2024年3月12日 予算特別委員会
保健福祉部に対する質疑(大要)
・新型コロナ対策について
【斉藤委員】
第10波の感染拡大への対応について、高齢者施設、医療機関のクラスターが引き続き発生していますが、第9波との比較を含めて示してください。
【感染症課長】
定点報告数は、第9波では令和5年9月6日に公表した第35週が35.24人、第10波では令和6年2月14日に公表した第6週の18.07人となっています。
クラスター報告数は、第9波では令和5年9月6日に公表した第35週の34件、第10波では令和6年1月29日に公表した第3週の19件となっております。
こうした状況から、第10波は第9波と比較し、定点医療機関で確認された認定患者数およびクラスター報告数とも下回っている状態でございます。
【斉藤委員】
今のはピーク時の比較なんですね。第8波は山があるわけで、例えば第10波は、第1週から第8週までとすると、高齢者施設のクラスターは52件、医療施設のクラスターは32件です。第9波も第8週までとすると、高齢者施設のクラスターは59件、医療施設のクラスターは24件なんです。いわば高齢者施設はほぼ第9波と同数、医療施設は第9波を上回っているんですね。これは分析されていますか。
【感染症課長】
その期間におきまして、施設の割合が変わってくるというのは当然認識しておりまして、ただ、高齢者施設については、いずれクラスターが発生する割合が非常に高いというところがございます。あとは時期によっては、学校でクラスターが発生したりという形で、時期に応じて内容は変わってくるものと認識しておりますが、いずれにせよ高齢者施設・医療施設ともクラスターが多いのはその通りでございます。
【斉藤委員】
残念ながら私の質問に答えられていない。分析されていないんですよ。
8週間で見ますと、医療施設のクラスターは第9波より多いのです。高齢者施設・医療施設というのは、一番感染に気をつけているところで、それでこれだけの感染が広がっていると。その他の施設はまともに報告される義務がありませんから、私はそういう意味でいくと、総数を比較してもあまり正確な比較にならない。だから高齢者施設・医療施設について聞いたのです。
医療施設のクラスターが8週間で見ると第9波を超えていると。この要因は何なのか。医療施設までクラスターが広がるところに、数字に表れないような感染の広がりがあるのではないかと考えているのですが、いかがですか。
【保健福祉部長】
クラスター数と地域の感染状況は、基本的にはリンクしていると考えていますが、やはり医療機関においては、例えば濃厚接触者の取り扱いが少し変わってきたりとか、さまざまな運用も変わってきている中にあって、クラスターの対応もかなり変わってきていると認識しております。ただ一方で、やはり医療機関が感染対策しっかりしている中にあってクラスターが発生しているという状況ですので、この部分、特に医療の負荷という部分が一番重要な部分ですので、私もきちんとこのクラスターの状況、人数、規模といったことをきちんと注視しながら、分析していきたいと考えております。
【斉藤委員】
ぜひここに危機感を持って、今後の対策にあたっていただきたいと思います。
第8波が最大の波でしたが、この時には入院患者の6割を県立病院が受け入れた。第9波のときには約4割でした。第10波ではどうでしょうか。
【感染症課長】
令和6年3月3日までにおける一日当たりの入院患者数の延べ人数ですが、15891人で、そのうち県立病院の人数は5290人と全体の約3割となっているところでございます。
【斉藤委員】
5類になって、一般の病院でもコロナ患者を受け入れるという形で、そういう意味でいけば、県立病院、医大などの負荷は軽減されているんだと思いますが、それでも県立病院が3割の入院患者に対応しているということは高く評価をしたいと思います。
いま本当に切実な問題は、5類に移行して新型コロナの補助金が縮小・廃止されていると。来年度はみんななくなるという話です。一般質問でも取り上げましたが、県立病院の赤字は前年度23億円の黒字が39億円の赤字です。盛岡市立病院に聞いたら、今年度末8億7千万円の赤字見込みだと。本当に公立病院はもとより民間も含めて、軒並み今年度は赤字に転換するのではないか。医療機関の経営状況について国の調査結果もありますし、県内の状況をどのように把握しているでしょうか。
【感染症課長】
ご紹介ありましたように、令和5年11月に国の方で公表された医療機関経営状況にかかる国の調査によりますと、令和4年度における一般病院の収支は平均で4000万円余の黒字でしたが、コロナ関連補助金の収入を除くと2億2千万円余の赤字であるとの結果が示されたところでございます。
国では、コロナへの特例的な対応を令和6年3月で終了し、4月以降通常の医療体制に移行するという形で示されているところでございます。通常体制への移行後は、医療機関が感染対策にかかる経費等については、補助金による特例的な財政支援から診療報酬による対応となります。令和6年度の診療報酬改定では、感染者患者の入院にかかる感染対策に対する新たな加算等の創設等が検討されている状態ですが、こうした補助金が縮小・廃止される一方で、診療報酬改定による新たな評価が導入されるため、医療機関の経営に与える影響については、現時点では予測ができないところでございますが、県では引き続き県医師会や医療局を通じて医療機関の状況把握に努め、対策が必要な場合は全国知事会等を通じ国へ要望してまいります。
【斉藤委員】
これは11月の発表なんですよね。年度末になったらまた深刻さが変わっていると思います。補助金を入れないで経常収支は1病院あたり2億2400万円の赤字ですが、年度末はもっと赤字が増えていると思います。
そういう意味で、コロナはたしかにピークは10波は下がりました。それでも先ほど紹介したように、医療機関のクラスターは増えている。クラスターが増えると入院規制したり手術を規制したり、大幅な減収に結びついてしまう。だからコロナが決して収束したわけではない。コロナは終わったという誤った見方ではなく、今の感染状況をリアルに見て対応すべきだし、来年度からすべて止めてしまうと。診療報酬でどうなるか分からないけれども、全体が診療報酬マイナスですから、この点で危機感を持ってしっかり対応すべきだと思いますがいかがですか。
【保健福祉部長】
新型コロナ対応にあたったのは、全国的に見ますと公立・公的医療機関が大きな役割を果たしまして、県立病院の収支もそうですが、全国的に公立・公的医療機関の今年度の収支は非常に厳しいものと聞いております。
診療報酬についても今後分析がなされて、全国自治体病院協議会だとかそういった公的機関の集まりのところで分析をされて、このような形というのは出てくるかと思っておりますので、こういった医療機関の情報をきちんと精査をして、必要な対応については国に対して要望していきたいと思います。
【斉藤委員】
岩手県は、全国で最大の県立病院を抱えているので、全国自治体病院協議会とか全国知事会とか、岩手県が声をあげてしっかり対応していただきたい。
第8波・第9波の検証はどうなっているか。私の質問に対して、「岩手県感染症対策連携協議会で協議している」というのが答弁でした。3月末にはこれを示すというわけですから、おそらくその検証の主な内容が定まっているのではないか。簡潔に内容を示してください。
【感染症課長】
いま現在、感染症予防計画を作成しており、新たな新興感染症に対しての備えということで、今般のコロナ対応を踏まえたさまざまな指標等の目標数値を掲げて、予防計画で連携協議会の中で議論しているというところでございます。
内容的に申し上げまして、今般のコロナ対応に対して、県の方で行ってきた新型コロナ対応と一般医療との両立を図るため、さまざまな取り組みをしてきたところですが、こうした対応を次期感染症予防計画に反映し、県独自に入院等の調整や高齢者施設での感染対策検証の実施などについて指標項目として追加するなど、独自の予防計画を作っている状況でございます。
【斉藤委員】
以前質問したときには、重要な後遺症問題が検討に入ってなかったと。これは全く入らないんですか。
【感染症課長】
後遺症の記載につきましては、後遺症は感染症に罹患後に生じる可能性があるものでございまして、今般の感染が発生、蔓延に対応するために策定される感染症予防計画においては、なかなか記載することは困難かなと考えております。
【斉藤委員】
新型コロナの新しい特徴はやはり後遺症なんです。それはしっかり何らかの形で対策を立てるべきだと思います。
・第9期介護保険事業計画について
【斉藤委員】
第9期介護保険料の算定の見通し、第8期の基金の見通しはどうなのか示してください。。
【長寿社会課総括課長】
第9期介護保険計画期間中の介護保険料については、各保険者の見込額を取りまとめましたところ、県平均で6095円となっており、第8期と比較し62円増える見込みでございます。
また、第8期末=令和5年度末でございますが、各保険者の介護給付費準備基金の残高見込みを集計しましたところ、123億891万1千円となっており、第7期末=令和2年度末と比較し23.9%増加する見込みでございます。
【斉藤委員】
第9期の保険料が6095円で62円上がると。ただ、いま答弁あったように23億円基金を積み増ししたんですね。だから本来なら上げる必要がなかったのではないかと。
私は独自に議会事務局を通じて市町村の介護保険料の調査をしました。基金の残高も調べました。値上げを予定しているのが8、値下げが5、現状維持が9ということでした。値上げの8事業体のうち5つは基金を増やしているところでした。3年間黒字だったのに来期は上げると。これは不当なのではないかという感じをしたところでございます。
第8期の特養ホームの待機者と当初の特養ホームの整備計画、第8期末の実際の整備された特養ホームの実態はどうなっているでしょうか。
【長寿社会課総括課長】
令和5年4月1日現在における特別養護老人ホームの入所申込者数は3691人でございまして、このうち市町村が早期に入所が必要と判断した方、待機者は722人となっております。
第8期の最終年度でございますが、特別養護老人ホームが206床、認知症高齢者グループホームが81床開設する予定でございまして、こうした整備が入所待機者の解消に資するものと考えております。
【斉藤委員】
第8期の特養ホームの整備計画は504床でした。結果的には260床しか整備されませんでした。この要因は何なのか。
今もお話あったように、早期入所が必要な方が去年の4月1日段階で722人いたと。しかし第9期の整備計画が393床なんですよ。これでは保険料は天引きされても、入りたい特養ホームに入れないということになりませんか。
【長寿社会課総括課長】
第8期において整備計画がなかなか進まなかった要因としては、物価高騰等で当初の整備計画よりも予算が上回ってしまったことですとか、特養ホームの方でショートステイを長期入所に転換するというような検討が、コロナ禍においてなかなか検討が進められなかったということが影響したものと理解しております。
第9期において、先ほど委員からご紹介ありました通りの整備計画数でございますが、それでは不足なのではないかということについては、これは特養見込みのほかに、認知症グループホームですとか他の入所系の事業所等も開設の予定がございますので、こういったところで一定程度は対応できるのではないかと考えております。
【斉藤委員】
いつもそのように答えて、結果的には第8期も504床計画したけれども260床しか整備されなかった。特養待機者の調査というのは、特養に入りたい人=早期に入れるべき人です。それが722人もいるのに、来年から3年間で393床しか整備しないということだったら、保険料だけ天引きされて、入らなくちゃならない人が入れないということになりませんか。早期入所以外の申請者もたくさんいるんです。多様なところに入るのはいいかもしれないけれども、本来特養に入れる人が入れない、半分も入れないような第9期計画でいいのか。こういうことでいいんですか。
【保健福祉部長】
介護保険事業計画について、いま第9期の最終的なまとめをしているところでございます。市町村においては、地域において今後入所が必要なニーズなどを分析しながら3年間での整備計画を、介護保険料などの兼ね合いも見ながら計画を立てていると考えております。
委員ご指摘の通り、特養待機者の方々がまだまだおられますので、やはり本当に必要な方がきちんと適した施設に入所できるように県としても市町村を支援していきたいと考えております。