2025年3月24日
東日本大震災津波復興特別委員会での質疑(大要)
・コミュニティ形成の取り組みについて
【斉藤委員】
先ほどお聞きしましたら、生活支援相談員は今年度44人の配置で来年度は49人配置するという計画ですから、県は前向きに取り組んでいると。ただやはり復興事業自身が令和7年度で終わるというので、どこでもソフトランディングを考えていて、必要性ではなくて、事業がなくなるのではないかという前提でやっているので、そこを突破していくことを考えないと、実態からではなく国の施策の見込みで縮小したり無くなったりしたら本末転倒ではないかと思います。
応急仮設住宅、災害公営住宅での孤独死の推移はどうなっているでしょうか。
【建築住宅課総括課長】
これまで応急仮設住宅または災害公営住宅入居者で死後に発見された方は、令和6年12月までに170名と承知しております。
【斉藤委員】
もう少し丁寧な答弁がほしかったんですけれども、応急仮設住宅は平成30年度で終了していますが、孤独死は46人なんですね。災害公営住宅での孤独死は124人です。これは昨年度は6人でしたが、令和4年度は22人で最高でした。今のところ今年はゼロと聞いていますけれども、この間ずっと10〜20人という規模で孤独死が出ていて、こういう点でも災害公営住宅から孤独死を出さない取り組みを強化する必要があると。そういう点でも支援員の配置が必要なのではないかというのは指摘だけにとどめておきます。
・生業の再生について
【斉藤委員】
グループ補助利用者の再建状況、伴走型支援の成果について示してください。
【経営支援課総括課長】
東日本大震災にかかるグループ補助金の実績でございますが、今年1月末時点では、交付決定1573事業者・918億円余としてございます。再建とは逆に、倒産等の状況について申上げますと、そのうち32件の倒産がございまして、業種別の主な内訳としますと、水産加工業が8件、小売業6件、宿泊業5件となっております。自己負担分に高度化スキームを利用された方は、346件・165億円余ございましたが、そのうち完済された事業者は59件・8億円余です。逆に、償還猶予等の条件変更を行っている事業者は75件でございます。高度化スキーム利用者に対しましては、いわて産業振興センターを中心にフォローアップを行っております。事業者の方々を巡回してお話を伺っておりまして、その中で経営改善計画の策定支援ですとか販路開拓支援、SNSでの情報発信の支援といったことを行っておりまして、平成27年11月以降今年1月末までに延べ1660件実施しております。そういったことで、事業の継続、新たな取り組みの推進に寄与しているものと考えております。
【斉藤委員】
グループ補助は1573件交付決定があって、いま答弁あったように、そのうち倒産は32件と。これは交付決定の2%なんですね。だから圧倒的にこのグループ補助は事業者の再建にとって大きな役割を果たしたと思います。引き続き伴走支援を強めていただきたい。
それから、被災事業者の再建状況について、復興防災部はいつも「85%ぐらいが再建した」と言うけれども、いま定期的に商工会議所・商工会が実施している調査では、再建状況が65.8%なんです。これは調査の対象が違うかもしれないけれども、14年経って実際の再建がどうなっているかという、この実態に即した評価をしっかりやるべきではないかと。同時に、65.8%というのは新規が入っていませんから、65.8%再建したけれども新規で震災前と比べて会員数はどうなのかと。これが一番実態を反映する数字ではないかと思いますがいかがでしょうか。
【経営支援課総括課長】
今年2月1日時点の被災市町村における商工団体会員事業者の被害状況調査結果によりますと、震災時の平成23年時点の会員数は7701ございました。その後、新たに加入なさった会員が2783、一方で退会の会員が3721となっておりますので、2月1日時点の会員数は6763ということで、平成23年度と比べますと938減少しております。
【斉藤委員】
商工業の関係でいくと、これは年に4回ですか、系統的に調査しているんですよ。そういう系統的に今も調査していて、実態が明らかになったデータで今の再建状況を評価するようにすべきだということを指摘しておきます。
・災害援護資金について
【斉藤委員】
災害援護資金の利用実績、返済状況、滞納状況について示してください。
【被災者生活再建課長】
東日本大震災津波にかかる災害援護資金ですけれども、貸付実績は令和6年9月末時点で1171件・30億3230万円余となっております。そのうちすでに完済された者については461件・12億1349万円となっております。また、滞納となっている者は332件・3億8355万円余となっております。
【斉藤委員】
岩手県の災害援護資金は、宮城や福島と比べると数は少ない、傷は浅いと言ってもいいと思います。それは、住宅再建に対するさまざまな支援策が充実していたということが背景にあるのではないか。それでもいま答弁あったように、すでに支払い期日がきた1077件のうち332件・30.8%がこの滞納ということで、この解決が求められていると。阪神淡路大震災のときには、20年が経過して地元自治体がそれをなしにしたと記憶していますけれども、コロナのときの生活福祉資金は、返済時に非課税であれば返済免除と。いわば新しいそういう救済策がすでにつくられているときに、14年経過して高齢化等で実際に支払いが困難だという世帯も出ているわけですね。国に対してそういう支払いの免除、20年も待たずにきちんと制度化することが必要だと思いますけれども、今後の対応、市町村の対応、国への対応を示してください。
【被災者生活再建課長】
災害援護資金の免除措置でございますけれども、東日本大震災津波において災害援護資金の償還が免除されるものについては、「死亡または重度障害の場合」、「破産手続きまたは再生手続き開始の決定を受けた場合」、「その他無資力またはこれに近い状態にあり支払い猶予を受けた者が最終支払い期日から10年間その状態にあり、かつ支払うことができる見込みがない場合」となっており、市町村においては法令等に基づいて借受人の資力情報などに応じて支払いの猶予や少額での返済という対応を行っている状況でございます。
県としては、償還が困難な方々、それぞれの状況を丁寧に把握をして、支払いの猶予など返済能力に応じて対応するように助言をしているところでございまして、また国に対しましては支払い免除の「無資力またはこれに近い状態」というのが具体的にどういう状態なのかということについて明確にするよう求めているところでございまして、いずれ借受人の資力に応じて対応していくということで取り組んでいるところでございます。
【斉藤委員】
災害援護資金で再建をした、生活を立て直したと。しかし結局は借金なんですね。上限350万円ですからそれなりの資金です。高齢化して本当に支払いが困難だという世帯が滞納している30%の圧倒的多数なのではないかと思います。そういう点では、10年間放置するのではなく、いま答弁ありましたので、その方向でいいと思いますけれども、阪神淡路大震災の例もありますし、先ほど紹介した新しい制度でいけばコロナのときの生活福祉資金で、返済時に非課税だったら免除という制度もつくられているので、ぜひ災害援護資金の支払いが困難というところについてはしっかり県としても市町村と協力して対応するように求めて終わります。