2024年10月18日 決算特別委員会
医療局に対する質疑
(大要)


・県立大船渡病院における看護師の超過勤務問題について

【斉藤委員】
 大船渡病院における看護師の超過勤務問題の解決の取り組みについて。今回昨年の9月議会から4回目です。これは本当に最後の質問にしたいと思って質問いたします。
 3月21日付で大船渡労働基準監督署が是正勧告と指導の通知を出しましたが、その具体的内容を示してください。

【職員課総括課長】
 令和6年3月に、大船渡労働基準監督署から、大船渡病院の看護師について、休憩時間の確保に関する是正勧告が出され、残業時間が適切に申告されていない恐れがあるということから、令和5年4月にさかのぼって出退勤記録等の確認のほか、職員から事実関係について聞き取りを行うなどの実態調査や必要な対応を行うよう指導を受けたものでございます。

【斉藤委員】
 今日で4回目になりますが、医療局長は、労基署から是正勧告と指導を受けたことをどのように受け止めていますか。反省していますか。

【医療局長】
 これまで休憩時間の確保に向けて、業務応援による体制確保などの取り組みを進めてきたところでございますが、今般、大船渡労働基準監督署から大船渡病院の看護師について、休憩時間の確保に関する是正勧告があったことから、業務の進捗状況を確認し、業務応援の調整を行うなど対策を講じているところでございます。
 また、昨年度大船渡病院では、出退勤の打刻の徹底や勤務時間内に行う業務を確実に申請できる環境を進めているほか、申請されていない超過勤務の状況も確認のうえ、手当を追給したという状況でございます。
 それらの取り組みを行ってまいりましたけれども、今般、残業時間が適切に申告されていない恐れがあることについて指導がございましたことを踏まえて、令和5年度4月にさかのぼって、すべての看護師を対象に超過勤務の有無を確認するなど、実態を丁寧に確認のうえ適切に対応しているところでございます。

【斉藤委員】
 反省の言葉がなかったですね。
 医療局長は今まで議会で何て言っていたかというと、「超過勤務が申請しづらい雰囲気はあった」と。そういう声はあったと。「雰囲気」じゃないんですよ。超過勤務の申請を認めてこなかった。申請しても認めない。申請すればつきまとわれて「なんで超過勤務をしたの」と。結局超過勤務が申請できないような状況がつくられた。これは総看護師長を中心にしたパワハラでした。本当に深い反省のうえに立って、今回の是正勧告と指導に基づいて取り組むべきだと思います。
 そこで、どういう調査方針、調査方法で超過勤務の実態を把握するのか示してください。

【職員課総括課長】
 現在、大船渡病院において、大船渡労働基準監督署からの助言を踏まえ、まずは令和5年10月から令和6年3月までを対象に、申請されていない超過勤務の有無について、職員から申告を求め、すべての看護師を対象とした面談に着手し、状況の確認を進めているところでございます。
 令和5年4月から9月までの分については、昨年度に調査のうえ、追給を実施したところですが、今般の指導を踏まえまして、再度調査を行う予定でございまして、調査の結果、確認された超過勤務については、勤務実態を確認のうえ、追給を含め適切に対応してまいります。

【斉藤委員】
 いまの調査状況を示してください。

【職員課総括課長】
 現在、職員に向けて超過勤務の有無について申告するよう通知してございまして、対象職員273名中109名からは超過勤務の実績がないという申し入れがございます。また、未申請の超過勤務があると答えたのは29名でございました。全体の回収率は現在のところ50.5%でございます。ですけれども、申告されていない職員も含めまして、今後全員に対して面談を行っていく考えでございます。

【斉藤委員】
 私は9月24日に院長と事務局長にお会いしてきました。どういう調査方法でやるのかと。「自主申告」なんですよ。そして9月24日に聞いたときには、だいたい看護師全体の中で60人ぐらいの申請だと。これは去年の10月に申請した数は同じでした。今の結果は全然違っていましたね。たった29人しか申請していない。なぜこんなことになるのか。あなた方は、労基署の指導の通りに調査していないからなんです。
 労基署は「過去11ヶ月、令和5年4月にさかのぼって出退勤記録や電子カルテログ記録等による労働時間記録を確認するほか、当該労働時間記録を示したうえで、各労働者から事実関係について聞き取りを行うなどの実態調査を行うと。「自主申告」ではないのです。1年前の認められなかった超過勤務を、看護師さんは証明する術がない。あなた方は全部つかんでいるんです。だから出退勤記録、電子カルテログ記録で把握している労働時間記録を示したうえで調査をしなさいと。なぜこういう調査をしないのですか。

【職員課総括課長】
 調査方法については、これまで大船渡労働基準監督署と調整を行い、その助言を踏まえて調査を進めているところでございます。
 まずは、令和5年10月から今年3月まで対象の調査を行うということで、職員への聞き取りにつきましては、監督署からの調査方法の助言を踏まえまして、出退勤記録を基にまず行いますが、電子カルテのログ情報もございますが、システムの仕様上自動ログ機能があるということで、勤務時間を正確に計ることは難しいということで、補助的に活用しながら進めているところでございます。
 今後すべての看護師を対象に面談を行いまして、確認された超過勤務について勤務実態を確認したうえで、追給を含めて適切に対応してまいります。

【斉藤委員】
 出退勤記録は打刻してから仕事しているという例がかなりありますから、しかし電子カルテログ記録は、仕事が終わった時間にほぼだいたい決まるんです。だから労働時間をあなた方は把握できている。それを示して、「これはすべて超過勤務ですか」とやって、看護師さんと調査をしないとだめでしょう。
 労働基準監督署が「自主申告でいい」と言ったのですか。

【職員課総括課長】
 超過勤務の状況の確認の進め方については、まず病院事務局からすべての看護職員に超過勤務の有無を確認する、そしてその申告をもとに面談を進めていくという流れについて、監督署からの了解を得ているところでございます。

【斉藤委員】
 私は労基署に確認しましたけれども、「自主申告でいい」なんて言っていませんよ。だいたい是正勧告と指導に調査の仕方をはっきり書いているじゃないですか。
 そもそも労基署の勧告はあなたが言うように、去年の4月にさかのぼって調査しなさいというものです。それをあなた方は、10月は1回やったから、10月以降の分が自主申告なんです。このやり方もおかしいでしょう。4月にさかのぼってやらなければだめなんですよ。
 去年9月に、超過勤務の申請ができないから、看護科じゃなくて事務局に申請しなさいとやった。300人中60人しか申請しなかった。それは怖いからです。仕返しされると思うから60人しか申請しなかったんです。ただこの60人の申請の中身はきわめて重大です。1271時間の超過勤務も確認された。就業前の超過勤務が44.3時間、打刻の枠内での超過勤務が618時間、打刻の枠外が653時間、休憩時間がとれないのが205時間だった。打刻の枠内というのは、仕事が終わってから打刻したというのが超過勤務になっていないということです。申請しなければ超過勤務は払わない―これは枠内の超過勤務です。枠外というのは、打刻してから仕事をしているということです。
こういうやり方で、60人分はだいたい超過勤務、不払い労働がどのようにやられたかが明らかになった。自主申告じゃだめなんです。あなた方が把握している労働時間をすべての看護師に示して、「これはすべて超過勤務ですか」と、このように調査すべきではないですか。事務局長は「そうやる」と言いましたけれども、課長はどうですか。言われた通りやるべきじゃないですか。

【職員課総括課長】
 先ほども答弁申し上げましたが、この調査方法、進め方については、労働基準監督署からの助言を受けまして進めております。職員への申請を求めておりますが、この申請の結果を受けて改めて職員に状況を確認し、さらにこちらとしては電子カルテログ情報も提供しながら、職員個々に状況を確認し、超過勤務も確認しようということでございます。

【斉藤委員】
 看護師さんの面接では、あなた方が把握している労働時間はしっかり提供する、示すということですね。それをしっかりやってください。だいたい去年申請できなかった超過勤務が何時間かなんて看護師さんは分からないので。当たり前の方法で、自主申告でごまかすようなことは絶対にやってはならない。
 それで、今どういう状況になっているかというと、残念ながら超過勤務時間が減っていません。実は6月から出入り口に出退勤記録機器を設置しました。これは一歩前進です。それでも主任クラスの看護師が出入り口まで行って、打刻してからまた白衣のまま戻って仕事をしているというのが実態です。あとは、いま超過勤務を申請している人たちも、実際に超過勤務した一部しか申請していない。怖いからです。やった分申請すれば「なんでこんなに超過勤務したの」と。今でもこのように言われる。
 総看護師長は激しいパワハラで、部屋の外まで聞こえるような怒号があったと。今はそれはないようです。総看護師長は辞めました。これはなぜ辞めたのですか。自主退職ですか。その当時の体制はほとんど変わっていない。師長クラスは11人いましたが、9人そのまま残っています。パワハラグループが残っているんです。だから残念ながら職員の中には去年のトラウマが残っています。そういう意味で、総看護師長が辞めた理由、そういうパワハラの体制をほとんど温存した理由はなんですか。

【職員課総括課長】
 総看護師長の退職事由につきましては、個人に関する情報でございまして、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
 昨年度の総看護師長の行動、発言、そういったことについては、昨年度病院におきまして、関係職員、部下職員のヒアリングを行っているところでございます。その中では特に、問題行動は認められなかったと聞いているところでございます。ただ、超過勤務が申請しづらいという状況があったということで、各部門の長に対しまして、部下職員等に正確な超過勤務の申請を促すことと合わせて、上司や部下に関係なく相互に意見交換ができ、休暇や超過勤務を申請しやすい職場環境の整備に努めるよう、病院内の掲示や各部門の会議などさまざまな機会をとらえて周知徹底を図っているところでございます。

【斉藤委員】
 去年、どういう形で超過勤務の削減が強要されたのか。看護の質が落とされた。「患者に寄り添った看護ができなかった」「汚れた衣服はそのまま。ひげ剃りもされず、1ヶ月風呂に入っていない患者もいた」と。「超過勤務を減らすために、おむつ交換は2回から1回に。おしりがただれることもあった」「転院前の患者は風呂に入れるが、退院の患者は自宅で入浴してもらう」と。高齢者の患者が多いので、これは大船渡に限らないのですが、看護の量は増えているのです。そういう中で超過勤務だけ止めろと言っているから看護の質が落ちてしまった。残念ながらこれは継続しています。そういう意味で、本当に労基署から是正勧告と指導を受ける、その最大の責任者は総看護師長ですよ。ただ辞めれば済むという話ではないとおもうんですよ。だいたい遠野病院ときは2400万円の不払い払った張本人がその総看護師長じゃないですか。あなた方は何の処分もしないで辞めさせる。責任の所在がはっきりしないじゃないですか。こんなやり方でいいんですか。そういう曖昧なことをやっているから、パワハラの体制が残されるのではないですか。

【職員課総括課長】
 ただいまご指摘のあった看護の質の低下というご指摘ですが、前回の決算特別委員会の総括質疑においても同様のご指摘をいただいたところです。それを受けまして、私全病院に聞き取り調査を実施しており、超過勤務の縮減をするために入浴回数を減らすといった実態は一切ございません。患者への清潔ケアは、患者一律に実施するものではなく、さまざまな状況、エビデンスをもとに個別に評価し実施しているものでございます。
 県立病院に勤務する3000人を超える看護師は、いかに患者が療養しやすい環境を整えていくか、また効果的にいかに看護を提供していくか、そのことを考え、また日々業務スケジュールを組んで、研鑽しながら日夜努力しているという状況でございます。また、さまざまな学会等の参加、また県立病院では先月、全病院からなる岩手県立病院総合学会を開催して、医療提供のあり方等さまざま議論しているというところです。
 そのような中で、いま委員からご指摘のあったような発言、職員からの発言があったということが事実であれば、それはしっかり改めて確認して、県立病院としての医療の質の向上に引き続き努めてまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 弁解はいいので、私は現場で聞いた実態を訴えているのです。そういうことがあってはならないという通知を出していただきたい。看護の質を守りなさいと。そのように改善すればいいのですよ。犯人探ししないで、私が取り上げると、「情報を漏らしたのは誰だ」と。こんなやり方をしていたら職場の環境は改善しませんよ。そういう実態があるなら改善しなさいと、こういう形でしっかりやると。
 そして大事なことは、是正勧告と指導を受けたのだから。責任と所在をはっきりして、そして本当に働きがいのある職場をつくることです。
 最後に医療局長、労働時間をはっきり示して、労基署の指導通りに調査すると。不払いを支給すると。答えてください。

【医療局長】
 超過勤務を実施した者につきましては、適切に把握をして適切に支給するということが大切かと思いますので、しっかり確認のうえ、必要な対応をしてまいりたいと考えております。