2024年12月9日 12月定例県議会最終本会議
高田一郎県議の議案及び請願に対する討論全文


【高田議員】
 日本共産党の高田一郎でございます。
 議案第6号、議案第12号、議案第13号、議案第24号、請願42号、請願47号については請願項目2について、それぞれ委員長報告に反対の立場で討論を行います。

・県立紫波地域診療センターの廃止について

 議案第6号、県立病院等事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例は、県立紫波地域診療センターを令和8年3月末で廃止をしょうとするものであります。
 県立紫波地域診療センターの廃止は、「県立病院等の経営計画」(2025-2030)案に基づくもので、11月18日の議案説明会で最終案が示されたばかりです。廃止は令和8年3月末となっているににもかかわらず、最終案の議論が始まった段階で紫波地域診療センターを先行して廃止する条例を提出すること自体問題であります。
 県立紫波地域診療センターは、医療と介護・福祉の連携をめざすモデルとして注目され、地域の医療を守る大きな役割を果たし地域住民も支えてきました。2006年には19床に、2009年には無床化計画がされたときには、地元住民の反対があり、県医療局も何度も説明会を開催しました。今回は74年の歴史を持つ医療機関の廃止だけに、地元住民への丁寧な説明と合意を得る努力が必要でしたが、その努力がないままの提案となりました。
 今月2日には紫波町議会で「県立紫波地域診療センターを廃止せず、機能強化の充実を求める意見書」が採択されたことは、医療局の提案が理解されていないということではないでしょうか。地域住民の願いは@3万3千人の人口に入院できる施設が必要だということ、A地元への十分な説明を求めていることであります。紫波町議会での圧倒的多数で採択された住民の意思を尊重し、県議会は対応すべきであります。

・岩手県公会堂の指定管理者の指定について

 議案第12号は、岩手県公会堂の指定管理者を指定することに関し議決を求める議案であります。
 「公的施設」は住民の福祉を増進することを目的に設置されその業務にふさわしい職員の身分や労働条件を確保することが重要であります。しかし、「職員配置計画」では時給952円〜1429円となっています。
 「県が締結する契約に関する条例」でも「県契約を通じた適正な労働条件の確保」を明確に述べており、せめて時給1500円にすべきでありました。

・岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンターの指定管理者の指定について

 議案第13号は、岩手県立平泉世界遺産ガイダンスセンターの指定管理者を指定することに関し議決を求めるものであります。
 平泉世界遺産ガイダンスセンターは「平泉の文化遺産の価値を広く世界中に伝え、人類共通の財産として後世へ継承するための拠点となる施設」です。また、観光のゲートウェイとして大きな役割を果たすものであり、県立博物館に匹敵する施設として位置づけた事業運営が必要であります。しかし、職員配置計画では正規職員がわずか4人(職員7人)、うち事業計画を担当する2人は「学芸員資格または相応の能力あるもの」とするなど1名程度の学芸員にとどまっています。平泉世界遺産ガイダンスセンターの役割からすればあまりにも貧困な体制といわなければなりません。学芸員の増員などを検討すべきであります。

・特別職の給与引き上げについて

 議案第24号、特別職の職員の給与並びに旅費及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例は、知事、副知事、県議の給与と期末手当を引き上げるものです。
 県職員の給与は、40歳の主査級で見ればボーナスを含めた年収では最も高かった平成11年との比較では年収で65万円も下回っています。今回の給与改定では物価上昇に見合う賃上げとならない職員もあります。県議や知事、副知事等の特別職は県職員と比べればまだまだ高い水準であり、こうした中で特別職の報酬を引き上げることは県民の理解が得られません。

・所得税法第56条の廃止を求める請願について

 請願42号は、「所得税法第56条の廃止を求める請願」であります。
 所得税法56条は「個人事業主と生計をともにする事業から受け取る報酬を必要経費と認めない」規定であります。この規定が必要とされ理由は、配偶者や子に対して高額の給与を支払い経費として計上する不当な税逃れの防止があります。すでに、2014年から記帳の義務化となり「税逃れ」の防止を理由にする根拠とはなりません。また、家族が働いた分を報酬として認めない理由にはまったくなりません。
 所得税法56条では、家族従業者の働き分は事業主の所得となり、配偶者は年間86万円、配偶者以外の家族では年50万円が控除されるのみで、時給換算では最低賃金にも達していません。このため、自営業者の配偶者や家族は社会的にも、経済的にも自立しにくく、社会保障や行政手続きなどの面で不利益を受けており、後継者育成にも大きな妨げになっています。
 国連の女性差別撤廃委員会では、2016年に「女性の経済的自立を妨げている」と懸念を表明し」所得税法の見直しを日本政府に勧告。各地の税理士団体、日弁連なども廃止や見直しを訴えています。
 「個人の尊厳と両性の平等に反する差別的税制」である所得税法56条は廃止すべきであります。

・医療機関への財政支援に関する請願項目について

 請願47号の請願項目2については、「国による診療報酬の再改定、補助金等の財政支援措置がない場合は県として医療機関の事業と経営維持のための補助金等の財政措置を行う」内容であり、環境福祉委員会ではこの項目が不採択となりました。
 診療報酬の本体改定率0.88%は医療経営の実態、物価高騰にもまったく見合わないもので、多くの医療機関が厳しい経営状況となっております。地域医療を守ることは安心して地域で暮らせる土台でもあり、県としても最大限、可能な限りの支援を行うことが必要であります。
 今国会に提案されている総合経済対策では、地域の実情に応じて活用できる「重点支援地方交付金」が盛り込まれています。こうした財源などを活用し厳しい経営環境にある医療機関への支援を行うことが必要であります。

 以上が委員長報告に反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。