2025年3月18日 予算特別委員会
県土整備部に対する質疑
(大要)


・岩手型住宅ガイドラインに基づく取り組みについて

【斉藤委員】
 いわて省エネルギー住宅建設推進事業費補助について、今もやりとりがありましたが、私がうかがっているのは、「断熱等性能等級6を選択する場合、最大177万3千円」と。そして「等級7を選択する場合には257万3千円」と。これは蓄電池も設置したフルスペックの場合ということですね。

【建築住宅課総括課長】
 いろいろ蓄電池ですとか等級6・7を選んで、それぞれにプラスして対象となるメニューがございまして、それを整理いたしますと、等級6をベースにしてやっていくと最大177万円までになりますし、等級7だと250万円余になるという設定でございます。

【斉藤委員】
 ZEH基準というのがおそらく最低基準になるんですね。そして等級6・7というのは諸外国のレベルに接近すると。望ましい住宅の性能だと思います。
 そこで、等級6・7を選択した場合、ZEH基準と比べてどのぐらいの経費増になるのか。これは現段階で分かりますか。

【建築住宅課総括課長】
 我々も普及していくために、そこを分かりやすくお示しするのが大事だと思っておりますが、いろいろと全国的な統計というのが難しいというのもあり、また、東北の我々だとまた少し違ってくるだろうということもあり、我々がやろうとしている作戦は、補助金の結果を分析して積み上げると、岩手でこういう金額だとそれまでの絶対値ではないんですけれども参考にしていただく数字にはなるだろうと。それをやっていきたいと思ってデータを集めようとしているところでございます。

【斉藤委員】
 そういうモデル、高性能の住宅を整備した場合に、どういう効果があるのか。経費が増えても、例えば20年以内に回収できる、健康にも良いと。そのことを今度の取り組みでぜひ県民に明らかにできるようにしていただきたい。タイミング的には、いま資材が高くて住宅を建てるには本当に尻込みするような状況ですけれども、本当に20年30年考えれば、高性能の住宅というのがスタンダードにならなくちゃいけないと思います。
 この補助額の中には、EVの充電器設置というのは入っているんですか。

【建築住宅課総括課長】
 EVに関しては入っておりません。

【斉藤委員】
 蓄電池を設置するならEV充電器を設置して、私はいろんな住宅を見たけれども、これが一番合理的です。自宅で充電してEV車が使えると。実はうちの事務所新築しましたけれども、蓄電池とEV充電器を設置しました。そういうのがスタンダードになってくればEVも普及するということだと思いますので。
 住まいの省エネルギー改修推進事業ですが、これは令和4年度7件、令和5年度11件、令和6年度からは市町村への間接補助に制度を変えたんですね。お聞きしましたら、実績件数はたった2件だと。そうなると制度の存在が問われるような状況で、実施市町村がどのぐらいなのか。なぜたった2件にとどまったのか。かなり住宅改修には充実した補助だったと思いますけれども、その点を示してください。

【建築住宅課総括課長】
 こちらは改修に対する補助ということで、令和4年度から取り組み始めまして、6年度からは市町村も一緒にやっていただこうという、本来の国の設計もそんな形かと思いますので、4年5年は想定件数10件の予算だったんですが、市町村も一緒にやっていただけるということで、予算はあまり変わらずに6年度は35件はやれるということで実施したところでございます。やはり今年度は我々も市町村に丁寧に一緒にやりましょうと声をかけてやっております。ご質問の市町村数は、今回15市町村で今年からやりましょうと応じていただいたんですが、年度当初からは準備ができず途中から始まってしまった関係で2件となってしまい、やはり改めて訪問して、来年度は当初からやりましょうとなっておりますので、来年度はもっと拡大していくものと考えております。

【斉藤委員】
 住宅リフォーム・断熱化の改修は特に重要なので、これが本当に活用されるように。今回の2件のうち、補助額は119万円で、これは2件分ですね。そうすると約60万円の補助になっていますので、それなりの補助だと思います。ぜひしっかり活用されるようにやっていただきたい。
 市町村の住宅リフォーム助成事業の取り組み市町村、補助額、実績、総額でいいので示してください。

【建築住宅課総括課長】
 県内33市町村すべてでいろんな形で実施しております。5年度でいきますと、補助額約2億7千万円、対象工事費で約13億5千万円となっております。

【斉藤委員】
 市町村の場合には、かなり条件付きの住宅リフォームになっていて、条件あまり付けないで活用しやすいようにすると、例えば一関市は、3524万円の補助で3億8670万円の工事費になっているんですよ。これは補助額の11倍です。陸前高田市は、1600万円余の補助で2億60万円の工事費で13倍です。だから難しくしないで、活用しやすいようにすれば10倍を超える経済効果があるということなので、ぜひこれは拡充する方向で県も支援していただきたいと思います。
 住宅に対する補助ですが、農林水産部は県産木材の活用を独自にやっていて、県土整備部は県土整備部でやっていて、いつも言っているんだけれども、窓口を一本化して、どちらも合理的に活用できるようにできないのかと思いますが、いかがですか。

【建築住宅課総括課長】
 利便性を図るのは大事な観点かと思います。いまご紹介がありました、農林水産部の「いわて木づかい住宅普及促進事業」と、我々の「住みたいいわての家づくり促進事業」について、県産木材利用という共通の観点がございまして、この事業については岩手県木材産業協同組合に窓口を一本化してやっております。この形は継続していきたいと。可能なものはぜひもっと連携しながらやっていきたいと思っております。

【斉藤委員】
 国の窓リノベ、国の住宅リフォーム助成の取り組みの県内の実績は分かるでしょうか。

【建築住宅課総括課長】
 国で実施しております窓リノベですが、県内の実績というのは公表されていないところでございます。国においては、環境省の先進的窓リノベ2024事業による窓の断熱改修への補助を、国土交通省では子育てエコホーム支援事業といった形で、ZEH基準への住宅への改修に対する補助といったものを行っているところでございます。
 国の実施事業について、都道府県別の実績というのは公表されていないところでございます。例えば、子育てエコホーム支援事業―リフォーム補助については、予算400億円で98%執行しているという情報は公表されているところでございます。

【斉藤委員】
 国がせっかく良いことをやっていて、それが県内でどれだけ利用されているか公表されていないのはおかしいですね。良いことをやっているのだから、ぜひ公表して、県内でどれぐらい使われているか。そういう改善を求めていただきたい。

・災害公営住宅の課題について

【斉藤委員】
 災害公営住宅の高齢化の状況、集会所の活用状況、生活支援相談員の配置状況はどうなっているでしょうか。

【建築住宅課総括課長】
 災害公営住宅の65歳以上の高齢者を含む世帯の状況は、令和6年12月末現在で1444世帯のうち803世帯・55.6%となっております。そのうち高齢者の一人暮らし世帯は509世帯で全体の35.1%となっております。
 集会所の活用状況ですが、集会所のある29団地の令和6年度第3四半期における一月あたりの集会所の活用状況は、0回が5団地、1〜10回が19団地、10〜20回が5団地となっているところでございます。
 生活支援相談員については、生活支援相談員は市町村社会福祉協議会が地域の支援ニーズを踏まえて、4箇所の災害公営住宅のほか、被災者が通いやすい商店街などの拠点に配置して、災害公営住宅入居者に加え、持ち家を再建した被災者等も対象に支援を行っております。

【斉藤委員】
 答弁あったように、災害公営住宅の高齢化、特に独居世帯が35.2%と3世帯に1世帯以上です。だから一定規模の災害公営住宅の自治会長さんにお話を聞くんですけれども、しょっちゅう救急車が来るような状況になっていると。そういう点でいけば、本当に見守りの機能というのが災害公営住宅に求められているということを指摘をしておきたいと思います。
 そういうコミュニティをつくるために、災害公営住宅には立派な集会所が整備されています。29団地を見ますと、0が5団地、1回が6団地、2回が5団地、3回が2団地、あわせて18団地が0〜3回と。良くて1週間に1回しか使われていないというものです。10回以上使われているのが5団地で、主にはここに支援員が配置されているんです。だから支援員を配置すれば集会所は活用されて、コミュニティ形成にも、一人暮らしの方もここに気軽に顔を出せる状況がつくられていると。支援員の配置は地域福祉課なので、連携して。阪神淡路大震災で孤独死が発生した教訓で集会所が立派に整備されたと。これを生かすのが東日本大震災の教訓だと思うんです。そこをぜひ保健福祉部と協議をしてやっていただきたい。
 国の家賃減免制度は10年経つとなくなりますので、そろそろ期限が切れた入居者が出ます。そうすると家賃が一気に上がってきます。同時に、県が同等に近い減免制度を持っていますから、きちんと期限が切れたら県の制度に、ほぼ8割以上は乗れると。そこをしっかりやってほしいのですが、いま国の減免制度の対象はいくらで、すでに10年切れた方の数は分かるでしょうか。そしてそういう方々が県の減免制度に移行している状況はどうなっているか示してください。

【建築住宅課総括課長】
 10年で終わるという方もございまして、令和6年12月末現在で、国の減免制度の対象から外れて県の減免制度に移った方は69名いるところでございます。このうち県の減免制度を利用している方が26名という状況でございます。

【斉藤委員】
 69人というのが国の減免が切れた方々ですか。それとも県の減免の対象になる方々ということですか。

【建築住宅課総括課長】
 すいません、答弁訂正させていただきます。災害公営住宅における国の東日本大震災特別家賃低減事業対象世帯数は、令和6年12月末現在で734世帯、全入居世帯1444世帯に対する割合が50.8%となっております。県の独自減免を活用している世帯数は148世帯となっておりまして、割合といたしましては10.2%となっております。

【斉藤委員】
 家賃問題はかなり切実な問題ですので、ぜひ10年で切れるというのは分かっていますから、そういう方々にはきちんと周知徹底するということを、県の減免制度が利用できるように周知徹底していただきたい。
 災害公営住宅のコミュニティをつくるうえで、自治会の名簿提供、名簿があるのは11団地で、すべての団地で誰が生活しているかというのが分かるということは、どこの町内会でも当たり前なので、そういうことをぜひ周知徹底していただきたい。