2025年3月10日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑
(大要)


・第2次地球温暖化対策実行計画について

【斉藤委員】
岩手県における温暖化の現状をどのように把握しているでしょうか。

【グリーン社会推進課長】
本県の温暖化の現状でございますが、気象庁によりますと、県内の観測地点では、盛岡市の2024年の年平均気温が12.6度となっておりまして、2年連続で観測開始以来最高を記録しているほか、宮古市・大船渡市もそれぞれ2023年に年平均気温が過去最高となっております。
 地球温暖化の原因の一つと言われる異常気象の影響により、本県においても昨年8月の台風・豪雨など、甚大な被害を及ぼす極端な気象現象のほか、農作物の品質低下や漁獲量の減少、磯焼け、野生鳥獣の生息域の変化、熱中症の増加など、県民生活への広範な影響が見られています。
 地球温暖化対策は喫緊の課題であるという認識のもと、県民・事業者・市町村と連携し、実行計画に基づく取り組みを進めております。

【斉藤委員】
 温暖化の現状というのは、本当に我々も実感するような状況で、先日東北大学発表した三陸沖の海水温の上昇というのは5度6度と、世界で一番高かったと。魚というのは1度上がっただけで生息できないんですね。それだけの異常な状況が岩手県にも及んでいると。
 そこで、国際的には2035年度を受けた温室効果ガスの削減目標が新たに提起をされました。日本はそれに対応して、2035年度に2013年比で60%削減という方向を出したんですけれども、これは低いのではないかと批判もされています。しかし2030年には47%、35年は60%と。岩手県が目標設定したときには国の目標より高かった、前向きな先進的な目標だった。県としても目標を見直し、引き上げることが求められているのではないでしょうか。

【グリーン社会推進課長】
 先ほど委員からご紹介ございました通り、令和5年に県の実行計画を改定した際に、それまで41%削減する目標であったものを、全国的にも高い水準である57%の削減に引き上げております。これは国の2030年の目標を上回るものでございます。
 今後の目標の引き上げについてでございますけれども、先月国において地球温暖化対策計画が改定されまして、2035年度・2040年度の目標が設定されているというところもございますし、こうした動向であったり、本県の取り組みの進捗状況を踏まえながら、令和7年度に中間年となりますので、こちらの中で計画の見直しを進めてまいります。そして目標の引き上げ等につきましても、その中で必要性を検討してまいります。

【斉藤委員】
 私たちが予測していた、世界が予測していた以上に温暖化の状況、去年なんかは1.5度ぐらい上がったんじゃないかと言われるような状況になっているので、県民レベルで温暖化による現状を共通認識にして、バージョンアップして、取り組みをあらゆる各界・各団体で取り組む必要があるのではないかと思います。
 県は、県有施設は60%削減という目標でありました。県有施設の脱炭素化の取り組みの実績、来年度の方針を示してください。

【グリーン社会推進課長】
 今年度につきましては、二戸地区の特別支援学校のZEB化、釜石地区合同庁舎など19施設の照明などのLED化、公用車14台のハイブリッドを含むEV化、県立高校5校への太陽光発電設備導入に向けた設計などに取り組んできたところです。
 令和7年度につきましては、今年度着手いたしました二戸地区の特別支援学校のZEB化を継続するとともに、一関地区合同庁舎など59施設の照明などのLED化、公用車7台のEV化、県立高校5校への太陽光発電設備の設置と、県立高校など5施設への設計を進める予定としてございます。

【斉藤委員】
 ぜひ県が先頭に立って温暖化対策に取り組んでいる姿を示していくことが必要だと思います。
 特に、県は事業者向けの支援に取り組んでいます。事業者向けの支援事業の実績について示してください。

【グリーン社会推進課長】
 県では、事業者の脱炭素化に向けた取り組み支援といたしまして、省エネ設備や自家消費型太陽光発電設備の導入補助、太陽光発電設備とEVなどを合わせて導入する際の補助のほか、バス事業者などがEV車両を導入する際の補助を実施しております。
 今年度の実績としましては、省エネ設備については、28事業者のLED照明や空調設備等の導入に対し支援を行っております。自家消費型太陽光発電設備については、12事業者で合計1800キロワットの設備導入に対し支援を行っております。バスのEV化については、2者で計4台の導入に対し支援を行っております。また、本県のEV環境の整備のため、今年度から取り組んでおります充電インフラ整備については、急速充電器6基の整備に対し支援を行いました。
なお、太陽光発電設備の導入にあわせて、EVや蓄電池などを導入する経費に対する補助については、今年度は導入の実現につながらなかったことから、来年度事業にあたっては周知の強化を進めてまいります。

【斉藤委員】
 市町村はかなり省エネ設備の補助、事業などもやっていますけれども、県は事業者向けで取り組むという、基本的にはこういう住み分けだと思いますけれども、事業者に対する支援を一層強めていただきたい。
 各市町村の温室効果ガス排出量の削減目標、脱炭素化の具体的な取り組みはどうなっているでしょうか。

【グリーン社会推進課長】
 市町村におきましては、すでに18市町村において地球温暖化対策実行計画を策定済でございます。国の目標でございます「46%以上」としている市町村は、17市町村となっております。そのうち、県の目標である57%以上の高い目標を掲げている市町村は、軽米町の77%、久慈市の62%、金ヶ崎町の59%など5市町となっております。
 市町村の脱炭素化の取り組みですが、住民や中小事業者に対して省エネ設備導入や、再生可能エネルギーの導入補助など、それぞれの地域の特性を踏まえた取り組みを進めているところであり、特に国の脱炭素先行地域として選定されております5市町においては、津波被災跡地での果樹栽培と組み合わせた太陽光発電施設の設置や、木質バイオマス熱供給施設の導入など、それぞれの地域課題解決に向けて取り組みを進めているところです。

【斉藤委員】
 市町村も取り組んでいるんですけれども、家庭向けの省エネ家電等への補助事業を見ますと、令和5年度は10市町村だったのが今年度は8市町村になって、広がらないなと。中身を見ますと、エアコンへの補助が6市町村と。本当にいまエアコンがないと命に関わるような夏場の状況になって、一番先駆的にやっていたのは山田町で、毎年やってもかなりの申請が毎年あると。本当にそういう規模で、これは全市町村に広がるように、県としても取り組みを進めていただきたい。

・県央ブロックごみ処理広域化計画について

【斉藤委員】
 1月22日に県央ブロックの9市町村は、施設規模、処理目標を見直しましたけれども、どうなっているでしょうか。

【資源循環推進課総括課長】
 盛岡広域環境組合における施設整備検討委員会の進捗状況についてということになりますけれども、検討委員会では、施設規模、処理方式、環境保全対策及び余熱利用等について調査・審議するために設置され、委員ご紹介の通り1月に委員会が開催されたということで、施設整備基本計画の素案について協議し、施設規模の変更などについて議論されたということで、結果的に、施設規模についても438トンから378トンに縮小されたということで協議されていると認識してございます。

【斉藤委員】
 438トンから378トンに縮小したんですけれども、この要因、理由はなんですか。

【資源循環推進課総括課長】
 今後のごみの減少傾向、災害廃棄物の処理量についてもその能力には入れないというようなところを検討した結果、その規模になったということで承知しております。

【斉藤委員】
 正確に言うと、焼却場を整備する付近の環境負荷の低減、もう一つはカーボンニュートラルにどう貢献するか。3つめは財政の理由です。
 環境負荷というんだったら、盛岡インターの近くに、学校も住宅も商店街もある交通の要所に、こんな大規模な焼却施設をつくるべきではないと思います。そしてこの3つの理由というのは、一番財政の問題が大きかった気がしますけれども、本来の「ごみを減量する」という目標・計画がないんですね。私が決算特別委員会でお聞きしたときに、大変大事な答弁がありました。「国の考え方も、ごみ処理施設の整備にあたっては、プラスチックの再資源化への対応、温室効果ガスの排出削減を求めている」と。国としてプラスチックの再資源化、温室効果ガスの排出削減を求めていると。ところがそういう目標が盛岡広域にはないのです。人口減少程度の削減目標にしかなっていない。こういう計画でいいのか。プラスチック循環法もできました。そして盛岡でいけば4割ぐらいが生ゴミだと言われて、プラスチック・紙類は2割だと言われている。ここに本格的に取り組んだら3割4割ぐらいはごみを減らせると思うけれども、プラスチックの再資源化はどのように検討されているでしょうか。

【資源循環推進課総括課長】
 盛岡広域環境組合の地域計画の目標値ということで、総資源化量を令和10年度に28417トンという目標を設定しておりますし、リサイクル率ということであれば18.9%まで上昇させるという計画になってございます。
 また、国におきましてもプラ循環法に基づくプラスチック類の分別回収・資源化につきまして要請されていることでございますので、これについての具体的な取り組みということでいうと、令和5年2月に構成市町により締結した県央ブロックごみ処理広域化の推進に関する協定の中で、プラスチック類の分別回収・資源化については、令和14年度までに関係市町の全域で実施するということで協定の中で書かれておりますので、それに基づき各整備運営主体、市町村であるとか組合になるわけですけれども、具体化していくということになるものと認識しております。

【斉藤委員】
 ぜひ地球温暖化対策にもなりますので、思い切ったごみの減量、それを踏まえた施設の整備、これは場所も含めて根本的に検討すべきだと。

・PFAS、PFOA汚染の状況について

【斉藤委員】
 半導体企業におけるPFAS汚染の問題について、実は四日市のキオクシアの工場の排水溝から国の暫定指針値の2.6倍ものPFASが検出されたと大問題になっております。半導体企業というのはPFASを使っておりますので、しっかりした調査・検査をやるべきだと思いますけれどもいかがですか。

【環境保全課総括課長】
 委員ご指摘の通り、主たる用途の一つに半導体が挙げられております。エッチング剤ですとかレジスト、反射防止剤などさまざま使われていると認識しております。PFAS・PFOAにつきましては、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づき、PFOSは平成22年、PFOAは令和3年に製造・輸入等が原則禁止されておりまして、代替物質への転換が進みつつあるものと考えております。
 なお、PFAS・PFOAにつきましては、現状では水質汚濁防止法の規制対象物質にはなっておりませんので、公害担当といたしましては、個々の工場・事業所における使用状況や排水状況は把握していない状況でございます。環境省で設置されている専門家会議の議論を注視するとともに、私どもといたしましては、公共水域―河川等のモニタリングを工場の周辺等でもやっておりますので、そういったモニタリング調査を通じまして県内の状況把握について努めてまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 同じキオクシアなので、これは排水溝で検査をしたと。PFASとPFOAの合算値で1リットルあたり125.93ナノグラムを検出したということで、国会でも取り上げられました。そういう意味でも社会問題にもなっていますので、きちんとした検査をやる必要があるのではないかと思いますが、一言お答えください。

【環境保全課総括課長】
 先ほど申しました通り、まだ規制物質にはなっていないという状況でございます。一方、周辺部で公共水域―河川等の調査は実施しております。これが指針値を超えているということになった場合には、遡りの調査をするとか調査をして問題がないようにしっかり取り組みたいと考えております。