2024年3月18日 文教委員会
教育委員会に対する質疑(大要)
・盛岡みたけ支援学校高等部のスクールバス問題について
【斉藤委員】
一般質問でも取り上げ、その後の文教委員会でも取り上げ、「真摯に検討しています」と教育長の答弁がありました。3月も18日になっていますので、検討の結果と今後の見通しについて示していただきたい。
【特別支援教育課長】
高等部における通学バスについて、前回の常任委員会でお伝えさせていただいたところですが、バスの運行については、対応する人員や学習時程、経費などさまざまな課題があり、来年度からの実施は難しいと判断するに至ったとお示ししている状況です。
しかしながら、これで検討が終わるということではなく、引き続き通学バスの運行も含め、通学支援のあり方については、多角的・総合的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
【斉藤委員】
一般質問でも文教委員会でも「継続的に検討している」と。あの時点でギブアップしていないんですよね。今のはギブアップ宣言ですね。教育長は縦にも横にも首を振らなかった。そういう継続的に、真摯に検討しているというので、一部の望みを託してきたんです。
そもそもこの通学バスについては、去年の5月22日に保護者の方々が教育長に要請し、「一生懸命検討します」という答弁だった。県教委と学校の協議の内容も聞きましたが、当初は可能性があったんです。「委託バスの純増は対応可と判断した」という時期がありました。なぜこれができなくなったんですか。通学バスはたしかに財政もかかる、人員も必要です。しかしそのことも前提にして「対応可」としたのではないですか。
ひがし支援学校はやっていますよね。どのぐらいの人員と財政がかかっているのですか。なぜみたけ支援学校高等部の場合はできないのですか。
【特別支援教育課長】
バスの純増については、対応する人員、学習時程、経費などの課題があり、厳しい状況にあるということを判断いたしました。
ひがし支援学校の場合は、一つの校舎で小学部・中学部・高等部が学んでおりますので、一つのルートでバスを運行することが可能なのですが、盛岡みたけ支援学校の場合、小中学部の校舎と高等部の校舎が離れている、別であるということから、新たにルートを立ち上げなければならないというところから、先ほど申し上げた通り、人員や経費などの課題があり、いま現在のところ運行は難しいと判断している状況です。
【斉藤委員】
あなた方は難しいと言うけれど、現在も保護者の送迎が65%なんですよ。教育相談してきたと言うけれども、その中身を聞けば、最初から「高等部は通学バスはありません」という話をしているんです。だから要望が出てこないんです。運転免許証も何もない人が1人いたということですね。みたけ支援学校に通うときには、保護者が送迎しなくちゃならないんです。そうなったらフルタイムの仕事に就けないじゃないですか。それでいいんですか。65%が保護者送迎しているという実態をどのように見ているのか。そういう保護者の犠牲の上に成り立っている。それは仕方ないということか。改善すべきだということではないですか。
【特別支援教育課長】
保護者の送迎にかかる負担については、要望もありましたし承知をしているところでございますが、何度も申し上げるところですが、さまざまな課題がまだ残っておりますので、そういったところを今後課題の解決に向けてさまざまな角度から通学支援のあり方を引き続き検討していきたいと思っております。
【斉藤委員】
教育長にお聞きしたい。
一般質問でも「継続して検討する」「真摯に検討する」と。いつ、どういう中身で検討されたのですか。
【教育長】
要望を今年度2回お受けしたということで、それぞれ5月以降担当課を中心に、あとは学校と実態の確認等をしながら進めてまいりました。それから、全県的なバスの運行状況なども踏まえて、そして具体に青山校舎における公共交通機関の状況やさまざまな条件、学校における諸条件さまざまでありますので、そういった中で要望を受けたことを踏まえて、ここを何らかの形でバスが出せないかということについて、さまざまな角度から、何パターンかあげまして検討もしてきたところですし、我々として最善の努力を続けてきております。
先ほど課長から申し上げました通り、来年度からの実施は現時点では難しいということですが、他の事例なども参考にしながら、多角的・総合的に検討していくということを申し上げたいと思います。
【斉藤委員】
真摯にと言いながら不誠実でした。一般質問の答弁でも「真摯に、継続して」と。文教委員会のときにもそう答えた。中身がないじゃないですか。そういう裏切るようなことを言うべきじゃないですよ。そんなやり方は情けない。
最初は「委託バスの純増は対応可と判断した」と。対応可と判断した根拠、できないと判断した根拠はなんですか。委託バスというのはそれほど難しい話じゃないと思いますよ。ましてや保護者が求めているのは通学のときで、帰るときは基本的にはデイサービス使っていますから、それができないと判断したのは、どのぐらいの費用がかかると算定をしたのか。そこを具体的に答えてください。
【特別支援教育課長】
委託バスの純増について前向きに検討できると判断したところについてですが、まず学校が持っているスクールバスについては、貸し出すことが難しいと判断しました。残りの小中学部のバス路線を延長するやり方についても難しいと判断したところであり、最後の委託バス純増についてはいけるのではないかと判断をしました。そのうえで検討したのですが、やはり職員が添乗する形をとっておりますので、やはりそこについて、高等部は高等部だけの職員で添乗しなければならないというところの負担が大きいというところが一つございます。小中学部は小中学部の職員で添乗の任務を果たすことができるのですが、高等部だけの職員ですと負担がかなり大きいということが一つと、あとはやはり財政的な面のところで厳しいというところがありまして、委託バスの純増は断念したという形になっているところです。
【斉藤委員】
委託バスを一度は可としたと。それは人員配置も想定してやっていたと思うんですよ。だから必要な財源もかかるし人員配置も必要になってくるでしょう。それはやる気の問題でしょう。当然いまの体制でやるのは難しいと思います。
来年度は22名高等部に進学するんです。再来年度も同じ規模で進学者が出てくるんです。みたけ支援学校の高等部はどんどん増えていくと思います。だから来年度進学する保護者の方々に、保護者の方が連絡を取り合ったら5名の方が「通学バスがほしい」と希望した。来年度も同じ規模で要望が出てくると思います。
小中学部では通学バスを使っていて、高等部に進学したら親が犠牲になって送迎しなくちゃならない―これはおかしいんじゃないですか。何とかしなくちゃならないという立場でやってもらわないと困るんですよ。
【特別支援教育課長】
何度も申し上げますが、引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。
具体的な案ではありますけれども、学校の所有バスがまだございますので、それを何とか活用して、運転手のみだけでも外部委託して貸し出せるとか、あるいは他の支援学校のバスもございまして、通学バスを走らせていない学校もございますので、そういったところと連携を図りながら通学バスの運行を考えていくというところも、現在検討を進めているところでございますので、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
【斉藤委員】
もう3月18日ですので、客観的に難しいと私も思います。しかし、本当に来年度の実施に結びつけてほしい。今まで通学バスを使っていた子どもたちですから。
通学バスというのは、子どもたちにとっても重要な教育の場だと思いますよ。タクシーを使うのとはまた違って、社会参加する場なのだと思います。
来年度も次の年度もみたけ支援学校高等部は進学者が増加する見通しです。高等部になったら通学バスが使えないとならないように、本当に来年度につなげてやっていただきたい。
・再発防止「岩手モデル」策定委員会について
【斉藤委員】
外部委員5名連名の要望書、「調査検証委員会設置を求める要望書について」。教育長の答弁はきわめて曖昧な答弁でした。7名の外部委員のうち5名の外部委員が連名で「盛岡一高事件の検証は不十分だ」ということで、第三者による検証を進めるべきだと。この検証なしに、岩手モデルは魂が入らないとも言っています。この5名の外部委員の検証委員会設置の要望について、具体的にどのように検討しているのか、しようとしているのか。
【教職員課総括課長】
要望書では、「岩手モデルを早急に完成させることを大前提としたうえで、盛岡一高事案についての調査・検証は、モデル策定から完全に独立をさせて、新たな調査検証委員会を立ち上げることが望ましい」と述べられております。県教育委員会といたしましては、まずは岩手モデルの策定に全力を傾注し、早急に岩手モデルを策定したいと考えております。その上で要望書については、教育委員にもご報告のうえ、対応について検討を進めているところでございます。今後、岩手モデルの策定を踏まえ、要望書の対応について判断してまいります。
【斉藤委員】
岩手モデルの策定は年度末ですね。
【教職員課総括課長】
3月末に第12回目の「岩手モデル」策定委員会を開催しまして、そこでいただいた意見を踏まえて、委員会は現在の予定では3月で最後と。その後、4月にかけまして出された意見も含めて県教育委員会として整理をして、新年度早々に「岩手モデル」を発出したいと考えているところでございます。
【斉藤委員】
私も第11回の策定委員会を傍聴しました。その第11回の策定委員会を報道した新聞報道で、遺族の父親が「これではまた同じことが起こり得る。再発防止策になっていない」と述べています。外部委員の声として、「注意喚起レベルで実効性がない」と。「遺族らが特に問題にするのは、教職員の不適切指導の見落としを防ぐ体制づくり、校内で情報を共有する取り組み。これは『教職員の意識改革』『職場風土の醸成』との記載にとどまっている」「調査権限のある独立組織に介入させる仕組みが必要ではないか」と言っています。
年度末までに策定するということで進んできたので、外部委員の人たちは、これはこれで仕上げる必要があるでしょうということです。しかし、盛岡一高事件の納得できる検証がなかったら魂が入らないというのが要望の中身です。
あの場でも外部委員から今のような発言はあったと思いますが、外部委員から出されたこうした意見について、どのように受け止めて最終的にどのように対応しようとしているんですか。
【教職員課総括課長】
盛岡一高事案の究明の部分ですが、一つ言われているのが、教育委員会が自ら調査することの妥当性を言われているところもありますが、我々としては、自らが当時の学校、県教育委員会の組織的な対応を検証することが適当と考え、外部委員に県教育委員会が自ら調査することをご了承いただいたうえで、具体的な方法等をお諮りして調査にあたってまいりました。また、盛岡一高事案の被害生徒・保護者様に対しても、調査結果を丁寧に説明するとともに、追加の調査を実施してきたところでございます。
これらの調査によって、当時の対応として不適切だった点、その要因については相当程度明らかになってきたと考えているところでございます。また、「岩手モデル」は不十分な点があるのではないかというご指摘はあります。今回パブリックコメントも行いまして、さまざまご意見もいただいているところでございますので、あとは3月にいただくであろうご意見も含め、あとは策定して終わりではなくて、さまざま運用してみて、不都合な点や新たな課題が出てくると思います。それはまた別途、外部のモニターの方をお願いをしまして、第三者の目で「岩手モデル」のさらなるブラッシュアップ、バージョンアップを絶えずやっていくということで考えておりますので、まずはスタートさせていただいて、あとはやってみてステップアップしていくという形で取り組んでいきたいと考えているところでございます。
【斉藤委員】
11回の策定委員会を開きました。その結果があの要望書なんです。ここを重く受け止める必要があると思います。外部委員も11回策定委員会で議論してきた結果が、盛岡一高事件の検証は不十分だと。だから独立した調査検証委員会を設置して、徹底してやるべきだと出された。
なぜこういうことになったのか。私は一般質問でも指摘したけれども、県教委の調査は加害者の方ばかりで、内輪の調査です。被害者、遺族、関係する部員の調査はきわめて不十分です。だから策定委員会には遺族も被害者も参加しているわけです。その度に疑義が出て、事実関係の把握に違いが出る。これは第10回までそういう議論が続いた。県教委の調査の仕方がまったく不十分で一方的だった。だから外部による検証委員会の設置となった。このことをしっかり受け止めてやらないといけない。
それから、遺族の弁護士さんが紹介していましたが、仙台で相談窓口を設置して、そこは弁護士が対応していると。これはまったく市長の直属のような形で、こうした不祥事、セクハラ・パワハラの相談を受ける機関をつくっていると。やはりそういうことをしっかり作るということをしないと、県教委だけで対応するということだけでは、今回の教訓は生かせないのではないか。
【特別支援教育課長】
いずれ再発防止に取り組むためには、県教委自らが当時の学校や県教育委員会の組織的な対応を検証をすることが適当と考え、外部委員に具体的な調査方法などをお諮りして調査にあたってきたところでございます。また、調査対象も含めて事前に外部委員の皆様に協議のうえ進めてきたところでございます。
また、事実認定にあたりまして、外部委員の皆様から、より広い事実をとらえて、こういうことがあった可能性があるというような広めの事実を拾う作業、再発防止の検討に向けた議論として有効だというご指摘もいただいており、時間の経過により事実確認が困難な点も踏まえ、幅広く事実を認定しながら事実関係を整理しているところでございます。
また、ご遺族・ご家族で、事実として整理したところによって、認識が違う部分については、ご遺族の認識を書いていただく欄を作っているところです。
相談窓口ですが、教育委員会あるいは警察などにも各種ハラスメントの窓口も置いておりますし、相談員として新たに警察官OBの方を4月から任用することとしております。いずれ体制を強化して取り組んでまいりたいと思います。
【斉藤委員】
たしかに外部委員の意見を聞きながら県教委は調査してきた。その結果がこの要望書なんですよ。だからその事実を受け止めるべきだと。外部委員の圧倒的多数が納得したらこういう要望書は出るはずがない。私は大変驚きました。これは10回目の委員会が終わった後に出たものです。それを真剣に受け止めなければ、外部の意見を聞かないということになります。
相談員に警察官OBと、そういう話ではないんです。県教委の外に置かないと、結局県教委内部の対応になってしまうという外部の批判です。そういう実例もあるということを紹介をしました。
そういう意味で、本当に11回もやったということ自身も異例です。そして11回やってこういう事態になっているということもしっかり受け止めて、100%でないにしても最大限「岩手モデル」は仕上げてブラッシュアップしていくと。しかし事があったら何でも県教委の中だけで処理するということではない仕組みも必要だという提起があるわけだから、外部委員の意見はしっかり受け止めていただきたい。
・学校給食費の値上げの状況について
【斉藤委員】
県立学校の学校給食費は来年どうなるのでしょうか。値上げを抑えるべきだと思いますがいかがでしょうか。
【予算財務課長】
県立学校における令和6年度の学校給食費については、特別支援学校の学校給食では、令和5年4月と令和6年4月の一食当たりの単価上限で比較すると、県内統一単価で導入していただいている牛乳の値上がりがございまして、あとは物価指数の上昇などがあり、11円・3%の単価増改定とする予定としております。この上限単価をもとに、各学校において地域の状況を鑑み、単価を設定することとしておりますし、市町村から給食の提供を受けている学校、分教室等になりますが、そこは各市町村の給食単価となるものでございます。
令和6年度の給食費については、国の交付金の活用が見込まれていないということがあり、保護者負担増または就学奨励費による対応といった対応をさせていただきたいと考えております。
【斉藤委員】
一食11円ですから、月いくらで年間どのぐらいの負担増になるのか。
県内市町村の値上げの状況は把握されているでしょうか。
【予算財務課長】
一年間の上昇が一食11円・3%ということで、概算で恐れ入りますが200数十万円程度の増となる予定でございます。
【保健体育課総括課長】
市町村における学校給食費の状況ですが、新年度に学校給食の食材購入経費の増額を予定しているのが10市町村となっており、うち1市が保護者負担増、9市町村は保護者負担が増えない予定、23市町村は食材購入経費は据え置き予定と聞いております。
【斉藤委員】
県立は特別支援学校だと思いますが、総額200数十万円はいいのですが、保護者負担はどうなるのか。就学奨励費による対象はどうなのか。
市町村の動向ですが、保護者負担が増えない9市町村はどういう対応になるのか。回数を減らすのか。23市町村が据え置きということは、基本的には市町村がもつということですか。
【予算財務課長】
令和5年から6年にかける値上がり分については200数十万円の増ということで、保護者負担にすると約50万円程度。就学奨励費については、毎年生徒の世帯の収入状況に応じて、1〜3区分が決定されるものであり、一概に数字は申し上げられませんが、今年度は9割弱の生徒が1区分または2区分で、全額または半額を奨励費対応としております。
【保健体育課総括課長】
来年度の学校給食費については、現在市町村において詳細を調整中でございます。金額までは把握していないところですが、毎年6月に実施している学校給食費に関する調査により、県内市町村の学校給食費の状況を把握することとしております。
9市町村の詳細については把握してございません。