2024年2月29日 文教委員会
教育委員会の議案等に対する質疑
(大要)


・退職手当の増額について

【斉藤委員】
 予算説明の190ページ、教職員人事費で、退職手当が12億5400万円余増額補正と。退職者が想定より増えたということではないかと思いますけれども、退職者数の見込み、今年度退職した方々の年齢・年代はどうなっているか示してください。

【教職員課総括課長】
 退職手当の当初予算額は、過去の実績をもとに積算しました。今年度の予算額は、新たな定年引き上げによる影響も考慮する必要がありましたことから、定年引き上げ対象となる職員に意向調査を行い、その結果を踏まえ、2月補正をする前提でやや堅めに積算していたものでございます。ちなみに当初予算額は、令和4年度当初ベースですと127億円余でございますが、令和5年度は55億円余、2月補正ベースでは最終的に令和4年度は171億円余が68億円余となってございます。
 増額補正の主なものでございますけれども、いわゆる60歳で定年延長せずにお辞めになる方が、前年度に意向調査したときよりも31人増えたということが一番大きな理由でございまして、その他59歳以下の勧奨退職される方、あとは普通退職の見込み、これは過去3年間の平均等で積算をしていますが、それが実績として増える見込みだということで増額補正したものでございます。
 59歳未満の年代で申しますと、普通退職の方71人ということで報告させていただきますが、50代9人、40代10人、30代23人、20代29人となっております。なお、これには勧奨退職の数字は入っておりませんので、勧奨退職はこれに加えまして85人となっており、これはおおむね50代の方が対象になっております。

【斉藤委員】
 定年が移行されるということで、働きがいがあればだいたい移行するんだと思うんです。移行しないで退職したというのは、見込み調査より+31人とありましたが、実数ではどうですか。60歳で退職される数は分かりますか。

【教職員課総括課長】
 教員の数で申しますと、小中学校で145人、県立学校で24人と整理しています。

【斉藤委員】
 先ほど年代を聞いて、20代が29人、30代が23人ということで、普通退職では若手の方が多いんですね。この20代30代をどう育てるかという課題があるんじゃないかと思いますが、普通退職71人のうち20代30代で52人、これはどのように受け止めていますか。

【教職員課総括課長】
 個々の理由は詳細までは把握しておりませんが、他県で採用されたとか、地元にUターンするとか、結婚でお辞めになる方が毎年一定程度いらっしゃると。高齢層では、家庭の事情―家族の転勤とか看病と聞いています。
 いずれ、長く岩手県の教職として勤めていただけることが、豊かな経験・知識をどんどん活用していただく観点からも非常に望ましいことと思っており、働き方改革等を含めて働きやすい職場環境づくりに引き続き努めていきたいと思います。

【斉藤委員】
 これは働き方改革プランのところでも取り上げたいと思っております。

・特別支援学校管理運営費の減額について

【斉藤委員】
 特別支援学校費の管理運営費が4億5400万円余の減額なんですね。これは小中高と比べても特別支援学校の管理運営費の減額は大きいんですが、この理由は何ですか。

【教職員課総括課長】
 毎年度給与費については、5月1日時点の児童生徒数の確定した基礎定数・加配定数と当初予算の算定値、前年の10月に見込んだ数字等の差で教職員数を再算定しておりまして、教職員が下回ったものと思っており、また、年度途中の産休や病休等に迅速に対応できるように、少し余剰を積んでおりますが、そういった経費でございます。
 特別支援学校については、当初の見込みよりも50人教職員数が実績として下回ったということであり、主な理由ですが、産休等の補充として見込んでいたものが予定より17人少なかったということと、再任用の方が17人見込みよりも下回ったということが大きな要因でございます。

【斉藤委員】
 50人見込みよりも下回ったということは、必要な教員を確保できなかったということですね。

【県立学校人事課長】
 確保できなかったということではなく、今の説明の通り、産育休を取る人がまず少なかったので、その代替の部分が予定よりも不要になったということでございます。
 特別支援学校については、人数の変動が年度末で決まらないものですから、高校よりも多く見積もっておりますので、他の校種よりも多く教員数は見積もっているというのが大きな理由となりますので、特に足りなかったということではございません。

【斉藤委員】
 特別支援教育課長に聞きます。本当ですか。

【特別支援教育課長】
 各特別支援学校の教員のところですけれども、それぞれの学級配置のところは、それぞれ学級に教員を配置のうえ、教員、常勤講師、非常勤講師を含め配置のうえで、日々の教育活動を進めているところです。

・タブレット端末の保護者負担について

【斉藤委員】
 公立学校情報機器整備基金積立金と基金条例がセットで、7億1400万円余を積み立てると。これは1回だけなのか、2回ぐらいの積み立て、3回ということになるのか。おそらくこれは整備してから小中の5年後ということになるんでしょうか。総額いくら積み立てが必要になってくるのか示してください。

【教育企画室長】
 公立学校情報機器整備基金ですが、委員ご紹介の通り、これはギガスクール構想に整備されました、県内の公立小中学校の1人1台端末等に要する経費でございます。今回補正で計上させていただきました7億1000万円余は、今年度文科省から交付される見込みとなっている基金予定額の一部となっております。
 現在、端末の整備見通し調査をかけておりまして、それに基づき来年度以降も2回目の追加交付をされる予定でございます。そのための経費については、その調査もってということになりますので、お答えできる数字は持ち合わせておりません。

【斉藤委員】
 小中学校では、全生徒分、これはコロナ対策も含めて整備されたわけですよね。その総額は分かりますか。

【教育企画室長】
 小中学校におきましては、それぞれ設置者であります市町村教委において整備したものであり、現時点で数字は持ち合わせておりません。

【斉藤委員】
 いずれそれなりの額を積み立てて、県が積み立てて市町村に交付するということになるわけですね。
 それで、今までは小中学校だけでなくて県立学校も整備してきたと思います。県立学校でどれだけのタブレットを整備してきたのか示してください。

【教育企画室長】
 県立高校におきましては、令和2年度・3年度の補正予算を組ませていただきまして、3回ほどに分けて購入しております。トータル15980台整備しているところでございます。

【斉藤委員】
 県立学校の場合は、約21000人ということですから、15980台というのは3分の2ぐらいということになるでしょうか。残念ながら県立学校の場合には全員分にならなかった。それでも3分の2は確保されたと。
 しかし今年度来年度、岩手県は基本的には保護者が新しいものを買ってくださいということなんです。これは大変な負担になると思います。今年度県が奨励したタブレット1台はいくらなのか。来年度はどのぐらいになるのか示してください。

【教育企画室長】
 将来的には、生徒個人で準備していただいて、それを学校に持ち込んでいただくような「BYOD」という形を進めていきたいと考えておりまして、3年前からその方向性を今後県立学校に入学する生徒に周知をしてきたところでございます。
 その関連で、令和5年度の新入生からは、このような端末を県立学校では使うので、もしよければこのような端末を準備していただきたいという「推奨端末」をお知らせするとともに、もし可能であればこちらのECサイトをというご紹介もしております。今回そのECサイトで購入した1年生でございますが、538名となっております。
 1台あたり、令和5年度の新入生は、65000円でございます。そして令和6年4月入学する生徒に対しましては、75000円になる見込みでございます。

【斉藤委員】
 これが来年度入学する生徒・保護者に伝わっているチラシで、「令和6年度入学生から、原則として各家庭に端末の準備をお願いすることとしました」と。但し書きがあって、「なお準備が難しいご家庭の生徒に対しては、公費で整備した端末を貸し出します」と書いてあるんですね。しかしこれは来年度入学から「原則として各家庭で準備をお願いする」と。本当にこれでいいのか。
 いま物価高騰で、それでなくても実質賃金が低下して、本当に大変厳しい状況です。特に日本というのは、教育費の負担というのが大きい。文科省の令和4年12月の学習費調査で、小学校の場合年間で35万2566円、中学校53万8799円、公立高校51万2971円。それぐらいかかっている。これにタブレット、来年度は岩手県が奨励するものでさえ75000円かかる。これは安易にこのように保護者負担を押し付けていいのか。そもそも学習費が高いと大問題になって、いま給食費無償にしようという動きが一方で広がっていますが、この負担増は耐えがたい負担になるのではないか。
 いま高校に15980台あるわけです。これを積極的に活用すべきだと。これだけ台数ありますということをもっと丁寧にやらないと、本当に低所得者・貧困家庭は高校に入れないということになるのではないか。そういうことをどのぐらい検討したのか。
 他県できちんと県立高校まで配備しているところはあるんじゃないでしょうか。

【教育企画室長】
 高等学校におけるタブレットの整備、負担の状況でございますが、文科省の調査で、高等学校における学習用コンピューターの整備状況についてというのが行われ、令和5年度当初の状況としては、学校の設置者負担を原則としているのが25自治体、保護者負担を原則としているのが22自治体となっております。
 本県においては、ほぼ都道府県ということで始めさせていただいておりますが、現在ICTの活用、デジタルの活用が進みまして、日常生活でもかなりの数を持っている生徒が多くなっております。県の調査では、だいたい3割は高校生が自分自身のタブレットやパソコンを持ってきている状況、また、その卒業後なども進学先においても使う方が多くなってきていると。そして日常生活、学びにおいてもICT活用が進むということで、ご自身で持っていただく、そしてそれを学びに使っていくということがより効果的だと考えまして、保護者の方にはご負担をお願いする面はありますが、BYODという方式を取り入れようと考えているところでございます。

【斉藤委員】
 いま答弁あったように、設置者負担が25自治体、保護者負担は22自治体です。設置者負担の方が多数なんです。こういう中で、本当に「誰ひとり取り残さない」という県政を進めている教育委員会が、安易に保護者負担を求めるというのは大問題だと思います。
 いま答弁で「3割ぐらいがタブレットを持っている」と。持っている人はいいんです。あとの3分の2はあるんだから、学校のタブレットを活用できますとやったらいいじゃないですか。
 設置者負担が25自治体あるんだったら、岩手県だって設置者負担したっておかしくない。3分の2はあるのに、ほとんどの新入生に購入してください、75000円負担してくださいというのは、本当に生徒・保護者の生活実態を顧みない横暴なやり方ではないのかと思いますが、これは本当に真剣に議論したのか。いまの学習費は公立で年間51万円を超えるという中で、2割近くも負担を増やすようなやり方はいかがなものか。
 低所得者層に対する対策は、但し書きを少し書いただけなんですよ。あるものを活用すると。最低限そのぐらいのことはもっと鮮明に打ち出されるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

【教育長】
 令和6年度からの端末の原則購入、BYODの導入ということについてですが、この仕組みは、小中学校も含めてギガスクール構想が進む中で、県立高校はどうするのかという議論が令和3年度頃から教育委員会としても真剣に議論してまいりまして、このBYODの仕組みを導入しようということで、令和4年度の新入生からこれまで試行、推奨ということで取り組んできまして、4年度5年度、そして来年度の入学生から本格導入しましょうということで、その都度、年度年度チラシを作成して保護者へお示ししてきたということでございまして、すでに整備した15000台ほどにつきましては、今度の2年生3年生にしっかり活用していただくことと、さらに来年度新入学生で用意できない方には「しっかりあります」ということもお伝えしながら、保護者のご心配ご不安を少しでもなくせるように、引き続き周知は図ってまいりたいと思います。
 いずれ自分のものを用意することのメリットも大きいところもありまして、先ほど室長からありましたが、自分のものを用意することのメリット、用意できない分についてはしっかり「すでに県で用意したものを貸与します」ということをPRしてまいりたいと思います。

【斉藤委員】
 今あるものを貸与すればいいんですよ。学校だけで使わないで。県議会だってタブレットを貸与して使っているんです。
 そして全国で25都道府県が設置者負担にしているのだから。本当に今の低所得者にしっかり心を寄せて、安易に教育費の負担を増やすことはやめるべきだ。誰ひとり経済的な心配なく受けられるという条件整備をすることこそが教育行政の仕事だと思います。
 私のところにも保護者から切実な声が寄せられています。だいたいこのチラシを見たら、「みんな買ってください」というチラシです。そうでなくて、持っている人はいいですよと。無い人はちゃんと準備していますよと、もっとリアリズムでやらないといけない。このチラシは、例外的に買えない人は公費で整備した端末を貸し出しますというものです。これだったら無理して買ってしまう。そういうチラシになっているということをよく見て、そうでなくても本当に生活が苦しい中なので、改めてその周知を徹底していただきたい。
 そして今後のあり方としては、全国の多数派が設置者負担なんだから、そのことも踏まえてあり方も考える必要があるのではないか。

【教育長】
 繰り返しの部分もございますが、15000台用意した分については、いずれ3分の2である2年生3年生を中心に貸与いたします。それプラス新1年生で購入できない方についてはしっかり対応してまいります。周知については、不安を持って高校生活に入ることのないよう、そこは引き続き徹底して対応してまいりたいと思います。