2024年3月15日 予算特別委員会
県土整備部に対する質疑
(大要)


・盛岡市紺屋町におけるマンション建設問題について

【斉藤委員】
 先ほど吉田敬子さんから、盛岡市紺屋町におけるマンション建設問題について質問がありました。最初に関連してお聞きをします。
 実は盛岡選出の県議会議員に、紺屋町まちづくりの会の皆さんから要望もいただきました。14階建ての高さ43mのマンション建設計画が浮上しました。
 最初にお聞きしたいのは、岩手県のホームページでも「岩手の残したい景観」ということで、盛岡市紺屋町、擬宝珠の景観が写真で出ていますが、この紺屋町界隈の残したい景観の意味というのはどういうものでしょうか。

【都市計画課総括課長】
 紺屋町界隈の残したい景観の位置づけですが、盛岡市全般もそうですが、鉈屋町から河南地区、紺屋町につながるまちなみが非常に古くからのまちなみで商家などが残っていると認識しております。その中で、それらを観光資源や交流人口増大のための観光的資産や地域的資産として活用できるという位置づけから、残したい景観として位置付けているものでございます。

【斉藤委員】
 盛岡市の景観計画というのがありますが、この計画では、第一次地区が景観地区に指定されていると。指定をされていると、建築物の高さの最高限度がありまして、12m以下となっています。紺屋町は歴史景観地となっていますが、景観指定検討地域になっています。盛岡市はどのように歴史景観を評価しているかというと、「城下町の風情と明治・大正期の建築物が混在する特徴を持つ歴史景観上重要な地域」と。この景観指定が遅かったというのが一番の反省だと思いますが、しかしニューヨーク・タイムズ紙で一度は訪れたい都市で世界の2番目に盛岡市が紹介されたと。その一つが紺屋町界隈の景観があったと。まちづくりの会の方々も「欧米からの観光客があふれています」という話でした。
 現段階で、法令上、条例上の規制する根拠はないのですが、やはり話し合いでどのように紺屋町の歴史的な景観を維持するのか。中心的には地域住民とマンション建設会社ですが、しかしこれだけの価値があるということは、盛岡市が一緒になって、盛岡市の貴重な景観を守るという立場で一緒になって取り組む課題なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【都市計画課総括課長】
 今回のマンション問題については、盛岡市が景観行政団体であることから、盛岡市が対応していくものと考えております。また、今回の問題については、盛岡市が定めている「中高層建築物等の建築等に係る住環境の保全に関する条例」に基づき、マンション事業者が、マンション計画地にこのような建物が建つというお知らせを出したことから、地域の方々がこの計画を知り、今に至っていると考えておりますが、これによると地域住民ときちんと対話するような手続きについても盛岡市が案内しているところでございます。
 地域の方々からの要望書においても、ルール作りを盛岡市に求めており、ルール作りは盛岡市が行うと思いますが、ルール作りに当たっては都市計画法上、県との手続きが発生した場合には、県として適切に対応していきたいと考えております。

【斉藤委員】
 今日は地域説明会も行われると聞いております。かなり切羽詰まった状況になっていまして、しかしニューヨーク・タイムズの報道にもあるように、盛岡市の景観が評価された。そして県も盛岡市も、この歴史的景観の価値は正確に評価しているので、県も市も一緒になって紺屋町界隈の歴史的な景観を守るにふさわしく、マンションの建設を止めよというわけにはいきませんけれども、そういうものに話し合いで解決するために特段の努力をしていただきたい。

・断熱性能の高い住宅の整備について

【斉藤委員】
 佐々木朋和委員も取り上げましたが、ZEH基準を上回る断熱性能の高い住宅リフォーム助成の取り組みについて。岩手型住宅ガイドラインの改定について、3月中には示すと。おそらく常任委員会に成案が示されると思いますが、この改定の中身、特徴について示していただきたい。

【建築住宅課総括課長】
 岩手型住宅ガイドラインの改訂内容についてでありますが、断熱性能について、ZEH基準を上回る水準を盛り込むとともに、省エネ住宅の効果をより高めるための気密性能の確保および太陽光発電などの創エネ設備や省エネ設備の設置などを盛り込むこととしています。
 この作成は3月末に完了する見込みで作業を進めております。今回ガイドラインの改定ということで、計画的なものではございませんで、そういった考え方を普及するということで常任委員会等の説明というのは想定していなかったところでございます。

【斉藤委員】
 私がいただいた資料では、断熱等の性能等級6または7と。「岩手のこれからの断熱性能は、断熱等性能等級6以上をスタンダードと考えます」と。これは抜本的な発想の転換です。だとしたら県営住宅はなぜそうならないのかと、これは矛盾ですよね。スタンダード以下で県営住宅の新築・改築というのはないんだと思います。県民にはスタンダードと言っていて、自分はそのレベルを下げるということはないと思うので、それはぜひ正していただきたい。
 欧州のレベルはもうすでにこのレベルなんです。ZEHレベルというのはほとんど世界では通用しないレベルになっています。今回それを見越した助成事業も提起をされています。詳しく紹介してください。

【建築住宅課総括課長】
 新規事業であるいわて省エネルギー住宅建設推進事業についてでありますが、ZEH基準6,7というような高い省エネ基準を想定した新規住宅15戸分を令和6年度当初予算として3千万円余の予算を計上しています。

【斉藤委員】
 詳しくと言ったのですが、例えば、断熱等性能等級6であれば1戸あたり100万円、等級7なら180万円、太陽光発電設備で35万円、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)6万6千円、蓄電池35万7千円というレベルです。
 中身も大変重要だと思うけれども、たった15戸分というのが物足りない。これがスタンダードだと言うのなら大規模に推進していただきたい。その際、等級6や7にしたら、どのぐらい割高になるのか。しかしこういうレベルの住宅を整備すればどれだけの省エネ効果があるのか。健康にとってどれだけいいのか。CO2はどれだけ排出されるのか。全体を考えたら得だと。10年や20年で元がとれるということを示さないと説得力がないと思うので、だからこういう補助の事業、頭出しのような感じですけれども、これがスタンダードという意味をよく理解していただくと。そして割高だけれどもこれだけメリットがあると、分かりやすくやる必要があるのではないでしょうか。

【建築住宅課総括課長】
 いわて省エネルギー住宅建設推進事業についてでありますが、なかなか予算の制約もあり、戸数も大きな数とはなかなかいけないところですが、実際建てた住宅の良さを広めるところがポイントだと思っておりまして、省エネ住宅に住んでみた実感を住んだ方にお聞きすることを条件に補助するような仕組みとし、そのメリットについて広く県民、事業者等に周知を図っていこうと考えているところでございます。

【斉藤委員】
 長野県なんかは、やはりきちんと説明しているのです。これだけ割高になるけれども、10年とか何年で元が取れます、これだけメリットがありますと。それがセットにならないとスタンダードにはならないので。そこをセットで取り組むように推進していただきたい。

・災害公営住宅の課題について

【斉藤委員】
 これは一貫して取り組んでいますが、災害公営住宅の高齢化の状況、コミュニティ形成のための立派な集会所は設置されているけれども、集会所の活用状況、コミュニティ形成の取り組みはどうなっているか示してください。

【建築住宅課総括課長】
 集会所のある29団地の令和5年度第3四半期における一月あたりの集会所の活用状況は、0回が2団地、1〜4回が22団地、5〜20回が5団地となっているところです。
 自治会の組織状況については、これまで県営住宅指定管理者を通じた自治会形成に向けた支援、全31団地の中で29団地がそういった組織がなされているというところでございます。残る2団地についても、市町村において自治会組織の形成に向けた取り組みが行われていると聞いているところです。

【斉藤委員】
 リアリズムでいうと、0回が2団地、1回が11団地、3回が1団地、4回が2団地です。これだけで23団地になります。率直にいえば、ほとんど使われていない。深刻な事態です。何度もここで紹介してきたけれども、立派な集会所や支援員の事務室もある。阪神淡路大震災で孤独死が発生した。コミュニティ形成の拠点として立派な集会所が設置されたんです。これは大事な東日本大震災の教訓です。重要な教訓として、集会所の設置は生かされた。しかしそれが使われていないことについて、どう受け止めて改善しようとしているか。
 生活支援相談員が配置されたところは、10〜20回程度集会所が活用されているんです。やはり自治会任せにしないで、生活支援相談員のような行政の援助が必要なのではないか。

【建築住宅課総括課長】
 生活支援相談員の配置等についてですが、市町村社会福祉協議会が、地域の支援ニーズを踏まえ、災害公営住宅においては4箇所で配置されている他、防災集団移転先団地や、被災者が通いやすい商店街などに拠点を配置し、災害公営住宅の入居者に加え、持ち家を再建した被災者等も対象に支援を行っているものでございます。
 ご指摘の通り、生活支援相談員が配置されている団地においては、集会所の活用が活発に行われているところですが、生活支援相談員の配置等については、関係部局と情報共有に努め、連携して取り組んでいきたいと考えています。

【斉藤委員】
 2月に災害公営住宅の交流会が、福島・宮城・岩手が参加して、新聞でもテレビでも報道されました。つい最近は、NHKで山田町の町営の災害公営住宅、駅前にある中央団地で、19人の自治会役員のうち10人しかおらず、なり手がいなくて大変だという話でした。13年経っていますから、自治会としても10年近く経つわけで、そういう実態をしっかり踏まえて必要な支援を行うと。これが新しい教訓になるように取り組んでいただきたい。
 災害公営住宅の家賃問題ですが、国の家賃減免も10年間でなくなります。なくなったら家賃が倍になります。一方で、県の減免制度があり、ほぼ国と同等の減免が可能な制度です。すでに国の減免はどんどん減らされていますから、国の減免の対象が何人いて、県の減免制度にどれだけ移行して、いまどのようになっているのか。国と県の減免のすき間にある人たち、これは救済措置をとるべきだと思いますがいかがですか。

【建築住宅課総括課長】
 災害公営住宅家賃の減免についてですが、県の独自減免を活用している世帯数は、令和5年12月末時点で149世帯となっており、割合は10.1%となっております。
 国の東日本大震災特別家賃低減事業対象世帯数は、令和5年12月末時点で859世帯、全入居世帯1,469世帯に対する割合は58.5%となっているところです。
 この国の低減事業は10年間とされておりますので、国の事業終了により、公営住宅法に規定する収入が80,000円以下の入居者には、こういった減免が適用されないこととなりますが、国の事業終了後も、収入が69,000円以下の入居者については、県の独自減免が適用され、収入が著しく低額であるとき、病気のとき、災害により著しい損害を受けたとき、その他、特別の事情があるときも減免することができることとなっているところです。
 一方、収入が69,001円から80,000円までの入居者の方が県の独自減免の対象外となりますが、国の事業終了前と比較して家賃が数百円程度上昇すると試算を行っております。
 こういったところについては理解の促進に努めますとともに、個別の事情がある場合等には入居者の話を丁寧に伺っていきたいと思います。