2025年3月25日 2月定例県議会最終本会議
議案に対する質疑(大要)
・復旧・復興に取り組む知事の基本姿勢について
【斉藤議員】
日本共産党の斉藤信でございます。議案第105号、2024年度一般会計補選予算(第13号)について質問します。
今回の15億円余の補正予算(第13号)は、大船渡市大規模林野火災に関するものであります。被害状況はまだ調査中でありますが、2900haを焼失した大規模な林野火災であり、東日本大震災津波の被害を受けた地域での二重の被災となりました。建物被害は210棟、うち住家被害は全壊76棟を含め102棟に及び、住家以外でも漁業・水産業にとって重要な倉庫や作業場など95棟の全壊を含め108棟となっています。3月24日現在、2か所の避難所に60人が避難生活をつづけ、親戚・知人等には134人が避難しています。
知事に質問します。緊急に大船渡市大規模林野火災に関する15億円余の補正予算を提案したことを評価するものです。東日本大震災津波からの復興の途上での今回の大規模林野火災であり、被災者の生活再建にとっても生業の再生にとっても東日本大震災津波並みの支援が必要と考えますが、今回の大規模林野火災の被害をどう受け止め復旧、復興に取り組むのか、基本姿勢についてお聞きします。
【達増知事】
斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。
復旧・復興に向けた基本姿勢についてでありますが、令和7年大船渡市林野火災は、焼損面積が約2900ヘクタール、住家被害が102棟、さらに水産関連施設が被災するなど、平成以降の林野火災で国内最大規模となり、住民のくらしや生業に大きな影響を及ぼしています。
このため、県として早期の復旧・復興を支援するため、本庁各部局及び広域振興局等が一体的かつ横断的に復旧・復興業務を推進する体制を構築するため、3月19日に令和7年大船渡市林野火災復旧・復興推進本部を設置いたしました。
被災地の復旧・復興に向けては、応急仮設住宅の確保をはじめとする暮らしの再建、水産関連施設の復旧をはじめとする生業の再生、さらに森林整備や治山事業などのインフラの整備―これらの三本柱で取り組みを進めてまいります。
・被災者の要望に応じた仮設住宅整備について
【斉藤議員】
補正予算(第13号)の具体的内容について質問します。
第一に、救助費として13億2100万円計上されています。うち建設型応急仮設住宅の設置に10億9600万円となっています。
@被災者の意向調査では、応急仮設住宅、賃貸型みなし仮設住宅、災害公営住宅の要望はどのように把握されているでしょうか。
A建設型応急仮設住宅は木造で長屋の応急仮設住宅の設置とのことでありますが、5人家族や7人家族の被災者もおられます。十分なスペースを確保できるのでしょうか。
B住宅再建ではなく地元に住み続けたいという要望をどう把握されているでしょうか。そうした被災者には、能登半島地震でも整備された災害公営住宅の役割を果たす「まちづくり型」の応急仮設住宅を整備すべきではないでしょうか。
【県土整備部長】
被災者の意向調査の把握についてでありますが、大船渡市で行っている意向調査では、被災された世帯に対し、住宅再建までの仮住まいの希望として、建設型応急仮設住宅、みなし仮設である民間賃貸住宅または公営住宅のいずれかに入居を希望するかをお聞きしていると承知しています。あわせて、仮住まいの場所についても、赤崎地区、綾里地区などの希望する地区をお聞きしていると承知しています。この調査の回答期限は、先週3月21日となっておりましたが、未提出の方もおり、市では個別に連絡するなど丁寧に対応していると聞いております。調査の途中経過では、限られた数の公営住宅に希望が集中する例があり、第一希望及び第二希望と、希望する住宅の空き戸数との照らし合わせなど分析にも時間を要している状況と聞いております。県としては今後、被災者の希望する形で住宅を提供できるよう、市と情報共有及び調整を行いながら、被災者の住まいの確保に向け取り組んでいきたいと考えております。
建設型応急仮設住宅での多人数世帯への対応についてでありますが、大船渡市からの建設要請の際に、被災された世帯の中に5人から7人の多人数の世帯もいることを承知しております。このため、建設型応急仮設住宅の構造を多人数世帯の被災者が入居希望をされた場合に対応できるよう、住宅の間取りの拡張等に一定の柔軟性がある木造としたところです。県としては今後、大船渡市による被災者への意向調査の結果を見ながら、世帯人数にも配慮した住戸を提供し、被災者の住まいの確保に取り組んでいきたいと考えております。
まちづくり型の応急仮設住宅の整備についてでありますが、能登半島地震での応急仮設住宅の整備事情として、将来の町の一部となることを想定した恒久的に使用できる「まちづくり型」があることは承知しております。今回大船渡市からは、旧小中学校のグラウンドに応急仮設住宅40戸を整備するよう要請があったところです。県としては、まずは被災者の方々が生活再建するまでの仮の住まいとしての応急仮設住宅を整備して支援を進めていきたいと考えております。なお、現在整備を進めている建設型応急仮設住宅は、基礎を鉄筋コンクリート造としており、長期的な使用も可能な構造となっております。引き続き、必要とする方々に必要な戸数を確保できるよう住まいの確保の支援に向け取り組んでまいりたいと考えております。
・仮設住宅等への電化製品の提供について
【斉藤議員】
第二に、応急仮設住宅、賃貸型みなし仮設住宅、公営住宅には家電等を設置するとしています。その中身はテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの電化製品の6点セットとエアコンも設置されるのでしょうか。
【復興防災部長】
家庭用電化製品等についてでありますが、今回の補正予算案には、被災者の皆様が応急仮設住宅などに入居する際に必要となる家庭用電化製品―洗濯機・冷蔵庫・テレビ・炊飯器・電子レンジ・電気ポットの6点を供与するための経費を計上しております。エアコンについては、建設型応急仮設住宅には備え付けられますが、公営住宅には設置されておらず、賃貸型仮設住宅、いわゆるみなし仮設は物件によってエアコンの有無が異なるため、被災者の皆様にはそのような物件情報を把握したうえで入居先を選んでいただけるよう、大船渡市や不動産業関連団体と連携を図ってまいります。
・住宅再建へのさらなる支援について
【斉藤議員】
第三に、被災者生活再建支援金支給補助として2000万円が計上されています。
@被災者生活再建支援金の対象世帯数、申請状況はどうなっているでしょうか。
A今回の県独自の補助は、被災者生活再建支援金の対象とならない半壊世帯に20万円、準半壊世帯に5万円を支給するものでありますが、その対象世帯数はどう把握されているでしょうか。
B東日本大震災津波の際には、被災者の自立再建に、県が市町村と共同で100万円の補助を行いました。今回の大船渡市大規模林野火災の被災者(被災者生活再建支援金の対象者)にも100万円の補助を検討すべきと考えますがいかがでしょうか。
【復興防災部長】
被災者生活再建支援金についてでありますが、被災者生活再建支援法については、発災後の早い段階から内閣府と調整を図ってきたところであり、今月6日にすでに適用を決定しております。支援金の対象は、中規模半壊以上とされる中、住家被害102棟のうち76棟が全壊とされており、対象世帯数はそれを上回る可能性もあると考えております。大船渡市では、先週20日から支援金の申請受付を始めており、申請件数は24日時点で39件となっております。
県による支援金についてでありますが、被災者生活再建支援法による支援金の対象は、中規模半壊以上の世帯とされておりますが、県ではそれに満たない半壊の世帯に20万円、準半壊世帯に5万円の支援金を支給するための経費を今回の補正予算案に計上しております。住家被害102棟のうち26棟は全壊に満たないとされる中、補正予算案には十分な経費を計上しております。
支援金の上乗せについてでありますが、東日本大震災では県外に広域避難される方も多くおられる中、地元での住宅再建を後押しするため、復興増税により確保された財源を原資として、県と市町村による被災者生活再建支援金の上乗せが行われました。一方、平成28年の台風10号や令和元年の台風19号も甚大な被害をもたらしましたが、支援金の上乗せは行われておらず、今回も基本的には同様の状況であると考えております。その上で、大船渡市には、東日本大震災との二重被災など個々の被災者の状況把握に向けて動いていただいており、応急仮設住宅の確保などを含め被災者一人ひとりに寄り添った丁寧な支援を図ってまいります。
・航空消防防災体制強化推進事業費について
【斉藤議員】
第四に、航空消防防災体制強化推進事業費として3600万円が計上されています。これは、県の防災ヘリコプターの航空燃料費や航空隊支援員の活動経費等に要する経費であります。
@県の防災ヘリも連日、長期にわたる消火活動となったと思いますが、どういう人員、体制で取り組まれたのでしょうか。
A他県からも多くの防災ヘリが消火活動に取り組まれ、緊急消防援助隊は2000人を超える規模となりましたが、その経費はどのように措置されるのでしょうか。
【復興防災部長】
本県の防災ヘリについてでありますが、先月26日の発災以降13日間運行した中で、計141回、約10万1400リットルの散水による空中消火、そして上空偵察などの活動を行いました。本県の防災航空隊は通常10人の隊員で活動しておりますが、今般の大規模な山林火災に対応するため、防災航空隊の支援員として経験者からの応援をいただき、1日あたり最大18人の体制で防災ヘリの運用を行ったところです。
緊急消防援助隊の活動経費についてでありますが、応援要請に基づいて出動した場合、隊員の各種手当や旅費、燃料費等について、本来的には受援側の自治体、つまり大船渡市が負担することになりますが、迅速かつ円滑な広域応援を促すため、全国市町村振興協会が消防広域応援交付金制度を設けております。従いまして、応援側の自治体には大船渡市の代わりに全国市町村振興協会からこの交付金が交付されることになります。
<再質問>
【斉藤議員】
答弁ありがとうございました。
最初に知事にお聞きしますけれども、復旧・復興推進本部を県は立ち上げて、今回は緊急の応急仮設を中心にした対策になりましたが、漁業・水産業などの生業の支援策の見通しを示してください。
【達増知事】
今回の補正予算案では、暮らしの再建を中心に内容を集めたところでありまして、生業の再生の関係につきましては、農林水産業や商工業でも操業中断に伴う被害が出ております。こうした被害の状況をいま調査を進め、そしてその被害の実態に見合うような支援制度、国からの支援制度、これをどの枠組みの中で支援していくかということを、県・大船渡市と国の方で調整しながら生業の再生を進めていく形になりますので、至急その作業を進めて、そして必要に応じた予算を議会にお諮りしていくようにしたいと思います。
【斉藤議員】
県土整備部長から応急仮設住宅について答弁がありました。5人から7人の多人数世帯にも対応した仮設にするということでありました。あわせて、土台は鉄筋コンクリートだということでありますから、これは長期にも利用できる仕様になると思いますけれども、まちづくり型の応急仮設ということにもなるのではないかと受け止めましたが、いかがでしょうか。
昨日の連絡本部会議の議論では、80世帯のうち4分の3が高齢者のいる世帯、4分の1が高齢者単身世帯ということで、やはり地元に住み続けたいという高齢者の方々も少なくないのではないか。そういう意味では、あくまでも被災者の要望が大前提ですけれども、被災者の要望、市の要望があれば、まちづくり型の応急仮設ということもしっかり見通して整備をすべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
【県土整備部長】
まちづくり型住宅ということで、恒久住宅としての整備ということのお話がありましたけれども、建設型応急仮設住宅は、災害救助法の規定によりまして、供用期間の上限は2年3ヶ月とされているところでございます。現在計画している建設型応急仮設住宅は、コンクリート基礎で整備することとしておりまして、東日本大震災津波の際の木杭の基礎とは異なり、長期的な使用に耐えられる仕様となっております。仮設住宅として使用した後の使用の形態につきましては、被災者の意向を踏まえた大船渡市の意向を確認しながら検討してまいりたいと思ってございます。
【斉藤議員】
応急仮設住宅に家電6点セット、これはみなしも災害公営住宅にも設置すると。しかしエアコンは応急仮設住宅だけなんですね。しかし被災者同じ状況で、特に住宅を失った方々がみなしや災害公営住宅に一時的な応急仮設という意味で入居するわけですから、みなしに最初からエアコンが設置されているならいいけれども、そうでないところはぜひみなしにも災害公営住宅にもエアコンを設置すべきではないのかと思います。そういう格差をつくるべきではないのではないかと。
【復興防災部長】
建設型以外についてエアコンの供与は難しいのでありますが、特にみなし仮設については物件によってエアコンの有無が異なってまいりますので、そのような物件情報が被災者の皆様にきちんと届くように、市や関係団体と連携して丁寧に対応してまいりたいと考えております。
【斉藤議員】
県の応急仮設住宅の整備方針には、「集会所もしくは談話室を設置することを基本にする」となっております。綾里は30戸規模の整備を予定しているので、体育館を使うということではなく、やはりコミュニティの形成のためにはお茶飲み話ができる集会所もしくは談話室を設置すべきだと考えますがいかがでしょうか。
【県土整備部長】
集会所の関係でございます。昨日の本部会議の中でもお話させていただいておりましたけれども、現時点ではまず大船渡市から要請のあった住宅40戸の整備を進めております。住宅を整備する旧小中学校の敷地内にある体育館が地域対応されております。これらの活用がコミュニティスペースとして有効であるかについても、市と協議したいと考えております。応急仮設住宅を設置してある校庭から体育館までが非常に近いということもありますが、いずれ被災者の意向を踏まえた大船渡市の意向をお聞きしながら、仮設住宅に住む方の地域コミュニティの形成・維持に資するよう対応してまいりたいと考えております。
<再々質問>
【斉藤議員】
被災者の中には、子どもが地元の小中学校に通うと。そうするとどうしてもその地域で、通学できる地域で応急仮設にしてもみなし仮設にしても確保したいというのが切実な要望です。ですからそういう要望に応えられるような対応をぜひしていただきたい。