2024年7月2日 文教委員会
教育委員会に対する質疑
(大要)


・県立高等学校教育の在り方(中間まとめ)について

【斉藤委員】
 この中間まとめが提起している新たな課題はなんでしょうか。

【高校改革課長】
 県教育委員会においては、現行の新たな県立高等学校再編計画の周期を見据え、令和5年度から外部有識者を構成員とする県立高等学校教育の在り方会議を設置し、次期高等学校再編計画の土台となる県立高等学校教育の在り方の検討に着手しており、今年度県立高等学校教育の在り方中間まとめを取りまとめたところでございます。
 中間まとめにおいては、「さまざまな社会的変化を乗り越えて豊かな人生を切り開く力を身につけさせること、さまざまな背景をもつ生徒や教育上特別な支援を必要とする生徒が在籍するなど、高等学校の実態が多様化していること、今後見込まれている生徒数減少により、さらなる学校の小規模化が懸念されることといった課題に対応する必要がある」としております。
 このような状況を踏まえ、今後の本県における高等学校教育の基本的な考え方として、持続可能な社会の担い手の人材育成など、5つの柱に掲げ今後検討を進めまして、今年度末に長期ビジョンを策定することとしております。

【斉藤委員】
 なかなか中間まとめを見ても、現状と課題という整理はされているけれども、今後10年間の次期高校再編計画を立てると。その方向性が見えないですね。
 それぞれ地区別懇談会がやられ、私もその議事録はすべて見させていただきました。地区別懇談会の出された発言の特徴を示してください。

【高校改革課長】
 地区別懇談会における意見の要旨としては、
「高校は持続可能な地域づくりに不可欠である」
「魅力ある高校づくりを推進してほしい」
「少子化により学校規模の縮小が進んでいる。小規模校の教育の質の確保と機会の保障を望む」
「学校配置の広域化による影響を考慮してほしい」
などであり、ご提言やご意見をいただいた内容を今後の県立高等学校教育の在り方検討会議において慎重に検討を進めていくことと考えております。

【斉藤委員】
 私もすべてのブロックの各首長、教育長、産業界の方々のご意見を見ました。やはり特徴的なのは、地域と密着した小規模校を守ってほしい、支援してほしいと。例えば、葛巻の教育長は、「葛巻山村留学は10年目を迎えて効果が出てきた。他方から生徒を呼ぶだけの目的ではなく、移住・定住につながることなどの新たな価値を地元の生徒たちが感じることも目的の一つ」だと。「公営塾は、国公立大学に四十数名中17名が合格などの効果が出ている」と。すごい成果です。「現在、半数以上が町外出身であり、地域とともに考えてきた成果だと考えている。魅力化とは高校を魅力的にすることだけでなく、地域と一緒に学びを深めていくことにより、高校を含めた地域の魅力を高めることである」と。やはり地域の魅力を高めるうえでも、地域の高校が必要だというのは少なくない方々の意見だと思います。
 そこで、本会議でも議論になりましたが、岩手留学が今年は9校で32名と過去最高の岩手留学生を迎えたと。特に、西和賀高校が5人迎えて、定数40に対して44人入学ということで、定員を超えたのは初めてということでした。関根委員の質問で大変注目をして聞きましたが、知事がこういう答弁をしました。「岩手留学などの取り組みにより、定員を一定程度上回る志願者数や入学実績がある場合、生徒の教育機会の確保及び教育の質の保障などの観点を考慮し、県教育委員会において学級増など適切な学級編成に取り組んでほしいと考えている」と。かなり知事が踏み込んで答弁し、教育長はさらに踏み込んで、「1学級校が岩手留学を通じて定員を超えたことは過去にない。これが複数年続けば学級数増は考える必要がある」と。これは新聞報道です。これは本当に岩手留学がそれなりの効果をあげていると思います。
 それで、県立高校の在り方との関わりで、一番焦点になるのは県立高校の配置なんですね。今後10年間どういう配置をするのかと。これを見ると、配置の基本的な考え方は今とまったく変わらないんですね。「適正規模」とか「1学年3学級以上必要」だとか「最低2学級」だとかとなっていて、1学級は特例校で残すと。これは変わらないんだと思うけれども、いかがですか。

【高校改革課長】
 1学級校の特例校の扱いについてですが、地区別懇談会でもやはり1学級校の存続について要望が一番大きく、意見が交わされたところであり、これまでは地理的条件から3校を特例校として認めてきたわけでありますが、それ以外の条件も踏まえたうえで特例校についても変更していくという風に考えてございます。

【斉藤委員】
 現在1学級校は11校ですか。大変な数になって、しかし同時に、真剣に、本気で自治体と一緒に高校魅力化、岩手留学を含めて取り組んでいると。これも本当に全国にはない岩手の特徴ではないか。例えば、大迫高校は今年岩手留学で4名、西和賀は5名、大槌も5名、伊保内高校も3名と。本当に小規模校が岩手留学の取り組みで県外から来る。そういう魅力が地域の小規模校にはあるという一つの証明にもなっているのではないかと。同時に、岩手留学というのは1年2年ですぐ成果が表れるものでもないという意見もあります。私はその通りだと思います。ですから、その点では高校魅力化の取り組み、岩手留学の取り組みというのは、私は本当に自治体・地域と一体となった、岩手的な新しい教育運動になっているのではないかと思います。
 議事録の中で、西川高校改革課長は「可能な限り、1学級であっても維持する方策を検討したい」という立派な回答をしておりました。先ほどの答弁でも、いま特例校は3校なんですけれども、それをさらに広げて考えるということでしたので、人口減少の速度が速いのでこれが10年続くかは分かりませんが、しかし現段階で大変成果をあげているという点では、可能な限り1学級校でも維持するということが今度の県立高校の在り方に位置づけられるべきだと思いますが、それでよろしいですか。

【高校改革課長】
 地区別懇談会でのご意見等も踏まえ、あと年2回有識者会議を予定しておりますが、その中でも私の発言を踏まえて有識者会議にもお諮りしたうえで、パブリックコメントにもおかけしたうえで、そういった形に持って行ければ良いなと考えております。

【斉藤委員】
 もう1つ、やはり10年の計画ということになると、中長期で高校の在り方を考えるというのも求められていることだと思います。
 60年代の高校というのは総合的な高校だった。生徒が増加して、専門高校ができ、高校の多様化政策でたくさん高校ができました。いま60年代よりも生徒数が減っているんですね。そういう意味でいけば、やはり総合的な高校として地域に必要な高校を残すと言うことも考える必要があるのではないかと。
 議事録のなかで、高田の教育長さんが「陸前高田は外に出る率が一番低い。それは生徒が求める必要な学科がブロックにあるからだ」という発言をしていました。生徒が減れば学校の数も減るわけですから、その場合、地域に必要な高校をバラバラではなく、総合的な高校としてそのように整備をしていく、集約していくと。今度の中間まとめには、校舎制ということも強調されておりました。中長期的には地域の高校は残す、そして生徒が希望する学科も残すという総合的な高校というのも中長期的には考える必要があるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

【高校改革課長】
 校舎制ですが、今回の地区別懇談会の中でも、住田の教育長さんからそういったお話があって、やはりそういった地域に残していただくことが地域の活性化につながるということもお伺いしておりますので、そういったところも踏まえつつ、高校再編計画について検討してまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 この10年ぐらいで地域の発想がかなり変わってきた。今までは県立高校というのは県のやることだと。しかし今は、地元の高校を守るためには市町村が必死になって取り組まなければいけないと大きく変わってきたと思います。そういう点でいけば、県と市町村・高校・地域、そういう強力な協力体制で高校を守る、守っているという取り組みになっているのではないか。これを大事にしていただきたいと思います。

・県立盛岡みたけ支援学校の通学バスについて

【斉藤委員】
 昨年度末ぎりぎりまで取り上げて、ぎりぎりの局面で「新年度は難しい」と。しかし引き続き高等部へのバスについては「検討していきます」という回答でした。
 高等部の通学バス実現に向けて、どう検討・協議されているか示してください。

【特別支援教育課長】
 昨年度より引き続き、対応する人員、学習時程、経費などの課題を整理しながら検討を続けているところです。
 具体的には、高等部生徒の通学方法の実態の確認、運転業務や添乗業務に対応した場合の校内体制の確認、県内の知的障害支援学校の通学バスの運行にかかる再確認などを進めているところです。
 今後も、これまでの検討経過や課題を踏まえつつ、通学バスの運行を含め、通学支援のあり方について、引き続き多角的総合的に検討してまいりたいと考えているところです。

【斉藤委員】
 今年は高等部に20人の新入生が入学したと。いま高等部に通学している生徒の通学手段はどうなっているか示してください。

【特別支援教育課長】
 今年度は生徒52名のうち、保護者送迎25名、施設や事業所等による送迎サービスの利用5名、公共交通機関の利用が15名、タクシー利用2名、徒歩通学4名となっております。なお、1名は在宅での訪問教育を受けている生徒となります。

【斉藤委員】
 52名中25人が保護者の送迎で48%です。この子どもたちは、小中のときは通学バスを利用していた方だと思うんですよ。今まで通学バスだったが高等部にいった途端に保護者が送迎しなければならなくなる。やはりそれはおかしいのではないか。高等部への通学の手段を確保するということは、県教委・学校の責任ではないか。
 いま保護者の方々がアンケート活動に取り組んでいまして、一部を見させていただきました。「高等部にスクールバスが必要だと思いますか」14人の回答なんですが「必要だ」が100%です。「高等部にバスが出れば大変助かる」と。いま送迎している保護者の方は全員が女性、いわばお母さんです。その声の中には、「冬の運転が大変心配だ」「燃料代の負担が大変」だと。私も高等部に行きましたが、入り口が狭いんですね。あそこに入るのに大変危険な思いをしているという話で、なんといっても時間がとられるので、「仕事ができない」「就職ができない」という切実な声も寄せられました。ジェンダー平等、物価高騰の下で、働かないと家計が維持できないというのが切実な課題です。そういう意味で、ぜひ高等部も通学バスを実現していただきたい。
 私も保護者の方と今年の5月に意見交換をしました。小中の場合はだいたい停車場所を決めて、そこに保護者が子どもを連れてくるんですが、そこでまた保護者間の関係もできると。だから通学というのは、子どもたちにとっても友達に会える、一緒に通学できる。保護者もそういう場所を通じて保護者同士で情報交換したり関係ができる。やはり通学バスが果たしている役割というのは、子どもの成長にとっても、保護者が支え合い協力し合うという点でも、大変大事な役割を果たしているのではないかと考えますが、いかがですか。

【特別支援教育課長】
 通学バスを利用しての通学に関してですが、バスに乗ることで友達同士の関わりがあるということ、バスを待つ間の保護者同士の交流が図られるというところで、通学バスを利用することについてのメリットは把握しているところであります。
 一方で、先ほど申し上げた通り、学校側としての対応する人員の問題であったり経費というところの課題はございますので、そちらの視点も踏まえつつ、より良い通学バスの運行あるいは通学支援のあり方については、引き続き検討してまいりたいと考えているところです。

【斉藤委員】
 私は県立盛岡ひがし支援学校にも行ってまいりました。ここは3台の通学バスを運行しているんですよ。これは委託です。朝学校に集まって、それから3つのルートで送迎をする仕組みであります。ちょうど放課後の時間に行きましたので、帰りはデイサービスの方々が続々と迎えに来るんですね。そこで学校の先生方が交通整理をしているんですよ。あそこは交通量が少ないところですが。そうしないと車が集中して大変だと。そういう意味でいけば大変な思いをしながら安全をしっかり確保しているなと感じました。令和6年度のひがし支援学校の通学バスの予算は2610万円ということでありました。人の配置も必要なんだと思います。
ぜひ、昨年来議論してきたことですから、みたけは高等部のバスはないという今までの固定観念を早く払拭して、実際に実施している取り組みの検証も含めて、早く来年は実現できるという方向性を出していただきたい。
 もう1つ要望が出されたのは、八幡平からも3人ぐらい通学しているんですね。1時間以上父母が送迎しています。葛巻町は一戸町の支援学校に町が子どもの通学支援をしている例もありますので、できれば八幡平市と協議もしながら、八幡平市まで学校から迎えに行くわけにはいかないと思いますので、そういうこともあわせて検討していただきたい。

・学校給食の無償化について

【斉藤委員】
 県内の学校給食の無償化の今年度の取り組みはどうなっているでしょうか。

【保健体育課総括課長】
 本県市町村の令和6年度の状況についてですが、今年度6月に取りまとめた調査結果では、全額無償化を実施しているのが11市町村、第三子以降無償化や物価高騰分など一部補助を行っているのが17市町村となってございます。

【斉藤委員】
 岩泉町が加わって11市町村になり、去年の10市町村から11市町村に着実に増えて、33市町村のうち3分の1は完全無償化を実施していると。大変市町村が頑張っていると思います。
 特に食料の物価高騰が大変な状況で、今年度の学校給食費の値上げの状況、保護者負担の状況、値上げをしなかったが値上げをしないところはどう対応しているのか。食材費は増えていますから、給食回数を減らしているとか、市町村がもっているとか、おかずを減らしているとか、そういう対応の状況をどう把握しているでしょうか。

【保健体育課総括課長】
 県内市町村における学校給食費の値上げの状況についてでありますが、令和6年4月時点の状況を6月に取りまとめた調査結果では、学校給食の食材費を令和5年度から6年度に値上げした自治体は16市町村となっております。また、全額無償化や一部補助の変更により保護者負担が増えた自治体は3市となっております。
 値上げをしていない場合の具体的対応については、見積もりによる物資の購入、調味料など年間を通した契約など安定的な価格での購入といった対応をとっております。また、必要な栄養価・品質は保持しつつ、献立の工夫等により対応していると聞いております。

【斉藤委員】
 そうすると、以前に聞いたときにはかなりの規模で給食費の値上げということを年度当初は聞いたのですが、今の答弁だと値上げをしたのは16市町村で、そのうち保護者負担になったのは3市と。そうすると13市町村は、市町村が値上げ分を補助したというところもあると思うんだけれども、それは把握していますか。

【保健体育課総括課長】
 学校給食費の補助の変更により、保護者負担が増えた自治体3市ありますが、給食費の値上がり分が保護者負担となっている自治体が3市のうち1市、材料費に変動はないが物価高騰分保護者負担となったのが1市、あとは自治体の補助が減額になったことで保護者負担が増えたのが1市となっております。

【斉藤委員】
 ちょっと分かりにくい答弁ですね。給食費値上げをしたのは16市町村で、3市は保護者負担だと。だったら13市町村は値上げか市町村補助かということになりませんか。値上がっても抑えてそのままやっているか。市町村補助で値上げ分を抑えたところはいくつありますか。

【保健体育課総括課長】
 追ってお知らせします。

【斉藤委員】
 6月に調査したというのだから、それは皆さんにお配りしてください。