2024年3月12日 予算特別委員会
医療局に対する質疑
(大要)


・県立大船渡病院看護科の超過勤務激減問題について

【斉藤委員】
 大船渡病院における看護科の超過勤務問題にしぼって、この解決を求めて質問いたします。
 2月20日に、大船渡労働基準監督署が大船渡病院を来訪したということでございます。どういうことで労基署が訪問したのか。何を調べられたのか。病院はどう対応したのか示してください。

【職員課総括課長】
 大船渡労働基準監督署の事実確認についてでありますが、斉藤委員からの情報提供に基づき、大船渡労働基準監督署が看護師の超過勤務について、提供された資料等にかかる状況の確認のために大船渡病院を訪問し、これまでの経緯や事実関係等について確認したものとうかがっております。
 大船渡病院からは、追給の状況、超過勤務申請の概要について説明したところであり、今後さらに労働基準監督署から状況確認があった場合には、適切に対応してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 一般質問でも取り上げました。今日は各論で詰めた議論をしたい。
 10月20日付の病院長の事務連絡で、「超過勤務の申請状況の確認について」が出され、4月から9月分の追加申請を、看護科ではなく事務局に申請するようにした。その結果について詳しく示してください。

【職員課総括課長】
 大船渡病院の追給の状況についてでありますが、大船渡病院において職員団体等から、「看護科において超過勤務のしづらい雰囲気がある」というような話を受け、病院内すべての看護師に対して、申請がされていないものがあれば申請するよう通知し、その結果、60名からの追加申請があり、内容を確認したうえで追給を行ったものです。
 時間外に行った業務に対する手当は適切に支払われるべきものと認識しておりまして、事前命令・事後確認の手続きの原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告についても確認のうえ進めてまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 もっと正確に答えていただきたい。60人から追加申請があったと。その超過勤務時間は1271時間、344万円を12月に支給したということですね。そしてこの超過勤務の中には、始業前の超過勤務時間が44.3時間ありました。打刻の枠内の超過勤務が618時間、打刻の枠外の超過勤務―いわば終業時間を打刻して、その後働いていたというのが653時間。休憩の超勤時間、本当は休憩を取らなければだめなんだけれども、205時間です。
 300人の看護師のうち60人、5人に1人しか申請しなかったということが大問題だと思うけれども、その60人の追加超過勤務時間がこういう形で分かった。終業時間の後に働いていたのが約半分だった。これは結局、必要な超過勤務が、この通知が出される前はできなかったということを示しているのではないですか。

【職員課総括課長】
 委員ご指摘の通り、先ほども申し上げましたが、看護科の中で「超過勤務が申請しづらい雰囲気があった」というところで、そのような状態になったものと考えております。

【斉藤委員】
 この追加給付を行って、病院長が12月25日に職員に対して「勤務時間の適正な管理について」という通知を行いました。「出退勤の打刻は、業務の開始前および業務の終了後に確実に行うように。退勤時の打刻後に業務を行うことがないよう、改めて徹底願います」と。いわば、終業の打刻は仕事が終わってからやりなさいという通知をした。それは実態がそうなっていないからです。
 実は3月8日に団体交渉が行われた。これはどちらかというと、当局から要求されてやったんです。病院長が、総看護師長・師長ら全部参加させて、団交でこの趣旨を徹底したのです。
 いまの大船渡病院の異常な事態は何か。私は2月19日にも院長に会ってきました。院長ははっきりしゃべっているんです。「働いた分はきちんと超過勤務手当を出さなければいけない。そのように通知もしています」と。しかし看護科だけがそうなっていない。ここが大問題なんです。
 看護科の月平均一人当たり超過勤務時間、この5年間で見ますと、ずっと10時間以上、令和4年度は4月から1月までで12.9時間だった。令和5年度は3.5時間です。私が10月の決算で取り上げ、12月の本会議の関連質問で取り上げ、しかし何ら変わっていない。医療局長、この変わっていないことを認めますか。

【医療局長】
 大船渡の看護科の状況でございます。大船渡病院におきましては、12月に院長通知を発出いたしまして、超過勤務の申請、休憩時間の確保、勤務開始前および勤務終了後の打刻の徹底、働きやすい職場環境づくりについての取り組みを進め、病院での経営会議や各部門の会議など、さまざまな機会を重ねて周知徹底を図っているということでございます。

【斉藤委員】
 状況は変わっていないということを聞いたのです。もう少し正確にお話しします。
 10月に追加申請を認めた。では10月以降どうなったか。看護科の一人当たり月平均超過勤務時間、10月は2.1時間で前年は14時間、11月は1.6時間で前年は14時間、12月は3.1時間で前年は16.5時間、1月は3.6時間で前年は19.3時間です。10月以降、前年と比べてどんどん乖離しているんです。超過勤務が申請しやすくなったどころか、前年以上に超過勤務が認められていない。この事実を認めますね。

【医療局長】
 超過勤務が減っているという理由につきましては、これまでもご答弁申し上げてきた通り、業務改善による見直しの効果が大きい、または前年度と比べてかなり患者数が減っているというところによることの原因が一番大きいものと認識しているところでございます。

【斉藤委員】
 そういうことを医療局長が言っているからこの問題解決しないんですよ。
 いま看護科だけ言いましたが、医療技術部門は超過勤務が増えています。事務部門も15.6時間が16.1時間に増えています。看護科だけが12.9時間から3.5時間に激減する理由にならないでしょう。患者が減っているのなら他の部門だって減るはずです。減っていないのだから。看護科だけが激減しているんです。
 私は一貫してリアルにお話をしてきた。なぜ超過勤務の申請ができないか。まず、事前申請を認めない。だから事前命令が出ないのです。「超過勤務になることを伝えると、『何が残っているの。時間管理がなっていない』と師長に追い回される。さらに残務確認としてコーディネーターからも追い回される」「終業時間の打刻をして業務を行っていれば、いつまで残業しても何も言われない」「終業時間を20分以上超過すると修正打刻させられる」―これが看護科の実態です。
 超過勤務の事前申請が認められないのです。やれば追い回されるのです。だから、こういう状況があるから追加申請を求めても300人のうち60人しかできなかった。これはたった半年分です。あとの半年は不払い残業が続いているんです。
 医療局長、あなたの言っていることと私の言っていることと、どちらが事実だと思いますか。大事なことですよ。事実の確認の違ったら、解決の仕方が違うのだから。

【医療局長】
 先ほど委員からご紹介がありました、3月8日に組合側とお話をさせていただいたというところで確認をさせていただいた内容もございますけれども、そういう中で、例えば、勤務時間前、打刻前に超過勤務をしていたということについては、9時からの患者さんを迎える前に、8時半前にあらかじめ来て準備をしたいという意向がはたらいて超過勤務をしたという状況は聞いております。ただ、そういうことについても、しっかり8時半から準備を始めて良いということで、院長等もお話をしておりましたし、ただいずれ業務改善を進めていこうという取り組みにつきましては、組合側も「認識は同じです」というお話をされております。ただそういう中で、取り組みの進め方が少しペースが早かったのではないかというところは反省することはあろうかということで、そこは進め方として理解と共感を得ながら丁寧に進める必要があったかということで認識しているところでございます。

【斉藤委員】
 重要なことは、いくら超過勤務を認めなくても、パソコンには記録されているということです。終業時間の打刻後に残業しているんです。超過勤務の申請をしなさいと一言もないんです。しかしそれはきちんと記録されている。あなた方が調べれば、看護職員が毎日どれだけ残業しているか分かります。私は一部具体的なデータもいただきました。あなた方がまじめに調べたら、残業時間は全部分かる。だいたい残業していても申請させないのだから。
 もう1つ、もっとも重大なのは、せっかく病院長が出退勤の打刻を正確に徹底しなさいと言っても、看護科だけがそうならないという実態です。一般質問で、遠野病院で何が起こって、その責任はどこにあるかということを聞きました。医療局長は「看護科の業務の命令権者をはじめとした管理者が、勤務の実態を適切に把握できておらず、勤務時間管理が不適切であったことによるものと認識している」と。だったらその当時の総看護師長に責任があるということですね。

【医療局長】
 いずれ遠野病院においては、タイムカードなどの勤務管理を行うシステムがない中で、看護科の業務の命令権者をはじめとした管理者等が、勤務管理上必要な取り組みを怠り、看護科内において超過勤務時間にかかる認識が不十分のままに、管理者等が実態を適切に把握できておらず、また、必要な指導を行っていなかったことなどにより、勤務時間管理が不適切であったことによるものと認識しているところでございます。

【斉藤委員】
 私は遠野病院も何度も調査して、今回も大船渡病院を調査した。同じことをやっていました。同じように超過勤務の申請を認めないんです。それについていけない職員が23人も辞めた―これが2年間の遠野病院の総看護師長の実績です。あなた方は遠野病院から医療局に引き上げた。しかし2400万円の不払い残業が発生したのに、処分しなかった。責任をとらせていないんじゃないですか。違いますか。

【医療局長】
 いずれ勤務管理時間が不適切であったということによる対応といたしまして、しっかりと職務に専念するよう指導しているところでございます。

【斉藤委員】
 結局、懲戒処分も何もしなかった。曖昧にした。そして大船渡病院に配置した。二重に問題です。
 院長と話したときに、始業前の超過勤務について、ナースセンターで始業時間に打刻するということが間違いなんです。看護師が着替えをして仕事を準備する―これも勤務時間。だから本来は入り口で打刻できるように設置すべきなんです。院長は「入り口に設置すべき。医療局に言ったけれど認められなかった」と言っていました。総看護師長は何て言っているか。「8時半始業なんだから、8時半になったら患者さんのところに行きなさい」と。8時半に患者さんのとこに行けるはずがないでしょう。そのために看護師さんは15分でも30分でも早く、1時間早く出勤している看護師さんもいます。
 あなた方が本当に正確に始業時間・終業時間を確認するというんだったら、病院の入り口に設置すべきじゃないですか。

【職員課総括課長】
 勤務管理システムの打刻の端末でございますが、委員ご紹介いただいた通り、可能な限り入り口に置けるような形で運用できないかということで検討を進めているところでございますので、費用等やネットワーク等の状況も確認しながらということになりますので、その暁には大船渡であったりそういうところで試行していきたいということで、いま準備を進めているところでございます。

【斉藤委員】
 10月以来、質問は今回で3回目です。なぜ取り上げているかというと、改善されていないからです。それどころかどんどん乖離が広がっている。異常なことです。だから病院長はおもいあまって、団交の場で本人の立場を表明し、そこには総看護師長も師長も全部集めた。労働者がびっくりしていました。「これは総看護師長や師長に院長が言いたいことを言っているんだな」と。
 いずれ認めない超過勤務も全部記録されています。追加申請は4月から9月分でした。10月以降の不払い残業は今も続いている。そういう認識でこの問題を解決すべきではないですか。労基署が入るのは時間の問題です。
 2つ最後にお聞きしたい。やはり不払い残業はきちんと全額支給する。もう1つは、この超過勤務が申請できない最大の責任者はきちんと処分する。そのことをお聞きしたい。

【医療局長】
 いずれ超過勤務につきましては、時間外に行った業務に対する手当は適切に支払われるべきものと認識しております。事前命令・事後確認の手続きの原則に基づき、必要な超過勤務はしっかりと認め、事後報告についても確認のうえ進めていきたいと考えているものでございます。
 また、総看護師長には、看護部門のトップといたしまして、院長を補佐し、病院全体のマネジメントに携わるとともに、質の高い看護を実践するために、現場の監督、指揮、指導、評価、人材育成、安全管理、職員の健康管理などに加えて、看護部門の目標や病院の目標達成をめざして、業務改善を行いながら、看護部門全体のマネジメントをしていく看護管理者としての役割を期待しているということでございますので、こうした観点から経験・実践能力を踏まえ、適材適所で今後も配置していきたいと考えているところでございます。