2025年3月25日 2月定例県議会最終本会議
高田一郎県議の請願に対する討論全文


・選択的夫婦別制度導入に反対し、現行の夫婦同姓制度を堅持する請願

 日本共産党の高田一郎でございます。
 請願受理番号50号は、「選択的夫婦別制度導入に反対し、現行の夫婦同姓制度を堅持する請願」となっております。環境福祉委員会では不採択となったことから委員長報告に賛成の討論を行います。
 請願には「子どもへの影響、家族との一体感を損なう」など、選択的夫婦別姓制度が「家族のきずなや社会の安定性を損なう恐れがある」これを最大の理由にして、夫婦同姓制度を堅持するよう求めています。しかし、夫婦同姓が必然的に絆を深めるならば、夫婦間での対立やDV、離婚といった問題は起こらないはずであります。夫婦の関係の質は「姓の統一より、互いの信頼や尊重」といった要素によるものではないでしょうか。「家族の一体感を損なう」というとらえ方こそ特定の価値観の押し付けに他なりません。また、国際結婚や事実婚、離婚等で親と名字が違う子どもは多数存在しています。「子どもがかわいそう」とさげすむ感覚こそ、これは是正されなければなりません。同姓でも別姓でも個人として尊重されることが子どもにとって幸せの大前提だと思います。
 夫婦同姓制度では、同姓の強制によって女性が名前を変えることが当たり前とされているために、違和感を口にすることができないままに名前を変えた女性が多くおります。そしてキャリアの断絶や名称変更の煩雑な手続き、海外では通称は使えない等の不利益を圧倒的に女性が受けています。しかし、「一人の人間として人格と個性が輝く生き方をしたい」と願い、それを妨げる障害を取り除く真の男女平等を求める運動も広がっております。いま国民世論も7割が選択的夫婦別姓制度に賛成し、日本経団連も制度導入を求めて政府に提言を行いました。国連女性差別撤廃委員会も「法律で夫婦同姓を義務付けることは女性差別、直ちに改正すべきだ」と勧告しています。夫婦別姓を可能にする法改正は待ったなしの課題だと思います。

・インボイス制度の廃止を求める請願

 次に、請願受理番号51号は、「インボイス制度の廃止を求める請願」であります。総務委員会で不採択となったことから総務委員長報告に反対の立場で討論を行います。
 自公政権が消費税のインボイス(適格請求書)制度の導入を2023年10月に導入して1年半が経とうとしています。
 業者間の取引で、インボイスがないと仕入れ分の消費税を差し引くことができなくなりました。インボイスは課税事業者間でないと発行できません。年間売上高1000万円以下の免税事業者は、課税事業者になってインボイス登録をすることを迫られています。免税制度があるのは、零細な事業者は価格を自分で決める力が弱いからです。課税事業者になれば利益を削り身銭を切ってでも消費税を納めなければならず、財務省の試算では、免税事業者の年間利益は平均154万円で、課税事業者になった場合、15万円の消費税負担となってしまいます。
 これまで納税を免除されていた零細事業者やフリーランスが課税されることで生じる消費税収入は2024年度で約1700億円になります。導入から3年間は消費税額を2割とするなど負担を軽減する時限的措置がありますが、段階的に縮小されるため、事業者の消費税の負担はさらに重くなっていき、税率を変えない消費税増税といわれるゆえんであります。
 「インボイス制度考えるフリーランスの会」が確定申告を受けて実施した7000人アンケートでは、全回答者の92%がデメリットを感じており、制度の見直しや中止を求めています。消費税の負担感について、インボイス登録事業者の60%が負担軽減措置の終了後、事業のめどが立たない、66%の事業者が消費税や事業負担の費用を価格転嫁できず、「身を削って補填」し、免税事業者の45%が取引先からの値引き・発注量の減少など何らかの不利益を被っています。
 物価高騰のもとで、零細事業者やフリーランスとして働く人たちに深刻な負担増をもたらしており、廃業の危機に追い込む制度といわなければなりません。一方、大企業への優遇税制は、研究開発減税だけでも一年間で7636億円(22年度)にも上り、法人税率引き下げが連続して行われ、大企業の法人税は中小企業よりも税負担率が少ないのが実態です。しかも、大手半導体・AIメーカーに対して補正予算と合わせ1.9兆円、今後7年間で10兆円以上の公的支援を行う計画であります。大企業ばかり優遇する政策を改めて、中小・零細事業者たたきこそやめるべきであります。
 いま多くの反対の声があるにもかかわらず、政府がインボイスに固執するのは、複数税率の消費税増税へのレールを敷くためであります。消費税を一律5%にすればインボイス制度の必要はなくなります。多くの小規模事業者やフリーランスを苦しめるインボイス制度の廃止は死活問題、直ちに廃止すべきであります。

 以上で、委員長報告による対する討論といたします。ご清聴ありがとうございました。