2024年10月16日 決算特別委員会
ふるさと振興部に対する質疑(大要)
・国によるJR東日本のローカル線切り捨て問題について
【斉藤委員】
ローカル線切り捨ての全国の協議状況、対応状況を示してください。
【地方路線対策監】
ローカル線の全国の対応状況についてですが、新聞報道等で把握しているもので、網羅的なものではございませんが、まずは、昨年10月に施行されました改正地域交通法に基づく再構築協議会については、岡山県と広島県に跨る芸備線において、JR西日本の要請により、本年1月に協議会が設置され、3月には第1回の協議会が開催されております。
この他、JR西日本管内では、城端線・氷見線について、第三セクターの「あいの風とやま鉄道」に経営移管することが、昨年10月に決定されたところです。
JR東日本管内では、再構築協議会設置の動きは具体化しておりませんが、千葉県の久留里線、群馬県の吾妻線において、JR東日本が沿線自治体に対し、「沿線地域の総合的な交通体系」に関する申し入れを行い、両者の協議が開始されているところです。
また、青森県の津軽線については、令和4年の大雨災害により不通となっている区間の復旧に関する協議が、JR東日本と沿線自治体において行われておりましたが、今年5月にバス等に転換することで合意されたところです。
【斉藤委員】
我々も東日本大震災津波でJRを三陸鉄道に移管するということで、話が進むまで復旧しないのだから。今も話があったように、大雨災害等を受けたところで結局バス転換と。この法律協議会というのは、JRの路線を廃止するものではないとなっているけれども、具体的にはこういう形でどんどん第三セクターに移管するとかバスに転換するなど、こういう動きを警戒心を持って対応していかなければならないと思います。
そこで、JRローカル線維持確保連絡会議、路線ごとのJR沿線自治体会議の開催など、県内の対応状況はどうなっているでしょうか。
【地方路線対策監】
県内の対応状況についてでございますけれども、県では、令和4年11月に「JRローカル線維持確保連絡会議」を開催し、鉄路の維持と、県及び沿線自治体が連携を強化して更なる利用促進に取り組んでいくことについて、認識を共有したところでございます。
令和4年12月には、県と沿線自治体と共同で、国やJR東日本に対し路線維持に向けた要望を実施したところです。
これを踏まえまして、全ての路線におきまして、沿線自治体首長会議等が開催されるとともに、今年度は新たに、八戸線、釜石線において利用促進協議会が設立されるなど、鉄路維持に向けた取組が着実に強化されてきているところです。
県としては、路線ごとに状況が異なることから、沿線自治体の意向も充分に踏まえながら、引き続き沿線自治体会議や利用促進協議会等を通じ、沿線自治体と連携しながら、鉄道の維持、確保に向けて取り組んでまいります。
【斉藤委員】
JRローカル線の切り捨て問題でもっとも大事なのは、JRが利益をあげて内部留保を溜め込みながらやっているということなんですね。
そこで、JR東日本の経常収支、内部留保はいまどうなっていますか。
【地方路線対策監】
JR東日本の経常収支、内部留保についてでございますが、JR東日本が公表している連結決算資料によりますと、まず、経常利益につきましては、2024年3月期決算では、2,966億円余の黒字となってございます。
また、内部留保につきましては、利益剰余金で見ますと、2024年3月期決算では、2兆2,891億円余。また、最新の2025年3月決算第1四半期では、2兆3,303億円余となってございます。
【斉藤委員】
2024年3月期決算というのは、株主総会で報告された中身だと思います。約3000億円の経常利益ですよ。そして2兆2891億円の内部留保。今年の第1四半期で見ると、経常利益が1064億円、×4になると思うんですが、内部留保はすでに2兆3300億円だと。これだけ利益をあげておいて、災害が起こればそれを最大の口実にしてローカル線を切り捨てるやり方というのは、本当に許してはならないと。
そもそも、国鉄分割民営化のときに、地方ローカル線は守るという約束で分割民営化が行われ、岩手にとっては、新幹線を青森に延伸するときにたしか1000億円ぐらいの地元負担をした。そういうことをしながら盛岡以北のJR本線を切り捨てると。いわば、儲かるところだけやって、採算が取れないところは地方に押しつけるやり方をやってきた。本当にこれはまったく大義も何もないと思います。
もちろん、利用促進その他については取り組まなくてはならないけれども、公共交通というのは儲けるところで利益をあげて、儲からない路線をそれで維持する―これが国鉄時代の考え方だったし、分割民営化直後もそういう立場だった。そういうことを堅持して、防戦にならないように、攻勢的に取り組みを進めていただきたい。
・バス路線の維持、地方公共交通の確保について
【斉藤委員】
県内のバス路線の廃止、減便の状況はどうなっているでしょうか。
【地域交通課長】
乗り合いバス事業者3社におけます県内のバス路線の減便・廃止の状況ですが、一部のバス事業者において、令和6年4月に運転士不足を要因とした減便や路線廃止が行われており、平日296便、土日休日177便が減便されたほか、県が把握している補助路線においては、国庫補助路線が3路線、県単補助路線が2路線で、計5路線が廃止されたところです。
また、9月末には、国庫補助路線路線を3路線に統合再編したことにより、2路線が廃止されているところです。
【斉藤委員】
全県で296便、特に盛岡は240便です。だから地方を切り捨てたんじゃないんです。県都・盛岡のバス路線がバッサリ削られて、朝と夕方しかない。朝行ったら帰って来れない。基幹路線だけはあるけれども、例えば東緑が丘などは、アネックスカワトクがあるところまで出ないとバスに乗れないというのが実情です。これはバス事業者に責任があるというよりは、コロナ禍で乗客が減り、一番の要因は運転手確保です。そういう意味でいくと、バス路線、公共交通網というのは、本当に生存権の一部、生活権の一部なんです。
これをどうやって守っていくかということでお聞きしたいんですが、まずバス会社の経営状況、運転手の確保状況について示してください。
【地域交通課長】
乗合バス事業者3社における令和5年度の利用者数は約1,592万人で、コロナ前の令和元年度比で23.6%減少していますが、令和4年度比では7.8%増加しています。
また、令和5年度の運賃収入については44億7,016万円余と、令和元年度比で18.3%減少していますが、令和4年度比では11.3%増加し、コロナ前までは戻っていませんけれども、回復基調にあると認識しています。
次に、運転士確保の状況ですが、乗り合いバス事業者3社の運転士は年々減少しており、本年4月1日時点では618人と、昨年から22人、3.4%の減少となっているところです。
【斉藤委員】
コロナの影響があって、令和元年と比べるとかなり厳しい利用者数の減少、運賃収入の減少なんですけれども、令和4年度と比べると乗客も運賃収入も増えているということは重要な傾向だと思います。
運転士が令和6年度の4月1日で618人、令和5年度が640人でしたから、また減ってしまったと。それで岩手県が今年度予算で運転士確保の事業を始めました。この取り組み状況、成果はどうなっていますか。
【地域交通課長】
運転士不足に伴うバス路線の減便や廃止等により地域の足が失われることを防ぐために、今年度、本補助制度を創設したところです。
本事業の対象経費は、「運転士の確保に要する経費」、「運転士の採用活動及び運転士の育成に要する経費」、「職場環境の改善に要する経費」であり、今年度は、新規採用運転士に対する人件費や、テレビCMなどの採用活動、女性運転士用トイレの整備などに補助する予定であり、10月1日時点の交付決定額は1685万1千円で、予算額1722万円の97.9%となっています。
なお、乗合バス事業者における本年4月から9月末までのバス運転士の採用人数は、3社合計で51名となっており、前年同期間より14名の採用増となっているところです。
【斉藤委員】
そうすると4月1日は618人でしたから+51人ということですか。
【地域交通課長】
618人に51人を足した上で、ただ、離職者が出る場合があり、純増にはならないものと思われます。
【斉藤委員】
予算特別委員会のときに聞いたときは640人まで戻すという目標だったので、今の話を聞くとそれは超えているのではないかという感触なんですが、しかし県が策定した岩手県地域公共交通計画では、バス運転士の新規確保人数は、令和10年度の目標で330人と。330人を令和10年に向けてどう増やすのか。この点はどういう計画を持っているのでしょうか。
【地域交通課長】
県はこれまで、運輸事業振興費補助金により、大型二種免許取得助成費用への補助を、岩手県バス協会を通じて行ってきたところであり、今年度、バス運転士確保対策費補助を創設したところです。
ほかにも、昨年度から、岩手運輸支局が高校訪問を行っており、これに県も同行し、運転士確保のPRを行ってきているところです。
また、今年度から、自衛隊は定年による退官が早く、大型二種免許を取得している自衛隊員が相当数いることから、バス事業者を紹介し、来月だっと思いますが、バス事業者と自衛隊が連携して、駐屯地でのバス運転士体験会を行う予定であり、今後もこのような連携を強めていきたいところです。
【斉藤委員】
ぜひ自衛隊からどんどんバス運転士確保するように取り組んでいただきたい。
・マイナンバーカードについて
【斉藤委員】
マイナンバーカードの交付状況、マイナ保険証の登録状況と利用状況はどうなっているか。
マイナ保険証による混乱をどのように把握しているか示してください。
【市町村課総括課長】
マイナンバーカードの申請、交付状況についてでありますが、令和6年8月末時点において、申請率は県全体で90.8%、交付率は81.3%となっておりまして、交付率は全国平均と同程度となっているところでございます。
【デジタル推進課長】
マイナンバーカードの健康保険証の利用状況ですが、令和6年8月30日に厚生労働省保健局が公表した資料によると、マイナ保険証の登録者は令和6年7月末時点で7,451万人、マイナンバーカード保有者の80%に相当します。令和6年7月に医療機関を受診した人のうち、マイナ保険証を利用した人の割合は11.13%と承知しています。
また、岩手県保険医協会が医療機関に対して行った12月のアンケート調査結果によると、不具合があったと伺っておりますが、現時点において、市町村から具体的な情報は寄せられていないところです。
【斉藤委員】
マイナンバーカードの健康保険証を紐付けているのは、岩手県で61.03%です。これはポイントで、紐付けると5000ポイントとか10000ポイントということで進められた。しかしそのマイナ保険証を活用しているかというと、全国的には11.13%です。岩手県の資料をいただきましたが、12.97%です。使っていないのです。
石破首相も、自民党総裁選で「これは問題だ」と。見直すということを言っていたけれども、総理大臣になったらトーンがおかしくなってしまった。
これは法的根拠ないんです。12月2日に廃止するというのは閣議決定なんです。国民が使わない、使いがたい、こういうものを強制して、廃止して、無理矢理押しつけるやり方は絶対にやってはならない。
石破さんでさえ「これは見直さなければならない」と自民党総裁選で言っていた。県民・国民が使っていない。そういうマイナ保険証の強制は見直すべきだと。県も声をあげるべきだと思いますが、いかがですか。
【ふるさと振興部長】
まずもって、医療が必要な方がきちんと医療を受けられることが非常に大事なことだと思っています。
マイナ保険証につきましては、国民に広く理解が得られること、メリットや安全性について、国において丁寧に説明を行うことがまずは必要だと思っておりますので、全国知事会を通じて引き続き国に適切な対応を要望してまいりたいと考えています。