2025年3月13日 予算特別委員会
医療局に対する質疑
(大要)


・大船渡病院における超過勤務問題について

【斉藤委員】
 一貫して取り上げてきた看護師の超過勤務問題、この責任の所在について改めて医療局長に質問したいと思います。
 今回の超過勤務手当の不払い分の支給は、実人員147人に対し1861万円余でありました。これはどこに原因と責任があったんでしょうか。

【医療局長】
 大船渡労働基準監督署からの指導を踏まえまして、令和5年度の勤務の状況について、出退勤記録を基に職員から聞き取り調査を実施したところでございます。なお、調査にあたりましては、大船渡労働基準監督署からの助言を踏まえ、電子カルテのログ情報も補助的に活用したという状況でございます。
 調査の結果、超過勤務手当の追給状況は、1人1月あたり平均3.8時間となっておりまして、業務の内容につきましては、「勤務終了後、看護記録や業務の連絡調整、書類整理等について、短時間で行っている状況が多く確認された」というところでございます。

【斉藤委員】
 全然原因と責任がはっきりしていないじゃないですか。
 この事件は、労働組合が病院当局に「超過勤務の申請ができない」と、具体的な実例も示して訴えたんですよ。そしてその後、当事者が労働基準監督署に訴えて、こういう事態になったんです。自然発生的に超過勤務の不払いが生まれたのではないのです。そしてこれは、あなたが派遣した総看護師長が大船渡病院に行って、1年間でこういう問題が発生した。そしてこの総看護師長は5〜6年前に遠野病院で同じことをやって、2400万円の超過勤務の不払い事件を起こした。この責任について医療局長は「看護科の業務の命令権者をはじめとした管理者が、勤務の実態を適切に把握できておらず、管理が不適切であった」と答弁しました。
今回も同じではないですか。そのことを答えてください。

【医療局長】
 超過勤務につきましては、しっかりと事前命令のうえに確認をして、適切に支給するということが原則であると考えているところでございます。
 今般の超過勤務の申請がなされなかったことについては、昨年度職員団体等から「超過勤務の申請がしづらい雰囲気がある」という話があったことなどから、状況を確認するとともに、各部門の長に対しましては、部下職員等に正確な超過勤務を申請しやすい職場環境の整備に努めるよう、病院内の経営会議や各部門の会議など、さまざまな機会で重ねて周知徹底を図ってきたところでございます。

【斉藤委員】
 あなたは一貫して自らの責任も、総看護師長の責任にも触れない。
 なぜ超過勤務の不払いが起きたか。私は何度もここで具体的な例を話しました。申請ができない、事前命令がされないのです。「超過勤務の申請がしづらい雰囲気があった」のではなく、できなかった。だからこういうことになったのです。だから遠野病院とまったく同じなんですよ。「看護科の業務の命令権者をはじめとした管理者が、勤務の実態を適切に把握できておらず、管理が不適切であった」と。これ同じではないですか。違いますか。このことだけ弁解しないで答えてください。

【医療局長】
 一般質問でもお答えしましたけれども、遠野病院と大船渡病院との大きな違いは、出退勤の勤務記録システムを入れたというところでございます。委員の方からは、それでも超過勤務が申請できなかったのではないかというお話がございましたけれども、今般の調査の結果から見ますと、かなり短時間の業務整理だったというようなこともありまして、それにつきましては「超勤」という形で認識していなかった職員が多かったということでございますので、それを改めて今回集計したところ、1人1月あたり平均3.8時間という少ない時間ではございましたけれども、そういうものにつきましても超過勤務としてしっかり申請してほしいと改めて今回周知をしているところでございます。

【斉藤委員】
 最後まで無責任ですね。遠野病院のときにも、この総看護師長の責任は問わなかった。医療局にあなたが受け入れた。責任の所在を曖昧にして、今回同じようなことが起きた。
遠野病院よりもひどいのは、勤務記録システムができていたにも関わらず、超過勤務の申請ができなかったということです。打刻してから仕事をする―そういうことがあった。そして、打刻する前の超過勤務というのは、超過勤務が分かっているにもかかわらず超過勤務にされていなかったのです。だから悪質なんですよ。
こういう無責任な、誰も責任をとらないと。実際に今回1800万円余が支給されましたけれども、看護師さんたちは「1年前の超過勤務を証明する手立てがなかった」と言っています。率直にいって全部が認められたわけじゃないんですよ。「ログインされたものはあるけれども、これは超過勤務ですか」と言われても証明する手がないと。だからあれは全てじゃないんですよ。
 医療局長、あなた自身が派遣したのだから、そして結局はこの総看護師長は責任を感じて去年の3月末で退職したじゃないですか。しかし何の処分も、何の対応もされなかった。だとしたら同じことがまた起こるということなんですよ。1800万円余の支給のために事務局職員がどれだけ苦労したか。1800万円以上に損害を与えているんですよ。
医療局長は最後まで責任を認めないので、そういう医療局長なんだなと思わざるを得ない。二度にわたってこういう深刻な事態を引き起こした。
 実は大船渡病院の普通退職者が多いのです。中央病院に次いで普通退職が多いのは大船渡病院なのです。これは令和5年度もそうでした。そういうことも率直に指摘しておきたいと思います。
 これ以上医療局長とは進まないので。責任をとらない医療局長だなと率直に指摘して次にいきます。

・県立病院等の経営計画(2025−2030)―医師確保について

【斉藤委員】
 今年度までの経営計画の実績―医師、看護師、医療技術者、事務職の計画に対する増員について示してください。

【医師支援推進室長】
 現計画の医師配置の状況ですけれども、令和6年度の計画値645に対しまして、今年度当初は642でございましたが、2月1日現在では630となってございます。

【斉藤委員】
 医師は76名の増員計画に対して58名の実績でした。看護師は45名の増員計画に対して19名、医療技術者は136名の増員計画に対して132名、事務は19名の増員計画に対して22名ということでありました。目標にはいかなかったがきちんと増員したというのがこれまでの実績です。
 ところが来年度からの計画は、6年間で医師はたった23人しか増やさない。看護師は実に120人を減らすという計画なんですよ。これでは患者を増やすことも経営を改善することもできないのではないかと思いますけれどもいかがですか。

【医師支援推進室長】
 医師の増員の考え方についてご説明させていただきます。令和10年度までに100人を超える奨学金養成医師の増員を見込む一方で、シニアドクター等の退職や大学病院への異動等による一定数の減員も勘案し作成した計画でございます。
 この数値につきましては、計画策定の途上で、各病院の医師や院長先生方、医師の派遣をいただいている大学の先生方からもご意見を頂戴して作成したものでございます。

【斉藤委員】
 私はこの1年間で、大船渡病院はもとより釜石・磐井・久慈・宮古の院長に会ってきました。どこでも「医師が足らない。看護師も足らない」「医療技術者をもっと増やしてほしい」というのが切実な声でした。
 具体的なことでお聞きします。去年の決算特別委員会の総括質疑で医療局長は「県北・沿岸の医師は増やす」と。「千厩病院は2人増やす」―これは先ほど飯沢さんの質問に「8人から10人に増やす」ということでした。県北・沿岸の医師を増やす、専門医も増やす、そして機能強化する病院も増やす。だとしたらどこで減らすのですか。つじつまが全然合っていないと思います。
 久慈病院についてお聞きしますけれども、総合診療科の医師は増やすと。全体として増えるのか増えないのか。救命救急センターの位置づけですけれども、大船渡病院も救命救急センターで専任の医師が配置されています。救命救急センター、あそこは自己完結率が高い病院です。だとしたら、大船渡病院並に救命救急を増やす必要があるのではないか。院長先生も言っていましたけれども、「皮膚科の患者は増えているが医師は非常勤。耳鼻科も患者が増えているが非常勤だ」と。せっかく自己完結型で、外来患者は1日710人で中央病院の次に多いところです。多いところで常勤医師は減らされていると。ここを本当に増やすことになるのかどうか。ここを示してください。

【医師支援推進監】
 久慈病院では、今年度末で脳神経内科医師2名が減員となりますが、新年度総合診療科の専門医1名、整形外科の専攻医1名がそれぞれ増員となりまして、全体として現在の29名体制を維持する見込みでございます。
 救命救急センターへの専任医師、皮膚科医師の配置につきましては、派遣元でございます関係大学に対して要望しているところでございますが、大学における医師も不足しているなど厳しい状況が続いておりますことから、引き続き奨学金養成医師の定着を図るなど医師確保に取り組んでまいりたいと考えております。

【斉藤委員】
 7444筆の医師増員、病院の充実を求める医療局長への要請が地元住民からなされました。署名とあわせてアンケートをやっているんですね。何が一番切実かというと、「待ち時間が長い」「受診できる日が限られている」と。結局、常勤医師がいないものだからこのようになっています。せっかくたくさん患者が来ているのに。やはりそういうところはぜひ改善していただきたい。
 磐井病院に行ったときには、血管内手術が行える造影機器は導入されたけれども、これは指導医がいないと使えないと。指導医が配置されていないという切実な声がありました。この点で、磐井病院はせっかく先進医療機器が配備されているんだけれども、いつから使えるようになるんですか。

【医師支援推進監】
 磐井病院の脳神経疾患の対応でございます。今年度、脳神経血管内治療の専門医1名を配置し、圏域の脳卒中の急性期の専門的治療を行う病因としての体制を整えたところでございます。
 委員ご紹介の通り、これまで磐井病院で対応していなかった脳血管内手術の機器を整備したところでございますが、手術の実施にあたりましては、関係学会のガイドライン等によりまして、複数名の専門医の対応が必要とされておりますけれども、現在外部の専門医1名の診療応援を得ることで手術を実施するなど、取り組みを進めている状況でございます。

【斉藤委員】
 私は指導医がいないとだめだと聞いたんですけれども、専門医を複数配置すればできるということですか。

【医師支援推進監】
 専門医の複数体制で2名で対応できるというところでございます。

・看護師の削減ではなく増員を

【斉藤委員】
 120名の削減というのは本当に大変なことだと思います。病棟廃止に対応するというのが一つの理由ですが、大船渡病院はすでに今年度1病棟休止しています。しかし話を聞いてきたら、「休止された分、救命救急センターを増員した」と。それで救命救急は余裕を持って救急患者を受け入れることができるようになったと。しかしこのようにしても、11月の超過勤務は1人平均で7時間、12月は10時間、超過勤務が異常に増えているんですよ。これで病棟を休止したから看護師を減らすことになったら、改善どころかますます改悪になってしまうのではないか。
 来年度は2病棟の休止・廃止の計画ですが、どういう看護師の削減をやろうとしているのか、していないのか示してください。

【職員課総括課長】
 時期経営計画におきましては、人口減少等による医療需要の変化に的確に対応するため、限られた医療資源の中で県立病院の機能分化と連携強化を推進することとしておりますが、患者数や業務量等の状況に応じて引き続き必要な職員数を配置しようとしていくところであります。
 来年度当初におきましては、専門人材の重点配置として15名の増員、(  )等の見直しとして全体で20名の減員、病床適正化として36名の減員―大船渡が19名の減員、南光病院は17名の減員を予定しているところでございます。

【斉藤委員】
 いま大船渡病院の話をしたんですが、1病棟休止したけれども救命救急センターの充実に回したと。他の病院に回った方ももちろんいますが。それでも超過勤務は増えているんですよ。そこで19名も減らしたら、本当に実態を見ない、病棟を減らしたから看護師を減らすというやり方でいいんですか。11月・12月の超過勤務の増加、前年度は11月で3.8時間が5.2時間に、12月が5.2時間が10.2時間に倍に増えている。1人平均ですからね。大変な状況になっているのに、19人も減らすと。これは減らせないと思うけれどもいかがですか。

【職員課総括課長】
 大船渡病院におけます患者の動向についてでございますが、令和6年7月から同年12月までの入院患者数は、昨年度と比べまして約6%増加しております。業務負担が増える要因の一つと考えているところでございます。
 令和6年12月には、新型コロナウイルス感染症の院内クラスターが発生しておりまして、病棟に配置されている看護科職員の業務負担が増え、超過勤務が増加したものと考えているところでございます。