2024年3月5日 予算特別委員会
総務部に対する質疑
(大要)


・庁舎内における政党機関紙の購読について

【斉藤委員】
 政党機関紙の問題がありましたが、一般論でお話しておきますけれども、総務委員会でもそういう質問があったというのを聞きました。政党機関紙の購読は、個人が自らの意思で購読しているものでありますから、誰が購読しているか、していないか、そういう調査をしたらまさに思想信条の自由を侵害するものになると。このことは率直に指摘をしておきたいと思います。
 もう1つ、いま全国的な動きにあるのは、統一協会が全国の規模で、政党機関紙の購読問題の調査を求める陳情を出しています。岩手県議会にも2月に出されました。いま反社会的な集団で、解散命令まで出されて、審議されているところから、同趣旨のものが出ているということも、軌を一にした動きだということは率直に指摘をしておきます。

・「失われた30年」と県職員の賃金、労働条件、超過勤務の状況について

【斉藤委員】
 歴代自民党政権のもとで「失われた30年」、賃金が上がらない国、経済が成長しない国ということになりました。ピーク時と比べて労働者の実質賃金は74万円も下がった。県職員の場合は、このピーク時と比べて賃金はどれだけ下がったのかを示してください。

【人事課総括課長】
 40歳の主査級の職員を例に、年収ベースでもっとも水準の高かった平成11年度の改定前の給与額と現時点での給与額を比較しますと、年収額で約76万円の減となっているものでございます。

【斉藤委員】
 いまの76万円というのは名目賃金ですよね。おそらく実質賃金で比べたら、物価がかなり上がっているので、もっと大きな差になるのではないかというのは指摘をしておきますが、名目でも76万円の県職員の給与が下がっていると。これが「失われた30年」、県職員の実態だということを率直に指摘をしておきたいと思います。
 コロナ対応によって、今年度も保健師は10人増員した体制で取り組まれました。看護職員も19人増員して令和5年度は取り組まれたと。5月8日に5類の移行ということがありましたけれども、私はこれを契機に、保健所の体制をしっかり拡充・強化すべきだと思いますが、来年度の保健所を中心にした体制の強化はどう図られるのか示していただきたい。

【人事課総括課長】
 これまで新型コロナ対策にあたるため、保健師10名を各保健所に対して追加配置をしてきたところでございます。5類移行後、関連の業務は縮小している一方、新たな感染症への備えなど、健康危機管理体制の強化を図るため、保健師の役割は引き続き重要であると認識してございます。
 こうしたことから来年度においては、コロナ対応により追加配置した保健師を、精神通報対応など体制強化が必要な保健所に再配置するほか、県北・沿岸地域の小規模自治体からの要請に応じて派遣する方向で現在調整を進めているところでございます。
 さらに来年度は、本庁の健康国保課に保健推進課長を新設いたしまして、動員した保健師の保健活動の総合調整や技術面での指導など、組織横断的なマネジメントの充実を図り、地域保健の推進体制を強化することとしております。

【斉藤委員】
 今回の増員分をそうして全県的な体制の強化に結びつけるということを高く評価したいと思います。
 それで昨年度の県職員の超過勤務、80時間・100時間を超える超過勤務の実態はどうなっているか。その改善にどう取り組まれているか示してください。

【人事課総括課長】
 令和5年4月から令和6年1月までの一人当たり月平均超過勤務時間数の速報値においては、全庁で13.5時間となっており、前年度同期の15.9時間から2.9時間の減となっております。
 今年度の全庁で月80時間以上の超過勤務を行った職員は158名であり、前年度同期の230名から72名の減となっているところでございます。月100時間以上で見ますと62名で、前年度同期の129名から67名の減となっているところでございます。
 こうした形で超過勤務自体は減る傾向にはございますが、依然として超過勤務ございますので、我々としては引き続き所属長における事前事後の確認ですとか業務の平準化などを行いまして、超過勤務の縮減にあたってまいりたいと考えてございます。

【斉藤委員】
 80時間100時間を超える超過勤務の実態、減少していることは評価をしたい。しかし80時間100時間というのは過労死ラインと言われますから、必ず改善をさせる課題なんだと思うんです。鳥インフルだとか、コロナの場合はずっと続いて、今も第10波なので、これからどう推移するか専門家もいろいろ意見が分かれていますが、そういう意味ではまだまだ体制が必要だと思いますけれども、しっかりそういう状況に対応して超過勤務の縮減に取り組んでいただきたい。

・会計年度任用職員の待遇改善について

【斉藤委員】
 会計年度任用職員の制度が実施されて丸4年となりました。正職員と会計年度任用職員の実態、先ほど示されましたが、4人に1人と。この会計年度任用職員の比率が高すぎるんじゃないのかと。本来正規で配置すべきものを会計年度任用職員にしているのではないかと思われますが、4人に1人が会計年度任用職員という現状をどう受け止めているか。また、フルタイム、パートタイムの状況、比率、男女比はどうなっているか示してください。

【人事課総括課長】
 任用数のところでございますが、知事部局における令和5年5月1日時点の実人員で申し上げますと1434人となっており、一般職員の総数5723人のうち会計年度任用職員の占める割合は4分の1ということでございます。多いか少ないかといったところにつきましては、なかなか比較が難しいところではございますが、いずれ業務の運営につきましては、任期の定めのない職員で行うというのは原則でございますけれども、我々としても必要数については随時見直し、精査をしてまいりたいと考えてございます。
 令和6年度当初予算上の会計年度任用職員の職員数は1394人、全体に占める割合も同じく約4分の1ということでございます。
 フルタイム、パートタイム別、男女別の人数ですが、来年度につきましては任用手続きの途上であるため、今年度の実人員で申し上げますと、フルタイムが41人で約3%、パートタイムが1393人で約97%でございます。男性が42.2%、女性が57.8%でございます。

【斉藤委員】
 いまの答弁を聞いて、会計年度任用職員の男性の比率が全国と比べても高いんですね。全国的には8割が女性なんですよ。岩手の場合は、男女で生活は支えているんですが、男性が42.2%を占めるというのは岩手県的な特徴だと思います。それだけに、この待遇が問われていると思います。
 これまで継続して任用されてきた職員数はどうなっているか。会計年度任用職員の賃金、年収別職員数、経験年数別職員数について示してください。

【人事課総括課長】
 令和6年度の任用の確定は今後になりますので今年度の状況で申し上げますと、令和5年5月1日時点で知事部局において任用した職員1434人のうち、令和4年度から引き続いている方が約88.1%の1263人、さかのぼって令和3年度からで見ますと80.8%の1158人、令和2年度からで見ますと73.4%の1053人となっております。
 会計年度任用職員の職種、勤務形態は多種多様でございますので、体系的に分析することが一部難しいところもございますが、高校卒業後そのまま県に任用された職員の場合、フルタイムで月額約16万円、年収ベースで約270万円、週30時間のパートタイムで見ますと月額約13万円、年収で約210万円となっているところでございます。
 令和5年度において、一般行政職に相当する会計年度任用職員は1051人おりますが、そのうち約99.5%を占める社会人経験が6年以上の職員の方で見ますと、フルタイムで月額約20万円、年収ベースで約330万円、週30時間のパートタイムで見ますと月額15万円、年収約250万円となっているところでございます。

【斉藤委員】
 今年度は、週30時間のパートタイムで見ると月額約12万円、年収170万円でありました。これが来年度、賃上げもあって勤勉手当も出るということで、パートタイムで252万円余と、これは7年勤務ということになるんですけれども、来年度はかなり改善をされると。今年度までは200万円を切るワーキングプアだったんですね。しかし250万円になるといっても、それで生活を支えられるかといったら、とてもじゃないけれど支えられない。そういう賃金レベルです。
 例えば、正規で高卒7年目だと336万円になります。高卒の7年目と比べるともう本当に80万円ぐらいの差がついてしまうということになります。
 時給でいいますと、来年度は上がりますが1215円です。そういう意味でいけば、生活を支える賃金に上げていかないと、1年雇用で継続、いつ首切られるか分からない。結果的には、結構な比率で継続勤務は岩手はしていますが、しかし1年雇用なので保障はないんです。3年目には公募ということに制度がなって、一部の自治体では公募を止めているところもありますから、もう少し継続的に安心して働ける状況をつくることと、250万円くらいでは生活が支えられない。それこそいま人口減少・少子化問題になっていますけれども、一番の障害になっているのは低賃金なんです。とてもじゃないけど結婚する気になれない。最大の理由は生活の不安定なんです。県職員の4人に1人を占める会計年度任用職員がそれでいいのか。これは少子化にも逆行するんじゃないかと。思い切った改善を、継続雇用という点でも、賃金のレベルを上げるという点でも必要だと思いますけれども、いかがですか。

【人事課総括課長】
 会計年度任用職員の給与につきましては、一般職の職員との均衡なども見ているところでございます。また、一般職の給与の水準につきましては、均衡の原則もございまして、他県の状況でありますとか国の状況などを見ながら、適切に判断をしてきているところでございます。
 いずれ処遇を改善していくというスタンス、適切な処遇を確保するという点が非常に重要な点でございますので、我々としても今後周りの状況も踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 もう1つ、消費生活相談員の専門職員、この待遇が報酬月額15万9900円なんですね。週29時間ということになっているんだけれども、弁護士さんに聞いても本当に専門職で貴重な仕事をやっているにも関わらず、この程度の報酬月額になっていると。これでは貴重な人材を確保できないと思います。こうした専門職員は他の都道府県と比べてどうなのか。盛岡市と比べても大幅に低かったと記憶しているけれども、そこの比較は分かりますか。

【人事課総括課長】
 他との比較の資料が手元にございません。申し訳ございません。

・県税収入について

【斉藤委員】
 グリーン/ブルーボンドの実績が50億円、公募した途端に即日完売と。一方で、104件、300億円を超える公募があったと。大変大きな反響を呼んだと思います。表彰もされたようですけれども、即日完売なんですが、104件応募があって、どういう基準で50億円分完売したのか。これからの活用についてはどのように検討されるのか。
 法人事業税の推移と赤字で対象とならない中小企業数はどうなっているか。
 定額減税による個人県民税の減収、定額減税の対象となる人数、減税額の推定を示してください。

【財政課調査担当課長】
 グリーン/ブルーボンドの販売、50億円の発行に対して300億円の申し込みがあり、104件の投資表明を獲得するに至って、どういう形で選定したかという問いでございますけれども、基本的にはアロケーション=分配については、幹事を担当しております証券会社と打ち合わせをしながら、発行体としての方針を表明していくんですが、今回の場合は始めての発行ということもあり、県内の投資家さんに多く買っていただきたいということで、今回初めてお買い求めいただく投資家の皆さんも多かったということですけれども、この104件の7割ぐらいは県内のいわゆる諸法人といわれる大口ではない投資家です。そういった皆様にグリーン/ブルーボンドをお買い求めいただくことで、県内におけるGXの流れを加速化させていこうという意図で起債運営をしたところでございます。
【税務課総括課長】
 本県における法人事業税の税収について、令和4年度決算額は287億2328万5千円となっており、令和5年度最終予算額は277億9600万円、令和6年度当初予算額は264億9700万円と推移するものと見込んでおります。
 赤字で対象とならない中小企業数ですが、所得割が生じていない法人の状況でご説明しますと、直近の令和4年度で赤字法人数は11183者で法人全体の65%、うち資本金1億円以下の中小企業は11150者で、赤字法人の99.7%を占めており、過去5年ではほぼ同様の状況となってございます。
 次に、定額減税額については、総務省で公表している地方財政計画における全国の都道府県税分の減収見込額3252億円に、同省で公表している直近の人口推計である令和4年10月時点における本県の人口の割合を乗じまして、約30億4800万円と積算しております。定額減税の対象者数につきましては、個人住民税の所得割の税率から、県分としまして一人当たり4000円を減収額と見込み、定額減税の対象者を約76万8000人と積算しております。