2023年12月12日 12月定例県議会最終本会議
高田一郎県議の議案および請願に対する討論全文
日本共産党の高田一郎でございます。
議案第6号、特別職の職員の給与ならびに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例、議案第18号、岩手産業文化センターの指定管理者を指定することに関し議決を求めることについて、以上2件について反対討論を行います。
・特別職の期末手当引き上げについて
議案第6号は、特別職の職員の期末手当の支給割合を改定し、現行の3.3か月を3.4か月に引き上げる条例となっております。
いま物価高が続き、実質賃金が18か月連続でマイナスになる異例の事態であります。また、長期的にも実質賃金はピーク時の1996年から年間64万円も落ち込み、30年前の水準となっております。一方で、県人事委員会勧告による県職員の月例給は、若年層に重点を置きましたが3833円、給与改定率は1.1%となり、これでも物価上昇とはなりませんでした。
特別職の給与月額は、知事123万円、副知事95万円、議長89万円、副議長80万円、議員は77万円と高額であり、しかも、今回の期末手当引き上げによって特別職は年収11万1650円から17万8350円の引き上げが行われます。
こうした状況の中で、あえて高額となっている特別職の手当てを引き上げる必要はありません。
・指定管理者の指定について
議案第18号は、岩手産業文化センターの指定管理者を指定するために議会の議決を求めるものであります。
岩手産業文化センターは、年間5100万円の指定管理料に対し、職員体制は正規職員がゼロ、7人全員が非正規職員となっています。しかも、平成18年から同じ指定管理者が続き、11年半勤務しても時給は1,133円となっています。せめて1,500円にすべきです。
岩手県の「就業構造基本調査」でも、女性の44%が非正規雇用であり、労働者の3人に1人、34.5%が年収200万円以下のワーキングプアになっています。この現状が労働者全体の実質賃金を引き下げ、雇用におけるジェンダー平等を阻害しており、自治体が率先して非正規雇用の待遇改善が必要だと求めてきました。
「公的施設」は、住民の福祉を増進することを目的に設置され、その業務を担うにふさわしい職員の身分や労働条件も確保することが重要です。経費の効率的な運用を優先に進めてきましたが、この指定管理の在り方を見直すことも必要となっています。
・「安全・安心を無視した無秩序なライドシェアの導入に反対し、地域公共交通を守る施策の推進を求める請願」について
次に、請願受理番号第12号、「安全・安心を無視した無秩序なライドシェアの導入に反対し、地域公共交通を守る施策の推進を求める請願」については賛成に立場で討論を行います。この請願は一般ドライバーが自家用車を有償で送迎するライドシェアの導入に反対し、地域公共交通を守る請願となっています。
ライドシェアの解禁論は、インバウンドの需要や人手不足などによるタクシー不足を理由に広がりました。岸田首相も所信表明演説で地域事情に触れ「導入検討」を表明いたしました。もともと自家用車による有償旅客運送は、2006年道路運送法の限定的な例外として認められたものでした。ところが2014年の省令改正で、旅客対象を「地域住民」から「観光客をはじめ地域外から訪問者」まで、運送地域を「過疎地域」から「公共交通空白地域」へと拡大しました。そして2015年には国際戦略特区で邦人外国人運送も容認し、例外を作って次々とこの間拡大し規制を骨抜きにしてきました。
公共交通における人手不足の根本的要因は低すぎる賃金であり、規制緩和により公共交通のコストカットを強いた政府の政策でありました。昨年運賃改定した東京23区や名古屋などでの運賃値上げが実現し、タクシー運転手が増加しました。
米国ウーバーが提出した安全報告書には、ウーバー利用に関連した性犯罪が2017年に2936件、18年3045件、19年に2826件発生したと記載されています。
そして欧州などライドシェアを導入した国では、性暴力事件の多発などの問題が起こり、8割が禁止に追い込まれています。世界で禁止されているものがなぜ日本でやるのでしょうか。しかもライドシェアは、利用者とドライバーをマッチングするだけで、公共交通としての責任を負わず安全確保にも疑問であります。そして導入が進めば、既存のタクシーの売り上げの減少、公共交通を担うタクシー自体が崩壊することになりかねません。
今必要なのは規制緩和ではなく、住民の足であるタクシーやバスへの手厚い支援こそ必要であり、請願に賛成するものであります。
以上で討論を終わります。ご清聴ありがとうごました。