2025年3月6日 予算特別委員会
政策企画部に対する質疑
(大要)


・知事のマニフェスト+39について

【斉藤委員】
 この取り組みについては政策企画部でしっかりまとめております。来年度予算にマニフェスト+39はどう反映されているのか。そのエッセンスを示してください。

【政策企画課総括課長】
 マニフェスト+39につきましては、県民計画やアクションプランの内容を踏まえた具体の施策として位置づけられているものと。県民計画アクションプランと一体として、各年度の予算の中で事業化に取り組んでいるところでございます。
 令和7年度の当初予算案におきましては、例えば、子育て支援ですとか教育の充実、中小企業の振興、観光振興、災害対策など、さらなる新規事業について盛り込んだほか、幅広く既存事業の拡充を図り、その主な関連事業で全てで387事業、1028億円余を計上しているところでございます。
 新規事業につきましては、25事業12億円余というものを計上しておりまして、例えば、項目3:「自己実現に向けた学びの場の確保」といったところでは、児童生徒1人1台端末の更新でありますとか、障がいのある児童生徒の入出力支援装置の整備と。また、「持続可能で希望ある医療体制の構築」では、#7119番の設置、「中小企業の振興」でも、県内ものづくり企業と求職者のマッチング機会の創出といった新規の事業を盛り込んでいるところでございます。
 ただ、拡充事業のところは47事業23億円余というところでございますけれども、例えば、子育て支援策の展開の拡充では、指定保育士養成施設の学生に対する支援資金貸付枠の拡充といったものでありますとか、医療体制の構築における妊産婦通院支援の支給上限引き上げといったものを盛り込んでいるところでございます。

【斉藤委員】
 今年度に続いて来年度も新規事業で25事業、拡充では47事業ということで、着実にマニフェスト+39を推進しているということは評価をしたいと思います。

・人口減少対策について

【斉藤委員】
 「若者・女性に選ばれる地方の実現に向けた緊急提言」を全国知事会が出しました。この緊急提言の中身を示してください。

【政策企画課総括課長】
 全国知事会では、本年1月に国に対し要請活動を実施しております。緊急提言の内容には、「賃上げや労働時間の短縮など魅力ある働き方、職場づくりに向けた支援策の強化」「全国一律での子育て支援策の早期かつ着実な実施」「アンコンシャス・バイアスの解消」「国と地方が人口減少対策に関して、実務者レベルで活発かつ率直に意見交換する場の設置」などについて、国において政策を統括推進する司令塔を設置し、人口減少問題の鍵を握る若者・女性の意見を取り入れながら、地方と適切な役割分担により早期かつ協力に推進するよう要望したところでございます。

【斉藤委員】
 全国知事会がこのように若者・女性に選ばれる地方の実現に向けた緊急提言と。結局、全都道府県で若者・女性に選ばれる取り組みをやっているわけです。やはり一番何が問題かというと、東京一極集中を是正しなかったら、全国都道府県の競争にしかならない。地方創生10年―この総括の一番の肝は、東京一極集中は是正されなかったと。されないどころか拡大されたと。ここにあるんだと思います。本当にいま自公政権のあり方が根本から問われていると。国政を変えることと結んで、若者・女性に選ばれる地方づくり・岩手づくりを進めなくてはならないと思います。だからこれはそれぞれの県が推進ということだけではなく、大本の国の政治の根本的転換が求められていると。そのことを強く求めていかなくちゃならないと思います。
 そこで、地方の問題で重要なのは、若者・女性に魅力ある働き方・職場づくりに向けた支援策を進めると県は提起をしています。魅力ある働き方・職場づくりはどういう中身で、県は何をどう支援するのかを示してください。

【政策企画課総括課長】
 先ほどの緊急提言の中にもそういった内容が盛り込まれております。その中においては、知事会の方では、賃上げが持続的に可能となるような環境整備、男女間・地域間の賃金格差の是正、短時間の正社員など多様な正社員制度や時短勤務の推進、男性の育児休業の取得の推進といったものも、この緊急提言の中に盛り込んでいるところでございます。
 県の取り組みですが、この社会減対策の強化の柱の一つとして、多様な雇用の創出、労働環境と所得の向上といったものを掲げてございます。令和7年度の当初予算案におきましても、県内企業における賃上げや働き方改革の促進、生産性向上への支援、ジェンダーギャップの解消の推進に向けた労働環境の整備や処遇改善、労働時間の短縮や子育てしやすい環境整備、リスキリングの推進の取り組みに対する支援等にかかる事業を拡充・強化しており、誰もが働きやすく活躍できる職場環境づくりと。それから、海外輸出の促進などにより付加価値の向上などに向けて取り組むこととしているところでございます。

【斉藤委員】
 最初に話されたことが大事だと思うんですね。持続的な賃上げ、賃金格差の是正。持続的な賃上げといったときに、岩手県は先駆的な取り組みをやっていると思います。中小企業に対する賃上げ支援金です。これは全国に先駆けてやって、いま第二弾に取り組んでいると。第二弾はさらにバージョンアップして、一人当たり6万円、50人まで対象を拡大して上限300万円という形でやっています。ただ、県の事業は単年度の補助です。賃上げというのは、一度上げれば持続的に上げていかなくてはならない。そのためには、国としてどのように持続的な賃上げの取り組みをするのかが問われていると思います。だからこの持続的な賃上げを考えても、国の施策なしには実現できないと思います。私は一般質問でもこの問題を取り上げました。残念ながら国の賃上げ支援というのは減税しかありません。賃上げしたところに減税をすると。その恩恵を受けているのは大企業です。一般質問でも明らかにしたように、県内では66%の中小企業が赤字です。赤字でも「防衛的な賃上げ」をしなくてはならない。そういう点でいくと毎年賃上げなんてできないわけですよ。この点でも国が責任をもって、全国では7割、岩手は89%が中小企業の労働者ですから、本当に中小企業の支援策を強化して、持続的な賃上げを実現することが必要だと。
 もう一つは賃金格差の是正です。これは県庁もそうですけれども、非正規が一番の要因です。非正規労働者は女性が6割以上を占めると。そこに賃金格差が表れるわけで、そういう点では、総務部では時間がなくて取り上げられませんでしたが、県庁でも男女の賃金格差がある。会計年度任用職員でいうと、一定の時間働いている会計年度任用職員の7割は女性です。ここに県庁内における男女の賃金格差があると。これも県独自に打開に取り組む必要があると思いますけれども、まずこの点をお聞きします。

【政策企画課総括課長】
 中小企業の支援ですとか正規・非正規の問題についてご指摘いただきました。県においても、中小企業に対する賃上げですとか労働環境の整備、処遇改善、労働時間の短縮、子育てしやすい環境整備など、できることをまずやっていると。その上で、そういったことを持続的に進めるためには、国における賃上げや男女間における賃金格差の是正ですとか、多様な正社員制度や時短勤務の推進というような仕組みを構築していただくことが重要であり、県としても、また知事会と連携して、こういった対応については要望しているところでございます。

【斉藤委員】
 県庁の男女の賃金格差の是正も聞いたんですけれども、所管違いになりますか。

【政策企画部長】
 所管は総務部でございますが、委員お話のように、県庁内外問わず男女の賃金格差は、やはり女性の社会減対策といったところが重要と考えております。隣に財政課長もおりますし、後ほどしっかり総務部の方にも伝えたいと思います。

【斉藤委員】
 県が率先して打開に取り組む課題もあると思います。それから、岩手の弱点というのは、低賃金と長時間労働なんですね。この低賃金と長時間労働がジェンダーギャップの土台にあって、結局長時間労働だと育児する時間がないわけです。そういう意味では、この根本問題にどう取り組むかということが県政としては問われていると。
 もう一つ、そういう厳しい中でも、頑張っている中小企業が少なくないのも事実です。だから、魅力ある働き方・職場づくりに取り組んでいる中小企業が少なくなくありますが、しかし多くの学生、高校生というのは、地元の企業を知らないというのも実態です。いま首都圏を含めて人材不足ですから、本当に人材の確保競争は激しいものがあります。そういう中で県内で若者・女性に選ばれる岩手、職場をつくるという点でいけば、今まで以上の努力が必要だと。本当に今までの延長線上では進まないと思います。それは私の提起にとどめておきます。

・若者・女性との県政懇談会の取り組みについて

【斉藤委員】
 いま県政懇談会の質問もありました。私は、若者・女性と知事との県政懇談会は大変重要な意義を持っていると。いま若者・女性に選ばれる岩手といっているときに、知事は先頭に立って若者・女性と懇談して意見を聞いている。この姿勢はすごく大事です。資料をいただきましたが、今回10回の県政懇談会のうち6回は若者・女性が対象です。若者・女性から具体的な提言、どういう提言がされているか示してください。

【広聴広報課総括課長】
 県政懇談会につきましては今年10回開催しておりますけれども、参加者総数がトータル42名でありますが、女性は21名で半数であります。年代別では、20代17名、30代11名ということで、20代30代合わせると66%ですので、3人に2人は若者ということで、若者の方にも多く参加いただいております。
 懇談会の中で出された意見としましては、特に女性から「子どもたちが遊べる屋内施設の充実」「産前産後ヘルパーや家事代行サービスを利用しやすくするための支援」といった子育てに関すること。沿岸の方では、「みちのく潮風トレイルを活用したガイド育成や観光振興をどんどん図って、地元に経済的にも恩恵が及ぶように」というご意見も頂戴しておりますし、それ以外にも、医療や教育振興の話などさまざま頂戴してございます。
 今年度の新しい取り組みとしまして、初めて県外での懇談会ということで、首都圏の大学に通う本県出身の大学生7名との懇談会も開催しました。知事と直接大学生の皆さんと懇談しましたけれども、大学生の方々からも、「進学や就職で岩手を離れた若者に対してSNSを活用して継続的に岩手の情報を発信することが大事ではないか」といったご意見、県外に住んでいる学生が岩手とのつながり、岩手で働くことのきっかけとしては、岩手で地域の人や企業と触れ合う機会をもつことが重要だけれども、やはりそこには交通費や宿泊費含めてさまざまな負担があるのでそういったものへの支援など、さまざまな意見を頂戴しております。それにつきましては、長期であるとか2月に開催した人口問題対策本部会議等の場でも活用して、全庁的に共有してございます。

【斉藤委員】
 こうした若者・女性の意見は、今ほんの一部の紹介だと思いますけれども、やはりこれをしっかり受け止めて、それに応えていくと。若者はいまSNSでザッと広がるんですよ。私たちの願いがこう受け止められたと。こういうことは本当に広がりますから。
 いわてで働こう推進キャンペーンを首都圏でやったら400人集まったということも紹介されました。そういう意味では、首都圏で働く人たちも含めて、若者への情報発信を本当に強めていただきたい。いま時代が変わっていますから、若者の発信力は大きいものがありますので、引き続き来年度もこの取り組みを進めていただきたい。
 広域振興局長が同席するというのは、聞くだけで立派な仕事です。

・知事の政務秘書について

【斉藤委員】
 知事の秘書給与の問題が出されましたが、国政も県政も政党政治ですよ。政務秘書の役割は大変重要なものがあるし、我々はいつでも知事にダイレクトに話をするということはそんなにできることではないのだから、そういう意味では知事と政党を結ぶ、議員を結ぶ、そういう役割も果たしてきたし、これからも果たすことができるだろうと。そのことを指摘して終わります。