2025年3月17日 予算特別委員会
農林水産部(第2部)に対する質疑
(大要)


・大船渡市大規模山林火災の復旧について

【斉藤委員】
 2017年5月に発生した釜石市尾崎半島の山林火災でありますけれども、これは413ヘクタールが焼失したと。同時に注目すべきは、この取り組みなんですね。釜石市が復旧の主体となって、原則所有者負担ゼロで被害木の伐採、搬出、植栽を行ったと。大変重要な、参考になる取り組みだと思うんですけれども、この取り組みの内容、評価について示してください。

【森林整備課総括課長】
 釜石市の林野火災の復旧につきましては、国の森林整備事業を活用しまして、平成29年度から令和3年度までの5年間で、被害木の伐採・整備―これは約217ヘクタール、植栽は約196ヘクタール、下刈り約345ヘクタールなどを実施いたしました。
 復旧にあたりましては、速やかに事業を完了させるために、地域の森林組合だけでなく、地域外の民間林業事業体等の協力により植栽等が行われたところであり、林業関係機関・団体や林業事業体等の連携・協力が必要不可欠であると認識してございます。

【斉藤委員】
 これは国の国庫補助事業なんですけれども、これだと68%の補助なんですよね。そうすると所有者負担が発生して、とてもできないと。このときには、釜石市が復旧事業の主体になって、かさ上げ補助して所有者負担なしと。
 さらにこの被害木も復興スタジアムの椅子だとかさまざまな形で活用したという点で、大変先駆的な中身だなと。
 その後植栽などもやられておりますけれども、今の大船渡市の大規模山林火災、2900ヘクタールという大変大規模なものですけれども、この山林が果たす役割というのは、水源涵養とか土砂流出防止、何よりも海への栄養源を補給するという点で、本当に早期に実施しなくてはならず、漁業への影響も大変大きなものがありますので、釜石の取り組みを参考にして早急に大船渡の山林の再生・復旧に取り組むべきだと思いますけれども、今の段階で被害の状況や今後の対応策はどうなっているでしょうか。

【森林整備課総括課長】
 2月26日に発生いたしました大船渡市赤崎町の林野火災につきましては、3月9日に鎮圧宣言が出されたものの、まだ鎮火に向けた活動が継続されている状況となってございます。このため県では、森林への立ち入りが可能となった段階で、大船渡市のみならず、国や林業関係団体等と一体となって被害状況の調査を進めることとしてございます。
 釜石市の林野火災では、先ほどもご答弁しました通り、地域外の民間事業体等の協力を得まして対応したところであり、大船渡市林野火災の復旧にあたりましても、林業関係機関・団体や林業事業体等が連携・協力いたしまして、委員ご指摘の通り早期の復旧に向けて取り組むことが重要であると認識してございます。

【斉藤委員】
 2900ヘクタール焼失なんですけれども、山林所有者の実態は把握されているでしょうか。

【森林整備課総括課長】
 現在、大船渡市等と連携してそちらの調査を進め、所有者を明らかにした上で現地調査に入りたいと考えております。

【斉藤委員】
 昨日大船渡に行きまして、大船渡市長からも状況を聞きました。7割ぐらいが個人所有ではないかという話も聞いたんですけれども、これは調査中ですので正確ではないかもしれませんけれども、市長は「大規模な被害だっただけに、今までにない対策をとりたい」ということですので、今までにない対策でただちに森林再生に取り組めるようによろしくお願いしたいと思います。

・大船渡の水産業再生の取り組みについて

【斉藤委員】
 山林火災による漁業・水産業の被害状況、支援策について現状はどのように把握されているでしょうか。

【漁業調整課長】
 水産関係の被害状況でございますが、3月14日現在、定置網・漁業用倉庫1棟と、倉庫内に保管していた漁具―これは替え網も含めた4ヶ統分、停電により消滅した養殖アワビ約250万個、焼損木の漂着被害2漁港となってございます。
 被害を受けた施設等の復旧方法や共済の対応等につきましては、関係団体を通じて情報収集を行っているところでございます。

【斉藤委員】
 私も昨日綾里漁協に行って、焼けた倉庫も見てまいりました。被害額が定置網で4億円と。本当に巨大な倉庫で、大震災で被害を受けて本当に立派な倉庫を整備して、これが2億5千万円と言っていました。そしてこの定置網は通常だと発注から1年かかると。しかし、定置網で働いている若者がいますので、部分部分の網を発注して、その繋ぎ合わせは地元でやって、なんとか半年ぐらいで定置網を再開したいと。「この再生に漁協の存亡がかかっている。後継者を維持する重要な取り組みで、スピード感をもってやりたい」という組合長の話でありましたので、ぜひ大船渡市とも連携しながら支援策をスピード感をもってやっていただきたい。
 もう一つは、いまワカメの刈り取りの最盛期で、しかし加工機がやられて、生で出荷せざるを得ないという漁業者も少なくないということで、なんとか付加価値も付けて出荷できるような対策がないのか。そういう知恵も総結集して対応していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

【漁業調整課長】
 先ほどご答弁しました通り、現時点では、被害の全容や漁業共済の対応等が明らかになってございません。支援策について申し上げることは難しいところですが、県としては、関係機関・団体と連携しながら、被害等の早期の全容把握に努めるとともに、被災した漁業者等の声を伺いながら、必要な対策について検討してまいりたいと思います。

【斉藤委員】
 引き続き、連絡本部会議もありますので、取り上げたいと思います。

・主要魚種の状況について

【斉藤委員】
 2024年の主要魚種―サケ・サンマ・スルメイカの水揚げ量、水揚げ額は、震災前との比較だけ示していただきたい。

【漁業調整課長】
 主要魚種の水揚量等についてでありますが、令和6年の主要魚種の水揚量は、サケは震災前の0.5%、サンマは、震災前の14%、スルメイカは震災前の15%となっております。

【斉藤委員】
 水揚げ額は、サケで1.2%、サンマが87%、スルメイカが63%と。生産量が激減しているという厳しい状況は変わりません。
 魚市場の水揚げ状況について、震災前比で水揚げ量と水揚げ額を示してください。

【漁業調整課長】
 県内13魚市場の総水揚量は7万3千トンで、震災前の41%となっております。
 総水揚金額は165億円で、震災前の71%となっております。

【斉藤委員】
 それぞれ震災前の41%、71%ということで、ここに震災14年後の現状が示されているのだと思います。
 各魚市場ごとの状況を見て、大船渡は水揚げ量は48%なんですけれども、水揚げ金額は101%になっているんですね。これはどういう理由でしょうか。

【漁業調整課長】
 大船渡ですが、年末にかけてイワシが豊漁になっておりまして、非常にイワシが高単価になっておりまして、それが水揚金額を伸ばしたという状況になってございます。

【斉藤委員】
 ちょっと意外な答弁でした。イワシが水揚げ額を大幅に上げていると。イワシはかなりのところで水揚げされているので、例えば普代とか野田も水揚げ量が多いのはイワシだと言われていますけれども、大船渡のようには金額は上がっていないので、なぜ大船渡がこれだけ金額を上げることができたか、後で個別にでも教えてください。
 先ほども質問がありました。ワカメ・コンブ・アワビ・ホタテ・カキの養殖ですが、これは震災前比でどうなっているでしょうか。

【漁業調整課長】
 直近のデータによりますと、令和6年度産がワカメは震災前の44%、コンブが28%、アワビが17%、ホタテは令和5年度が24%、カキが令和5年度にむき身が40%、殻付が65%になっております。
 水揚金額ですが、ワカメは震災前の89%、コンブが49%、アワビが16%、ホタテが令和5年度比で59%、カキが令和5年度比でむき身で79%、殻付が127%になってございます。

【斉藤委員】
 生産量が軒並み激減しているんですね。この要因は、主には海水温の上昇による環境変化、もう一つは漁業者の減少というのはあると思いますけれども、その実態はどうなっているでしょうか。

【漁業調整課長】
 総じて生産量が低いというのは、委員ご指摘のとおり、海水温の上昇で二枚貝等がへい死したことが大きいところになってございます。
 一方で、漁業就業者数の動向でございますが、令和5年度が4998人で、5年前と比べると79%で、約2割減といった状況でございます。

【斉藤委員】
 こうした中で、定置網にどんどん入ってくるのがクロマグロであります。昨年どのぐらい県内の定置網にクロマグロが入って、水揚げできたのはいくらで、網から放出しなければいけなかったのはいくらなのか示してください。

【漁業調整課長】
 令和6年度における定置網での漁獲量は、2月末現在、小型魚が81.9トンで漁獲可能量の99%、大型魚が80.9トンで漁獲可能量の100%を消化してございます。前年同期比で小型魚は88%、大型魚は126%となっております。
 定置網では、漁獲可能量を超過しないよう入網したクロマグロの放流を行っており、令和6年度の小型魚と大型魚合わせた放流量は、1月末現在、推定で約36万尾、重量にして約3600トンと定置漁業者から報告を受けています。

【斉藤委員】
 3600トンを放流していると。すさまじい規模です。今回、日本の割り当て量が増えました。そして沿岸漁業と巻き網の部分の配分も若干変更になったようですけれども、来年の割り当て量はどうなっているでしょうか。

【漁業調整課長】
 クロマグロの漁獲管理を国際的に行う中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)において、令和7年度の日本の漁獲枠が拡大されたことを受けまして、本県への当初配分は、前年度と比べ、小型魚が15%増、大型魚は62%増となったところでございます。

【斉藤委員】
 割り当てが増えたというのは評価すべきことですが、まだ微増なんですね。結局、定置網に掛かるクロマグロの量から見たら微増で、これだけクロマグロが増えているときに日本の割り当てを増やしてもらうということと、やはり大型巻き網漁船と沿岸漁業との割り当てを変えないとだめだと思うんです。
 これは高級魚ですから、年末になったら大変な金額になって、漁業者の減収を補填する大変大きな鍵を握りますので、そういう点でクロマグロの割り当ての拡大に全力で取り組んでいただきたい。