2024年10月15日 決算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)
・公益通報制度について
【斉藤委員】
県庁における公益通報制度は、制度自体どうなっているのか。
【人事課総括課長】
公益通報制度についてでありますが、県では、コンプライアンスの確立のために、職務の遂行に当たり職員の法令等に違反する行為等に関して、これを知った職員等からの通報を受け付け、通報した職員等を保護することを目的に、平成18年度に実施要綱を定めまして、県としての公益通報制度を運用しております。
制度が適切に機能するように、通報窓口として、人事課内に設置する内部窓口に加えまして、弁護士による外部窓口を設置し、通報内容に係る調査権限を付与しているほか、退職した職員においても、一定期間、通報を可能とするなど、組織内部での不正や不祥事等を早期に発見し、公正に対処できる体制を確保しているところでございます。
また、制度の内容と通報窓口については、全職員に向けて定期的に発出する服務通知において周知しておりますほか、ホームページにおいて県民をはじめ広く外部にも周知を図っているところであります。
【斉藤委員】
先ほどの答弁で、人事課200件、外部の弁護士に1件ということでした。調査件数、是正件数を示してください。
【人事課総括課長】
件数については、委員からお話しのありましたとおり全部で9件きているところであります。
これら通報があったものについては、全ての内容を確認しておりますが、これらのうち公益通報の要件に該当した3件を公益通報として受理し、必要な調査・指導を行い、県として是正措置を講じております。是正措置は3件すべてについて措置がとられております。
【斉藤委員】
この公益通報制度、よく説明を受けますと、「職員の法令等に違反する行為等に関して」と。法令等に違反するという意味でいけば、それなりにハードルがあって、その法令に違反するかどうかの認定ということになるわけですね。それが3件だったと。
それで、兵庫県はあまりにもひどいんですけれども、通報者の保護、どういう形で通報者が保護されているのか、保護するのか。そこを示してください。
【人事課総括課長】
通報された方の保護についてであります。県の公益通報に関する要綱において、「公益通報者は、正当な公益通報を行ったことによっていかなる不利益も受けない」と規定しておりまして、その実効性を担保するため、先ほど御答弁申し上げたとおり、外部窓口を設置しているほか、通報の受理から、調査、その結果に基づく措置に至る全ての過程において、通報者の匿名性が一貫して確保されております。また通報者を探索することも禁じられております。
さらに、不利益な扱いを受けるおそれがある場合には、外部窓口に訴えることができる旨を定めておりますし、外部窓口の調査員には、必要に応じて知事に対して是正措置を講じるよう勧告する権限が付与されるなど、通報者の保護を担保しております。
【斉藤委員】
外部への通報の窓口があるのは大変大事だと思うんですね。ただ、弁護士1人なんですね。これは第三者の弁護士に通報があった場合に、それが法令に違反するかどうか、誰が調査・認定するのでしょうか。
【人事課総括課長】
それにつきましても外部の調査員が判断をするということになります。
【斉藤委員】
そうすると、弁護士の下に外部の調査員がいるということになりますか。
【人事課総括課長】
外部の弁護士自体が外部調査員という位置づけになっているものでございます。
【斉藤委員】
そうなるとなかなか弁護士も仕事が大変になるのではないか。だいたい第三者委員会というのは、第三者委員会があって調査委員会があるぐらい調査というのはすごく大事なんですよね。私は外部の窓口をもっと充実させる必要があるのではないかと思います。
その公益通報の内容を見ますと、パワハラを受けたという通報があるのですが、残念ながら受理されなかった。県のパワハラについてお聞きしますけれども、パワハラにかかる相談件数はどのぐらいあって、認定された件数は何件でしょうか。
【人事課総括課長】
パワハラの状況でございますが、令和2年度に県としてのハラスメントの指針を策定してございます。令和2年度以降でカウントいたしますと、18件の相談が相談窓口にきたものでございますが、そのうち実際にパワハラと認定されたものについては0件になっております。
【斉藤委員】
これは聞いてびっくりしました。パワハラと認定されたのは0だと。ただ、どのように対応したかというと、認定されないものも「調査の結果、行為者に対して所属長から注意」というのが多いんですよ。つまりパワハラがあったということですよね。パワハラの認定そのものの基準が高すぎるんじゃないかと思います。実際には多くが所属長注意をしている。この所属長注意というのはどういうものですか。何を根拠に注意となるのですか。
【人事課総括課長】
ハラスメントの認定につきましては、国の人事院の規定を用いまして考えております。ハラスメントの要件がありまして、その中の一つに、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動であったかどうか、という基準がありまして、この点でハラスメントに認定できるかどうか、といったところで線を引いており、なかなか難しいところがあります。
ただ一方で、ハラスメントに認定されなかったとしても、不適切な対応が職場であった場合には、厳正に対処する必要があると考えており、まずは所管部局を通じまして、所属長からしっかり指導させるという対応を取っているところでございます。
【斉藤委員】
パワハラの認識というのがちょっと機械的なのではないか。例えば、不来方高校のバレー部員の自死事件がありました。これは、顧問教師の暴言・叱責です。警察官が上司からパワハラを受けて自殺し8700万円の賠償金を払った。これも上司からのパワハラです。暴言・叱責というのは、本当に人間を死に追い詰めるぐらいの、ある意味身体的な暴力よりも暴言・叱責の方が悪質で影響が大きいと思うんです。パワハラの指針をつくったのが令和2年ですから、このパワハラに対する認識というのがあまりにも軽すぎるのではないのか。もっと深刻に受け止めなくてはならないのではないか。結果的には「所属長注意」という、注意せざるを得ない事実もあるわけですよ。内容を見ても「人格を否定するような発言を受けた」という相談がありました。パワハラがどれだけ職員を追い詰めるのか。身体的な暴力よりもある意味深刻な影響と打撃を受けるという認識ありますか。
【人事課総括課長】
ハラスメント対策の重要性につきましては、我々としても非常に重く考えております。所属長の役割は特に重要であると考えておりまして、新任の総括課長研修の中でも、ハラスメントの講座を設けまして、具体的な他県の事例も引き合いに出しながら、重大な事案になるといったことをしっかり指導しているところでございます。
また、防止に向けまして、部下の職員から上司を評価させるという仕組みも用意してございますので、そういった中でしっかりとしたハラスメントの防止に取り組んでまいりたいと思います。
【斉藤委員】
残念ながらパワハラ相談をやっても認定されなかったということでは、相談する気にならないですよ。やはり認定の仕方、認定の基準をもっと考えるべきだと。所属長から注意しなければならないものはパワハラでしょう。それは問題提起しておきますので、認定すべきは認定するというあり方について再検討していただきたい。
・会計年度任用職員の待遇改善について
【斉藤委員】
会計年度任用職員の制度が実施されて5年目となりますが、正職員と会計年度任用職員の実態はどうなっているでしょうか。フルタイム、パートタイムの状況の比率、男女比、年代別を示してください。
【人事課総括課長】
会計年度任用職員の任用状況についてでありますが、知事部局における、令和6年5月1日時点の実人員は1,373人となっており、一般職員の総数5,581人のうち、会計年度任用職員の占める割合は約4分の1となっています。
会計年度任用職員のフルタイム・パートタイムの状況については、フルタイムが55人で約4%、パートタイムが1,318人で約96%となっています。
また、男女別の割合については、男性が約43%、女性が約57%となっており、年代別の割合については、30歳代以下が約10%、40歳代が約21%、50歳代が約25%、60歳代以上が約44%となっています。
【斉藤委員】
会計年度任用職員は残念ながら96%がパートタイムなんですね。この間、会計年度任用職員の賃金の改善状況はどうなっていますか。
【人事課総括課長】
会計年度任用職員制度導入による処遇改善の状況については、パートタイムのモデル年収でみると、今年度からの勤勉手当の支給により、昨年度から約29万円増額して、約253万円となり、制度導入前の臨時職員と比べると約70万円増額しており、東北他県との比較では2番目に高い水準となっています。
【斉藤委員】
今のはパートタイムの賃金ですね。
それで96%がパートタイムですから、パートタイムの会計年度任用職員と高卒で入職された職員の10年後の賃金の比較はどうなりますか。
【人事課総括課長】
パートタイムの会計年度任用職員と高卒で10年勤務した場合の比較で申し上げますと、約120万円の年収差となります。
【斉藤委員】
岩手県の会計年度任用職員の特徴というのは、男性が43%を占め、他の市町村と比べても男性の比率が高いんです。家族の生計を支えている人たちが、10年経てば高卒で入った県職員と比べて120万円の格差が出ると。
会計年度任用職員、3年後の審査、試験は国は止めるということですが、県も同様の対応をするのでしょうか。
【人事課総括課長】
再度の任用につきましては、先日の一般質問で部長が答弁したとおり、他県の動向も勘案しながら、再度の任用の上限回数の撤廃に向けて、検討を進めているところです。
・法人事業税の推移と減少の要因について
【斉藤委員】
赤字で対象とならない中小企業数と率はどうなっているでしょうか。
【税務課総括課長】
本県の法人事業税の状況についてでありますが、令和5年度の決算見込額は280億4,600万円となっており、令和4年度決算額と比較すると6億7,700万円、2.4%の減少となっております。
その要因といたしましては、全国的には円安を背景に輸出関連企業を中心に税収が伸びた一方で、中小企業の割合が高い本県においては税収が伸びなかったためと考えております。
また、赤字で課税対象とならない中小企業数ですが、県で集計が可能な、県内に本店等を有する普通法人についてお答えいたしますと、令和5年度に課税対象とならなかった法人は11,314社で、法人全体の65.8%、うち、資本金1億円以下の法人は、11,283社で99.7%となっております。
【斉藤委員】
法人事業税の収入が減っているのは中小企業が多いからだと。そして法人事業税の赤字は65.3%でほとんどが中小企業ということですね。
こういう中で、最低賃金が59円上がると。中小企業にとっては赤字の中で対応せざるを得ない。そういう労働者が5万人以上いると一般質問の答弁ではありました。
中小企業の対策が必要だということで、続編は商工労働観光部でやります。