2024年12月5日 文教委員会
教育委員会に対する質疑
(大要)


・県立みたけ支援学校高等部への通学バスについて

【斉藤委員】
 具体的にどこまで検討が進んでいるでしょうか。必要な経費もあるので、来年度予算要望にも関わるが、いつまでに方向性を決めるか示してください。

【特別支援教育課長】
 高等部への通学バスに関わる検討状況についてですが、現在におきましても引き続き対応する人員、学習時程、経費などの課題を整理するとともに、例えばバスについては学校所有のバスを活用できないか、運転手については外部委託する方法のほか運転技師・県技術員の活用が可能なのかなど、さまざまな選択肢を立てながらどの方向であれば課題を解決できるのか模索しつつ、関係部署と検討を続けているところです。
 今後ですが、具体的な時期につきましては現在申し上げることは難しい状況でありますが、委員ご指摘の通り来年度予算にも関わっていることですので、引き続き関係部署と確認・協議を行いながら方向性を明確にしていきたいと考えております。

【斉藤委員】
 去年は、3月まで「検討検討」で実現しなかったんですよ。今年そんなことをまたやられたら本当に信頼を裏切りますので。前回も聞いて何ヶ月か経っているのだけれども、予算要望の関わりでいったら年内でしょう。年内にやらないと人の確保だって来年の4月に間に合わないと思うんですよね。年内に方向性を決めるというスケジュールで検討していますか。

【特別支援教育課長】
 繰り返しの答弁となりますが、見通し、決定する時期等について現在詳しくお答えすることは難しい状況ですが、いずれ先ほど申しました通りさまざまな選択肢を立てながら検討している状況ですので、引き続き方向性を明確にするよう進めていきたいと考えております。

【斉藤委員】
 教育長、去年のようなことにならないでしょうね。

【教育長】
 現在、関係部署と協議を続けておりますので、我々としましても要望をいただき真摯に受け止めておりますので、関係部署としっかり確認・協議しながら結論を導いていきたいと考えております。

【斉藤委員】
 丸2年かけた切実な要望で、来年高等部に入る保護者の方も切実に感じていますから、今まで通学バスがあったのに高等部に入るとそれが利用できないと。仕事を辞めなくちゃならないとかいろいろあるんですよ。早く見通しを立てて、安心して高等部に進学できるようにぜひやっていただきたい。

・2023年度問題行動・不登校等の調査結果について

【斉藤委員】
 この調査結果では、小中高で17%増、3052人と不登校が増加しました。連続的に急増していると。このことについてどう受け止めていますか。

【教育次長】
 令和5年度の小中高における不登校児童生徒数は、全国ですと41万5250人で過去最高となってございます。本県におきましても小中高における不登校児童生徒数3052人で令和4年度より464人増加をしまして過去最高となってございます。
 不登校の背景や要因は多岐にわたり、個々の児童生徒の状況も多様でありますが、文部科学省では児童生徒の必要性を明示した教育機会確保法の趣旨の浸透による保護者の学校に対する意識の変化、コロナ禍の影響による登校意欲の低下などが考えられる等の見解を示しておりまして、本県においても同様の認識でございます。

【斉藤委員】
 その要因については後で立ち入って取り上げたいと思いますが、全国的に小学校1年生で2021年比2.69倍、2年生で2.56倍と倍増しています。県内の状況はどうでしょうか。この小学校1年生2年生、この急増の問題をどう受け止めているかお聞きします。

【教育次長】
 不登校の状況についてでありますが、本県におきましても小学校1年生2年生の不登校児童生徒数は全国と同様増加傾向にございます。令和3年度と5年度を比較いたしますと、小学校1年生が15人から40人に増加、小学校2年生が30人から83人に増加しております。
 不登校の背景にはさまざまな要因があるものととらえておりますし、個々の児童生徒の状況も多様であるととらえております。
 県教育委員会としましては、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの配置、24時間子どもSOSダイヤル相談窓口の設置、教育支援センターやフリースクール等民間団体等との連携を図り、不登校児童生徒支援連絡会議の開催、いじめ対応・不登校支援等アドバイザーの常勤化、市町村の教育支援センターの設置・拡充による相談体制の強化などに取り組んでいるところでございます。

【斉藤委員】
 子どもがなぜ苦しんでいるのか、何がきっかけで不登校になっているのか。その要因、背景、実は大変興味深い報告がありました。
 これは文科省委託事業で、不登校の要因分析に関する調査・研究で今年の3月に公表されたものです。これだと、何がきっかけになっているのかと。不登校児童生徒のうち26.2%が「いじめ被害を訴えている」と。「中にはいじめ重大事態に該当する児童生徒がいる可能性がある」と。これは30日以上不登校になっていれば重大事態です。それと、「中の良い友達がいない」が19.9%で「友人関係の問題が不登校のリスクを高めている」という指摘があります。教師の関係ですが、「先生から激しく怒られた」「体罰があった」と回答したものが16.7%、「先生と合わなかった」35.9%、「教師の態度や指導方法が不登校の要因になっている可能性がある」と指摘しています。3つ目には、不登校生徒の41.2%が「学業不振」、「宿題ができていない」40.5%ということで、やはり授業についていけない、宿題ができなかった、そういう苦しみの中で不登校に陥っていると。先生方の把握の「無気力・無関心」とは全然違うんですよ。子どもたちを声を聞いて調査した結果が出ています。だから子どもたちの苦しみ、声にしっかり心を寄せて不登校問題を対応すべきだと思いますけれども、この不登校の要因・分析に関する調査研究報告書をどのように受け止めていますか。

【教育次長】
 不登校児童生徒が不登校に陥る要因等についてでありますが、文科省は今回の調査結果から、「令和5年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し日常の生活が戻っていく中で、子どもたちがさまざまな悩みを抱えたり困難な状況に置かれたりしている状況がうかがえる」と。「子どもたちをめぐる環境が変化する中で、不安や悩みを相談できない子どもたちがいる可能性があること、子どもたちの不安や悩みが従来とは異なる形で表れたり、1人で抱え込んだりする可能性があることも交流する必要がある」という見解を示しておりまして、本県におきましても同様の状況にあろうかととらえております。
 また、人間関係をうまく構築できない等によりそれがきっかけとなっているということもあろうかと思いますので、学校の現状等を幅広く今後とらえていきたいと考えております。

【斉藤委員】
 文科省のそれは、不登校の背景説明なんですよ。きっかけでも要因でもない。きわめて抽象的な話だと思います。私が紹介したように、文科省が今年の3月に委託事業で発表した、何がきっかけで不登校に陥っているか。いじめ、教師の言動・体罰、教師との関係。紹介しませんでしたが、「画一的なルールや活動、枠組みの中で児童生徒を受け入れるしかない学校の問題を示唆している」と。学校風土の問題ですね。これは管理と競争の教育なんですよ。そういう問題をどう打開していくか。本来学校というのは、子どもにとって楽しい場所であるべきなんです。ところが学校に行けなくなるというのが不登校です。学校が辛い場所になっている。行けない。その結果が無気力とか閉じこもりとなるんです。いま学校が辛く苦しい状況があるということをリアルにつかんでやっていく必要があると思います。
 正確なことをもう一つ言うと、発達特性とか障害、家庭の困難などが不登校と関連することもあると。これはだいたい2割程度と言われています。そういう意味では多様なんですね。しかしこういう発達特性とか障害とか家庭の困難さというのは、「合理的な配慮、特別支援教育をはじめとする長期間の継続的支援で解決できる」とも指摘をしています。そういう意味で、子どもたちの実態、声から不登校問題の解決にあたっていただきたいと思います。
 そこで、文科省が「COCOLOプラン」というのを出して見たんですが、一番の目玉は、「不登校により学びにアクセスできない子どもたちをゼロにすることを目指す」と。気持ちは分かるけれども、ゼロを目指すという画一的なアプローチに文科省の冷たさを感じます。教育新聞の見本紙が私に届いて、良い記事があったので見ましたが、酒井朗・上智大学教授は、「不登校の子どもにとってまず重要なのは、十分な休養をとることだ。加えて、欠席中も学びを継続できるよう支援することが求められている」と。この観点が大事なんですよ。だからゼロを目指すことになるとまた画一的なアプローチになってしまう。やはり休養が必要な子どもにはしっかり休養させて、活力を取り戻すと。そして学ぶ意欲が出てきたらいつでも教育に、学習にアクセスできるような体制をつくることが筋なんだろうと思います。
 そこでもう一つ、子どもたちが苦しんでいるのと合わせて、岩手日報の論説にも読売新聞にも出ましたが、これはオンラインフリースクールを運営する不登校の保護者の調査結果で、不登校の保護者の2割が離職していると。本当に深刻な問題です。この間の不登校フォーラムで、不登校の親御さんの意見発表を聞きました。子どもも悩んでいるけれども、親も悩んでいると。子どもとの結びつきを学校としては絶対に切らない、相談に乗る、必要な支援はすると。その際、やはり親の苦労・苦しみにも心を寄せて親と一緒に解決することが必要なんだと思います。これは共通して、この間の不登校フォーラムでも言われましたけれども、親が一緒に滅入ってしまうんです。だから親が元気になれば子どもも気が楽になって活力を取り戻す―これも共通の教訓です。ですから親を励ますという取り組みというのもセットで行われるべきではないか。親に対する支援というのは県としてはどのように取り組まれているでしょうか。

【教育次長】
 相談機関へのアクセスのない児童生徒、保護者についてでありますが、本県の不登校児童生徒のうち、学校内外の機関で専門的な相談・指導を受けていない児童生徒は、公立小中学校が791人で32.4%、公立高等学校が120人で33.1%となっております。なお令和5年度の調査から、新たに不登校児童生徒のうち、学校内外の機関等や担任等から、「担任等から」というのが加わっておりますが、相談・指導等を受けている人数という調査報告が加わりました。その結果を見ますと、小中学校が2359人で96.6%、高等学校が351人で96.7%となっており、この数値は全国と比較しましても小中学校で0.8ポイント、高等学校で5.1ポイント高い数字となっております。
 この結果から、本県においては学校内外の教育機関で相談・支援は受けていないものの、学級の担任とはつながっているという実態が見えてきておりますので、今後も学校と家庭の連携を大切にしながら、不登校児童生徒・保護者のニーズを丁寧に聞き取りながら学校内外の機関につなげるという支援をしていくことが重要であると考えております。
 また、学校内外の機関からも、担任等からも相談・支援を受けていない児童生徒・保護者が、不登校児童生徒のうち3%程度いるということになりますので、こちらに関しては保護者への相談機関や相談窓口等の支援情報の提供ですとか、アウトリーチ型の支援の提供などに努めてまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 小中高とも96%学校とつながっていると。これは高く評価したいと思います。やはり何でも見捨ていない、学校もあきらめないというか、そういうことが大事だと思います。一人ひとりを大切にしているというアプローチが、押しつけではなくそういうことをしっかり進めていただきたい。
 それで教育のアクセスの問題ですが、県内の教育支援センターは何カ所で、実際にここを利用している子どもたちは何人なのか。
 フリースクールは県内に何カ所あって、ここを利用している子どもたちは何人なのか。
 校内支援センターというのが46%ぐらいつくられているということですが、これを利用している子どもの数は分かるでしょうか。

【教育次長】
 教育支援センターの数につきましては、県内33市町村のうち27市町村で設置されております。また、設置されていない市町村におきましても、校内に支援センターは設置されている状況になっております。教育支援センターの利用者数でございますが、合計で221名となってございます。
 県内のフリースクールの設置状況につきましては10団体、利用児童生徒数は合計で198名となってございます。

【斉藤委員】
 フリースクールは大変重要な役割を果たしているんだと思います。ただ、教育支援センターを利用しているのが221人、フリースクールは10団体で198人ですから…

【教育次長】
 すいません、私間違えて令和5年度の数を言ってしまいましたので、修正させていただきます。
 令和6年度の県内におけるフリースクール等の設置状況でございますが、県内17団体で利用者数が小中高合計で146人でございます。

【斉藤委員】
 去年は198人で、今年は17団体に増えたけれども146人なんですね。去年の数で比べても419人です。これはこれで重要な役割を果たしているけれども、不登校の数から見たらまだまだほんの一部なんですよ。そういう意味で、不登校の子どもたちに、学ぶ意欲のあるすべての人に教育を受けるアクセスというのは大変なことです。
 フリースクールでも、一関なんかは教育委員会と連携して花泉に新しい「虹の学園」というのを作ったんですね。特例校を目指すということで、いわば授業を受けたのと同じような評価がいただけるような努力をしています。実際にフリースクールで授業を受けたのと同じように、通学したと評価されるような対応をしているフリースクールはあるでしょうか。

【学校教育企画監】
 悉皆ではないのですが事例として申し上げますと、盛岡市にございます盛岡ユースセンターというところが学校と連携した授業の受講ということで運用していると承知しております。

【斉藤委員】
 フリースクールも去年の10団体から17団体に増えて、ただ利用者は去年より少なくなっているので、波があるんだと思います。しかしフリースクールを利用している子どもたちもまだ一部で、いま紹介があった盛岡ユースセンターのように、授業を受けた、通学したという評価がされるフリースクールというのはまだまだ少ないんだと思います。だからそういう連携も強めて、そうしないと通学がゼロになったりすると通信簿1なんですね。進学のときに本当に門が狭まるということがありますから、そういうところもぜひ工夫をしていただきたいと思います。
 不登校問題は本当に切実な問題です。ただ、不登校を経験した子どもというのは大きくなってから意外と閉じこもっていないんですよ。困難を乗り越えた子どもというのは決してその後閉じこもっていない。閉じこもりの数の2割程度しかないんですね。小中高から閉じこもって大人になっても閉じこもっているのは少数です。そういう意味では、子どものときの困難を乗り越えた子どもというのは、ある意味その後強く生きる力をつけているのも事実ですから、長い人生を考えてみればその時期というのは苦闘の時期であっても、それが新しい成長の力にもなるという形で子どもたち一人ひとりを見て、本当に支援する取り組みを進めていただきたい。
 校内支援センターの利用人員は分かりますか。こういうところに対する教員等の配置、特別の配置というのはあるのでしょうか。

【学校教育企画監】
 各学校の中に設置される校内教育支援センター、これは学校の中に不登校の子どもたちがそこに通うということをやっているのですが、それに対して利用人数というのは細かいものは把握してございませんけれども、加配については教員の児童生徒支援加配であったり、国庫補助事業を活用した学校生活サポートの配置等によって市町村による運営を支援させていただいているところでございます。