2024年10月23日 決算特別委員会
県土整備部に対する質疑(大要)
・岩手型住宅ガイドライン、いわて省エネ住宅建設推進事業について
【斉藤委員】
岩手型住宅ガイドラインが今年3月末に改定されました。その内容と意義について示してください。
【建築住宅課総括課長】
令和6年3月に岩手型住宅ガイドラインを改訂内容でございますが、断熱性能についてZEH基準を上回る水準を盛り込むとともに、省エネ住宅の効果をより高めるための気密性能の確保及び太陽光発電などの創エネ設備や省エネ設備の設置などを盛り込んでおります。
また、ガイドラインには省エネ住宅の期待される効果として、冬の寒さ対策のほか、体感温度の改善、結露、カビの抑制効果、疾病有病率の改善、夏の暑さ対策などの健康面の効果についても記載しております。
今後は、広く県民や事業者に向けガイドラインの周知を図り、高い省エネ性能の住宅の普及を図ることが重要であり、県民の皆様にもメリットを伝えていくことが意義だと考えております。
【斉藤委員】
私もガイドラインを読ませていただきました。かなり積極的な内容で、断熱性能は等級6以上という形で、岩手の住宅のあり方が示されています。
そして最後のページには、どのように取り組むかということも示されていますけれども、お話あったように、住宅情報の提供とか岩手型住宅の体感、セミナー、住教育の実施、岩手型住宅賛同事業者の募集、講習会、補助事業の実施とありますが、これは今年度からどのように取り組まれるのですか。
【建築住宅課総括課長】
今年度、新たに「いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助」という新しい補助を進めております。
完成するのはこれからでありますが、補助をした住宅を使ってPRなどを実施していこうと考えております。
また、技術支援のセミナーなどを今年度も継続して実施しております。
【斉藤委員】
岩手型住宅賛同事業者の募集とありますが、現段階でどのぐらいの事業者が参加しているのでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
岩手型住宅賛同事業者は、令和5年度で100者の登録となっております。
【斉藤委員】
具体的な事業についてお聞きします。
新規事業で、いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助、これは3000万円の予算が組まれていますが、今年度の現段階の実績を示してください。
【建築住宅課総括課長】
本年度から新たな事業として取組んでおります、いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助の取組実績についてでありますが、想定する15件に対し現時点で交付決定8件となっています。
【斉藤委員】
15件という目標があって、等級6が10件、7が5件の計画ですね。8件はどうなっていますか。
【建築住宅課総括課長】
8件の内訳ですが、断熱等性能等級6が5件で、断熱等性能等級7が3件となっています。
【斉藤委員】
岩手型住宅でかなり積極的なレベルの住宅をこれから目指すと。それはすごくいいんだけれども、費用もかかります。だからこれを普及しようと思ったら、これだけの費用がかかるけれどもこれだけのメリットがあると。10年後20年後には回収できますということをしっかり示さないと普及しないと思いますが、その点ではどういう取り組みをされていますか。
【建築住宅課総括課長】
断熱等性能等級6・7の住宅の建設費についてでありますが、岩手県内で、等級6、7の住宅はこれからということもあり、確度の高い数値は整理できておりませんが、省エネ住宅のメリットの周知には、建設コスト等の具体的な数値の把握は重要と考えております。今後は、省エネルギー住宅建設推進事業費補助の対象住宅における、工事費の集計等を実施し、建設費やメリットについて実績を示していきたいと考えております。
【斉藤委員】
かなり抜本的なガイドラインになっていますから、なぜ6等級以上の高性能な、高断熱の住宅が岩手では必要なのかと。それはここに書かれていることはあるんですよね。それを分かりやすく県民に普及していくということにぜひ取り組んでいただきたい。
賛同事業者は100者ということですが、やはり県内の工務店、これからここで勝負しないと仕事が出てこないというぐらいの取り組みにしてほしいんですよ。そうしないと大手住宅メーカーにいってしまいますよ。すべての工務店が等級6以上の高気密・高断熱な住宅をつくれるということをやらないと、地元の波及効果というのはないわけで、その点ぜひしっかりやっていただきたい。
住宅リフォーム助成、住まいの省エネルギー改修推進事業をやってきました。この実績、今年度の取り組みを示してください。
【建築住宅課総括課長】
住宅リフォーム補助の実績についてでありますが、県が令和4年度から実施している「住まいの省エネルギー改修推進事業」の令和5年度の実績は、想定する10件に対して11件となっています。
県では、県政番組「いわて!わんこ広報室」や岩手日報社の住宅特集による補助事業の周知に加えて、省エネルギー技術普及促進支援セミナーにおいて、当該事業を使って改修を行った優良事例を紹介するなどPRを行ってきたところです。
【斉藤委員】
今年度は今までと違って、市町村への間接補助になるんですよね。補助の仕方が違ってきます。であれば、令和6年度はどれだけの市町村が県と一緒になってやっているのか。補助額は総額としては同じということになるのか。その中身も示してください。
【建築住宅課総括課長】
令和4年度から「住まいの省エネルギー改修推進事業」を実施しており、令和4年度、令和5年度は県が地方負担分を持って取り組んでおり、10件程度を想定していました。
今年度からは市町村が主体となり、35件を想定しております。ただ予算の上限などは少し変わってはいますが、そういう形で一歩一歩進めていると。改修の補助を実施している市町村でありますが、盛岡市をはじめ15市町村です。
【斉藤委員】
それで、この岩手型住宅の「岩手型」というのは、県産木材を活用するということでそう言っています。いつも言っていますが、県産木材活用は林業振興課なんですよ。ところが岩手型住宅は県産木材を使うことをしっかり位置づけた高性能住宅ですから、一体で取り組む必要があるのではないか。県産木材活用の件数は昨年度130件です。願わくば130件ぐらいは県産木材活用と合わせて等級6以上の高気密・高断熱な住宅にする必要があるのではないか。
この点、農林水産部と連携して一体型で取り組むということにはならないのかどうか。
【建築住宅課総括課長】
農林水産部との連携のお話でありますが、もう一つ補助事業を別に、「住みたい岩手の家づくり促進事業」というのがあり、こちらは農林水産部の「いわて木づかい住宅普及促進事業」と連動しております。
今年度の「いわて木づかい住宅普及促進事業」も、窓口を岩手県木材産業協同組合に一本化して連携して取り組んでいます。
省エネ住宅は価格が高いこともあり、一本化については総合的に判断して進めておりますが、連携については重要と思って進めております。
・災害公営住宅の課題について
【斉藤委員】
災害公営住宅の高齢化の状況、集会所の活用状況、生活支援相談員の配置の状況について示してください。
【建築住宅課総括課長】
高齢化の状況、集会所の活用状況とコミュニティの形成への取組についてですが、災害公営住宅の65歳以上の高齢者を含む世帯の状況は、令和6年6月末現在で、1,442世帯のうち801世帯、55.6%となっています。そのうち、高齢者の一人暮らし世帯は494世帯で、全体の34.3%となっています。
次に、集会所の活用状況についてですが、集会所のある29団地の令和6年度第1四半期における、ひと月当たりの集会所の活用状況は、0回が2団地、1回から10回が23団地、11回から20回が4団地となっています。
生活支援相談員については、市町村社会福祉協議会が、地域の支援ニーズを踏まえ、4か所の災害公営住宅のほか、防災集団移転先団地や、被災者が通いやすい商店街などに配置し、災害公営住宅の入居者に加え、持ち家を再建した被災者等も対象に支援を行っていると聞いています。
【斉藤委員】
これは県営の災害公営住宅の場合ですが、高齢者世帯が55.6%、独居が34.3%ですから、3軒に1軒は独居です。規模の大きい災害公営住宅の話を聞きますと、毎日のように救急車が来るような状況があると。こういう大変厳しい状況であります。それだけに、入居者の状況を自治会が把握する、日常的にコミュニティが作られているということが大変重要です。しかしコミュニティ形成のために設置された集会所の利用は、0〜2回までが20団地で、68.9%です。7割はほとんど閉まっているという状況です。
これは何度も言いますが、阪神淡路大震災の孤独死発生の教訓で集会所―コミュニティ形成の拠点がつくられたのです。しかしこれは入居者任せにしていてはこれはできないということがこの間明らかになったことで、行政の支援が必要です。
例えば、山田の大沢、これは1020回集会所が使われています。大船渡のみどり町は12回、盛岡の南青山は16回、この3つには支援員が配置されているんです。支援員が配置されているところは、本当にしっかり活用されていると。陸前高田市の栃ヶ沢だけは配置されていないけれども20回と。これは実は、災害公営住宅の自治会がいろんなサークルを作って活用されていると。これはこれで素晴らしい取り組みです。
本当にそういう意味でいけば、設置された、整備された立派な集会所が活用されていないということを、設置者として放置していいのかと。これだけ支援員を配置しているところとしていないところで差がはっきりしているわけだから、この点、担当者としてどう考えていますか。
【建築住宅課総括課長】
生活支援相談員の配置については他部局の所管となりますが、実際に集会所を見てみると、例えば麻雀での利用など、いろいろな活動の仕方もされているようであり、どのような活動をコミュニティの活性化につなげていったらよいか、研究を続けていきたいと思います。
【斉藤委員】
これは大船渡市と岩手大学特任助教の船戸先生が、市内の県営も市営もすべて入居者の調査をしました。そうすると、「両隣3軒分からない」というのが3分の1以上あるんですよ。そういう形で孤立化が進むと。本当にこれはこのままにしていてはいけないというのがアンケート調査の結果なので、これは保健福祉部と連携してどういう支援が必要なのか知恵を出してやっていただきたい。
・住宅リフォーム助成について
【斉藤委員】
一番活用しているのが一関市です。一関では補助額の10倍以上の事業費という実績もあげています。残念ながら県議会では請願が不採択になりましたが、一番経済効果、生活改善の効果がある取り組みですから、その点はぜひ県としても市町村の状況を把握して取り組んでいただきたい。