2024年10月15日 決算特別委員会
政策企画部に対する質疑(大要)
・知事のマニフェスト+39について
【斉藤委員】
これまでも議論がありましたが、すでに実施している件数、事業に着手している件数、具体的な検討を進めている件数、それぞれ示してください。
【政策企画課総括課長】
マニフェスト+39の件数についてでございますが、先日、10月9日に委員の皆様の方にも御提供させていただきました資料に基づきまして、各項目の進捗度合いの整理状況を申し上げますと、「既に順次実施」しているものが31件、「事業に着手」しているものが1件、「具体の検討」を進めているものが7件となっているところでございます。
【斉藤委員】
順次実施が31件、中身については一部実施というものもあるでしょうけれども、全体として積極的に取り組まれているということは評価をしたいと思います。
実は知事選挙の際に、知事は「世界に発信する地域振興と市町村との連携」というものも打ち出しました。この1年間はかなり積極的に知事は海外に出られて、岩手のアピールをしてきたと思いますけれども、知事の外遊の成果を含めて示してください。
【政策企画課総括課長】
まず、世界に発信する地域振興についてでございますが、県では、第2期政策推進アクションプランにおきまして、「戦略的な県産農林水産物の輸出促進」や「外国人観光客の誘客拡大」などを掲げているところでございまして、「海外に打って出る」岩手として、多様な施策を展開しているところでございます。
そうした中、令和5年度におきましては、県産農林水産物の販路拡大のためのオンライン商談会やフェアの開催、グローバル産地づくりの推進、いわて花巻空港利用促進などに取り組んだところでございます。令和6年度におきましても、こうした施策に加えまして、新たに、ニューヨーク・タイムズ効果を全県に波及させるための外国人観光客の県内周遊促進にも取り組んでいるところでございます。
また、岩手の魅力の周知や知名度の向上には、委員ご指摘のとおり、知事によるトップセールスや発信も非常に有効でありますことから、令和5年度におきましては、マレーシアやシンガポールで県産農林水産物や日本酒等のトップセールスを実施したほか、令和6年度におきましても、5月の中国訪問における上海定期便の早期運行再開の要請、6月の夏季ダボス会議での岩手県についての情報発信などを展開しているところでございます。
市町村との連携につきましては、人口減少問題をはじめ、いわて県民計画(2019~2028)に掲げる施策を推進するに当たりましては、県と市町村の連携は非常に重要と考えているところでございます。県ではこれまで、市町村が必要とする分野への人的、技術的な支援を行ってきたほか、地域経営推進費などを活用した地域課題の解決に向けた支援などを実施しているところでございます。
また、令和6年度におきましても、少子化対策に取り組む小規模町村に対する伴走型支援、それから保健師の派遣でありますとか、7月には、知事・市町村長によるトップミーティングを開催するなど、県・市町村の一層の連携強化に取り組んでいるところでございます。
【斉藤委員】
かなり知事は選挙後、岩手を世界に発信するということで精力的に取り組んでいるし、地域との連携という点でいくと、人事課から聞きましたが、コロナ対策で保健師を増やした。保健師を手薄な小規模の市町村を支援する体制に活用しているという話も聞いたところであります。ぜひマニフェスト+39の着実な推進に取り組んでいただきたい。
・人口減少対策について
【斉藤委員】
人口減少の直接的な要因は、少子化と非婚化だと思いますが、その実態を示してください。
【政策課長】
非婚化の実態についてでありますが、国立社会保障・人口問題研究所の資料によりますと、本県の2020年における50歳時点での未婚割合は、男性29.6%、女性16.7%となっています。
また、全国の状況ですが、男性28.3%、女性17.8%となっており、全国、本県いずれも、男女ともに、データ統計上、1950年以降、未婚割合は上昇傾向です。
事実婚が多い欧米諸国に比べ、日本では嫡出でない子の割合が少ないため、婚姻の状況は出生数に直接的な影響を及ぼすと認識しています。
【斉藤委員】
いまの答弁にもあったんですけれども、50代男性で未婚が29.61%とほぼ30%です。女性の場合は16.70%ということで、これは男性と女性でこれだけ乖離する理由はなんでしょうか。
【政策企画部長】
先日、一般社団法人岩手経済同友会主催の「岩手経済戦略会議2024」がありまして、その中の講演資料を見ても、岩手の場合には婚姻期に女性が県外に転出しているというデータもあり、男性の方が多くなっていることも影響するのではないかと考えます。
【斉藤委員】
いずれにしても、少子化で若者が少ない中で、非婚化が50代で3割ですから、これはダブルで人口が減っていく悪循環になっているんだと思います。特に男性が29.61%で、女性が16.70%、女性のこの年代が少ないといっても比率ですから、男性がこれだけ非婚率が高いということにもっとメスを入れて、政府もそうだし県もそうなんだけれども、「若い女性」ばかり言うんですよね。なんか若い女性に責任があるような押し出しなんですが、逆に男性が3割も非婚になっている、ここにある意味深刻な問題があるのではないか。男性が結婚できない理由、ここにもっとメスを入れる必要があるのではないか。やはり低賃金、非正規、そういうところにしっかりメスを入れないと本当に効果的な対策にならないのではないかと思います。
そこで、非婚化は皆さんも指摘していますが、非婚化を打開していく具体的な対策はどうなっているでしょうか。
【政策課長】
非婚化の打開策についてでありますが、非婚化は、様々な要因が関係していると認識していますが、公共政策としては、結婚を希望する方が経済的、社会的な困難から結婚を諦める状況を解消することが重要であると考えています。
このため、いきいき岩手結婚サポートセンターの登録料無料キャンペーンやマッチング機能の強化、市町村と連携した新婚世帯への支援など、有配偶率の向上に向けた取組を強化するとともに、県内中小企業向けの賃上げ支援金を措置し、県民の所得向上を促進してきたところです。
このような取組を通じ、令和5年度はi-サポの会員数が1000名を超え、成婚数も過去最多26組となるなど一定の成果が見られておりますが、労働環境や賃金の向上と合わせて、国や市町村等と緊密に連携しながら、更なる施策の充実・強化を図っていきます。
【斉藤委員】
私は、やはり今の若者が岩手で働きたい、結婚して家庭を持ちたい、そういう岩手をつくっていかないと、地域をつくっていかないといけないと思います。
先ほど大学の県内就職率の問題がありましたが、私は常任委員会でも取り上げましたが、たしかに4割を切るということで、県立大学の状況を聞いたら、今までになく首都圏の応募が多いと。だから激しい競争になって、そういう中で岩手で働く魅力がどこにあるのか。どういう職場があるのか。やはり首都圏とは違う岩手で働く魅力、生活する魅力はあるんだと思います。そういうものを企業と一体で、大学も含めて思い切って取り組んでいくということが必要ではないかと考えますが、その点はいかがですか。
【政策課長】
取組についてでありますが、若者がいわてで働きたい、岩手で結婚して家庭を持ちたいと思えるように、多様な雇用の創出と労働環境や賃金の向上に加え、全国トップレベルの子ども・子育て環境の実現に向けた第2子以降の3歳未満児に対する所得制限を設けない保育料の無償化や在宅育児手当支給に係る市町村への支援のほか、高校生をはじめとする若者のライフデザイン形成のための支援など、ライフステージに応じた総合的な取組を官民が一体となって進めているところです。
また、令和5年度は、物価高騰の影響を受けている若者など生活者、事業者を支えるため、国の経済対策に全国に先駆けて呼応し、累次の補正予算を編成して対応してきました。このような取組を通じて、物価高騰対策賃上げ支援金については、令和6年9月19日現在、見込を上回る2,562事業所からの申請を受け付けるなど、賃上げの促進に効果をあげているほか、これまでに、いわて働き方改革推進運動に1千社を超える企業が参加、東北最多の企業が経営革新計画に基づく生産性向上を実施県内全市町村が第2子以降の3歳未満児に係る保育料無償化を実施、i-サポ会員数が8月末時点で前年同月比121%の千人を突破、などの成果につながっていると認識しています。
今後は、若者が岩手で希望する生き方が実現できるよう、全国トップレベルの子ども・子育て環境の実現、多様な働き方ができる職場環境の整備、労働環境や所得の向上に加え、アンコンシャス・バイアスの解消などジェンダー平等の視点も踏まえ、更なる施策の充実、強化を図っていきます。
【政策企画課総括課長】
大学生の地元定着ということで、委員のご指摘のとおり、大学生をまず地元に残すということが大事であり、そのためには、岩手で育った子供たちが地元の大学に行くという視点も非常に重要だと考えています。昨年度から、地元の高校と大学と企業が一堂に会した企業説明会を実施し、多くの高校生が参加しています。
そういった取組に加え、先ほど荒澤課長がご答弁申し上げましたとおり、安定した所得収入や、暮らしやすさといったものが重要だと考えております。賃上げ支援でありますとか、可処分所得ということでいいますと、住宅支援ですとか、そういった取り組みを行いながら岩手の働く会社の情報ですとか、交通時間の少なさ、物価の安さなども岩手の魅力だと考えておりますので、そういった情報も発信しながら、社会減対策に取り組んでいきたいと考えております。
【斉藤委員】
人手不足は岩手も深刻だけど全国も深刻です。それだけに就職戦線は激しい争奪戦になっています。そういう点でいま課長から詳しく話がありましたが、例えば、中小企業への賃上げ支援、直接支援は全国で岩手が初めてやったんですよ。これは党首討論でも岩手が紹介されたんですね。岩手は頑張っている、こういう魅力があるということを、ここで言うだけではなくて、もっと若者に届くようなPR、周知を本当に考えて、どんなにいいことをやっても知らせなかったらみんなのものにならないんです。そこをぜひ考えていただきたい。
・市町村長による知事への予算要望の取り組みについて
【斉藤委員】
知事がこの1年間市町村長から直接要望を受けるということで、知事のイニシアチブの所管課として、この間の成果をどのように受け止めているのか示してください。
【政策企画課総括課長】
市町村長による知事への要望を受けての成果についてでありますが、市町村からの要望への対応については、市町村のニーズを的確に把握し、市町村と一体となった県政運営を展開する上で重要な機会であると捉えています。
令和5年度は31市町村、令和6年度は33市町村全ての要望に知事が出席し、様々な課題などについて、市町村長や市町村職員の生の声を直接お聴きしているところです。
市町村の要望内容については、全庁的な共有・議論を経て、それらも踏まえて、翌年度の適切な予算編成等につながっていると考えており、例えば、物価高騰対策や人口減少対策をはじめ、各分野において、県と市町村が連携して課題の解決に取り組んでいます。