2025年2月27日 2月定例県議会本会議
一般質問
(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。県民の切実な要求実現と県政の重要課題について達増知事に質問します。
 はじめに、大船渡市において林野火災が繰り返され、昨日発生した山林火災では、住宅にも被害が出ました。被災された方々、避難されている方々に心からお見舞いを申し上げます。日夜消防活動に取り組まれている消防関係者、自衛隊、防災関係者の皆さんの取り組みに心から敬意と感謝を申し上げます。また、年明け以降に県内で発生した大規模な高病原性鳥インフルエンザ事案に対して、延べ1万人余の県職員、建設業協会、陸上自衛隊等関係団体の皆さんの取り組みに心から敬意と感謝を申し上げます。

1、物価高騰から県民の暮らしと営業を守る課題について

 第一に、物価高騰から県民の暮らしと営業を守ることは、最も切実で重要な課題であります。2024年の労働者の実質賃金は前年比マイナス0.2%となり、3年連続のマイナスとなりました。総務省の2024年家計調査では、経済的なゆとりを示すエンゲル係数は28.3%と43年ぶりの水準となっています。物価高騰が継続する中で県民の暮らしは厳しいものとなっています。中小企業は、昨年倒産件数が76件と東日本大震災以降では最大となり、「休廃業・解散」も354件で「退出企業」は合わせて430件と大幅な増加となりました。
 知事は、物価高騰の中で県民の暮らし、中小企業の実態と課題についてどう把握され、取り組もうとしているでしょうか。

【達増知事】
 まず、県民の暮らしと中小企業の実態と課題についてでありますが、食料品等の価格上昇が家計を圧迫し、エネルギー・原材料価格の高騰が中小企業の賃上げ余力を削ぐ状況が続いており、県民の暮らしや経済は厳しい状況にあります。
 令和6年の盛岡市の消費者物価指数は、前年比で3.1%の上昇となり、令和3年以降上昇が続いています。こうした状況を背景に、議員ご指摘のようにエンゲル係数は数十年ぶりの高い水準にあります。特に年収の低い階層で影響を強く受けており、低所得世帯を中心に可処分所得の増加が課題であります。
 中小企業では、県内を対象とした調査で、9割が「物価高騰等の影響がある」と回答しており、1年前の調査結果と同じ状況が続いています。原材料や人件費の価格への転嫁は、人件費引き上げ分の転嫁を行った、または行う予定の企業の割合は4割に満たない水準にあり、円滑な価格転嫁を促進し、賃上げ原資の確保を図ることが課題であります。
 こうした課題に対し、県では、昨年の補正予算において冬期間の灯油購入費等の助成やLPガス価格高騰対策、物価高騰対策賃上げ支援などを措置したほか、令和7年度当初予算案においても、価格転嫁に取り組む中小企業向け設備投資補助などの対策を盛り込んでおります。
 県民の暮らしや地域経済の状況を注視し、今後も必要な対策を機動的に講じてまいります。

【斉藤議員】
 県民の暮らしを守るうえで、物価上昇を上回る労働者の賃上げが必要であります。賃金は30年にわたって減り続け、実質賃金は年収で平均74万円も減少しています。県内の実態はどうでしょうか。

【達増知事】
 県内の実質賃金の実態についてでありますが、本県の毎月勤労統計調査による名目賃金指数を消費者物価指数で除して算出した実質賃金指数を基に算出した実質賃金の年額は、平成8年(1996年)以降、平成14年(2002年)の約358万円をピークに減少傾向となり、直近の令和5年(2023年)には、近年の物価高騰の影響などにより、年額で約306万円となっており、ピーク時と比較して約52万円の減少となっております。

【斉藤議員】
 県内の労働者の89%は中小企業の労働者であります。法人事業税でみると中小企業の66%が赤字となっています。それでも賃上げをしないと今働いている労働者を維持できず、新たな人材の確保も難しいことから「防衛的な賃上げ」を実施しています。
 こうした中で、岩手県が全国に先駆けて実施した「物価高騰対策賃上げ支援金」は大きな成果を上げました。その実績と特徴を示してください。また、2月20日からバージョンアップされた第2弾の「物価高騰対策賃上げ支援金」の申請が始まりました。昨年10月に最低賃金が59円引き上げられたことから、時給60円以上の賃上げに対して1人6万円、上限50人まで300万円の補助を行う取り組みであります。1週間近くが経過しましたが、申請状況はどうなっているか示してください。

【達増知事】
 物価高騰対策賃上げ支援金についてでありますが、先般の支援金を活用した事業者数は2889事業者、対象人員数は20313人、支給額は10億1565万円となりました。多くの中小企業が厳しい経営環境にある中、設備投資を行うなどの用件を設けずに賃上げ原資を補填するといった全国でも例のない事業であり、価格転嫁が十分に進んでいない小規模事業者を中心に、当初の申請見込みを上回る事業者に活用され、賃上げに役立った、助かったという声を多くいただいているなど、大きな効果をあげたと考えております。
 今般の物価高騰対策賃上げ支援金の実施にあたっては、県内の多くの中小企業が引き続き厳しい経営環境にあり、さらに最低賃金が過去最大の引き上げ額となったことなどを踏まえ、より多くの方々に活用していただくため、支給対象とする賃金の引き上げ額について、最低賃金の引き上げ額である59円とほぼ同額の60円とするとともに、1事業所あたりの対象人員数を前回の20人から50人まで拡大するなど事業の拡充を図り、2月20日から申請受付を開始したところですが、2月25日現在、102事業所、1093人分の申請を受け付けております。

【斉藤議員】
 第1弾の賃上げ支援金は、私も大きな成果をあげたと。全国的にも注目をされて、国会でも度々岩手の取り組みが紹介をされ、私にもたくさんの照会がありました。
 第2弾はさらにバージョンアップをして、中小企業団体中央会のアンケート調査によると、4割以上が「活用したい」ということでありますから、この活用をぜひ積極的に推進していただきたい。
 物価上昇を上回る労働者の賃上げを実現するためには中小企業の賃上げがカギであります。そのためには、政府による中小企業への支援、社会保険料の軽減や岩手県のような直接支援を恒久的制度として実施することが必要と考えますが知事の所見を伺います。
 日本共産党は、そのための財源として、安倍政権以降にため込んだ大企業の内部留保200兆円余に2%の課税を5年間実施して、少なくとも10兆円規模で中小企業への賃上げ支援に充てるべきだと提案しています。賃上げ支援の財源問題を含めて知事の所見を伺います。

【達増知事】
 現在、県内の多くの中小企業は、エネルギー・原材料価格の高騰が続く中で、価格転嫁を十分に進めることができず、賃上げ原資が確保できないことなどから、人材確保のために防衛的な賃上げを余儀なくされていると認識しております。このため、国や経済団体をはじめとした関係機関と連携して、適切な価格転嫁の実現に向けた環境整備、また、中小企業の生産性向上、経営革新に向けた取り組み、支援などを行いながら、消費の拡大を積極的に目指し賃金上昇の好循環を生み出していくことが重要と考えております。
 こうした好循環を生み出していくためには、中小企業の賃上げ環境整備に向けた支援を大胆に進めていく必要があることから、全国知事会とも連携し、国に対してさらなる支援の強化や財源の確保を働きかけてまいります。

【斉藤議員】
 岩手県の賃上げ支援は大変重要なんですけれども、これはどうしても単年度でありますから、一度賃上げすると2年後も3年後もずっと賃上げしなければならない。そういう中小企業の実態に合った国の対策がどうしても必要だと思います。
 そこで、国民の暮らしと営業を守るためには、自民党政治の二つのゆがみを正すことが求められています。軍事費は来年度8兆7千億円に、前年比9.5%増やされ、3年間で3兆3千億円、1.6倍に増やされています。満州事変後の3年間の軍事費は1.4倍と比べても異常なものです。
 半導体企業ラピダスには、昨年末の補正予算で1兆円、来年度予算でも3千億円の補助、大企業への大盤振る舞いも問題です。その一方で、中小企業対策予算はわずか1695億円、高額療養費は引き上げるなどがん患者などの命を脅かす事態となっています。軍事費突出、大企業へのバラマキの二つのゆがみを正してこそ、国民の暮らしと営業が守れると考えますが、知事の所見を伺います。

【達増知事】
 国の防衛費の増額については、その根拠や必要性など慎重な議論が必要と考えます。
 現在、食料品をはじめ生活に直結する物価高騰への対策や低迷する可処分所得の増加、地域経済の中核を担う中小企業の事業継続などの喫緊の課題に対応するため、国民の暮らしや仕事を守る政策を優先していくべきと考えます。

2、新型コロナ感染拡大の軽視できない現状と課題について

・クラスターの発生状況について

【斉藤議員】
 次に、新型コロナ感染症の感染拡大の現状と課題について質問します。
 一昨年の23年5月8日以降、新型コロナ感染症は5類に移行されました。しかし、その後も感染の波が継続しています。第9波以降のクラスターの発生状況、高齢者施設、医療施設について示してください。

【企画理事兼保健福祉部長】
 第9波以降のクラスターの発生状況についてでありますが、令和5年5月に5類移行となってから、これまでに流行の波が4回あり、それぞれの8週間の比較になりますが、高齢者施設のクラスター報告数は、第9波が63件、第10波が57件、第11波が58件、第12波が73件となっており、医療機関のクラスター報告数は、第9波が23件、第10波が30件、第11波が25件、第12波が34件となっております。

【斉藤議員】
 今の答弁をよく見てほしいんですけれども、実はクラスターで高齢者施設や医療施設は一番警戒心をもって取り組んでいるところです。そこでのクラスターが、第12波、これは昨年12月から今年の1月にかけてですが、このクラスターが高齢者施設で73件、医療施設で34件と今まで4つの波で一番多いんです。
 去年の予算委員会で野原保健福祉部長はこういう答弁をしました。「クラスター数と地域の感染状況は、基本的にはリンクしている」と。私もそうだと思います。だとすれば、定点観測の報告とは違って、感染拡大はさらに深刻になっているのではないか。私の実感でもそのように思います。この点について部長の答弁を求めます。

【企画理事兼保健福祉部長】
 議員ご指摘の通り、高齢者施設・医療施設におきましては、感染症対策を行っているにも関わらず、12波でも多くのクラスターが発生していると感じております。ただし第12波については、少しこれまでの波と若干違う傾向もございまして、これまでの波は比較的急に立ち上がって、収束も早かったんですけれども、12波は比較的高い波がずっと続いているといったような傾向もありまして、そういったことも影響しているのではないかと考えております。

・新型コロナによる死者数について

【斉藤議員】
 私は野原部長の「クラスター数と地域の感染状況は、基本的にはリンクしている」と、ここに真実があると思います。
 だからお聞きしますけれども、年間の新型コロナによる死者数の推移を示してください。

【企画理事兼保健福祉部長】
 厚生労働省が公表しております、人口動態調査によりますと、新型コロナウイルス感染症による県内の死者数は、令和4年は431人、令和5年は411人、令和6年は1月〜9月までで402人となっております。

【斉藤議員】
 コロナによる死者数が2024年というのは一番多いのです。1月〜9月で402人というのは、一年間に換算しますと539人になるんですよ。コロナの死者数は昨年が一番多かったと。このことを野原部長はどのように分析していますか。この要因は何ですか。

【企画理事兼保健福祉部長】
 2024年に死亡者数が多かった要因でございますけれども、2023年につきましては、1月は第8波の流行の終期にあたり、その後の1年間で流行のピークが8月末の第9波の1回しかなかったのに対して、2024年は2月の第10波、8月の第11波、12月の第12波と流行のピークが3回あったことや、それに伴いますクラスターの発生が多かったことなどが要因として考えられております。

【斉藤議員】
 今の答弁のように、昨年はコロナの感染拡大の波は3波あったんです。だから死者が一番多かった。新型コロナ対策で一番大事なことは、新型コロナ感染から県民の命・健康を守ることです。そういう点でいくと、クラスターが多いこと、死者が多いこと、本当に新型コロナ感染というのは軽視できない。今まで以上に正確に感染対策に取り組まなくちゃならない。
 まず第一に、いま私が話したように、定点観測ではずっと減っているけれども、クラスターは増えているんだと。特に高齢者施設・医療施設。そして死者が増えているという事実をしっかり県民に知らせる必要があるのではないか。そうして新型コロナ感染について軽視しないで、しっかりした対策をとるように、しっかりした情報発信が必要ではないでしょうか。

【企画理事兼保健福祉部長】
 感染拡大の状況につきましては、毎週行っております定点報告数のみならず、クラスターの発生状況や医療機関の医療の逼迫状況などにより、感染状況について総合的に判断しておりまして、県民に対して定点報告数をホームページやSNSなどを通じまして情報発信を行いますほか、こうした先ほど述べたような感染拡大の状況に応じて、県民の皆様に関しまして注意喚起を行うなど、感染拡大防止の対応を行ってきたところでございます。
 昨年12月には、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザが同時流行をいたしましたので、報道機関を通じまして県民への注意喚起と感染拡大防止の呼びかけを行ったところでありまして、引き続き感染状況に応じまして適時適切に県民の皆様に対しまして情報提供に努めてまいりたいと考えております。

【斉藤議員】
 しっかりやっていただきたいと言うのは、きわめて不十分だからです。私が今日指摘したような、クラスターが昨年一番多かったとか、死者が昨年一番増えていると。こういう事実は全然知らされていないと思います。ぜひそういう大変大事な情報をしっかり県民にも伝えて、新型コロナ感染を軽視しない。しっかりした対策を講じる。

・ワクチン接種の促進について

【斉藤議員】
 情報発信と合わせて、やはり効果がはっきりしているワクチン接種を促進すべきだと思います。そこで、昨年の10月から65歳以上の高齢者と60〜64歳の基礎疾患のある方々を対象に有償でのワクチン接種が実施されました。接種状況はどうなっているでしょうか。

【企画理事兼保健福祉部長】
 県内で令和6年秋から始まりました新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の定期接種の接種率につきましては、65歳以上の対象者が40万8156人のところ、令和6年12月末現在で9万5379人が接種し、その接種率は23.4%となっております。
 定期接種化にあたりましては、すべての市町村において自己負担を軽減させる助成を行ったところでありますが、接種を希望される方が経済的な理由で接種を控えることがないように、国に対しまして全国知事会と要望しているところであり、引き続き国に対して必要な働きかけを行ってまいります。

【斉藤議員】
 先ほど指摘したように、新型コロナで死者が増加していると。圧倒的に高齢者です。そのときに、昨年10月から、有償になったということはありますが、大事なワクチン接種が23.4%なんですよ。自治体別に見ますと葛巻町が一番高くて51.1%、一番低いのは釜石市で4.9%です。行政の中にも県民の中にも、警戒心が完全に崩れているということがあるのではないか。
 調べてみてびっくりしたんですけれども、3月末までという助成の期間があったんですが、1月で終わっている自治体が多いんですよ。やはり本当に県民の命をコロナ感染から守るという立場でこの取り組みを進める必要があるのではないかということを特に強調しておきたいと思います。

3、地域医療の危機と県立病院の課題について

・県立病院の経営実態について

【斉藤議員】
 次に、地域医療の危機と県立病院の課題について質問いたします。
 県立病院の今年度の赤字が2月補正予算(第12号)を含めて80億円に及ぶということが大きな衝撃となっています。県立病院の赤字の具体的な要因について示してください。

【医療局長】
 県立病院の赤字の具体的な要因についてでありますが、県立病院の患者数は、人口減少率以上で減少が続いており、診療単価の向上によって医業収益は昨年度に比べ増加しているものの、その伸びは予定した規模に届かない状況となっております。
 一方で、給与改定による給与費の増をはじめ、医療の高度化による高額薬剤の使用量の増加や、物価高騰による委託料、燃料費の増加などの医業費用の増が医業収益の増を上回っている状況なり、費用の増と診療報酬が見合っていない構造的な課題があるものと認識しております。
 加えて、昨年度まで措置されておりましたコロナ・物価高騰対策関係補助金の減など、医業外収益が大幅に減少したことにより、令和6年度最終予算においてはマイナス80億円ほどの差引損益を見込んだところであります。

【斉藤議員】
 新型コロナ感染拡大とクラスターの発生、これは後で県立病院のクラスターがどう発生したのか。今年度、前年度と比べてその影響も示してください。クラスターが発生しますと、入院・外来患者を抑制しなくてはならない。これは県立病院も民間も同じです。やはり新型コロナは5類移行になったけれども、病院は以前とまったく同じような形でやっています。面会禁止の病院がほとんどです。そういう意味ではその影響も大変大きいのではないか。
 物価高騰による医療資材の高騰、そして何よりも診療報酬は実質マイナス改定、特に私が聞いて驚いたのは、高額薬剤、抗がん剤、材料費が増加して、そういうものが診療報酬でしっかりみられていないと。だから基幹病院の赤字が増えている。ここに県立病院の危機的問題があると思います。今までは基幹病院がしっかり稼いで全体の赤字をカバーしてきた。しかし今そのようになっていない。ほとんどが政府の施策によるものであります。何の対策も国にはありません。
 医療機関の赤字は県立病院だけではなく全国の公立病院、そして民間医療機関でも起きている問題であります。日本病院会など3団体は、昨年11月、今年の1月、「病院経営の危機的状況に対する救済措置・財政支援の要望」を政府に行っています。全国の県立病院と医療機関の経営実態と課題についてどう把握されているか示してください。

【企画理事兼保健福祉部長】
 全国の医療機関の経営実態と課題についてでありますが、全国の県立病院等で構成する全国自治体病院協議会が昨年11月に行った国への要望では、令和6年度の診療報酬改定では、物価高騰による医療提供コストの上昇に十分に対応していないことから、支援について要望しております。
 議員ご案内の病院3団体の要望のほか、昨年10月には、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4病院団体協議会として、経済環境や賃金の急激な変化により全国で病院経営が非常に厳しい状況を国に対し訴えており、また、日本医師会では本年2月に、人件費の増加や物価高騰等で医業利益・経常利益が悪化しているとして緊急的な財政支援を要望しております。
 さらには、国立大学病院におきましても、物価高騰や人事院勧告にともなう人件費増等で、大学病院の赤字が増大していることを昨年12月に公表するなど、公立・民間を問わず全国的に病院経営は非常に厳しい状況にあると把握しているところであります。
【医療局長】
 県立病院におけるクラスターの発生状況についてでございます。令和5年度は16病院40件、令和6年度は現時点で15病院32件となっているところでございます。
 クラスター等が発生した場合は、病棟をロックするなどして診療制限をしていたところでございますが、5類移行につきましては、病床単位で極力少ない範囲での制限ということで、極力診療に制限を設けないように医療体制を組んでいるところでございます。
 また、最近におきましては、職員の休業者数自体も、クラスターが起きているときでも以前は200人前後職員の休業が出ておりましたけれども、最近クラスターの際でも60人前後ということで、以前よりは診療に影響がないような形で臨めているところでございます。

【斉藤議員】
 大変危機的な状況を野原部長から答弁がありました。
 日本病院会など5団体が1月22日に要望した中身はこういうものであります。「病院経営は破綻寸前、地域医療崩壊の危機」ということで、福岡厚生労働大臣に直訴しているんですね。本当に地域医療の危機、病院経営の危機。
 そこで知事に質問します。全国知事会、12県の「地域医療を担う医師確保をめざす知事の会」等では今の現状をどう受け止め、政府に対しての緊急要望など、どう取り組まれているでしょうか。全国で最大の県立病院を持つ岩手県が先頭に立って、地域医療を守る全国的な共同の取り組みを広げるべきと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 全国知事会では、エネルギー・原材料及び資材価格の高騰によって国が定める診療報酬等により経営を行う医療機関等に大きな影響が出ており、非常に厳しい経営環境にあるという認識のもと、臨時的な診療報酬改定や国による補助制度の創設により、全国一律の対策を講じることを要望するとともに、昨年11月には公立病院やその他の公的医療機関等に対する地方財政措置等の充実と緊急の財政支援を要請しております。
 今般の物価高騰による経費や材料費などの高騰で、病院運営は非常に厳しい状況に置かれていることに加え、人事院勧告通りの給与改定を実施できる診療報酬体系になっていない状況であると認識しております。
 このため、私が会長を務める「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」においても、地域医療の重要な支えとなっている公立・公的医療機関等の経営継続のため、緊急的に財政支援を講じるよう昨年11月に緊急提言をいたしました。これらの課題については、全国的な対応が必要であることから、引き続き全国知事会や「知事の会」等を通じて、さらなる診療報酬改定や補助金による支援など、地域医療を守るための強力な施策の実施について国に対し強く求めてまいります。

【斉藤議員】
 私は本当にもう国の施策の転換が必要だと。自公政権が過半数を割っているときに、103万円とか高校授業料というようなレベルじゃないと思うんです。全国の病院経営、地域医療を守る。この点で病院をつぶしていいのかと。本当に今医療を守る、地域医療を守る政策の転換が必要なのではないか。知事を先頭とした取り組みを強く期待をするものであります。

・県立病院の経営計画(2025〜2030)について

【斉藤議員】
 昨年末に策定された県立病院の経営計画(2025〜2030)は、大きな赤字に直面して、6年間で医師はわずか23人の増員、看護師は120人の大幅な削減と、リストラ計画になったことは大変残念であります。
 私はこの間、大船渡病院、磐井病院、釜石病院、久慈病院を訪問し、院長先生から病院の現状と課題等について聞いてきました。どこでも「医師をもっと増やしてほしい」、「看護師や医療技術者を増やしてほしい」と要望を受けました。久慈地域では、医師、看護師の増員を求めて7444筆の署名が集められ、知事と医療局長に提出されました。
 必要な医師を増やしてこそ地域住民の命と健康を守り、入院、外来とも患者を増やすことができるのではないでしょうか。

【医療局長】
 医師確保についてでありますが、次期経営計画では、県内で高度専門医療を安定的に提供できる体制を確保するとともに、民間病院が立地しにくい地域では、県立病院が引き続き身近な医療を提供していくため、県立病院の機能分化と連携強化を進めることとしています。
 医師確保につきましては、人口減少に伴う患者数等の減少を見込む中にあっても、奨学金による医師養成を進め、県北・沿岸部等の常勤医が不足している病院へ着実に医師配置を進めるとともに、県立病院で高度な専門研修が受けられる環境づくりに取り組むことにより、専攻医等の確保にも努めていきます。
 今後も医療の高度化・専門化の状況や、地域の医療ニーズの状況を踏まえながら、関係大学とも連携し、必要な医師の確保に努めてまいります。

【斉藤議員】
 いま大変重要な答弁を行った。県北・沿岸では常勤医師を増やすと。そして機能強化する病院も増やすと。だったら6年間で23人じゃ足らないじゃないですか。全然足らないですよ。あなたの答弁と計画はかなり大きな齟齬があるんじゃないですか。

【医療局長】
 現行の経営計画では、奨学金養成医師の計画的な配置に加えまして、医師不足に対応するため、招聘医師やシニア医師を常勤で雇用して病院に配置し医師数の増員を図ってきたところでございます。
 次期経営計画では、奨学金養成医師の配置に加えまして、義務履行を終えた医師の定着促進も進めることとしており、招聘医師やシニア医師につきましては、地域や診療科の偏在是正に必要な病院に配置し、また、任用形態も常勤に限らず、働き方に見合った任用とすることとしております。
 このように、奨学金養成医師の配置や定着促進を進めながら、中堅層の医師を充実させるなど、医師の年齢構成にも配慮したバランスのとれた体制を確保することにより、安定的で質の高い医療提供体制を目指していきたいと考えております。

【斉藤議員】
 いずれにしても6年間で23人の医師増員というのは、ほとんど増えないということです。それでは県立病院の充実はできませんよ。入院患者・外来患者を増やす力にもならない。奨学金養成医師は6年間で100人増えるんです。たった23人の増員というのはつじつまが合わない。各病院ごとの問題については予算特別委員会で取り上げていきたいと思います。

・大船渡病院の看護科における超過勤務手当不支給の問題について

【斉藤議員】
 大船渡病院の看護科における超過勤務手当不支給の問題について、大船渡病院は1月20日、大船渡労働基準監督署に対して「是正報告書」を提出しました。どのような調査を行い、どれだけの看護師に不払い分の超過勤務手当が支給されたのでしょうか。不払いの実態を含め示してください。

【医療局長】
 大船渡病院の超過勤務手当についてでありますが、令和5年度の勤務の状況について、出退勤記録を基に全職員から聞き取り調査を実施したところでございます。
 なお、調査にあたっては、大船渡労働基準監督署からの助言を踏まえ、電子カルテのログ情報も補助的に活用したところです。
 調査の結果、確認された超過勤務手当につきましては、1月15日に追給を終了したところであり、令和5年度の追給も含めた超過勤務手当の総額は、147人に対し、1,861万8,294円となったところでございます。

【斉藤議員】
 労働基準監督署から是正勧告と指導を受けて、やっと調査をして、そしてその結果が延べ212人、実人員で147人に総額1861万円余が支給されました。超過勤務手当の不払いが大規模に発生した原因と責任はどこにあるのですか。
 2年前に赴任した総看護師長のもとで、超過勤務の申請を認めないという労働基準法違反の事態が発生したことは明らかではないでしょうか。総看護師長は昨年3月末で自ら退職したとのことですが、以前は遠野病院で同じような超過勤務手当不支給問題が発生し、この時は9ヶ月分で2400万円余の不払いでありました。これが支給されました。
 私は1861万円余の今回の不払い分の支給については、当時の総看護師長にも応分の負担を求めるべきだと思いますがいかがでしょうか。

【医療局長】
 今般の労働基準監督署からの指導を踏まえた調査の結果、超過勤務の追給内容は、勤務終了後、看護記録や業務の連絡調整、書類整理などについて、短時間で行っている状況が多く確認されたところであり、超過勤務をした職員が、残務整理など短時間の業務について超過勤務を申請するまでもないという認識などがあったものと聞いております。
 超過勤務につきましては、時間外に行った業務に対する手当は適切に支払うべきものと認識しており、事前命令、事後確認の手続きの原則に基づき、時間外に行った超過勤務の確実な申請、休憩時間の確保、勤務開始前及び勤務終了後の打刻の徹底など、病院内の経営会議や各部門の会議など、引き続き、様々な機会で重ねて周知、徹底していきたいと思います。
 総看護師長の行動、発言については、昨年度、病院において関係職員にヒアリングを行っており、その中では特に問題行動は認められなかったものと聞いております。
 今般の追給状況を分析すると、一人一月当たり平均3.8時間となっており、業務の内容についても短時間での残務整理となっているところでございます。
 また、元総看護師長への求償をすべきではないかということにつきましては、超過勤務は、管理者がその必要性を適切に判断の上、事前命令に基づき実施し、それに対する労働の対価を支払うものであり、特定の個人に負担を求めるものではないと認識しているところでございます。

【斉藤議員】
 私は何回も議会の場で、どうして不払いが発生したのか。超過勤務の申請を認めないんですよ。だから申請できないのですよ。怖くて申請できないと。だから看護科じゃなくて事務局に申請しなさいと、病院長はそういう指示までした。それでも皆は申請できなかった。だから実人員で147人、1861万円の不払いが発生したんですよ。
 遠野病院のときに、「この責任はどこにあるか」と聞いたら、「看護科の業務の命令権者をはじめとした管理者等が、勤務の実態を適切に把握できておらず、管理が不適切であった」と。今回もそうじゃないんですか。違うところありますか。

【医療局長】
 遠野病院のときにおきましては、出退勤記録のシステムがまだございませんでしたので、そのような管理ができていなかったということで、そのような答弁をしたと思いますけれども、今回につきましては、システムというのを導入いたしまして、それを基に調査等もしておりますので、そこが大きな違いであると感じております。

【斉藤議員】
 全然質問に答えていない。出退勤記録があったにも関わらず超過勤務の申請ができなかったという、もっと深刻な問題なんですよこれは。記録があったから調査して不払いがあったんですよ。
 なぜこんな超過勤務の申請ができない、1861万円も払うような事態に、誰が責任あるんですか。どこに原因があったんですか。
 あわせて、この総看護師長を大船渡病院に配置したのはあなたですよ。医療局長の責任はどう感じていますか。

【医療局長】
 繰り返しになりますが、今般の労働基準監督署からの指導を踏まえた調査の結果、超過勤務の追給内容は、勤務終了後、看護記録や業務の連絡調整、書類整理などについて、短時間で行っている状況が多く確認されたところであり、超過勤務をした職員が、残務整理など短時間の業務について超過勤務を申請するまでもないという認識が多かったものと聞いているところでございます。

【斉藤議員】
 多い人でどれぐらい払われたかというと、108万円です。90万円、82万円、70万円というのもあります。そんなごまかしではだめだ。1861万円不払いが発生した。勤務管理システムあっても不払いが出たというところに事態の深刻さがあるんですよ。そういうシステムがあっても事前申請を認めないからこんなことが起こるんじゃないですか。だから総看護師長は責任を感じて、去年の3月末に退職したのではないですか。なぜこれだけの不払い、そのために大変な時間をかけて調査しなければならなかったのか。どこに原因と責任があるんですか。

【医療局長】
 先ほど、超勤の理由につきましてはご説明した通りでございますけれども、議員ご指摘の超過勤務手当の支給額が多い職員につきましては、特定の日に超過勤務が多いわけではなく、ほぼ毎日看護記録や書類整理などで超過勤務を行っている状況もあったと報告を受けているところでございましたので、今後交代制勤務における効率的な引き継ぎの徹底や職場全体での支援体制を検討していきたいと考えております。

【斉藤議員】
 医療局長を先頭にしてそういう無責任な体制がこういう事態を起こすんですよ。これは厳しく指摘しておきます。2回も同じような事態を同じ総看護師長によってつくられた。この事態の重大性を責任者のあなたが感じないでどうするんですか。そんなことで医療局を指導できますか。厳しく指摘をしておきます。

4、高校再編計画と盛岡みたけ支援学校高等部への通学バス問題について

・県立高校、小規模校のあり方について

【斉藤議員】
 次に、高校再編問題について質問します。
 知事演述では、教育分野の課題の冒頭で、「市町村と連携して、県立高校の魅力化を推進します」と述べられました。その知事の思いをお聞かせください。

【達増知事】
 少子化の進行など教育を取り巻く環境が大きく変化する中、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓いていく持続可能な社会の創り手を育成することが重要であります。
 高校の魅力化は、これらの実現に向けて、学校が地域や関係機関・団体と連携しながら、特色ある教育課程、教育活動を通じて、多様な生徒の学習意欲を喚起し、一人一人の可能性や能力を最大限に伸長する質の高い教育を実践することです。
 これまで本県では、市町村や地域、地域産業などの支援を受けながら、高校の魅力化の取組を展開し、地域を理解する学習活動等を通じて、生徒の資質・能力や自己有用感を育み、岩手の産業や地域を支える人材を育成するとともに、小中学生の地元高校への理解促進などを図ってきたところであります。
 こうした取組を進める中で、小規模校が県外生を受け入れる「いわて留学」も着実に広がりを見せ、その志願者は年々増加し、令和7年度入試においては42名の県外生が合格したところであります。
 「いわて留学」は、生徒による地域の歴史、文化の理解促進や地域産業との連携・協働、伝統芸能の活性化や継承が図られるなど、将来的な関係人口の創出や増大が期待されるものであり、本県の人口戦略としても重要であることから、引き続き、市町村等との連携を図りながら高校魅力化の取組を推進してまいります。

【斉藤議員】
 「県立高等学校教育の在り方(長期ビジョン)」の最終案が示され、県内で地域住民説明会も開催されました。高校再編ビジョン最終盤の主な内容と地域住民説明会で出された意見について示してください。
 長期ビジョンの最終版には、1学級規模の小規模校について、市町村と連携して高校魅力化に取り組んでいることが評価されています。いわて留学の取り組みでは、11校で42人が合格したとのことであります。地域と結びつき、地域に必要な高校は、小規模校でも存続させ、魅力化と充実を図る取り組みをさらに進めるべきと考えますがいかがでしょうか。

【教育長】
 県立高等学校教育の在り方長期ビジョン(最終案)でございますが、今後見込まれる急激な生徒数の減少を踏まえ、県立高校の教育の基本的な考え方を5つに整理しております。「持続可能な社会の創り手となる人材の育成」、「高等学校の多様化に対応する教育環境の構築」、「教育の質の保証、教育の機会の保障」、「地域や地域産業を担う人材の育成」、「大学進学率の向上や専門的知識を持つ人材の育成」―この5つの柱を基に「学びの在り方」、「学びの環境整備と配置の考え方」、「教育の充実の方策」等について具体的に検討し、取りまとめたところであります。
 県教育委員会では、令和6年12月にこの最終案に係る県民説明会を県内6地区において開催し、広く県民の皆様から御意見を頂戴したところであります。
 具体的には、「大学進学等で県外に出たとしても、また岩手に戻ってきて岩手のために頑張ってくれる生徒を育てることを考えてほしい」、「様々な制度を活用して魅力ある県立学校を目指してほしい」、「将来を見据え、規模の大きい高校についても学校統合が必要である」、「少人数の学校を必要としている生徒の存在も大事な視点である」、「いわて留学は、地域の活性化に大きく貢献しており、ビジョンに記載のとおり進めてほしい」等、多くの御意見が寄せられました。
 教育委員会としましては、こうした御意見も参考に長期ビジョンの策定を進めてまいります。
 高校魅力化についてでございますが、市町村や地域、地域産業などの支援を受けながら、岩手の産業や地域を支える人材の育成、小中学生の地元高校への理解促進、いわて留学の着実な進展などに一定の成果を上げてきました。引き続き、取組の推進が必要と考えてございます。
 一方で、令和6年度における全日制県立高校61校の募集学級数を見ますと、1学年3学級以下のいわゆる小規模校が30校となっておりまして、今後も見込まれる中学校卒業者数の一層の減少に伴い、学校の小規模化への対応が必要であると考えております。
 次期高等学校再編計画の策定にあたりましては、長期ビジョンの基本的な考え方も踏まえ、小規模校の在り方について、地域の方々の意見も伺いながら、より良い教育環境の整備に向けて、丁寧な議論を進めて参りたと考えております。

【斉藤議員】
 地域と結びついた小規模校を全県的な規模で、自治体ぐるみで取り組んでいるというのは全国に例がない。大変新しい挑戦だと思っておりますので、ぜひこの方向を進めていただきたい。

・県立盛岡みたけ支援学校高等部への通学バスの実現について

【斉藤議員】
 県立盛岡みたけ支援学校高等部への通学バスの実現について、昨年度以来父母の皆さんと教育長に要望してきました。来年度予算に計上されました。どういう形でみたけ支援学校高等部への通学バスは取り組まれるのでしょうか。保護者の方々の要望を踏まえて実施すべきと考えますが答弁を求めます。

【教育長】
 盛岡みたけ支援学校高等部への通学バスの運行については、これまで、県内の他の特別支援学校はもとより、県外の事例なども参考に、運転士などの対応人員、学習時程、経費などの課題を整理いたしまして、令和7年度から新たに通学バスを運行する方針としたところです。
 通学バスの運行にあたりましては、学校所有バスを活用することとし、高等部のみならず、小中学部の保護者などの意見やニーズも確認の上、現在、学校において、運行ルートや乗車時間などの詳細についての検討や運行に向けての諸準備を進めているところでございます。
 盛岡みたけ支援学校に対しまして、必要な助言、指導に取り組んでまいります。

【斉藤議員】
 特別支援学校では、生徒も父母も本当に苦労されている。そういうところにきちんと通学の保障をしっかりやると。これは教育のあり方の根本が問われているんだと思いますので、しっかり実施をしていただきたい。

5、若者と女性に選ばれる岩手へ、ジェンダー平等の実現を

【斉藤議員】
 次に、若者と女性に選ばれる岩手へ、ジェンダー平等の実現をめざす課題について質問します。
 知事演述の中で、「ジェンダーギャップを解消し、国際的にも通用するような女性の働き方を岩手で実現し、先進性を高めて、若者・女性に選ばれる岩手であるようにしなければなりません」と述べたことが強く印象に残りました。知事の思いとジェンダーギャップ解消の課題、具体的な取り組みについてお示しください。

【達増知事】
 ジェンダーギャップ問題はそもそも基本的人権の問題でありますが、人口減少問題の観点からも、若者や女性の首都圏への転出超過の要因として、地方における性別へのアンコンシャス・バイアスが指摘されており、若者や女性が働きやすい・暮らしやすい、選ばれる岩手であるためには、多様な主体が、ジェンダーギャップの解消の必要性を理解し、行動に移していくことが重要です。
 本年1月には、いわて未来づくり機構ラウンドテーブルにおいて、若者・女性に選ばれる岩手宣言を行うなど、産学官が一体となってジェンダーギャップ解消に取り組む機運が高まっており、県としても一層取組を推進していく必要があります。
 令和7年度においては、企業や地域等における固定的性別役割分担意識の解消に向けた、専門人材による講演会等の開催、職場での女性活躍推進をけん引するキーパーソン養成セミナーの開催、家庭内の分担を見える化し、男性の家事・育児への参画を促す家事・育児シェアシートの更なる普及、ものづくり産業への進路選択や就職につながる女子中高生を対象にした女性社員等との意見交換の実施などの対策を進め、性別にかかわらず一人ひとりがいきいきと活躍できる社会を実現してまいります。

【斉藤議員】
 ジェンダーギャップの解消はまさに戦略的課題だと思います。
 私はその土台に、労働者の低賃金、長時間労働があって、ジェンダーギャップの風潮をつくっているんだと思います。その視点もぜひ付け加えていただきたい。
 県内の女性が置かれている実態について質問します。県内労働者の正規、非正規の実態と女性の労働実態はどうなっているでしょうか。男女の賃金格差の実態を含めて示していただきたい。
 岩手県が率先してジェンダーギャップの解消に取り組むべきだと思います。県の幹部職員の占める女性の数、比率、合わせて女性の年代別比率も示してください。県の女性幹部登用の現状と目標はどうなっているでしょうか。

【企画理事兼商工労働観光部長】
 総務省が5年ごとに行っている就業構造基本調査によると、令和4年の岩手県における「会社などの役員を除く雇用者」は51万9,300人、そのうち、正規職員・従業員は33万5,100人、非正規職員・従業員は18万4,200人で、正規の職員・従業員の割合は64.5%となっており、このうち女性の正規の職員・従業員は、12万3,600人で正規全体の36.9%、非正規の職員・従業員は、12万4,500人で非正規全体の67.6%となっております。
 また、令和5年の賃金構造基本統計調査における岩手県の所定内給与の月額は、男性は28万1千円、女性は22万5千円となっており、その差は5万6千円となっております。なお、賃金構造基本統計調査では、正規・非正規の区分での数値は示されていないところです。
【総務部長】
 県の女性管理職についてでありますが、県が率先して全ての職員が意欲をもって能力を最大限発揮できる組織をつくることは、若者・女性に選ばれる岩手を実現するための施策を推進していく上で、特に重要であると認識しております。
 このため県では、特定事業主行動計画において、総括課長級以上の管理職に占める女性職員の割合を、令和7年度までに15%とする目標を掲げており、令和6年4月1日時点で78人、率にして13.5%となっております。
 また、全職員に占める女性の割合は年々増えており、現在30.7%となっておりますが、年代別で見ると、30代で38.8%、20代以下では45.2%と若い年齢層ほど高い割合となっております。
 こうしたことから、引き続き、職員の能力向上や女性職員の活躍事例の紹介などを通じ、職員のキャリア形成を支援するとともに、フレックス制度の拡大や、男性の家事育児への参画を促す「家事育児シェアシート」の活用促進など、仕事と生活の調和が図られる働きやすい環境を整備し、県組織においても、ジェンダー平等の実現を進めてまいります。

【斉藤議員】
 知事にお聞きしたいのですが、ジェンダーギャップの解消も県が率先してやるべきだと先ほど質問をいたしました。
 今の答弁だと、総括課長級は令和7年度は15%の目標に対して13.5%だと。実は総括課長級というとおそらく50代前半、女性の労働者の比率は23.2%なんですよ。私はせめて女性職員の比率ぐらいは幹部職員に登用すべきではないか。そして30%以上を目指すべきですよ。30%を超えると議論の質が変わると専門家は言っています。
 ジェンダーギャップ解消を掲げる達増県政でこそ、この幹部職員における女性の比率を抜本的に高めてほしい。いかがでしょうか。

【達増知事】
 先ほどの答弁の数字につきましては、いま現在こうだということでありますけれども、私もそれには満足しておりませんので、今後さらに高くしていくよう努めていきたいと思います。

【斉藤議員】
 前向きの答弁でした。期待をしております。

6、警察本部における不祥事と公安委員会の在り方について

【斉藤議員】
 次に、警察本部の不祥事と公安委員会の在り方について質問します。
 2019年1月28日、盛岡市内の勤務先・交番において、当時22歳の若い警察官が自殺する事案が発生しました。私は直後の県議会予算特別委員会で、若い警察官が所内で自殺した事件であり、パワハラ等がなかったか、自殺の要因と背景を究明するよう求めました。県警本部は、3月25日、上司の巡査部長を暴行罪で盛岡地方検察庁に事件送致したものの、「パワハラが自死の一因であることは否定できないものの、自死の唯一の原因を特定できない」として、懲戒処分にあたらない「本部長注意」の軽い処分で処理しました。その後、遺族から公務労災の申請が出され、公務と精神疾患の発症に相当因果関係が認められ、2020年12月に労災と認定されました。遺族はさらに2021年7月、県警本部に対して損害賠償請求をおこない、精神疾患と自殺に相当因果関係が認められるとして23年12月議会に8310万円の損害賠償にかかる議案が提出され、その後支払われたものであります。
 県警本部は昨年6月20日、退職した元上司の巡査部長に対して損害賠償額の一部を返還するよう求める求償権を行使するべく、県の職員賠償責任等審査委員会に申請しました。
 求償権の行使に至った理由と元上司への支払いはどうなったか示してください。

【警察本部長】
 求償権の行使に至った理由と元上司の支払い状況についてでありますが、県警察におきましては、令和5年12月定例会において、損害賠償議案の議決を頂いた以降、求償権の行使の可否に関する具体的な検討を行いました。
 検討の過程におきましては、元上司には、自身の指導が行き過ぎた指導であるという自覚があったこと、故意による暴行や長時間にわたる叱責を複数回行っていたこと、そして部下の心身の健康に注意すべき義務があったにもかかわらず、その注意義務を怠ったという重大な過失が認められたところであります。
 一方、県警察においては、パワーハラスメントの発生情報を現場に留めさせることなく、漏れなく把握した上で、組織としての善後策を検討し、適切な措置を講じて重大な結果を防止するという組織責任を負っていたものであり、それを全うするに至らなかった責任は重いということも認識したところであります。
 これらの事情を前提としつつ、専門家の知見としての弁護士への相談を行うなどして、令和6年6月までに、損害賠償額の2割に相当する額について、元上司に求すべきという結論に達し、職員賠償責任等審査委員会に求償権の行使の可否に関する審査を付託いたしました。
 同委員会からは、11月に損害賠償額の2割に当たる1,662万1,240円について、求償権を行使することが「適当」との決定がなされた旨通知を受けたことから、当該決定に基づき、県警察において、12月に元上司と接触の上、支払いを求め、請求額について支払いを受けたものでございます。

【斉藤議員】
 私は先ほど丁寧にこの間の経過を説明しました。いろんなところで判断が間違っているんですよ。
 最初に、自死してわずか2ヶ月で本部長注意処分にしました。このときの理由は、「パワハラが自死の一因であることは否定できないものの、自死の唯一の原因を特定できない」が理由でした。パワハラが自死の一因で自殺しているんです。これだけで懲戒処分適用にならないわけがない。不来方高校事件は1年前に発生していた。この第三者委員会の調査は1年半かかった。ここでも「顧問の暴言・叱責が自死の一因」という調査結果ですよ。パワハラが自死の一因だったら懲戒処分にならないのはおかしいじゃないですか。

【警察本部長】
 処分の関係でございますけれども、当時の調査に関しましては、しっかりと内部調査ではなく、本部の独立した警務課と非違事案の調査を行う本部の監察官員が所属の影響を受けることなく、行為者である上司をはじめ交番所長や同僚等関係した職員からも広く聴取し、また、亡くなった職員の状況等についても遺族の協力を得て確認をしているところであります。
 一方、短い期間というお話もあったと思うんですけれども、期間につきましては調査すべき範囲について限定されていたことから、適切な期間で行われたと思っておりまして、当時の調査は丁寧かつ必要十分な調査だったと思っているところでございます。
 また、処分が軽いというお話があったと思うんですけれども、この事案では、パワハラと認定した指導というのは、動機が業務上に関するものであって、いじめや虐待の意図によるものではなく、指導を必要とする理由も認められた一方で、その指導は暴行を伴うなど行き過ぎたものと認定されたことなども考慮し、総合的に判断した結果、本部長注意という処分となっているところでございます。

【斉藤議員】
 そういうのは答弁にならない。残念ながら。
 実はその後、遺族は公務労災を申請しました。その結果は、公務と精神疾患の発症に相互因果関係が認められ、労災と認定された。パワハラによって精神疾患を発症しているんですよ。そしてその精神疾患と自殺は相当の因果関係がある。そして8310万円の損害賠償になったんですよ。上司によるパワハラが8ヶ月間にわたってやられたんです。精神疾患に陥るようなパワハラですよ。 
 公安委員長にお聞きします。結果的に求償権まで行使するような事件になりました。私は出発点が間違っていたと。パワハラが自死の一因だと言いながら本部長注意処分という軽い処分にして、その後退職して退職金をがばっと貰って終わらせたんですよ。しかし遺族は納得できなかった。そして公務労災が認められ、損害賠償になった。この経過をしっかり踏まえて、最初の本部長注意で済ませたことに問題がなかったと、公安委員長は今でもそう思っていますか。公安委員会でどう協議されたかも含めて答えてください。

【公安委員会委員長】
 非違事案に対しまして懲戒処分をすべきかどうかの判断は、広範な事情を総合的に考慮してされるものであるため、懲戒権者の裁量に任されていると解されています。そのため、その処分の適否を審査するに当たっては、裁量権者の裁量権の行使に基づく、処分が社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権を濫用したと認められる場合に限り違法と判断すべきものとされています。
 その判断の枠組みは、懲戒処分にしなかったことが相当であったかどうかの判断にも妥当するものと解されますので、そういう観点から本事案についても監督上の措置が相当だったのかどうか検討しました。
 昨年2月の県議会定例会で検証すべきであるというご意見をいただいた後、検証の要否を含めて仔細検討し判断するため、県警察に本事案の調査措置に係る一件記録の提出を求め、改めて公安委員会で確認しました。
 その結果、本事案については、非違行為の結果は重大でありますが、結果のみならず非違行為の動機、態様等の個別具体的な事実関係、当時の懲戒処分の指針にパワーハラスメントに関する基準がなかったこと、確認した先例は当時いずれも監督上の措置であったことを総合考慮すれば、地方公務員法の規定する公正性、平等取扱いの原則、不利益取扱い禁止の原則に照らして、懲戒処分ではなく監督上の措置を選択したことはやむを得なかった、つまり、県警察の裁量権の行使に基づく措置という処理が、社会通念上著しく妥当を欠き裁量権を濫用したとは認められないと判断しました。

【斉藤議員】
 法律家としての公安委員長の答弁としてはきわめて残念です。
 若い警察官がパワハラで自殺したんですよ。パワハラが一因だったと。その結果、遺族が労災申請をして、公務と精神疾患と相当の因果関係があるといって損害賠償したんですよ。私はこれだけでも社会通念上本部長注意で済まないような悪質な事件ではなかったのか。求償権の行使は、文字通り故意による悪質なパワハラだったと。だから辞めた人に求償権まで請求したんじゃないですか。こんな異例なことをやっているんです。それでも社会通念上、本部長注意というのは問題がなかったんですか。今もそう思っているんですか。どんなパワハラが8ヶ月間行われたか。公安委員長は調べましたか。

【公安委員会委員長】
 先ほども申しました通り、県警察に本事案の調査措置にかかる一件記録の提出を求めて全体を把握いたしました。調査につきましては、本事案についての調査は、本部警務課と観察課の幹部職員が1ヶ月余の短期間で必要な対象者十数名について、過去複数回、裏付け調査も含めてできるだけの調査を行っており、調査に異論はないと考えました。また、基準については先ほど申し述べた通り、先例についても先ほど申し述べた通りでございます。
 先ほどご指摘のありました因果関係につきましては、県警察の調査の結果でも、「ハラスメントが自死の一因となったことは否定できない」という表現ですが、因果関係を認めておりますので、公務災害認定を待って因果関係を認めたというご批判はあたらないものと考えております。

【斉藤議員】
 私は不来方事件の話も紹介しました。バレー部員が1人自死した。1年半かけた調査をしたんですよ。どのような暴言・叱責が行われたのか。丁寧な調査が行われて、それが自死の一因とされた。それで懲戒免職処分ですよ。1ヶ月半で、そんな中途半端な処分をやったこと自身が問題だったんじゃないですか。1ヶ月半で、1人死んだ事件について、本部長注意をやったこと自身が不十分だったんじゃないですか。十分な調査だったんですか。

【公安委員会委員長】
 対象者が限られております。先ほど本部長が述べた通りでございます。対象者は十数名、調査した職員も十数名おります。いずれも捜査能力に長けた幹部職員でありました。それらについて、全体複数回、何度も繰り返し通り一遍の調査ではない聴取を行っております。1人から出たものについて、裏付けで調査も行っております。私は、捜査・調査に関わった経験がございますけれども、十分な調査であったと認めました。

【斉藤議員】
 おそらく公安委員長は8ヶ月間のパワハラ・暴行の実態を把握していないんじゃないでしょうか。きわめて残念。警察だって間違うことはあるんだから。これだけの8310万円の損害賠償、さらに求償するというような事態になったら、しっかりこの事件を検証すべきですよ。こういうことは再び起こってはならないと指摘だけしておきます。
 大変残念な公安委員長の答弁でした。公安委員会というのは市民の目線で警察を民主的に管理するんですよ。あなたは全然市民の目線じゃない。このことだけ指摘をしておきます。

7、広瀬めぐみ前参院議員の秘書給与詐取事件、自民党県連の政治資金パーティー問題について

・広瀬めぐみ前参院議員の秘書給与詐取事件について

【斉藤議員】
 最後に、広瀬めぐみ元参院議員の秘書給与詐取事件について改めて知事の所感を求めます。
 2月6日、東京地方裁判所で初公判が開かれました。検察側の冒頭陳述では、「年間1000万円の秘書給与を損をするとして、自身の長女に名義貸しをするよう頼んだが、長女は弁護士である広瀬前議員の夫に相談したところ、夫は『パット見て違法に感じる』と反対したが、公設第一秘書の妻に名義貸しを頼み、第二秘書の給与約342万円と退職金約16万円、合計約358万円余をだまし取った」と指摘をされました。
 秘書給与の使い道については、「手持ちの現金と混ぜ、政治活動のほか自身のクレジットカード代金や長女への子図解にも充てた」と明らかにされました。
 被告人質問では、秘書給与をだまし取る手口について、「選挙活動中に手伝ってくれた元国会議員の元秘書から聞いた」と述べたことも重大であります。
 広瀬氏は起訴内容を認め即日結審し、検察は懲役2年6月を求刑、3月27日に判決が下されます。再びこうした悪質な犯行は許されません。改めて自民党に猛省を求めるものですが、知事の所見を求めます。

【達増知事】
 政権与党の公認候補であった参議院議員が、自らの詐欺事件で辞職し、起訴に至ったことは、岩手県では過去に例がなく、極めて重大な事態で、県民に大きな衝撃を与えました。
 これにより行われた参議院議員補欠選挙と、統一教会問題と裏金問題の事実関係を十分に究明することが求められている中で行われた衆議院議員総選挙の結果として、与党が過半数を大きく割り込んだことは、国民や県民が健全な政治を求めたものと考えます。
 このような政治家の不祥事を再び起こさないためにも、問題の事実関係を明らかにするとともに、政治家は信頼回復に向けた行動を自ら率先して行っていくことが求められると考えます。

【斉藤議員】
 私はこの裁判の冒頭陳述を見まして、あまりにもひどいということで、改めて取り上げた次第であります。

・自民党県連の政治資金パーティーについて

【斉藤議員】
 自民党の2023年4月29日に開催された政治資金パーティーについて選挙管理委員長に質問します。
 政治資金パーティーの収入は2151万円、購入者は816人となっていますが、1枚2万円では割り切れません。なぜでしょうか。
 2022年4月16日開催の政治資金パーティーについては、1872万円の収入で、購入者は936人と報告していました。1人が1枚のパーティー券を買ったというでたらめな報告でした。私の指摘を受け、購入者を746人と修正しましたが、企業からの収入が半分以上を占めているのが全国の実態であります。企業のパーティー券購入の実態を隠すものとなっているのではないでしょうか。
 岩手県医師連盟が100万円、50人分のパーティー券を購入しています。支払日はパーティー終了後の5月8日でありました。こんなことがあるのでしょうか。丸々政治献金ではなかったでしょうか。
 パーティー開催経費は、会場費、飲食代、記念品代、印刷費で239万円余となっています。そのほか、販売手数料として国会議員、国政候補者、県議や市町村議が責任者の各選挙区支部、市町村支部に交付されています。これはいわゆるキックバックされたものではないでしょうか。
 東北6県の自民党県連の政治資金パーティーを調べましたが、販売手数料というのはありませんでした。岩手県連独自のものでありました。選挙管理委員長の答弁を求めます。

【選挙管理委員会委員長】
 岩手県選挙管理委員長の吉田でございます。まず日頃、選管の選挙事務に御協力いただきましてこの場で御礼を申し上げます。
 それでは、斉藤信議員の御質問に答弁いたします。4つまとめて質問していただいてありがとうございます。この4つに共通することですので、あらかじめ選挙管理委員会の職務についてお話させていただきます。昨年、2月27日の答弁にも答弁でもお話したことと重複しますが、ちょっと早口でやらせていただきます。
 まず、政治資金収支報告書に関し、選挙管理委員会に与えられている権限は、政治資金規正法第31条において提出された届出書類、報告書もしくは添付書類に形式上の不備があり、または、これらに記載すべき事項の記載が不十分であると認められるときは、当該報告書等を提出した者に対し説明を求める、または当該報告書等の訂正を命ずることができるとされております。
 斉藤議員が2番目の質問をされました、昨年のことですけれども、最初人数で割り切れたはずですけれども、中身を見るとおかしいではないかという風に議員が指摘されたことについて、この提出者に説明を求め、訂正していただいたものです。
 従いまして、第1問目の人数で割り切れないのではないかという質問について、これは斉藤議員が一番よくご存じだと思いますので、それを答えにさせていただきたいと思います。
 それで、なぜかということを一言説明しますと、政治資金規正法第20条で、1人で20万円を超えるパーティー券を買った場合には報告することになっていますが、20万円以下であれば特に報告書に書いていないんですね。ですから、収入と人数で割ったところで答えが出てこないということになっています。
 その中身については、我々選挙管理委員会としてはこれを調査する権限というのはございません。ですからそれはなぜかとかですね言われたところで、これはちょっと答えられないということになります。これはご理解いただきたいと思います。
 それから、この政治資金収支報告書の提出にあたって、選挙管理委員会では何もしてないかというとそうではなくてですね、毎年、すべての政治団体に対して、記載要領等を作成して文書で通知しております。職員が県内各地に出向いて、対面での相談や報告書を受理する機会を設けるなど、親切に職員が対応していると思います。
 政治資金規正法に掲げる基本理念としては、政治資金の収受にあたっては、いやしくも国民の疑惑を招くことがないよう法律に基づいて、公明正大に行われなければならないとされております。
 従って選挙管理委員会としては、この理念のもと、各団体において、政治資金の収支を適切に処理しているものと認識しております。
 これが選挙管理委員会の職務内容ですので、ご質問にお答えするとなるとですね、個別具体的な事実関係について、先ほど申し上げたように調査する権限がないということになります。
 3問目の質問で、岩手県医師連盟が払った日がパーティー後の5月8日であった、こんなことがあるのですかという質問ですけれども、これは、民事上の一般論といたしましては、当事者同士が支払日はそれでいいということであれば問題はないし、これについて特に法律で支払日はいつまでにしようということは書かれていないので、こういうこともあるのではないかというふうに思います。
 それから、キックバックされているのではないかということに関しては、これは斉藤議員のご見解だと思いますけれども、選挙管理委員会としてはこれについて答えるべき立場にございません。

【斉藤議員】
 私が指摘したいのは、パーティー収入2151万円、1枚2万円なんですよ。1枚2万円のパーティー券、割り切れないんですよ。そんなことが分かっててわざわざ報告している。
 去年の例をお話したのは、政治団体から10枚20枚買っていると報告しながら、1人1枚しか買っていないという報告をしていた。それだけデタラメ、ずさんな報告だということを選挙管理委員長に指摘をしたわけであります。
 それから販売手数料、これはキックバックなんですね。受け取ったそれぞれの選挙区支部・市町村支部の政治資金報告書を調べてみました。「交付金」としているんですよ。自由に使えるお金を戻していたわけなんですね。これは残念ながら岩手県だけでありました。だからキックバックしているんです。中には、1年間「交付金」と記載していない人がいました。記載しなかったらこれは裏金なんです。社会問題になって、あわてて修正したという人がいましたが、修正は1年後でした。これは自白の証明というんです。
 そういう意味で、書かれれば法律に違反しないけれども、しかしそういうキックバックの仕組みというのが自民党県連では今でも続いていると。会計責任者は県議会議員ですから、県議会議員が責任を持った会計責任者で報告されていますから、そのことも含めて清潔な政治を実現していかなければならないと、このことを述べて終わります。