2025年3月10日 予算特別委員会
出納局に対する質疑(大要)
・落札率の状況について
【斉藤委員】
5年間の落札率の推移はどうなっているでしょうか。
【入札課長】
県営建設工事における一般競争入札の加重平均による平均落札率は、令和2年度と令和3年度がそれぞれ91.6%、令和4年度が92.1%、令和5年度が92.0%、令和6年度が12月末までで92.6%となっております。
【斉藤委員】
全国の状況も岩手と比較して示してください。
【入札課長】
国の入札契約適正化法に基づく実施状況調査結果によりますと、単純平均による全国の落札率は、令和2年度が93.8%、令和3年度が93.5%、令和4年度が93.9%、令和5年度が94.0%。
単純平均による岩手県の落札率は、令和2年度が92.4%、令和3年度が91.8%、令和4年度と令和5年度が92.0%となっております。
【斉藤委員】
岩手の落札率を見ますと、微増、横ばいと。全国と比較しますと、令和5年度では、全国は94.0%、岩手県は92.0%と、2ポイントの差は大きいんだと思います。
県営建設工事の発注状況、県内企業の落札件数と割合を示してください。
【入札課長】
県内企業の落札件数は、令和2年度が1047件、令和3年度が890件、令和4年度が836件、令和5年度が954件、令和6年度は12月末までで673件となっております。
県内企業が落札した件数の割合は、令和2年度が94.7%、令和3年度が96%、令和4年度が94.7%、令和5年度が96.0%、令和6年度は12月末までで96.6%となっています。
【斉藤委員】
県営建設工事の落札の比率は高まっているんだけれど、令和2年までは1000件以上あったんですよね。令和6年度は673件ですから、まさに6割台に減少している深刻な状況だと思います。
・入札制度の改善について
【斉藤委員】
総合評価方式におけるチャレンジ型の試行を導入したと。この点で、すでに秋田県・宮城県で導入しておりますが、その実績、成果についてはどう受け止めているでしょうか。
【入札課長】
東北地域では、宮城県においては令和3年4月から、秋田県においては令和5年8月からチャレンジ型が試行導入されています。令和5年度の実績件数については、宮城県が18件、秋田県が数件ときいています。また、チャレンジ型の実績によって、これまでに受注実績がない、あるいは少ない企業が、確実にチャレンジ型入札において入札に参加されて受注している状況と聞いております。
【斉藤委員】
まだまだなような状況も感じますけれども、公共工事発注の平準化による通年施工の取り組みはどうなっているでしょうか。
【入札課長】
県土整備部が策定した、いわて建設業竣工中期プラン2023においては、働き方改革の推進を重点事項として位置づけ、その中で施工時期の平準化についても取り組んでいることとしております。具体的には、工事発注部局において、ゼロ県債の活用や積算の前倒しにより早期発注に努めているほか、債務負担行為の活用により年度当初の閑散期においても工事を施工可能とするなど、施工時期の平準化に取り組んでいるところと聞いています。
【斉藤委員】
国の経済対策が年末に出て、それ自身が年度内に発注されれば、施工は4月以降増えていくと思います。
次に、ダンピング防止対策の取り組みはどうなっているでしょうか。
【入札課長】
令和3年4月の入札制度の見直しについて、総合評価落札方式の対象拡大及び価格評価点の調整ならびに低入札価格調査制度の失格基準価格の改善を行い、ダンピング防止対策の強化を図ったところです。
具体的には、価格以外の多様な要素を考慮することが結果としてダンピング対策につながる総合評価落札方式を3000万円以上の工事で原則適用としたこと、低入札時に価格評価点を打ちきり調整することで過度な価格競争を抑制すること、従前は入札者が二者以上のときのみ適用していた失格基準価格を入札者数に関わらずすべてに適用することとしたものです。
これらの取り組みにより、低入札落札の発生率は制度見直し前の22.9%〜27.4%に対して、見直し後は17.9%〜19.5%と20%を下回って推移しており、一定の効果が出ているものと考えております。
【斉藤委員】
失格基準価格の引き上げと最低制限価格制度の導入について、全国の動向も含めて示してください。
【入札課長】
最低制限価格制度の導入についてでありますが、令和6年7月1日現在で、全国では43都道府県で制度があり、東北では青森県・秋田県・山形県・福島県で制度を設けています。
本県では、平成19年7月の入札制度の見直しの際に、今後も一般競争入札を本格的に実施していくにあたり、透明性の質を高めるため、また、総合評価落札方式を導入し拡大していくという観点から、最低制限価格制度を廃止した経緯があります。現在県が採用している総合評価落札方式及び低入札価格調査制度は、ダンピング防止を図りつつ、企業の技術力や企業努力、地域貢献活動等を適切に評価し、価格と品質が総合的に優れたものを契約の相手方にしようとするものであり、最低制限価格を下回った入札を一律に排除する最低制限価格制度よりも優れたものと考えております。
競争性、透明性、経済性を確保しつつ、企業の地域活動等適切に反映されること等の観点から、現行の低入札価格調査制度を運用し、また、総合評価落札方式も効果的に活用しながら、ダンピング防止に適切に取り組んでまいります。
【斉藤委員】
全国の43都道府県が最低制限価格制度を実施しているわけです。最初に聞いたように、岩手の落札率はどうか。全国は94%で岩手は92%だと。どうしてこれで岩手のやり方が全国より優れていると言えるのか。結果とすれば、低価格の落札になっていると言わざるを得ないのではないでしょうか。
建設業者は、資材や賃金が高騰傾向にあって、企業が安定的な経営を維持するためには、落札率95%以上じゃないと成り立たないと。これが建設業者の声です。全国がやっていて、実績的にも全国と比べて2ポイントも落札率が低い問題をどのように受け止めているのか。2ポイントも低くて全国よりも優れているということにはならないのではないか。
【会計管理者兼出納局長】
最低制限価格につきましては、全国でも総合評価落札方式を導入しておりますので、そこでは最低制限価格を併用できないということで、全国でも最低制限価格ばかりを導入しているわけではなくて、低入札価格調査制度と併用している状況にあります。
落札率の問題については、県民の税金を有効に使うという点では低い方がいいわけで、あるいは建設業にとってみれば高い方がいいということの中で、我々としても発注件数等が少なくなってきておりまして競争性が高まっていると感じております。ですから、ダンピングという状況が生じないように、ダンピング防止対策に力を入れてきたという経緯がございます。そういう中で、全国等の落札率は著しく低いというほどには至っていないと。また、ダンピング防止もできているという状況ですので、現在の入札制度を引き続き業界等の意見も聞きながら継続していきたいと考えております。
【斉藤委員】
著しく低いとまでは言いませんけれども、2ポイントの格差はかなり大きいものがありますよ。それをしっかり受け止めていただきたい。
次に、業者が切実に要求しているのは、予定価格の事前公表の廃止です。しっかり積算した、公平な入札制度にしてほしいと。これは真っ当な要求であり、品確法の改正における運用指針でもこのことが明記されているのではないかと思いますけれども、事前公表制度にしがみつく理由は何でしょうか。
【入札課長】
予定価格の事前公表について、県では、予定価格の漏洩が発生しないため、入札の透明性・公平性が確保されることや再度入札がないため事務の効率化が向上すること等から有効として導入し、国の指針に基づき十分に検討を行いながら運用しております。
制度導入以降、予定価格の事前公表により、国の指針で示された弊害は確認されておりませんが、引き続き入札動向や他県の状況等を重視しながら適切に対応してまいります。
【斉藤委員】
建設業者の当事者が「しっかりした積算をしたい」と。そして「公平な入札にしてほしい」と。これは本当に真っ当な要望だと思います。行政は、事前公表すれば気が楽かもしれない。しかしその結果、いまはITの時代ですよ。どんな積算でも可能なんですよ。そういう競争になってしまう。
予定価格の事前公表、全国的な状況はどうなっていますか。
【入札課長】
令和6年4月1日現在で、全国では「事前公表のみ」が13県、「事前公表と事後公表の併用」が16都府県、「事後公表のみ」が18道府県となっております。東北では「事前公表のみ」が青森県・岩手県・宮城県の3県、「事前公表と事後公表の併用」が秋田県・山形県の2県、「事後公表のみ」が福島県となっております。
【斉藤委員】
事後公表のみが18道府県と一番多いんですよ。併用が16、事前公表はたった13県です。全国がなぜこのようになっているのか。そして建設業者自身が切実に要望しているこの声がなぜ受け止められないのか。本当に業者の切実な要望を聞いてしっかり検討していただきたい。
最後に、高病原性鳥インフルエンザの発生がありまして、地元の建設業協会、業者は大変な奮闘をされたと思いますけれども、こうした貢献はどのように評価をされ入札に生かされるのか示してください。
【入札課長】
高病原性鳥インフルエンザ防疫措置等への貢献に対する評価についてでありますが、地域の建設業は、社会資本の整備や維持管理の担い手であるほか、災害等の緊急時に即応できる必要不可欠な存在であり、地域の守り手として重要な役割を果たしていると認識しているところです。このため一般社団法人岩手県建設業協会とは、家畜伝染病における緊急対策業務に関する協定を締結しています。
今回の高病原性鳥インフルエンザ防疫対応についても、この協定により対応していただいており、その取り組みは県営建設工事競争入札参加資格審査と総合評価落札方式一般競争入札の評価項目において、「災害活動の実績」として加点評価する仕組みとしています。
【斉藤委員】
鳥インフルエンザは県内で5件も発生して、1月いっぱい県職員はもとより、建設業協会も本当に大変な取り組みをされたと思います。そういうことが今後の入札でしっかり評価をされて取り組まれるようにお願いをして、質問を終わります。