれども、なぜこれがなくならないのか。その原因、背景、根絶する具体的な取り組みを示していただきたい。
【教職員課総括課長】
不祥事が減らないということ、本当に申し訳なく思っております。こういった暴力・暴言がなくならない原因でありますが、一部の教職員においてコンプライアンス意識が十分に浸透していないということが原因であったと認識しております。
不祥事根絶のためには、各職場で繰り返し繰り返しコンプライアンス意識の醸成に取り組むこと、また、教職員一人ひとりが、いつでも自分が当事者になるかもしれないという危機意識、当事者意識をもって取り組むことが重要だと考えております。
委員会の冒頭、教育長からも発言がございましたが、わいせつ事案の根絶に向けましては、本年10月に公表された文科大臣メッセージ等の熟読、あるいは国が作成した研修動画等を活用した研修の実施、児童生徒への暴力・暴言の根絶に向けましては、本年1月に通知をいたしました「児童生徒に対する体罰・暴言等の根絶に向けた所属内研修の実施について」を活用した、所属内研修の実施につきまして、今般服務通知を発出し徹底を図ったところでございます。
引き続き、研修や会議などあらゆる機会を通じてコンプライアンス意識の醸成を図り、暴力・暴言をしない、許さない職場風土の醸成と、教職員一人ひとりの働き方改革に学校・件教委が一丸となって取り組んでまいります。
【斉藤委員】
この5件を見ますと、50代60代なんですよ。処分されてるのはいわば年配の、ベテランの教師なんです。本来モデルになるべき50代60代の人たちが懲戒処分を受けていると。これは何なんでしょう。
【教職員課総括課長】
委員ご指摘の通り、50代の職員の処分が多くなっているというのは、我々も感覚として思っております。ただ、50代は全教職員の中でももっとも多いところでありますので、母数が大きいせいなのか、何か別な事情があるのかという原因分析にまでは至っておりませんが、いずれにしましても委員ご指摘の通り、後輩なり若手教職員を指導なり育成する立場でもありますので、そういったところで奮起を促しながら、50代を含めた全世代に不適切な事案がなくなるよう引き続き取り組んでまいります。
【斉藤委員】
一番の根本の問題は、子どもが主人公になっていない。子どものための学校なんですから、そういう子どもの人権を最大限尊重すると。そういう学校の気風をつくらなきゃだめだと思うんですよ。言うことを聞かないから体罰やったり不適切な言動をやったり、子どもの人権侵害という問題なんだということをすごく感じます。
いま再発防止「岩手モデル」の策定をやっていますが、策定の見通し、盛岡一高事件の解明というのは、当事者も含めて理解と納得がされているのか示してください。
【県立学校人事課長】
「岩手モデル」策定の見通しについてでございますが、第10回策定委員会が10月1日に開催されまして、その段階でモデルの骨子を示し、再発防止策の方向性等について協議をしたところでございます。
現在、外部委員やご遺族からご意見を伺いながら、今年度末の取りまとめに向けて具体的な検討や作業にあたっているところでございます。
それと並行しまして、被害者ご家族からの要望等も引き続き受けながら、調査を続けているところでございます。
・新しい校舎等の整備について
【斉藤委員】
岩手県は、県有施設の脱炭素化の基本方針を4つの柱で出しました。
1つは、新築の場合にはZEB ready以上の整備をするということです。この点で、宮古商業と宮古工業高校の一体的な整備は、この方針に基づいて行われるのか。私は願わくば、ZEB readyではなくて、太陽光発電も設置したZEB基準に整備をすれば電気代はかからないと。そのぐらいのものになると思うんですけれども、さらに、新たに特別支援学校のプランにも出ていますけれども、福岡工業高校の敷地に新たな特別支援の高等部の校舎整備がありますけれども、私はこれもZEB readyはもちろんだけれども、ZEBレベルの整備がされるべきだと思いますけれどもいかがですか。
【学校施設課長】
地球温暖化対策にかかる学校等の改築についてでございますけれども、学校施設の改築等にあたりましては、県有施設の脱炭素化に向けた基本方針を踏まえて整備することとしております。
宮古商工高校と宮古水産高校の一体的整備では、脱炭素化への取り組みとしまして、9月議会のときにもご説明しましたけれども、断熱化で複層ガラス、高効率冷暖房、LED照明、太陽光発電設備等を設置を予定しております。現在、設計の見直しを進めているところでございまして、引き続き設計業者等々、協議をしながらZEB化に向けて検討をしております。そして太陽光発電の設置によって、ZEB化をするべきじゃないかということですけれども、なかなかやはり学校の電気料をすべて太陽光でまかなうとなると、相当数の太陽光パネルが必要となってきますので、なかなかそれについては難しいと考えておりまして、現在設計を進めております二戸地区の特別支援学校ですけれども、そちらについても太陽光の設置は進める予定でございますけれども、ZEB readyをめざして設計を進めているところでございます。