2024年2月27日 2月定例県議会本会議
一般質問
(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。県民の切実な要求実現と県政の重要課題について達増知事に質問します。

1.能登半島地震への岩手県の支援の取り組みについて

 冒頭、能登半島地震で亡くなられた方々に心からの追悼の意を表するとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。自ら被災しながら懸命な被災者支援の活動を行っている地元自治体をはじめ、応援に駆けつけている県職員や各分野の方々の活動に心からの敬意と感謝を申し上げます。
 達増知事も2月17日、岩手県の支援先である能登町に駆けつけたとのことでありますが、岩手県からの応援・支援の状況についてお知らせください。
 また、東日本大震災津波の経験と教訓を踏まえて今後どのような支援が必要と考えているか示してください。

【達増知事】
 斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。
 まず、能登半島地震の被災地への支援についてでありますが、県では、国や被災自治体からの支援要請などの情報の一元化を図り、迅速かつ効果的な支援を行うため、1月5日に岩手県応援本部を設置し、職員派遣をはじめとしたさまざまな支援を行っています。
 具体的には、1月6日以降、保健師等チームをはじめDMAT、県警広域緊急援助隊等を順次派遣し、その後も応急仮設住宅建設地調査や漁港等の被害調査にあたる職員を派遣しています。また、本県が石川県能登町の対口支援団体となったことを受け、現地連絡員を派遣するとともに、住家被害認定調査や公費解体受付業務にあたる職員を市町村とともに派遣しています。
 物的支援としても、県および市町村によるもののほか、民間レベルでも被災地が置かれた状況を十分に考慮した支援が行われています。
 こうした支援のほか、石川県には復興計画の策定手法等に関する資料を提供するなど、本県だからこそできる支援を行っているところです。
 先日私も被災地を訪問し、現地を直接確認したところですが、被害が甚大で復興には中長期的な支援が必要と感じました。本県は全国の自治体から多くの職員を派遣いただき、東日本大震災津波からの復興を進めてきました。能登半島地震の被災地でも、公共土木施設等の復旧復興にあたる技術職員を中心に、多くの人的支援が必要と見込んでおり、本県も全国の自治体と一体となって復興を支えていけるよう、被災地のニーズに応じた支援を行ってまいります。

2.「失われた30年」、物価高騰から県民の暮らしと営業を守る課題について

・「失われた30年」の知事の認識について

【斉藤議員】
 物価高騰から県民の暮らしと営業を守ることは最も切実な課題であります。2023年の労働者の実質賃金は前年比マイナス2.5%となり、2年連続で減少しました。GDP(国民総生産)は2期連続マイナスとなり、人口で日本の3分の2のドイツに追い越されてしまいました。「失われた30年」という長期にわたる経済の停滞は、岸田首相の言う「コストカット経済」によるものであります。何がコストカットされたのか。
@労働法制の規制緩和で非正規労働者が4割を占めるなど人件費・賃金が削減されました。
A法人税が引き下げられ、大企業は510兆円を超える内部留保をため込みました。その穴埋めに消費税の連続的大増税が強行されました。
B医療・介護・年金など社会保障のあらゆる分野で制度改悪と負担増が繰り返されました。
 その結果、世界に例のない「賃金が上がらない国」「長期に経済が停滞した国」になってしまいました。
 昨年12月に発表された「自民党税制改革大綱」では、40年来進めてきた法人税の引き下げ政策が、投資の拡大や賃上げにつながらず、企業の内部留保を増加させただけで、「意図した成果を上げてこなかった」と、その「失敗」を認めています。「失われた30年」は自民党政治がもたらしたものというべきものではないでしょうか。
 「失われた30年」について、知事の認識と県民の暮らし営業、地域経済にどういう影響を与えているか具体的に示してください。

【達増知事】
 議員ご指摘の通り、「失われた30年」の間、3回にわたる消費税増税をはじめとした税負担増に加え、年金・医療・介護等の保険料の増加や、国立大学の授業料増加等にともなう子ども1人あたりの年間教育費の増加など、国民負担が増えています。また、経済協力開発機構(OECD)の調査によれば、2020年における日本の平均賃金は先進国の下位に位置しているとともに、1990年以降、1世帯あたり平均所得金額は伸びておらず、国民負担の増加もあって、家計における可処分所得が減少してきている現状です。
 このような中、最近の消費者物価指数の内訳を見ると、食料や被服、家具、家事用品など、生活必需品の高騰が著しく、これが家計をさらに圧迫していると考えています。
 また、県が商工指導団体と連携して実施している「エネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査」においても、「光熱費や原材料費の高騰で利益が減少している」といった声が多く寄せられているなど、県民生活や地域経済への影響は非常に大きいものと認識しております。

・5年間で43兆円もの大軍拡について

【斉藤議員】
 国民の暮らし、経済も財政も大変な事態となっている時に、岸田政権が5年間で43兆円もの大軍拡を進めることは、暮らしも社会保障も犠牲にすることになりかねないと考えますが、知事はどう受け止めているでしょうか。

【達増知事】
 防衛費についてでありますが、我が国の防衛のあり方については、5年間で約43兆円といった金額ありきの極端な議論ではなく、国際情勢や近隣諸国との軍事バランスを調査・分析しながら、慎重な議論が進められるべきと考えます。
 いま東アジアで求められるのはむしろ軍縮であり、国内的にも、能登半島地震からの復旧復興を第一に、物価高騰対策や構造的な賃上げ、子ども子育て支援策の充実など、国民の生活を考えた政策を優先していくべきと考えます。

【斉藤議員】
 同意見であります。

・物価高騰対策賃上げ支援金について

【斉藤議員】
 具体的な物価高騰対策について質問いたします。
 先の12月県議会で、59億円余の物価高騰対策が示されました。新規で「物価高騰対策賃上げ支援金」が21億円の事業費で、2月5日から申請の受付が始まっています。全国から高く評価をされています。
 直近の申請状況はどうなっているでしょうか。申請企業の規模など特徴を示してください。

【商工労働観光部長】
 2月5日の受付開始から2月19日までの約2週間で受付を確認した件数は、630件となっております。
 申請の詳細については、このうちオンラインによる申請414件のみの状況となりますが、申請額は1億6千万円余であり、その内訳は、法人372件、個人事業主42件となっております。従業員規模別では、5人未満は81件、5人以上30人未満は206件、30人以上50人未満は49件、50人以上100人未満は44件、100人以上は34件となっております。
 業種別に見ると、件数の多いものから、建設業99件、製造業82件、卸売業・小売業が45件となっております。

【斉藤議員】
 すでに2月5日から始まって19日段階で630件と、大変出だし好調だと。特に、5人未満、30人以下の中小・小規模企業が積極的に賃上げ支援に申請しているということを高く評価をしたいと思います。

・事業者の影響調査とさらなる支援について

【斉藤議員】
 県が実施している「エネルギー価格・物価高騰等に伴う事業者の影響調査」(11月分、1月公表)、知事の答弁でもありました。「影響が継続している」が86%、「債務の過剰感がある」が50.2%、「価格転嫁ができていない」が71.5%となっています。
 事業者の影響調査の結果をどう受け止めているでしょうか。どういう対策が必要と考えているでしょうか。
 今年度実施された「中小企業等事業継続緊急支援金」は大きな役割を果たしていると考えます。実績はどうなっているでしょうか。賃上げ支援とともに、物価高騰で打撃を受けている中小零細企業への継続的な支援が必要だと考えますがいかがでしょうか。

【商工労働観光部長】
 昨年11月末時点で実施した事業者影響調査結果を見れば、エネルギー・原材料価格の高止まりの影響のほか、賃上げ原資の確保や人材不足への対応が求められているなど、県内中小企業者を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にあると受け止めております。
 今後も、県内中小企業者の経営を維持し、県内経済を活性化させていくためには、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしの実現に向けて、中小企業者の賃上げを促進していく施策がより求められていると考えております。
 このような考え方のもと、先の12月議会において物価高騰対策賃上げ支援金を予算化したところであり、また、令和6年度当初予算において、今年度に引き続き、中小企業の生産性向上の取り組みを支援する「中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助」を盛り込んでいるところです。
 これまで2度にわたって実施した中小企業者等事業継続緊急支援金の実績については、令和4年10月から令和5年3月を対象期間とした第一弾では、17035事業者に対して11億4555万円の交付実績、令和5年4月から9月を対象期間とした第二弾では、10207事業者に対して11億227万5千円を交付しております。
 物価等の高騰、高止まりによる影響が長期化する中にあって、この事業は中小企業者の事業継続に少なからずの効果をもたらしてきたと認識しておりますが、先ほども答弁申し上げました通り、実質賃金をプラスにすることにより、物価高騰に負けない県民の安定した暮らしを実現し地域経済を活性化させていくことが重要であると考えております。
 一方で、物価等の高止まりによる影響のほか、いわゆるゼロゼロ融資の返済をはじめとしたコロナ禍による影響などを踏まえ、今後も中小企業者のニーズに的確に対応した支援が必要だと考えており、国に対する働きかけなど継続的に行いながら、さらなる支援についての検討を進めてまいります。

【斉藤議員】
 最後の答弁でやっと先が見えたという感じでありますけれども、事業継続緊急支援金は、令和4年度補正が10735件・12億円、令和5年度実施したものが10207件で11億2千万円。令和5年度分は二度にわたって補正予算を組んだんです。いわば予想を超えて活用されたと。それだけ切実性があったということでありますので、ぜひこの事業継続緊急支援金の来年度早々の事業化を強く求めたいと思います。

3.新型コロナウイルス感染症第10波の感染拡大への対応について

・感染状況の情報発信について

【斉藤議員】
 「第10波の感染拡大」との認識で、感染拡大の状況を具体的に県民に情報発信すべきですが、感染拡大の状況、クラスターの発生状況、入院患者の状況など示してください。
 県はどう情報発信してきているでしょうか。第10波が収束するまでは、せめて週1回はしっかり情報発信すべきではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 感染状況については、定点観測の患者数の増加が始まった令和5年12月以降の最大の数値で申し上げますと、定点報告数は2月14日公表分の18.07人、クラスター数は1月24日公表分の19件、入院患者数は1月25日の348人となっております。最新の2月21日の定点報告数は12.40と減少となったところであります。
 県民に対する情報提供につきましては、5類移行後、定点医療機関における地域別、年代別の新規感染者数、クラスターの発生状況、入院患者数について、毎週水曜日に岩手県感染症情報センターのホームページで公表し、平時から最新の感染状況の発信に努めているところでございます。また、感染拡大時には、LINEなどのSNSも活用し、さらなる感染拡大防止の呼びかけを行っているほか、入院患者数の増加や医療従事者の欠勤状況等を総合的に判断し、医療のひっ迫を未然に防止する観点から、記者ブリーフィングにより県民に対する注意喚起を行ったところであり、引き続き適時適切な県民への情報発信に努めてまいります。

【斉藤議員】
 第10波の認識ということを改めてお聞きをしたい。1月以降クラスターが90件発生しています。内訳は、高齢者施設45件、医療施設30件です。一番注意をしてやっているところで、これだけのクラスターが発生していると。これは第9波並ですよ。医療機関はもっと増えているといってもいいぐらいの深刻な状況です。
 ネットで公開しているというだけで情報発信にならないんですよ。新聞にも報道されないんですよ。第10波というんだったら、そういう感染拡大期にあるわけですから、きちんとどういう状況にあるか。
 私は1月の盛岡圏の県立病院の運営協議会に行ったときに、宮田院長が「第8波並みです」と厳しい指摘をしておりました。そういう緊張感と情報発信がなければ、県民はどう感染防止対策をやればいいか伝わらない。改めてお聞きします。

【保健福祉部長】
 いわゆる第10波の感染状況については、昨年夏の第9波のピークが8月28日から9月3日だったのですが、定点報告数35.24人、クラスターの発生件数34件でしたので、おおむね6割程度の状況になっています。決して緩やかではない、かなりひっ迫したと認識しておりまして、感染症課長が定点あたりの注意報値が10なのですが、10を超えた段階でブリーフィングを行いました。第9波の際には、保健福祉部長、私の方から県民への注意喚起を行ったところでございまして、記者ブリーフィングに関しましては、やはりメリハリをつけたより訴求力の高い情報発信の手段であると考えておりまして、今後におきましても、こういた医療のひっ迫の状況を見据えて、適時適切なタイミングで情報発信を行ってまいりたいと考えております。

【斉藤議員】
 メリハリをつけると言うけれど、1回しか記者会見していないんですよ。メリハリ全然ついていないじゃないですか。全然緊迫感が県民に伝わっていないですよ。
 先ほど提起したように、第10波というんだったら、せめて週1回はきちんと情報発信すべきだと。正面から受け止めてやってください。国が何もかもやめてしまった、それに追随してはだめだと、このことを指摘しておきます。

・下水サーベイランスについて

【斉藤議員】
 ウイルス量を正確に把握できる下水サーベイランスが2月から実施されています。始まったばかりですけれども、その結果と傾向を示してください。

【保健福祉部長】
 下水サーベイランスについては、令和6年度から実施する予定で準備を進めておりましたが、今般の感染拡大を踏まえまして、この2月から盛岡医療圏の人口の7割程度の汚水を処理する都南浄化センターからの採水により、週1回の頻度で調査を開始したところであり、初回の結果は2月22日に岩手県感染症情報センターから公表したところでございます。
 今回の調査結果については、盛岡医療圏の新型コロナ定点報告数が、調査を開始した第6週の22.42から第7週には14.37に減少した一方で、下水サーベイランスは、下水1リットルあたり2484コピー(遺伝子数)から3150コピーまで増加しており、今後さらに分析を進めることとしております。

【斉藤議員】
 9月の第9波のときにこの実施を求めて、「来年度」からという話になっていましたけれど、これを前倒しでやったことは評価をしたいと。
 まだ2回しかされていないんだけれども、2回目の調査で1.26倍にウイルス量がなっているんですよ。一番ウイルス量を正確に把握できるのが下水サーベイランスだと思いますので、これは本当に継続して、その結果を踏まえてしっかりした情報発信をやっていただきたい。

・ワクチン接種について

【斉藤議員】
 ワクチン接種の効果が様々な研究で明らかにされています。秋以降のワクチン接種の状況はどうなっているでしょうか。3月末までは無料で接種できますので、しっかり情報提供し、希望者がワクチン接種を受けられるように、特別に推進すべきではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 令和5年秋に開始をした接種の状況は、令和6年2月14日時点で県内人口の30.7%となっており、令和4年秋に開始した接種と比較し接種率が低い状況となっております。これは令和5年5月8日より感染症法上の位置づけが5類感染症となったことや、これまでの接種と異なり行政による接種勧奨の対象を高齢者および基礎疾患を有する方に限定して開始されたことが要因と認識をしております。
 接種無料の取り扱いは令和6年3月31日をもって終了いたしますが、市町村では今後希望される方に対しても接種が可能な数のワクチンを確保しているところであり、県では市町村を通じて来年度からの定期接種について周知するとともに、3月末までに自らの意思で接種を選択できるように、特に高齢者等の重症化リスクの高い方への情報発信に努めてまいります。

【斉藤議員】
 政府は来年度から有料化して、1回7千円という話も出ています。ますますワクチンが受けられなくなりますから、まず3月末までしっかりやっていただきたい。
 感染予防効果、重症予防効果、あわせて最近は後遺症を軽減する効果もあると指摘をされていますので、そうした情報発信をしっかりやっていただきたい。

・後遺症対策について

【斉藤議員】
 そこで、後遺症対策が切実な課題となっています。神奈川県では独自の調査結果を公表しています。県の調査結果はどうなっているでしょうか。
 コロナ後遺症の専門外来と専門相談窓口を設置すべきと思いますが検討されているでしょうか。

【保健福祉部長】
 令和5年12月に、県のLINE公式アカウント「岩手県新型コロナ対策パーソナルサポート」に登録しておられる県民約16万人に対しまして、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状、いわゆる後遺症にかかる調査を実施いたしました。
 8960人から回答が得られたところですが、結果の詳細については、今後の公表に向けて現在精査をしているところでございます。
 県では、後遺症の症状に応じて受診できる医療機関の一覧を県医師会と連携して作成し、県ホームページにおいて地域別、診療科別に確認できるようにしているほか、一般相談窓口であります岩手健康フォローアップセンターなどにより、症状に応じて医療機関の受診を案内するなどの対応を行っております。
 また、後遺症を含めたさまざまな病気を抱えた方が治療と仕事を両立できるように、独立行政法人労働者健康安全機構が運営する岩手産業保健総合支援センターにおいて相談支援を行っているところであります。
 今後におきましても、県医師会および医療機関等と連携しまして、後遺症に悩む方々に対する円滑な受診や治療等の支援に取り組んでまいります。

・新型コロナ補助金の復活について

【斉藤議員】
 新型コロナが昨年5月8日以降5類に移行して、コロナ対策の補助金が大幅に削減されています。5類に移行しても、その後、第9波、第10波と感染拡大が続いています。医療機関では院内クラスターが発生し、以前と同じように防護具等の着用で緊張した取り組みが継続しています。
 ところが、コロナ補助金が削減されて大幅な減収を強いられています。その状況をどう把握されているでしょうか。コロナ補助金の復活を全国知事会等で強く求めるべきではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 国におきましては、新型コロナ感染症の5類移行後、医療提供体制を通常の体制に移行するため、医療機関への補助金等の支援を段階的に縮小・重点化しているところでございます。
 令和5年11月に公表された医療機関経営状況にかかる国の調査によりますと、令和4年度における一般病院の収支は、平均で4000万円余の黒字ですが、コロナ関連補助金の収入を除きますと2億2千万円余の赤字であるとの結果が示されております。
 通常の医療体制への移行後は、医療機関の感染対策にかかる経費については、補助金等による支援から診療報酬による対応となり、令和6年度の診療報酬改定では、感染症患者の入院にかかる感染対策に対する新たな加算の創設等が検討されております。こうした国の制度改正が医療機関の経営に与える影響については現時点では予測が難しいところではありますが、県では引き続き県医師会や医療局を通じて医療機関の状況把握に努め、必要に応じて全国知事会等を通じて国に要望してまいります。

4.県立病院の課題と大船渡病院の超過勤務問題について

・県立病院の収支、新型コロナの影響について

【斉藤議員】
 県立病院の課題について質問します。
 22日に、2023年度岩手県一般会計補正予算(第6号)等が提案されました。それによると、県立病院の23年度の収支は約39億円余の赤字となっています。昨年度が23億円の黒字でしたから、異常な赤字転換だと言わなければなりません。
 直接的にはコロナ補助金の削減だと思いますが、新型コロナ感染、クラスター等の影響はどうなっているでしょうか。赤字の主な要因は何でしょうか。
 全国の県立病院も同じような影響を受けていると思いますが、他県等の状況をどう把握しているか示してください。

【医療局長】
 県立病院におきましては、令和5年度も新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続的に発生し、クラスターも1月末までに30件以上発生するなど、診療制限を余儀なくされ、通常の診療体制への移行が困難な状況が続いたところであります。こうしたこともあり、患者数がコロナ前の水準に戻っておらず、病床利用率が上がらなかったため、医業収益が当初の見込みに届かなかったところであります。また、地域医療を提供していく中で、給与改定等による給与費の増加や材料費の増加、燃料費等の物価高騰による支出の拡大が続いたため、医業費用では増加しているところであります。
 こうした収益の減少と費用の増加による医業損益の悪化に加え、空床確保補助金等のコロナ関連補助金が前年度から42億円余減少するなど、医業外収益も減少するため、39億円余の赤字を見込んだものでございます。
 他県の経営状況についてでございますが、まず、収益を左右する患者数の動向につきましては、厚生労働省の調査によりますと、最新のデータである令和5年11月期で、県立病院を含む全国の病院の1日平均入院患者数は、4年前の同月比で92.1%と約1割程度減少したままの状況であり、患者数は本県のみならず全国的に依然としてコロナ前の水準に戻っていない状況であります。
 このような状況から、入院収益等の医業収益が伸び悩む中、全国的な燃料費等の物価高騰や人事院勧告等を踏まえた給与費の引き上げ改定などにより、支出の拡大が避けられない状況となっていること、加えまして、空床確保補助金等のコロナ関連補助金の見直しにより国からの補助額も減少していることが重なり、全国的にも非常に厳しい経営状況とうかがっているところであります。

【斉藤議員】
 県立病院の4月から1月までのクラスターの発生状況、令和4年度は36件でした。令和5年度は31件、ほとんど変わらないんですね。5類に移行しても変わらない。そしてクラスターが発生すると、いま答弁あったように入院規制をしなくちゃならない。受診抑制にもなる。そして令和4年度は、コロナ補助金は60億円だったが、5年度は18億円に減少してしまった。まさに国の施策で、岩手県立病院だけじゃない、全国の公立病院、民間病院も含めて大変な事態になっているんだと思います。ですから、これは本当に基本的には国の責任で病院経営が成り立つように、強く全国と連帯して求めるべきだと思いますけれどもいかがですか。

【医療局長】
 先ほど申しましたように、他県の状況等をうかがっている中でも、かなり全国的に厳しいという状況もございますので、これらの状況をしっかり分析させていただきまして、必要に応じて全自病等を通じまして国の方にも要望する必要があろうかと考えているところでございます。

・県立病院の役割、充実について

【斉藤議員】
 知事は、昨年の知事選挙で「全県的な医療提供体制と県立病院の体制の一層の充実を図ります」と公約され大きな支持を集めました。県立病院の役割、今の危機的状況をどう打開し、県立病院の充実をどう図っていくのか示してください。

【達増知事】
 本県においては、医療資源の状況から、県立病院が初期医療の役割も担うなど、県民福祉の増進のためもっとも重要な社会基盤を県が直接県民に提供してきたところであります。
 公立病院を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、県立病院としても入院患者の積極的な受け入れや、令和6年度診療報酬改定に対応した上位新規施設基準の取得等自らの経営改善を進めるとともに、国に対しては、地域医療の確保における公立病院の重要性に鑑み、公立病院の運営に配慮した地方財政措置の拡充等を訴えていく必要があると考えております。
 こうした取り組みにより、持続可能な経営基盤を確立し、人口減少や医療需要の動向、医療の高度専門化などの環境の変化に応じて役割や機能を見直しながら、引き続き県立病院が県全体の医療提供体制の中で主要な役割を果たしていく必要があると考えております。

【斉藤議員】
 県立病院は県民の命と健康を守る地域医療の拠点であり要でありますので、厳しい状況の中でこれを必ず守り抜くと、知事の積極的なイニシアチブを期待するものであります。

・県立大船渡病院の超過勤務激減問題について

【斉藤議員】
 県立大船渡病院の看護科における超過勤務が激減している問題について質問します。
 4月から12月末までの看護科における超過勤務時間は、一人月平均で昨年度は12.9時間に対し、今年度は3.5時間と4分の1近くに激減しています。
 先日、直接看護師さんから実態を聞いてきました。「状況は何一つ変わっていません」という切実な声が寄せられました。なぜ改善されていないのでしょうか。

【医療局長】
 大船渡病院看護科の超過勤務の減少につきましては、まず、患者の動向として入院患者数、外来患者数ともに減少していることも要因の1つと考えており、看護師のほか医師の超過勤務についても減少しているところであります。
 大船渡病院では、長時間労働の是正や休憩時間の確保など、法令順守の徹底をはじめ、職員のワークライフバランスや健康保持を図るため、業務による職員の拘束時間を必要最小限とすること、次の勤務時間までのインターバルを十分に確保することを目指した取り組みを進めてきているところであります。
 一方で、「超過勤務の申請がしづらい雰囲気がある」という話を受けまして、申請されていない超過勤務を確認して手当を追給し、令和5年12月に院長通知を発出して、超過勤務の申請、休憩時間の確保、勤務開始前および勤務終了後の打刻の徹底、働きやすい職場環境づくりなどについての取り組みを進めているところであります。
 引き続き、職員負担の軽減と超過勤務の縮減につきまして、職員の一層の理解と共感が得られるよう丁寧に取り組みながら働きやすい職場環境づくりを進めていきたいと考えているところであります。

【斉藤議員】
 本当にずれた答弁でした。9月も12月も同じ答弁を聞いた。
 そこで、なぜ超過勤務の申請ができないのか。リアルな実態を紹介します。
「院長名で超過勤務を正しく申請するように通達が出されても職場の雰囲気が許さない」
「師長にコーディネーターだから超過勤務を書かないでと言われる」
「超過勤務になることを伝えると、『何が残っているの』『時間管理がなっていない』と師長に追い回される」
「申請しようとすれば責め立てられ、超過勤務の申請をせずに打刻して業務を行っていれば何時まで残業しても何も言われない」
「休憩時間の超過勤務は申請されていません。それは労基法違反になるからです」
―これが実態ですよ。医療局長はこうした実態を聞いていますか。

【医療局長】
 超過勤務の状況等については、大船渡病院において看護師長等との面談や追加申請の報告のあった職員からの聞き取りを丁寧に行い、その状況について把握してきたところであります。
 病院の面談においては、「超過勤務を申請しづらい雰囲気がある」といった声のほか、「改善の取り組みにより定時で帰れるようになった」「職員配置の見直しにより休憩時間を確保できるようになった」「時間や効率化を意識して業務に取り組むようになった」などの声もうかがっているところであります。
 議員ご指摘のような声につきましても、引き続き詳細を確認しながら働きやすい職場環境づくりに向けた取り組みを丁寧に進めていきたいと考えております。

【斉藤議員】
 私は何度も具体的な実態を示しているじゃないでしょうか。12月の本会議での答弁で知事は、私の意見を踏まえて対応しなさいと答弁したんですよ。
 12月議会の本会議での私の関連質問に対して、医療局長はこう答弁しました。「職員からの超過勤務の追加報告では、約半数が勤務時間の打刻外の超過勤務になっており、勤務終了後の勤務記録の業務や勤務開始前の情報収集など、ほぼ毎日短時間で行っている状況が見られた」と。いわば打刻してから仕事しているのが半数だったと。それも、300人の看護師のうち60人しか申請していないんですよ。怖くて申請できない。こんな異常な事態になっているんです。
 勤務終了の打刻後に残業を行っている事実を認めたことになります。労基法に反する事態ではないでしょうか。全ての看護師を対象に徹底して調査すべきではないでしょうか。

【医療局長】
 超過勤務の時間管理についてでございますが、適正な労務管理、職員の健康管理を行うためには、職員の在院時間を正確に把握することが必要と考えており、令和3年度からチーム管理システムを導入し、出退勤時刻と勤務時間の記録を客観的に把握しているところであります。
 その上で、時間外に行う超過勤務については、事前命令、事後確認の手続きの原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告につきましても、その内容を確認しながら認めております。
 大船渡病院において、今回の超過勤務の追加申請にあたり、病院内すべての看護師に対して、申請がされていないものがあれば申請するよう通知し、その結果、60名からの追加申請があり、内容を確認したうえで適切に追給の手続きを行ったところであります。

【斉藤議員】
 私は2月19日に院長先生にも会ってきました。院長さんは、超過勤務を申請しなさいと通知を出しています。しかし看護科だけはそれができない。事前命令といっても認めないんだから。申請する状況に看護科はない。院長の通達も看護科には伝わっていないのですよ。分かりますか。だからたった60人しか申請しないんですよ。
 私はよく聞いてきた。「打刻してから仕事をする」と。パソコンにその記録が残っています。調べれば分かるんですよ。誰がどれだけ勤務しているか。調べたらいいじゃないですか。
 私は労基署にも行ってきた。労基署にも私の議会での質問と答弁を情報提供してきました。労基署もただちに動くべきだと思うけれども、それを待たないでやらないと同じことになりますよ。
 遠野病院の事件というのは、同じ総看護師長によって起こされたパワハラ、超過勤務申請を認めないものでありました。遠野病院では、労基署の指導に基づいて看護師88人中87人に2424万円余の不払い労働分が支給されました。遠野病院の不払い事件の責任はどこにあったのか。また繰り返していいのか。医療局長の答弁を求めます。
 大船渡病院問題の解決には、人事を刷新すべきと考えますがいかがですか。

【医療局長】
 労務管理、超過勤務の適性な運用のためには、勤務時間や在院時間を正確に把握することが重要であり、先ほどもご答弁申し上げた通り、令和3年度からは勤務管理システムを活用して、出退勤時刻と勤務時間の記録を客観的に把握しその適正な運用に取り組んでいるところであります。
 また、超過勤務については、事前に命令して事後に確認するという手続きの原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後についても確認のうえ認めているところであり、日頃から業務の内容の把握、調整など適切なマネジメントを行い、職員の負担軽減やワークライフバランスの確保、健康保持等が図られるよう取り組んでいきます。
 人事の取り扱いにつきましては、看護管理者としての役割、経験や実践能力等を踏まえながら、適材適所での配置となるよう対応してまいります。

【斉藤議員】
 大船渡病院の総看護師長は、4〜5年前に遠野病院で同じことをやった。23人が離職しました。障がい者雇用の看護師さんも泣く泣く辞めました。こんな犠牲を大船渡で出してはならない。
 遠野病院の2400万円余の不払いの責任はどこにあるか聞いたじゃないですか。同じことを大船渡で繰り返していいんですか。いま繰り返しつつあるんですよ。あなた方は、労基署が指導に入らなきゃ真面目に調査しないんですか。

【医療局長】
 遠野病院におきましては、タイムカードなどの勤務管理を行うシステムがない中で、看護科の業務の命令権者をはじめとした管理者等が勤務の実態を適切に把握できておらず、勤務時間管理が不適切であったことによるものと認識しているところでございます。
 このようなこともありまして、先ほどご答弁申し上げた通り、令和3年度からは勤務管理システムを活用して出退勤時刻と勤務時間の記録を客観的に把握し、その適正な運用に取り組んでいるところであります。
 引き続き勤務時間の把握に適正に努めてまいりたいと考えているところでございます。

【斉藤議員】
 大船渡病院の院長先生は、超過勤務した分は申請してくださいと通知した。しかし看護科はそれができていないんです。院長の指示が看護科は通らないんです。こんな異常な事態を分かっていますか。
 その総看護師長を大船渡病院に配置したのはあなたですよ。あなたの責任は厳しく問われますよ。いかがですか。

【医療局長】
 いずれ、人事につきましては、看護管理者としての役割、経験や実践能力等を踏まえながら、適材適所での配置となるようこれまでも配置してきたところでございますし、引き続きそのような形で適切に配置してまいりたいと考えているところでございます。

【斉藤議員】
 職員が本当に誇りをもって仕事ができる、これは県立病院の運営の方針じゃないですか。こんなパワハラや強権的な管理が横行するようじゃだめだ。そのことを改めて。
 そしてこれから厳しい局面になりますよ。率直に言いますけれども。

5.不来方高校・盛岡第一高校事件の検証と再発防止について

【斉藤議員】
 不来方高校・盛岡第一高校の顧問教諭よる暴力・暴言事件の検証と再発防止対策について質問します。
 不来方高校のバレー部員の自死事件と同じ顧問教諭による盛岡第一高校での暴言暴力事件の検証を踏まえて、再発防止「岩手モデル」の策定をめざす策定委員会が、今年1月の開催を含めて11回開催されました。しかし、不来方高校自死事件の前段となった盛岡第一高校事件の学校、県教委の対応に関する検証は、一向に進まず経過してきました。それは、県教委が顧問教諭の暴力暴言を容認してきた加害者側からしか調査してこなかったことによるものであります。
 その結果、策定委員会の外部委員が7名いますが、5名の外部委員の連名で、昨年10月31日付で、盛岡一高事件に関する「調査検証委員会設置を求める要望書」が県教育長あてに提出される異常な事態となりました。10項目に及ぶものですがその内容を示してください。
 なぜこんなことになったのか。教育長はこの外部委員の要望書をどう受け止め対応しようとしているか答えてください。

【教育長】
 要望書におきまして、「再発防止『岩手モデル』の策定にあたっては、盛岡一高事案の解明ができない限り、十分な再発防止策とならない可能性も否定できない。他方、岩手モデルは早急に策定すべきである。したがって、岩手モデルを完成させることを大前提とした上で、盛岡一高事案についての調査・検証は、モデルの策定から完全に独立させ、新たな調査・検証委員会を立ち上げ実施することが望ましい」などと述べられております。
 県教育委員会としましては、再発防止に取り組むためには、自らが当時の学校および県教育委員会の組織的な対応を検証することが適当と考え、外部委員に具体的な方法等をお諮りしながら調査にあたってきたところです。これまでの調査によって、当時の対応として不適切だった点およびその要因が相当程度明らかになったものと考えております。
 自死事案のご遺族は、早急なモデル策定を望まれており、その点については外部委員も同じ意向であります。県教育委員会として、まず岩手モデルの策定に全力を傾注してまいります。
 要望書への対応につきましては、岩手モデルの策定を踏まえ、今後判断してまいります。

【斉藤議員】
 不来方高校のバレー部員の自死事件、その前段に実は、同じ顧問教諭による暴力暴言事件というのが盛岡一高であった。それに対して、まともに学校や県教委が対応してこなかった。裁判で争われて、盛岡地裁も仙台高裁も有罪判決です。それにも関わらず、まともな対応をしてこなかった。10回も策定委員会をやって、なぜ外部委員の5人が連名で「別に検証委員会をつくるべき」と言っているのか。私が先ほど指摘したように、加害者側の学校・県教委からしかあなた方は調査しないからなんです。遺族・被害者の実態・認識とは噛み合わなかった。そのことを真剣に反省すべきだと思います。
この要望については正面から受け止めて、この検証抜きに再発防止に魂入らないじゃないですか。だから今不祥事が次々と起こっているじゃないですか。今年度の教職員の不祥事、特に体罰・暴力・暴言・セクハラの案件はどうなっていますか。

【教育長】
 今年度における教職員の不祥事案による懲戒処分件数でございますが、令和6年2月15日現在で20件となってございます。そのうち体罰・暴力・暴言に関わる処分件数は5件、わいせつ事案が1件の計6件となっております。
 県教育委員会としましては、これまでも綱紀保持の通知、各種会議での注意喚起など不祥事防止に向けたさまざまな取り組みを行ってきたところですが、一部の教職員においてコンプライアンス意識が十分に浸透していないと言わざるを得ないと認識してございます。
 現在策定を進めている再発防止「岩手モデル」では、策定委員会での検討を踏まえ、例えば、児童生徒の人権を尊重した指導を行う旨の宣言書を教職員に提出してもらう。不適切な指導根絶にかかる目標・取り組み方針を、学校経営計画の重点目標に示すことなどに取り組むこととしてございます。また、県教育委員会事務局に新たに服務管理監を設置し、教職員の不適切な指導等についての相談受付や事実確認、処分等に迅速に対応するほか、県教育委員会や学校における本モデルの推進状況や事案の対応状況について、外部専門家による点検を定期的に行うこととしてございます。
 「岩手モデル」を策定した後は、あらゆる機会を通じてモデルの取り組みの徹底を図りながら、不祥事を起こさない、起こさせない職場風土の醸成と教職員一人ひとりの意識改革に学校・教育委員会が一丸となって取り組んでまいります。

【斉藤議員】
 引き続き文教委員会でも取り上げていきたいと思います。

6.県立盛岡みたけ支援学校高等部の通学バス問題について

【斉藤議員】
 県立盛岡みたけ支援学校高等部の通学バス運行の要望が昨年5月22日、高等部進学を希望する保護者等によって教育長になされました。その時の教育長の回答は「一生懸命検討してまいります」ということで大いに期待していました。
 ところが今年の1月末になって、新年度からの通学バスは実施しないとの回答をいただき、保護者の皆さんは本当にがっかりしました。その理由は、高等部通学への通学が困難となるのは1名のみで就学奨励費を活用したタクシー利用で対応するとのことでした。このことを保護者に伝えると、通学バスの利用を要望しているのは1名のみではないとの声が寄せられました。盛岡みたけ支援学校の校長にもお会いして実態を聞きました。高等部の生徒の通学実態は、37名中21名が保護者の送迎、放課後デイサービス利用が3名で、65%を占めています。
 保護者の方々が独自に高等部での通学バスの要望を調査したら、新入生の保護者5名、在校生の保護者2名が通学バスの利用を希望していました。このことを踏まえて、2月9日、緊急に新学期からの高等部での通学バスの実現を求める教育長への再度の要請を行いました。
 教育長は、「これまで学校と県教委で相当程度検討してきたが、現時点でそのめどが立っていない」が、「検討は引き続き進めていきます」「我々は最善の努力は続けます」と答えられました。
 その後の検討状況と通学バスの見通しを示してください。「だれ一人取り残さない」―この立場で、新学期からの実現を求めますがいかがでしょうか。

【教育長】
 本年度、盛岡みたけ支援学校小学部・中学部の保護者有志の皆様から、市内青山に所在する高等部へのスクールバス運行に関する要請を2度いただきました。
 これまで、高等部の立地場所や公共交通機関の状況、生徒の通学環境なども踏まえ、学校と教育委員会において通学支援の方法等について検討を重ねてきましたが、バスの運行には対応する人員や学習時程、経費などさまざまな課題が認められました。
 そういった中で、障がいの程度や特性により、自力での通学が困難で、かつ過程の事情により保護者送迎が難しい中学部3年の生徒さんが1名おいででしたので、その通学を保障するため、令和6年度については個別の通学支援として、就学奨励費を活用しタクシー利用で対応することとしたものであります。
 今後も、これまでの検討経過や課題を踏まえつつ、他の事例なども参考にしながら、通学バスの運行を含め、通学支援のあり方について引き続き多角的・総合的に検討してまいりたいと考えてございます。

【斉藤議員】
 盛岡みたけ支援学校高等部は、37名中65%が保護者の送迎なんですよ。保護者がこれだけ送迎していたらまともに仕事ができないじゃないですか。来年度22名が進学するんです。次年度も同じ規模で入学者が増えていくんです。
バスに乗ることが教育なんですよ。一関清明支援学校は2台バスを運行しているじゃないですか。なぜこの保護者の切実な要望に応えられないのか。保護者にその責任を負わせるのか。それでいいんですか。来年度からの実施を最大限努力する、しているということでいいんですか。

【教育長】
 先ほど申し上げました通り、これまでの経過や課題を踏まえつつ、他の学校の状況なども参考にしながら、通学バスの運行を含め通学支援のあり方について検討してまいります。

【斉藤議員】
 来年度に向けてということでいいですね。首を振るか、うなずいてください。

【教育長】
 この場でいつからということは申し上げられませんが、真摯に検討しております。

【斉藤議員】
 特別支援学校の生徒にこそ教育のあり方が問われていると思うんです。さまざまなハンディキャップを抱えて、そして保護者も一緒になって苦労している。そういうところに温かい手を差し伸べる、これが教育じゃないでしょうか。ぜひ他の支援学校でやっているところがあるんだから、東支援学校でもやっているんだから。なぜみたけでやれないのか。そういう角度で決断をして、やるならどうすればいいか、すぐ解決しますよ。ぜひ検討していただきたい。

7.警察本部における不祥事と公安委員会の在り方について

【斉藤議員】
 次に警察本部における不祥事と公安委員会の在り方について質問します。
 2019年1月28日、盛岡市内の勤務先において、盛岡東署員の自殺事案が発生しました。当時22歳の交番に勤務する巡査でした。私はその直後の3月8日、2月県議会予算特別委員会で「若い警察官が所内で自殺した事件であり、パワハラ等がなかったのか、自殺の要因と背景を究明するよう」に質しました。
 結果的には、上司のパワハラと暴行によって自殺した事件であることが明らかになりました。遺族による労災認定の申請と公務災害が認定されました。損害賠償請求によって8310万円余の賠償を行う議案が昨年12月議会で議決された事件であります。
 改めてこの自殺事件の経過を調べてみると、警察本部の対応に重大な問題があることが明らかになりました。事件が発生した後、2019年の3月25日、警察本部は、上司であった元巡査部長を暴行罪で盛岡地方検察庁に事件送致するとともに、パワハラ行為によって「本部長注意」処分としました。この上司は処分後の3月末に辞職しています。なぜ、若い警察官が上司のパワハラと暴行によって自殺に追い込まれたのに、急いで処分にもならない「本部長注意」としたのでしょうか。結局辞職した上司に退職金を保障した甘すぎる、誤った対応ではなかったでしょうか。

【警察本部長】
 お尋ねは、調査が拙速すぎたのではないかというご指摘だと思います。
 当時の調査は、職場同僚、上司等の関係者から聴取、その他必要な調査をすべて実施した結果、判明した事実とも照らし、事実関係を特定したものでございます。その中で、当時の調査結果からは、パワハラが自死の一因であることは否定できないものの、自死の唯一の原因を特定できず、新たな事実も出ないことから、事案の内容および先例から適正に処分したものであります。
 必要十分な調査を行ったうえで、適切に処分しており、拙速とのご指摘は当たらないものと考えております。

【斉藤議員】
 県警本部から懲戒処分の指針というものをいただきました。セクシャルハラスメントまたはパワーハラスメントをすること、重大なものは「免職または停職」です。若い警察官がパワハラと暴力によって自殺した。精神を患って自殺した。重大事件じゃないですか。3月25日に本部長注意をやったときに、あなた方は暴力事件で盛岡地検に送検しているんですよ。パワハラも確認しているんですよ。なぜあわてて本部長注意などという中途半端な対応をしたんですか。あなた方の懲戒処分の指針から見たら、免職または停職じゃないですか。はっきり答えてください。

【警察本部長】
 懲戒処分の指針でございますけれども、たしかに懲戒処分の指針にはご指摘の通り書いてございます。ただ、事案の内容によっては、「指針に定める懲戒処分とは異なる処分を行うこと、懲戒処分とせずに、監督上の処置である訓戒等を行うこともあり得る」という記載がございます。
 その中で、今回の事案につきましては、この懲戒処分の決定につきましては、行為への動機、対応、職責の内容、こういったものを総合的に考慮しておりまして、憶測に基づき処分できるものではないということでございまして、今回のものにつきましては、まずその指導、パワハラと認定した指導でございますけれども、これは行為の動機として、業務上に関するものであること、つまりいじめや虐待の意図によるものではないことは認められました。ただし、その中で指導する理由があったものの、行き過ぎた指導であったということは認定をされましたので、そういったものを考慮した結果、本部長注意という処分にしたものでございます。
 なお、罰金刑が科されたというご指摘でございますが、刑事処分につきましては、検察庁のご判断であり、私どもがお答えする立場にはございませんし、刑事処分と懲戒処分というのは連動するものではございませんので、今回のような結果となったものでございます。

【斉藤議員】
 県警本部長の答弁誰も納得しませんよ。22歳の若い警察官が上司のパワハラ・暴力によって自殺に追い込まれた事件です。それがなぜ本部長注意なんですか。もっと徹底した調査をすべきじゃないですか。だから遺族は公務労災の申請をした。損害賠償請求までした。8300万円払っているんですよ。それが本部長注意で済むと思いますか。そんな調査しかできなかったら、県警の調査はどの事件だってできないですよ。反省すべきです。
そこで、公安委員会にどのようにこの事件について報告してきたのか、公安委員長に質問します。上司によるパワハラ・暴行によって若い警察官が自殺に追い込まれた事件について公安委員会ではどう協議がなされたのでしょうか。若い警察官の命が奪われる重大な事件にもかかわらず、懲戒処分にもならない本部長注意で良しとしたのでしょうか。警察本部にどのような指導をしたのかお聞きします。

【公安委員長】
 まず、答弁に先立ちまして、本県の警察官が上司のパワーハラスメントを受け、自ら命を絶ってしまったことにつきましては、公安委員会としてきわめて重く受け止めているところでございます。お亡くなりになられた警察官のご冥福をお祈りし、ご遺族に対しまして慎んでお悔やみを申し上げます。
 公安委員会としてどのように協議がなされてきたのかにつきましては、警察本部からの報告に対し、自死原因究明の調査方法、職員の指導方法、再発防止対策などについて協議がなされたと承知しております。
 本部長注意で良しとしたのかということにつきましては、当時の詳細な調査に基づき認定された事実から対処したものと報告を受けており、措置は適正であったものと承知しております。

【斉藤議員】
 公安委員会というのは、市民の立場、市民の目線で警察を管理・指導するんですよ。全然市民の目線じゃない。それだったら公安委員会は県警の言いなりですよ。詳細な調査をしたというけれど、3月25日の事件の直後、暴力事件で盛岡地検に送付して、パワハラで処分しているんですよ。1人死んでいるときに。本部長注意はあり得ないでしょう。市民の感覚ではあり得ないですよ。
 先ほど不来方高校の自死事件を取り上げました。顧問教諭による暴力・暴言でした。追い詰められて亡くなった。詳細な調査をして、処分に時間はかかったけれども「免職処分」です。当たり前でしょう。それを詳細な調査にもならないでたらめな調査で、間違った処分をしたと私は思いますよ。今の公安委員会の答弁を県民が聞いたらがっくりきます。これが岩手の公安委員会なのかと。この事件は徹底して検証すべきだと思います。いかがですか。これで済まないと思いますよ。

【警察本部長】
 徹底した調査をというご指摘でございますが、まず、本件事案は、交番またはパトカー内という限られた空間の中で発生したものでございます。したがって、関係者も限定されることから、2ヶ月で十分な調査を行ったと認識をしております。
 前回答弁させていただいたと思いますけれども、聴取した関係者は10名おりまして、その内容がほぼ一致をしたということで、事実の特定に至ったということを申し添えさせていただきます。

【斉藤議員】
 何度も繰り返すつもりはけれども、公務災害認定になって、パワハラ・暴力によって精神疾患を発症して、1月28日に自殺に至ったという事件です。あなた方はこれを認定していますね。これが本部長注意になりますか。ならないでしょう。
 この事件は徹底して今からでも検証すべきだ。8310万円の県民の税金が損害賠償で払われているんですよ。その責任を自覚していますか。その首謀者が本部長注意で退職金がっぽりもらって辞めているんです。こんなのは県民許さないと思います。検証すべきだと思いますがいかがですか。

【警察本部長】
 本件につきましては、最初に申し上げましたが、しっかりと調査を行い、その結果、判明した事実に基づき、当時の基準で処分をしたものでございます。
 そしてその後、やはりこのような悲しい事案を二度と発生させていけないということで、県警本部全体といたしまして、さまざまなパワーハラスメント防止対策を講じてきているところでございます。

【斉藤議員】
 3月25日に本部長注意をやってから、公務災害認定され、損害賠償請求されて8310万円支払うことになったんです。本部長注意で済むような事件だったんですかと聞いているんですよ。違うでしょうと。
 最後、公安委員会に聞きましょう。これは不来方高校と同じように、きちんと検証すべきだと。なぜこういうことになったのか。公安委員会に聞いてこの問題を終わります。

【公安委員長】
 もちろん公安委員会としても重く受け止めていることは事実です。日頃からいろいろな、自死に至らないまでも、警察官の不祥事というのは生じておりますので、それらも含めまして今後警察本部と公安委員会できちんと議論していきたいと思っております。

8.自民党のパーティー券・裏金事件と金権腐敗政治一掃の課題について

【斉藤議員】
 自民党のパーティー券・裏金事件について質問します。
 「しんぶん赤旗」日曜版のスクープに端を発した自民党の政治資金パーティーをめぐる巨額の裏金問題に、国民の深い批判と怒りが沸き起こっています。今回の事態は、自民党の主要派閥がそろって、政治資金パーティーにおける政治資金収支報告書を偽造していたという自民党ぐるみの組織的犯罪であります。
 自民党の自主申告による極めて不十分な調査結果でも、85人の議員がキックバック・中抜き等の裏金を保有・使用していました。5年間分だけで5億7949万円に及びます。何の目的で、何に使われたのかは全く不明であります。安倍派の場合は、2019年、2022年の参院選の年には、パーティー券収入の全額がキックバックされていたことが明らかになっています。これは、選挙で裏金として使われたということではないでしょうか。公職選挙法違反となります。脱税の疑いも指摘されています。
 すでに、3人の国会議員と安倍派、二階派、岸田派の会計責任者が政治資金規正法違反で起訴されました。略式起訴についてはすべて有罪が確定しています。徹底した真相の解明なしに裏金問題は解決できません。
 また、パーティー券は1枚2万円、飲食のないパーティーでも企業や団体は数枚から数十枚購入しています。事実上の企業団体献金であります。自民党ぐるみの組織的犯罪事件の真相究明とパーティー券を含めた企業団体献金の禁止こそ、金権腐敗政治を一掃する根本問題だと考えます。達増知事の見解を伺います。

【達増知事】
 まず問われるべきは、問題になっている特定の団体や特定の個人が行ったことについて、事実関係を明らかにすることであり、岩手県議会12月定例会で可決された「政治資金規正法違反疑惑の徹底解明を求める意見書」においても疑惑の徹底解明を求めています。また今般の問題は、きわめて特殊な事案であり、一般の政治団体や一般の政治家には見られない特有の行動を、特定の団体や特定の個人が行ったものであります。
 企業・団体献金は、自由な政治活動という面もありますが、財力により政治を歪ませるおそれがあります。自民党のパーティー券裏金問題については、議員ご指摘のように、選挙で裏金として使われたとすれば、我が国の国政選挙および地方選挙の正当性を覆すような大問題であります。
 今般の事案の規模の大きさ、期間の長さ、選挙を含む政治に与える影響の深刻さ、そして世論調査にも現れているような国民の政治不信の甚大さを鑑みれば、自民党や自民党に関連する政治団体は、この際、法が定める以上の制限を自らに課し、今後企業・団体献金は受けないとすることが日本政治の浄化につながるのではないかと考えます。

【斉藤議員】
 岩手県議会は、知事が紹介されたように、徹底解明を求める意見書を採択をいたしました。
 私は、自民党岩手県連も本部に対して声をあげるぐらいのことをやるべきだと、一言言っておきます。

9.自民党岩手県連の政治資金パーティー開催と政治資金報告書偽造疑惑について

【斉藤議員】
 自民党岩手県連の政治資金収支報告書に重大な偽造の疑いを指摘いたします。
 2022年4月16日、自民党岩手県連は盛岡市内で政治資金パーティーを開催しました。パーティー券収入は1872万円、購入者数は936人と報告されています。これは購入者一人が1枚購入したということになっています。しかし同じ報告書の中には、日本住宅(株)が15枚30万円、日本都市開発(株)も15枚30万円購入したとされています。岩手県薬剤師連盟はパーティー券3枚6万円を購入し、全国たばこ耕作者政治連盟岩手県支部は7枚14万円購入したと報告しています。936人というパーティー券の購入者数は偽造された虚偽の数ではないでしょうか。
 さらに、22年のパーティー会場は「ホテルメトロポリタン盛岡ニューウイング」と書かれているものの、会場費の支払先は「(株)岩手ホテルアンドリゾート」と記載されています。あまりにもずさんな報告書ではないでしょうか。
 私の一般質問項目通告の後で、2月21日、自民党岩手県連は、2022年、2020年の政治資金報告書の修正申告を行いました。パーティー券購入者数が22年は936人から746人に190人減りました。20年は948人から792人に修正されました。
 これは、自ら虚偽報告を行ってきたことを自白する、認めるものではないでしょうか。選挙管理委員長はこの修正申告をどう受け止めているでしょうか。
 政治資金規正法は、「政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにする」ため、政治資金の流れを透明化し、「民主政治の健全な発達に寄与する」ことを目的とすると明記されています。政治資金収支報告書の虚偽記載については、5年以下の禁固または100万円以下の罰金とされています。
 選挙管理委員長に質問します。政治資金報告書の虚偽記載は、政治資金規正法違反に当たるのではないでしょうか。罰則の対象ともなるのではないでしょうか。

【選挙管理委員長】
 まず、斉藤議員をはじめ、議員の皆様には昨年の県会議員の選挙におきまして、県選管の選挙事務にご協力をいただいたことについて、選管を代表して感謝いたします。
 修正申告につきましては、実は経緯がありまして、斉藤議員自ら「間違っているのではないか」ということを発見されたというところが端緒になっております。
 昨年12月26日、斉藤議員がこの収支報告書を確認されて、ホテルの名前であるとか対価の支払いをした者の数がおかしいのではないかということを指摘され、それを受けて選管では、自由民主党岩手県支部連合会より、パーティーの対価の支払いをした者の数え方、カウントについて照会がありました。そしてそれについて選管の方から回答いたしました。それに基づいて選管の方で、この政治資金パーティーの会場であるとか収支報告書の誤りがあるかどうかについて確認するように連絡をいたしました。2月13日にその収支報告書を「訂正したい」と連絡があって、21日に訂正の提出があり、22日に県選管は変更されたデータの公表を行ったという経緯です。
 選挙管理委員会は、どういう権限があるかということについてですけれども、収支報告書に関する県選管に与えられている権限というのは、法の31条に定められております。これによると、届出書類報告書や添付書類の形式上の不備、あるいは記載漏れなど、不十分なことについて審査する形式的な審査権となっており、個別具体的な事実に対する調査権は与えられておりません。この形式的な審査をして、もしこれに気づいた場合は、説明を求めたり、訂正を命ずることができるとされています。先ほどお話しした経緯からすると、斉藤議員からの指摘を受けて、一応説明を求めると、確認を求めるという段階だったと思います。それについて先ほどの経緯の通り「訂正」ということが行われました。
 言うまでもなく、政治資金収支報告書につきましては、法の規定に則り事実に基づいて報告が行われるべきであるということは、あまりにも明らかです。県選管としては、この政治資金規正法に基づいて、提出された収支報告書を受理し公表するという立場で、今回の場合は相手方から訂正の申し出がありましたので、それについても形式的な審査を行ったうえ、速やかに公表を行ったということであります。
 ただし、先ほど言いましたように、個別具体的な事実関係について調査権限はありませんので、最初の収支報告書に記載があった人数であるとか、パーティーの会場であるとか、これはそのまま速やかに公表を行ったということでありまして、修正申告をどう受け止めているかということについては、いま言った経緯でもって、どう受け止めているかと聞かれましても、お答えはないかなと思います。
 選管としては、とにかく事実に基づいてきちんと報告していただきたいという立場であります。
 次に、虚偽記載について、罰則の対象になるのではないかというご質問です。まず法律ですけれども、罰則については、法第25条の次の各号の1つに該当するものは、「5年以下の禁固または100万円以下の罰金」ということで、この第1項第3号の方に「第12条1項もしくは第17条第1項の報告書またはこれにあわせて提出すべき書面に虚偽の記入」をしたものということが書かれています。選管の委員長として言うべき立場ではありませんが、虚偽の記入という点で、これは明らかに故意犯ですね。故意に虚偽の記載を行ったということになりまして、もしそれが警察や検察の捜査によってそうだとなれば、それはまた罰則の対象になるということでしょうけれども、選管の立場におきましては、それが故意に虚偽であったかどうかということについて調査する権限はございませんので、これについては選管の委員長としてもお答えすることではないかなと思います。

【斉藤議員】
 いずれにしても、自民党岩手県連が2年後4年後に修正申告をしたと。それで罪が免れるということではないと思うんです。虚偽報告した事実は逆に確認をされたということだと思います。2年前も4年前も、購入者数は1人1枚のパーティー券を買ったという、きわめて機械的な報告なんですよ。本当にでたらめに報告している。会場が違っていたなんていう、それほどずさんな報告だったと。これは政治資金規正法に明確に違反しますよ。
 あわせて指摘しておきたいのは、22年4月のパーティーは、コロナ禍で飲食なしのパーティーでした。1枚2万円は変わらず、会場費は133万円余となっています。20年に開催した自民党県連のパーティーは飲食有りでした。このときの会場費は153万円余でした。ホテルの会場使用料を見ると最大66万円です。22年の会場費はあまりにも過大ではないのか。これはきちんと釈明をしていただきたい。
 もう1つは、22年のパーティー券、1872万円の収入でしたが、開催経費が381万円となっていました。しかし中身を見ると、このうち165万円は県内支部にキックバックされている。還付金です。これは開催経費にあたらない。岩手県連でもおそらくパーティー券収入に応じたキックバックがされているんじゃないかと思われる事態であります。そうしますと22年は利益率88%。88%は丸々自民党岩手県連の収入になった。こういう企業・団体献金というのは本当に許されない。
 22年の政治資金報告書の会計責任者は現職の県議会議員です。私は議会中にぜひ釈明をするように求めて終わります。
 ありがとうございました。