2024年3月7日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑
(大要)


・第2次地球温暖化対策実行計画について

【斉藤委員】
 改定された第2次地球温暖化対策実行計画のために、第一に、県内各市町村の実行計画の策定状況、温室効果ガス排出量の削減目標はどうなっているでしょうか。

【グリーン社会推進課長】
 現在、実行計画の区域施策編を策定済みの市町村が10ございます。10の温室効果ガス排出量の削減目標は、一番高いのが久慈市の62%、県全体の57%を超える目標になっております。そのほか、一戸町57%、釜石市55%などとなっております。
 なお、半数の市町村については、国の目標と同じ46%となっております。

【斉藤委員】
 先日、特別委員会で宮古市に調査に行きまして、宮古市の目標は50%ということでした。県内では先進地域ですけれども、その中身を聞いたら、森林吸収率が入っていないと。ここが県の計画との違いなので、おそらくそれを入れれば県の目標と合致するのかなと受け止めてきました。いずれまだ10市町村ということになると、3分の1以下ですので、全市町村が足並みをそろえて地球温暖化対策に取り組むと。そして目標も、久慈市は大変積極的なんですけれども、積極的な目標を掲げないと、県の目標達成の裏付けが出てこないので、ぜひその点をしっかり市町村を援助しながら推進していただきたい。
 脱炭素化推進事業について、これまでの実績をうかがいますが、事業者への省エネ設備導入補助、県有施設の脱炭素化の実績と来年度の取り組みについて示してください。

【グリーン社会推進課長】
 事業者の省エネ設備導入補助ですが、LED照明や空調設備への補助でございます。令和3年度から始まりまして、令和3年度と4年度は実績が各35件、今年度の交付決定数は11件となっております。
 県有施設の脱炭素化に関しましては、今年度は合同庁舎など15カ所の省エネルギー診断を実施したところでございます。来年度予算としては、省エネ診断4カ所の費用に加え、太陽光発電の5施設分の設計費用、公用車のEV導入にともなう充電器8基分の整備費用を計上しているところでございます。

【斉藤委員】
 事業者向けの補助ですが、令和3年度と4年度が35件で、今年度は11件と。本来ならうなぎ上りにしなくてはいけないのに、なぜこれが伸びなかったのか。
 それから、EV等の導入補助の実績とその評価、来年度の見通しについても示してください。

【グリーン社会推進課長】
 省エネ設備導入補助ですが、令和5年度から補助対象設備の要件が若干変わりまして、それまでは主にLED照明が大きく影響しているんですけれども、それまでは省エネ診断を受けていただいて、そこで提案された照明であれば良いという設備でございました。令和5年度に関しては、財源の話で恐縮なんですけれども、国の交付金を財源として充てました。国の交付金を使って補助するということになると、照光機能=センサーで明るさが強くなったり弱くなったりするLEDだけが補助対象となっておりましたので、その影響が補助件数が減少した大きな要因ではないかと考えておりますが、そういったことも受けまして、来年度予算案では、同じ補助に関しまして、補助の上限額を引き上げるということで予定しているところでございます。
 EV等の普及促進事業の実績と見通しですが、EVバス・タクシーへの補助になりますけれども、今年度交付決定済みが、現在EVバス2件となっております。来年度当初予算案にも同事業を計上させていただいておりますが、バス・タクシーを含めて複数の事業者から活用したいという声はいただいておりますので、ぜひ運輸部門の脱炭素化に向けて活用していただけるように、さらに働きかけをしてまいります。

【斉藤委員】
 県有施設の太陽光発電の整備については、調査はしたわけですが、今後の太陽光発電の設置の具体的な計画はどうなっているでしょうか。

【グリーン社会推進課長】
 令和4年度に太陽光の調査をしました。その対象施設は40でございます。令和6年度の当初予算案では、県有施設のうち5カ所分の太陽光発電設備の設置に向けた設計費用を計上いたしました。まず第一弾ととらえていただければと思います。その後、年度末に向けた工程表を作成しておりますので、その中で調査対象だった40カ所を優先的に太陽光が導入できるような形で、工程表の作成に取り組んでいるところでございます。

【斉藤委員】
 やっと来年度5件実施設計ということで、なかなか階段を上る如きの動きだという感じがしますが、それこそ目玉の県民生活センターと総合福祉センターの合築は、知事も「太陽光発電の設置を検討する」と議会で答弁しましたが、これは入っているんでしょうか。

【グリーン社会推進課長】
 工程表を年度末までに作成いたしますので、それまでお待ちいただければと思っております。その段階で施設名については明らかにしたいと考えております。

【斉藤委員】
 そうすると来年度の5件には入っていないということですね。

【グリーン社会推進課長】
 失礼しました。来年度の設計費用には含んではおりません。

【斉藤委員】
 県民生活センターと総合福祉センターの合築は県が改築するので、今後のモデルになる施設にふさわしく整備すべきだと。立派なものをしっかりつくっていただきたい。
 省エネ性能の高い家電製品への転換ということで、県としての取り組みはありますか。

【グリーン社会推進課長】
 県としましては、いわてわんこ節電所のウェブサイトを通じて、「買い替えが消費電力を大幅に削減できるものです」といった普及啓発をやっております。
 また、家庭部門の脱炭素化については、住宅への太陽光発電やペレットストーブの導入補助など、より生活に身近な市町村において取り組まれることが多い一方で、県としては産業部門への補助を行うなど、ある程度の分担が見られることも県・市町村の推進会議で確認をしたところでございます。
 その後、各市町村においては、省エネ家電の買い替え促進事業も家庭向けの取り組みとして展開されたところでございますので、引き続き県・市町村が連携して家庭用の脱炭素を促進してまいります。

【斉藤委員】
 家庭部門での電力消費は、暖房より家電の方が多いんですね。本当にこれは軽視できない大事な課題だと。
 例えば奥州市や大船渡市とか宮古市、盛岡市もやっています。2月20日付の新聞報道で、奥州市が2月1日に申請を開始したら19日で2000万円の予算を突破して、423件の申請があったということでした。すごい需要があるなと。本当にこれを進めたら省エネにもなりますし、家庭の電気代の節約にもなるので、岩手県は事業者への補助ということでそれはそれで理解できますが、全県的な取り組みとしては大事な課題なので、よく全体の取り組みを把握して、わんこ節電所だけではなくやっていただきたい。

・大船渡市吉浜地区への太陽光発電計画について

【斉藤委員】
 吉浜地区における太陽光発電の県の環境アセスに関わる知事の意見書の内容を示してください。

【環境保全課総括課長】
 本事業につきましては、令和5年10月に開催された岩手県環境影響評価技術審査会におきまして、事業区域内の湿地に生育する希少動植物や、事業実施区域を飛翔するイヌワシへの影響などの課題が指摘されてございます。これらの課題解決に向け、方法書知事意見では、「事業実施区域周辺を十分に調査し、稀少な動植物に配慮した評価を行うことや、稀少猛禽類の利用状況や植生の変化等による影響も踏まえた調査」を求めております。
現在事業者におきましては、知事意見を勘案して、調査手法等を見直した上、環境影響の予測および評価を実施しており、今後その結果を踏まえ、必要な環境保全措置を検討することとなります。

【斉藤委員】
 この技術審査会でも、専門家から大変厳しい意見が出たと。それを踏まえた知事意見は、総括的な事項では、「地域住民との適切なコミュニケーションを図る観点から、環境影響の調査や予測、評価にあたっては地域住民、有識者、対象事業実施区域の大部分を占める五葉山県立自然公園の管理者、関係行政機関との意見交換を行い、必要に応じて追加的な調査、予測、評価の実施や環境保全措置の検討を行い、事業について理解を得られるように努めること」と。住民の理解を得なさいという大変厳しい総括的な意見。あわせて、例えば水質では、雨水排水対策を踏まえた適切な調査地点の設定の言及。土地の安定性では、実施区域内に含まれるかこう岩質岩石に「まさ土」が散見される中、十分な地質調査の必要性に触れたと。猛禽類では、環境省レッドリスト、いわてレッドデータブックに掲載されている稀少な動植物への配慮も求めていると。さらに景観の問題についても。
 このぐらい意見が出たら、この環境アセスを簡単にクリアするのは難しいのではないかと思いますし、大船渡市長は「地域住民の理解を得ること」という意見も出しています。
 その点で、この計画は「県立自然公園内」ということでありますから、県や市の対応というのは大変大きな比重を占めるのではないかと思いますが、現段階で事業者はどう対応しているでしょうか。

【環境保全課総括課長】
 先ほども申し上げました通り、知事意見を踏まえて、現在環境影響を調査しているということでございます。

【斉藤委員】
 地域住民の圧倒的多数、特に吉浜地区は圧倒的多数が一貫してこの太陽光発電の計画に反対しているという事実だけは指摘しておきたいと思います。

・県央ブロックごみ処理広域化計画について

【斉藤委員】
 盛岡広域環境組合と県央ブロックごみ処理体制検討協議会が設置されましたが、いまの進捗状況を示してください。

【資源循環推進課総括課長】
 盛岡広域環境組合は、新ごみ処理施設の整備に向け、学識経験者や住民代表からなる施設整備検討委員会を開催し、施設規模、ごみ処理方式、環境保全対策および余熱利用等についての検討を進めているほか、環境影響評価の手続きを行っているところと承知しております。
 一方で県央ブロックごみ処理体制検討協議会については、令和5年11月に開催したほか、担当課長等で構成する幹事会を開催し、不燃ごみ、粗大ごみ処理、資源化、処理体制の方針についての協議が行われているところと承知してございます。

【斉藤委員】
 今お話あったように、施設整備検討委員会で施設規模が示されました。1日459トンの処理能力を持つ施設だと。しかしこれは、今まで日量495トンと言っていたんですね。これは280日の稼働だったんです。今回290日稼働で日量459トン。実質ごみの排出量は変わっていないんですよ。いわば、ごみの減量・リサイクルの計画なしで、施設の規模が先行して示されている。あり得ないんじゃないでしょうか。資源循環リサイクル、プラスチック循環法もありますよね。優先して、どれだけごみを減量するのか、プラスチックをリサイクルするのか、そういう計画があって初めて施設規模が示されると思うけれども、ごみの減量・リサイクル後回しの、大規模施設優先の計画でいいのかと思いますがいかがですか。

【資源循環推進課総括課長】
 委員ご指摘の通り、リサイクルとか資源化が必要だというところはあると思います。そのために、ごみの減量・リサイクルについては、盛岡広域環境組合の循環地域計画において、資源ごみの分別品目の拡大であるとか、生ごみの資源化など、資源化やリサイクルを進めるということになっておりまして、その中で資源化や分別回収をしながら、新ごみ処理施設もやっていくということで進めているものと認識しております。

【斉藤委員】
 結局、施設整備検討委員会で示されたのは、ごみの総量変わっていないんですよ。稼働を増やして日量を少し減らしたと。本当にこれは国の方針からいっても全然噛み合わない。プラスチック循環法は、本当に今ごみ減量にとって大きなポイントになりますから、そうした検討、具体化を優先させて取り組むべきではないのか。
 そういう点で、県がきちんとした指導・助言を進めるべきだと思いますがいかがですか。

【資源循環推進課総括課長】
 委員ご指摘の通り、そういった視点もあるんですが、盛岡広域環境組合および構成市町村の方で、地域計画に記載されているものから、いまのごみ処理計画を進めていると承知しております。
 県の立場としましては、広域環境組合あるいは構成市町村の方に、プラスチック資源循環化への対応とか、そういったものを進めるように技術的な助言を行っていきたいと考えております。