2025年7月4日 6月定例県議会最終本会議
高田一郎県議の請願不採択に対する反対討論
日本共産党の高田一郎でございます。
請願第57号、請願第63号は総務委員会で不採択となったとの報告でありますので、総務委員長報告に反対の立場で討論を行います。
請願第57号は、消費税の段階的な廃止と法人税率等引き上げ、インボイス制度の廃止などを国に求める請願であり、請願第63号は、物価高騰から国民生活守るために消費税の減税を求める請願であります。
今年で消費税が導入されてから37年が経ちました。この税金が日本に何をもたらしたのか、37年間の歴史の中で3つのことが明らかになったと思います。
第一に、消費税が「社会保障のため」でも「財政危機打開のため」でもなく、大企業と富裕層の減税の穴埋めに使われたことであります。
37年間で消費税収は571兆円にもなりました。ほぼ同時期に大企業の法人税減税と富裕層が恩恵を受ける所得税減税で、それを上回る税収の大穴があきました。減税と景気悪化による減収額は、法人3税で314兆円、所得税・住民税で292兆円、合わせて606兆円に上ります。消費税はその穴埋めに消えてしまいました。
そして第二に、消費税が貧困と格差の拡大に追い打ちをかけているということであります。
所得の少ない人ほど重くのしかかる逆進性は、消費税の宿命的な害悪であり、どんな小手先細工を行っても是正することはできません。総務省の家計調査に基づいた試算では、勤労者世帯の年収別負担率では、年収200万円以下では所得税0.6%で消費税は6.3%、年収201万円〜300万円では所得税1.2%で消費税は5.5%となるなど、低所得者のみならず年収900万円以下の世帯まで所得税より消費税の負担率が重くなっているという実態があります。しかも、生活費には課税をしないという「生計費非課税」の原則に真っ向から反するもので、憲法25条に保障された生存権を脅かすのが消費税でもあります。働く貧困層が拡大し、低年金の方々が拡大する社会において暮らしに困窮する人々に最も無慈悲に襲いかかる最悪の不公平税制が消費税であることも明らかであります。
そして第三に、消費税の導入と度重なる増税は、国民の暮らしと景気、中小企業の営業を壊して、日本を「成長できない国」にしてしまった大きな要因となりました。日本経済は、消費税増税が繰り返された90年代以降、先進国では日本が唯一成長しない国になっています。物価上昇に追い付かない賃金や年金支給額、医療・介護施設での経営の危機、採算が取れない農産物価格などが続く中で異常な物価高騰が押し寄せており、わずか一回限りの給付金では経済を打開することはできません。
資本金10億円以上の大企業には、この10年間だけでも税引き前利益は29兆円から77兆円と2.6倍に増え、一方法人三税は9兆円から15兆円と1.6倍にとどまっています。内部留保は539兆円にもなり空前の規模に達しています。大企業が成長すれば国民にも滴り落ちるとして。この間法人税率を9度にわたり減税を繰り返し、ほぼ半減になってしまいました。しかし、設備投資にも賃上げにも結び付かず、「意図した成果を上げてこなかった」(与党税制改正大綱)と述べています。今や法人税の実質負担率は小規模企業が19%、中堅企業が21%なのに対して、大企業は10%程度であり、年間で11兆円もの減税が行われています。低所得者ほど負担率が重い消費税導入と増税、一方では大企業と大金持ちの優遇税制は税制を大きくゆがめており、負担能力に応じて税を払うことが税の公平であります。
日本共産党は、緊急に5%の減税を求めています。それは、消費税の減税は所得税・住民税非課税世帯も子どもからお年寄りまでだれでも減税の恩恵を受けることができるからであります。すべての商品・サービスにかかる消費税を減税することで、平均的な勤労者世帯で年間12万円もの減税効果となります。物価対策に有効であり、インボイス制度も税率が一律になれば継続する口実もなくなります。
インボイス制度の導入で小規模事業者やフリーランスに新たな税負担、複雑な制度による膨大な事務など営業と暮らしに与える影響は大変深刻であります。
「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が2024年度の確定申告を受けて実施した1万人アンケート調査では、課税事業者の90%を超える事業者が消費税について「非常に負担」か「負担」と感じています。また、消費税分等を全額価格転嫁できたのは5%、約8割が価格転嫁できていません。消費税を納税するために所得や貯蓄を減らし借金をするようなインボイス制度は廃止しかありません。
共同通信が6月28日・29日に実施した世論調査では、「物価高対策として、現金給付と消費税減税のどちらが望ましいと思いますか」との問いに対して「現金給付がより望ましい」が23.8%、「消費税減税が望ましい」70.0%となっております。その他の各種世論調査でも6〜7割となっており、消費税減税を求める声は国民の圧倒的な世論となっております。
税制のゆがみを正して消費税減税とインボイスの廃止を求めることは物価高騰対策として有効であり、請願を採択すべきと考えます。
以上が反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。