2025年10月3日 9月定例県議会本会議
一般質問
(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。県民の切実な要求と県政の重要な課題について達増知事に質問いたします。

1、物価高騰から県民の暮らしと営業を守る課題について

(1)県民の暮らしと営業の実態について

 第一に、物価高騰から県民の暮らしと営業を守ることは最も切実な課題であります。労働者の実質賃金は3年連続でマイナスとなり、今年もマイナス基調となっています。特に低所得者、高齢者、ひとり親家庭などの暮らしは厳しいものとなっています。日本共産党が取り組んでいる要求アンケートには、「賃金が少し上がっても引かれるほうが多く、生活が苦しい。子どもを育てていけるかとても不安です」「食料品、生活用品が高くて買えません。もう数カ月まともな食事をしていません」など切実な声が寄せられています。中小企業、小規模企業の方々からは、「資材や仕入れはどんどん値上がりしているが転嫁できない」「下請け単価が一方的に引き下げられている」など深刻な訴えが寄せられています。知事は長引く物価高騰の中で、県民の暮らしと営業の実態をどう認識されているでしょうか。

【達増知事】
 斉藤信議員のご質問にお答え申し上げます。
 まず、県民の暮らしと営業の実態についてでありますが、県民の暮らしにおいては、令和7年8月の盛岡市の消費者物価指数が前年同月比で2.7%の上昇と令和3年以降上昇が続いています。
 また中小企業では、県内を対象とした令和7年8月の調査において、約9割が「物価高騰等の影響がある」と回答している一方、価格への転嫁率が70%以上の企業の割合は約1割と低い水準となっています。
 このように食料品やエネルギー原材料の価格高騰により、県民の暮らしや企業の経営は厳しい状況にあると認識しております。

(2)消費税の減税について

【斉藤議員】
 物価高騰から暮らしと営業を守るうえで最も効果的な対策は消費税の減税であります。7月の参議院選挙では、すべての野党が消費税の減税・廃止を公約しました。自民党・公明党は遅まきながら給付金の支給を打ち出しました。参議院選挙の結果は、自民党・公明党が衆議院に続き参議院でも過半数割れする結果となりました。消費税減税の国民の審判が下ったというべきではないでしょうか。日本共産党は消費税を5%に減税する財源を示しています。2012年以後の12年間で大企業は純利益を4.6倍に増やし、内部留保を200兆円も積み増しする一方で、年間11兆円もの減税をされています。大企業へのこの行き過ぎた減税をやめれば消費税5%への引き下げはできると提案しています。自民党・公明党は参院選での国民の審判を踏まえ消費税の減税を行うべきではないでしょうか。野党は公約を守り、消費税減税に真剣に取り組むべきと考えますが知事の認識を伺います。

【達増知事】
 次に、消費税の減税についてでありますが、物価高騰により、県民の暮らしや企業の経済状況が依然として厳しい状況にある中、県民の可処分所得の増加や地域経済の活性化など、喫緊の課題に対応していくための施策として、消費税の減税は有効な選択肢の一つであると認識しております。
 一方消費税は、地方において子育て支援や介護人材確保等の社会保障の財源として不可欠なものであることから、消費税の減税に当たっては、代替財源の確保が必要と考えております。
 国においては今般の参院選の結果を踏まえつつ、国民生活の厳しい状況を踏まえて、消費を拡大するような大胆が政策について速やかに実行に移されることを期待いたします。

(3)賃上げ支援金の実績と効果について

【斉藤議員】
 労働者への賃上げを実現するうえで、県内では労働者の89%を占める中小企業への支援が決定的に重要です。岩手県は、昨年から全国に先駆けて中小企業賃上げ支援金の取り組みを行っています。昨年の第一弾の実績はどうなっているでしょうか。今年はさらにバージョンアップして、時給60円以上、最大50人まで300万円を支援する取り組みを行っています。これまでの実績とどのような効果を発揮しているかを示してください。

【商工労働観光部長】
 物価高騰対策賃上げ支援金の実績と効果についてでありますが、令和5年12月補正予算で措置した1回目の実績は、支給事業者数2889事業者、支給人数20313人、支給額10億1565万円でございます。
 令和6年12月補正予算で措置した現在実施中の2回目の申請状況は、9月26日時点で、申請事業者数2565事業者、申請人数2万6312人、申請金額15億7872万円となっております。
 効果についてでございますが、従業員数別の申請件数の割合を見ると、1回目、2回目とも20人以下の事業者からの申請が多く、小規模な事業者の賃上げに繋がっているものと考えております。
 また、2回目は、1人当たりの支援金額を5万円から6万円に増額し、かつ1事業者当たりの対象人数を20人から50人に拡充したことにより、現時点ですでに1回目の支給人数を上回る申請を受け付けており、より多くの労働者の賃上げに結び付いているものと考えてございます。

(4)最低賃金の大幅引き上げと中小企業に対する支援策について

【斉藤議員】
 第2弾はですね、労働者の数で1.3倍、支給金額だと1.5倍と、第1弾を上回る大きな実績をすでにあげていると高く評価をしたいと思います。全国では9県に広がっているということですから、岩手の果たした役割は大変大きかったのではないか。
 今年の県内の最低賃金は、時給79円アップの1031円となりました。12月1日からの実施となります。これまでにない大幅な賃上げとなります。労働者にとっては生活できる賃金には程遠いものでありますが、中小企業・小規模企業にとっては、これまでも防衛的な賃上げが強いられている状況でした。これまで以上の中小企業の賃上げに対する支援策が必要だと思いますがどう取り組まれるでしょうか。

【商工労働観光部長】
 最低賃金の大幅引き上げと、中小企業に対する支援策についてでありますが、現在、中小企業、小規模事業者が持続的な賃上げを行っていくためには、生産性の向上と適切な価格転嫁の実現による賃上げ原資の確保が重要であることから、県では、生産性向上に向けた取り組みの支援や、価格転嫁の取り組みを推進するとともに、ただいまご紹介ありました本県独自の物価高騰対策賃上げ支援金による支援などを行っているところでございます。
 今回の最低賃金の引き上げについては、国は目安を超える引き上げに対し重点支援を講じるとしていることから、全国知事会とも連携し、国に対して大胆かつ迅速な支援の実施や財源の確保を働きかけていくとともに、今後においても、県内事業者の経営の安定や生産性向上に向け、国の施策とも連動しながら、適時適切に必要な施策を展開してまいります。

【斉藤議員】
 知事が立派な答弁してるのにね、部長がそんな曖昧な答弁じゃ駄目ですよ。
 知事に聞きます。知事はこれまでの答弁で、「国が12月いっぱいまでに対策を示さなかったら県は独自にやります」と。それと合わせて、第3弾をさらにバージョンアップする必要があると。賃上げ分が大きかっただけに、私はさらなる賃上げ支援金の拡充、もう一つは対象人員、50人から100人というのが岩手県の中堅企業なんです。これが一番賃上げの影響を受けていると、こういう風にも聞いております。ですから、今50人までなんですけれども、さらに70人・100人と引き上げていく。20時間以下のパート労働者も最賃上げるんですよ。短時間勤務の方々にも相応の賃上げ支援金があってしかるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか知事。

【達増知事】
 やはりまとまった予算規模の措置が今回必要というふうに考えておりますので、国の施策との連動ということで準備をしているところでありますけれども、国の施策が出てこない場合には、まさに県単独でもやれるように準備を進めていきたいと思います。

【斉藤議員】
 ぜひ具体的な拡充の方向性を提案しましたので、よく検討してですね、第2弾もバージョンアップした。第3弾もさらにバージョンアップするということで検討していただきたい。


2、医療危機打開と県立病院の課題について

(1)医療機関の経営危機について

【斉藤議員】
 第二に、医療危機打開と県立病院の課題について質問します。
 日本病院会など6病院団体は9月10日、厚生労働大臣に対して「地域の病院経営は危機的状況です」「医業利益で約7割、経常利益で約6割の病院が赤字となっています」として緊急要望を行っています。その内容は、@2025年度補正予算において、緊急に病院への支援策を講ずること、A2026年度診療報酬改定率については、10%超が必要であること―です。
 県内の医療機関・病院の経営状況をどう把握しているでしょうか。経営危機の要因をどう把握しているでしょうか。国、県の対応状況を含め示してください。

【企画理事兼保健福祉部長】
 医療機関の経営状況についてでありますが、物価高騰や賃金上昇なども踏まえ、令和6年6月に診療報酬が引き上げられたところです。診療報酬改定後の県内医療機関の経営状況を示すデータは、現時点では取りまとめられておりませんが、医療機関からの聞き取りや各種会議などにおいて、県内医療機関が非常に厳しい経営状況に置かれていることは伺っております。これは公定価格である診療報酬の引き上げが物価高騰や賃金上昇に十分に対応しておらず、医療機関の経営努力のみでは対応が困難なことが大きな要因であると考えられます。
 国では、令和6年度経済対策において、生産性の向上や職場環境の改善、病床数適正化に取り組む医療機関に対し給付金を支給しており、県もこの国の交付金を活用して、物価高騰支援金を支給するなどの支援を行ってきたところでありますが、これらの取り組みだけでは十分とは言えないことから、国に対し、臨時的な診療報酬の改定や必要な財政措置などの対策を早急に講じるよう、全国知事会や地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会などとも連携しながら、強力に働きかけているところであります。

(2)県立病院の赤字について

【斉藤議員】
 県立病院は、昨年度これまでで最大の71億円余の赤字となりました。その具体的な要因と対応策を示してください。

【医療局長】
 県立病院の赤字の要因についてでありますが、県立病院収益の最も大きな割合を占める入院収益に関し、新規入院患者の受け入れを進め患者数が増加したものの、令和6年度の診療報酬改定が実質マイナス改定となった影響で、診療報酬単価が想定ほど伸びず、医業収益は19億円余の増加にとどまりました。
 一方で、給与改定による給与費の増をはじめ、高額薬剤の使用量の増加や物価高騰による委託料、燃料費の増加など、令和5年度から医業費用は23億円余増加しており、費用の増と診療報酬が見合っていない構造的な課題があるものと認識しております。
 さらに、コロナ・物価高騰対策関係補助金の減などにより、医業外収益が大幅に減少し、全体として71億円余の赤字となっているところでございます。
 医療局といたしましては、救急や地域の医療機関との連携による紹介患者の積極的な受け入れ、上位・新規施設基準の取得、後発医薬品の使用やDXの推進による業務の見直しなど、自らの経営努力を果たしながら、国に対し、必要な診療報酬の改定や地方財政措置の充実などについて要望してまいります。

【斉藤議員】
 先日、県立中央病院の院長先生にお会いして、中央病院がなぜ赤字なのかと。いま物価高騰で、いわば医療資材・医療器械の高騰に全然もう診療報酬が追いついてないと。もう一つは、高度医療というのは集約的な仕事で、人材たくさん投入する。賃上げにも対応しないといけない。だからいま高度医療をやっているところほど大変な経営危機に陥っていると、こういう話でありました。いま本当に深刻な状況だと思います。
 9月30日に総務省が地方公営企業の決算の概要を示しました。公立病院の赤字は過去最大で83%の病院が赤字。令和6年度はですね、赤字が2倍に増えたと。3952億円です。もう本当に大変な状況ですよ。

(3)医師確保をめざす知事の会等の取組について

【斉藤議員】
 そこで知事にお聞きをしたい。医療危機打開は本当に緊急の課題です。全国知事会、地域医療を担う医師確保をめざす知事の会の取り組みはどうなっているでしょうか。広範な病院団体との共同を含め政府の緊急対策を求めるべきだと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 全国知事会議では、国が定める診療報酬等により運営されている保険医療機関においては、昨今の物価や人件費の上昇の影響を価格転嫁できず、非常に厳しい経営状況にあるという認識のもと、社会経済情勢を適切に反映した診療報酬の改定や物価賃金の上昇に応じて適時適切に診療報酬をスライドさせる仕組みの導入、臨時的な診療報酬の改定、国による緊急的な財政支援などについて本年5月に緊急要望をいたしました。
 また、私が会長を務める「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」においても、地域医療の重要な支えとなっている公立・公的医療機関等の経営継続のため、経営安定化支援策を講じるよう国に対して本年8月に緊急提言を行いました。
 さらに本県も構成県となっている全国自治体病院開設者協議会と全国自治体病院協議会が連名で、自治体病院の持続的な運営と地域医療の確保のため、令和8年度診療報酬改定の大幅な引き上げや緊急的な財政支援、地方交付税措置の拡充等について、本年8月に緊急要望を行いました。
 昨今の医療機関の厳しい経営状況の改善には、全国的な対応が必要でありますので、引き続き、関係団体等と連携し、あらゆる機会を捉えて国に対策を求めてまいります。

【斉藤議員】
 もう今こそ国民的な共同を広げて、その先頭に岩手の知事が立って、この医療危機打開やっていただきたい。

(4)県立大船渡病院の超過勤務手当未払い問題について

【斉藤議員】
 県立病院の課題について質問いたします。
 県立大船渡病院において超過勤務の申請を認めない未払問題が発生し、労働基準監督署から「勧告と指導」を受けて147人に1861万円余が支払われました。これは一人当たり12万6655円に及びます。労働基準法違反のあってはならないことであります。
 医療局長は、未払いとなった看護師等に謝罪はしたのでしょうか。未払いの原因は何だったのでしょうか。誰がどう責任を取ったのでしょうか。示してください。

【医療局長】
 大船渡病院の超過勤務手当についてでありますが、超過勤務手当の追給にかかる原因については、調査の結果、勤務時間の終了後、看護記録や業務の連絡調整、書類整理などについて、短時間で行っている状況が多く確認されたところであり、超過勤務をした職員が、残務整理など短時間の業務について超過勤務を申告するまでもないという認識があった―などと聞いているところでございます。
 超過勤務につきましては、時間外に行った業務に対する手当は適切に支払うべきものと認識しており、改めて事前命令、事後確認の手続きの原則に基づき、時間外に行った超過勤務の確実な申告、休憩時間の確保、勤務開始前および勤務終了後の打刻の徹底など、病院内の経営会議や各部門の会議など、様々な機会で重ねて周知徹底してきたところであります。
 引き続き職員の理解と共感を得ながら、働きやすい職場環境づくりに向けて取り組んでまいります。

【斉藤議員】
 あまりにも反省がない。責任感がない驚くべき答弁ですよ。だから宮古病院でも磐井病院でも、労働基準監督署から勧告と指導を受けると。相次いでいるじゃないですか。
 この問題はなぜ起こったか。大船渡病院の看護師さんが組合の支部に声を集めて、「超過勤務の申請が受け付けられない」と、こう言って始まったんですよ。私は何度もこの場でリアルに紹介してきた。
 「院長名で超過勤務を正しく申請するように通達が出されても、職場の雰囲気が許さない」「総看護師長に『コーディネーターだから超過勤務を書かないで』と言われる」「『超過勤務になる』と伝えると、『何が残っているのか。時間管理がなっていない』と総看護師長に追い回される」
 「申請しようとすれば攻め立てられ、超過勤務の申請をせずに打刻して業務を行っていれば、いつまで残業しても何も言われない」「休憩時間の超過勤務は申請されていません。それは労働基準法違反だからです」。看護科に超過勤務申請ができなかったから、病院長はどういう手をとったか。「事務局に超過勤務を申請してください」と、こういうことまで言ったんですよ。そういう実態、私もここで言っているけれど、あなたの耳は左から右に通るだけじゃないですか。謝罪していないんですね。1800万円の不払い、責任はどこにあったんですか。

【医療局長】
 私の責任といたしましては、いずれ働きやすい職場環境づくりの取り組みを進めていくというところにあると思っております。勤務時間の適正な管理につきまして、全病院の院長や総看護師長が出席する会議の場や個別の病院訪問など、あらゆる機会を通じて周知を図ってきたところでございます。
 引き続き、職員の理解と共感しながら、働きやすい職場環境づくりの取り組みを進めてまいりたいと考えております。

【斉藤議員】
 謝罪も反省もなしで働きやすい職場なんかできるわけないでしょう。だから繰り返し労働基準監督署から勧告・指導を受けるんですよ。厳しく指摘します。その姿勢では駄目だと。



3、大船渡市大規模林野火災の復旧・復興の現状と課題について

(1)住宅再建について

【斉藤議員】
 第三に、大船渡市大規模林野火災の復旧復興の課題について質問いたします。
 2月26日に発生した大規模林野火災は、約3370haが延焼する平成以降で最大の林野火災となりました。4月7日に鎮火宣言が出されました。県内の消防とともに15都道県から26645人の緊急消防援助隊の昼夜を分かたずの消火活動に心からの敬意と感謝を申し上げます。死者1名、家屋被害は226棟、うち住家が90棟で全壊が54棟、非住家は136棟で全壊が121棟でありました。
 強風の中で急速に延焼が広がる中、最大4310人の方々が短時間のうちに避難されたことは、東日本大震災の教訓が生かされたものでありました。
 被災者の暮らしの再建の現状と課題について質問します。コンクリートの土台に屋根瓦、木造の建設型の立派な応急仮設住宅が2か所に33戸分整備され、26世帯が入居されています。みなし仮設住宅を含めて家電6点セットとエアコンも設置をされました。
 被災者の住宅再建への支援はどうなっているでしょうか。住宅再建のためには、被災家屋の解体撤去が必要ですが、公費解体の進捗状況と住宅再建の見通しを示してください。

【復興防災部長】
 被災家屋の公費解体の状況についてでありますが、大船渡市に確認したところ、9月10日現在、申請棟数220棟のうち、着手済みが112棟で完了が30棟となっておりまして、市では12月末の完了を目指しております。
 住宅再建に向けましては、被災者生活再建支援金の対象となる55世帯のうち、基礎支援金は52世帯、加算支援金は2世帯が支給済みとなっています。
 義援金の配分につきましては、例えば、全壊世帯には1800万円が支給されるほか、震災との二重被災等の状況に応じた加算も行われております。
 また、今議会に提案した補正予算案には、被災住宅が土砂災害特別警戒区域内にあって、区域外に移転して再建する場合の費用として、1件当たり最大518万5000円、さらに区域全体で移転する場合には上乗せして最大435万円補助できるよう、必要な経費を盛り込んだところであります。
 これまで県では、市や関係機関と連携し、被災者向けに各種支援制度説明会を開催してきたところでありますが、今後も被災者ニーズ等を踏まえた相談会を継続的に開催していくこととしております。
 引き続き、市・関係機関等と連携し、被災者一人ひとりの状況に応じた対応を進めてまいります。

(2)漁業の復旧について

【斉藤議員】
 被害の大きかった漁業の復旧について、綾里漁協の倉庫と定置網の復旧への支援と見通し、ワカメ養殖漁業者の養殖機材等と漁業用倉庫への支援と再建の見通しを示してください。               

【農林水産部長】
 漁協の定置漁業用倉庫については、県と市が連携して、国事業への上乗せ補助により再整備するほか、定置網については、漁協が水産会社などから網を借りて早期に水揚げを再開するとともに、国事業を活用した新たな網の導入に向けて取り組んでおりまして、倉庫と合わせて年度内の復旧を目指しています。
 国事業の対象とならないワカメなどの養殖用機器等については、県独自に再整備に要する経費への補助を措置しておりまして、来年3月のワカメの収穫期までの復旧を目指しています。
 漁業用倉庫につきましては、市が独自に復旧に要する経費への補助を措置しておりまして、県では、市の事業の活用を促すなど、国、県、市が連携してきめ細かな支援に努めております。
 今般の林野火災の被害を受けた漁業者等の多くは、東日本大震災津波との二重被災となりますことから、今後も被災した漁業者等の声を丁寧に伺いながら、漁業の再開に向けて支援してまいります。

(3)森林の復旧について

【斉藤議員】
 林地の再生と森林災害復旧事業について、人工林1700haが復旧事業の対象となると思いますが、森林災害復旧事業の計画面積と事業費はどうなっているでしょうか。今後の見通しを含めて示してください。
 土地所有者からは、造林後の下刈りや間伐など長期にわたる維持管理費への不安の声が寄せられています。これまでの釜石山林火災等の例を踏まえて支援策をどう検討しているか示してください。

【農林水産部長】
 県では、大船渡市と調整し、被害木の伐採搬出と伐採跡地の造林の合計で約240ヘクタール、事業費約8億円とする計画を国に提出しまして、7月の災害査定において計画通り全て認められたところです。
 現在、被害調査の取りまとめを行っておりまして、今後、森林所有者の意向確認を進めて、順次面積を追加し、その都度、国の災害査定を受け、年内に面積・事業費とも確定する予定となっております。
 市が行った地域説明会で出された費用負担に関する意見につきましては、県では、市・国・関係団体等と設置した「大船渡市林地再生対策協議会」におきまして、森林所有者の負担軽減などの具体的な検討を行うこととしています。
 議員から紹介がありました釜石市の林野火災における負担軽減の取り組みも参考としながら、被災した森林の復旧が円滑に進むよう、関係機関・団体と一体となって取り組んでまいります。

【斉藤議員】
 ぜひよろしくお願いしたい。最大規模の森林火災でありましたから、全国のモデルとなるような災害復旧に取り組んでいただきたい。


4、県立南昌みらい高校の新体育館整備問題について

(1)工事中止になった経過と理由について

【斉藤議員】
 第四に、県立南昌みらい高校の新体育館整備問題について質問いたします。
 この問題は、今年4月、盛岡南高校と不来方高校の統合によって県内最大規模の統合新設校が設置されることに伴い、県教委と矢巾町が、文科省が提唱している「共創プロジェクト」によって新体育館を整備しようとしてきたものであります。2021年12月13日に検討委員会の協議を始め、2年半余の協議を行い、住民説明会も行って、最終的な実施設計図面を県教委と矢巾町とで確認したうえで、2024年5月30日に、「盛岡地区新設高等学校における屋内運動場の整備等にかかる覚書」を県教育長と矢巾町長の間で調印したものであります。
 2026年3月までに整備することをめざし、建築工事の請負契約議案が、昨年9月県議会に提出され、10月8日の文教委員会で審議をされました。「共創プロジェクト」で整備する新しい内容について、十分な説明と資料が示されずに継続審議となり、10月24日に再び文教委員会で審議されました。その際には、これまでの協議内容、協定書で確認されるべき内容が整理された説明資料が提出され、議決されました。25日の県議会本会議で全会一致で議決されたものであります。
 請負契約は正式に締結され工事が着工されました。ところが、10月31日、県教育長が矢巾町長に報告に行った際に「ゼロベースでの検討申し入れ」があり、11月1日には「工事現場への立ち入り中止」のメールが届き、11月8日に工事が中止され、12月25日には工事契約の解除がなされる事になりました。
 教育長に質問します。新体育館の建設工事が中止、契約解除となった経過と理由について示してください。

【教育長】
 南昌みらい高校新体育館につきましては、不来方高校と盛岡南高校の統合に伴い、体育館が不足するという県の課題と、既存の体育館の稼働率が高いことや、ハンドボールコート公式サイズを確保できる体育館がないという矢巾町の課題を解決するために、文部科学省が提唱する「共創」という基本理念のもと、県と矢巾町の双方の費用負担により整備することとしたものであります。
 議員ご案内の通り、新体育館の整備に当たっては、令和3年12月に県教育委員会、矢巾町、盛岡南高校、不来方高校で構成する検討委員会を立ち上げ、その後、2年半余りの協議を行い、設計業者も交えて情報共有した上で、最終的な実施設計図面を令和6年4月に確定し、令和6年5月30日付で、経費の負担割合を県2、町1とする旨の覚書の締結に至ったものであります。
 また、令和5年7月から令和6年7月にかけて、町と共同で5回にわたる住民説明会を実施したところです。
 令和6年9月県議会において、工事請負契約議案の議決をいただき、同年10月25日、建築工事請負契約を締結したところでしたが、10月31日に私が矢巾町長に面会した際、町長から「ゼロベースでの検討の申し入れ」があり、翌11月1日には町側から、協議が進む前に工事現場への立ち入りや施工は行わないよう連絡があったことから、やむを得ず11月8日に工事を中止することにしたものであります。
 事態の打開を図るため、町との間で文書のやり取りや関係課長らによる協議、12月17日には再度私が町長と面会するなど、覚書に基づき、整備を進めたい旨を繰り返し主張してきましたが、町からは「建築費用を負担しない」など、覚書の趣旨と異なる主張がなされ、工事着工の見通しが立たないことから、12月25日付で工事契約の解除に至ったものであります。

【斉藤議員】
 県教委と矢巾町という、お互い公共団体同士で2年半協議して、様々な課題を詰めて、確認をしながら、契約と同等の覚書を結んだと。工事着工した途端に「ゼロベース」だと。これは本当にあり得ない話、ちゃぶ台返しですよ。本当にこれはもう許されない事態だと私は思います。

(2)町議会の請願不採択を踏まえた対応方針について

【斉藤議員】
 そこで、「南昌みらい高校新体育館の早期建設を求める請願署名」が町民の有志によって取り組まれ、2766筆の署名が矢巾町長あてに提出されるとともに、矢巾町議会に同趣旨の請願が提出されました。残念ながら、9月19日の町議会本会議でこの請願が不採択となりました。この状況を踏まえて今後の県教委の対応方針を示してください。

【教育長】
 議員ご案内の通り、矢巾町議会におきまして今般、「南昌みらい高校新体育館の早期建設を求める請願」が不採択となったことを考えますと、覚書に基づく新体育館の整備は困難になったものと考えております。
 県教育委員会としましては、体育の授業や部活動で旧盛岡南高校までバス移動している生徒の負担を考慮しますと、早期に新体育館を整備する必要があり、学校敷地内に県単独で整備する方向で検討を進めたいというふうに考えてございます。

【斉藤議員】
 新たに県教委独自で体育館を建設するとすればどれだけ期間がかかりますか。

【教育長】
 まだこれから設計等、設計にかかる予算も措置しているわけではございませんので、明確な答えはできないわけですが、やはり数年はかかるものでございます。

【斉藤議員】
 数年はかかるということで、県内最大規模の南昌みらい高校は体育館が足りないので、旧南高校の体育館を授業でも部活動でも使っている。大型バスをそれで何度も移送してるという、これが数年間も続くという、こういうことを本当に放置していいのかっていうのが問われているのではないかと。これは矢巾町次第でありますけれども、私は覚書に立ち返って、何らかの形で体育館を整備するのが一番早道ではないのかと考えます。

(3)損害賠償請求について

【斉藤議員】
 これまでの経費、設計費用、建設事業者の損害賠償請求額はどうなっているでしょうか。覚書は契約と同等の法的根拠を持つものであります。矢巾町に損害賠償請求をすべきと思いますがどう検討されているでしょうか。

【教育長】
 南昌みらい高校の新体育館の整備に向けまして、これまでかかった経費としては、設計委託料の9846万6500円がありまして、既に業者に支払済みです。
 また、建築工事、電気設備工事および機械設備工事につきましては、工事契約解除までの期間に要した費用の実費分と、契約解除によって得ることができなくなった遺失利益分について、損害賠償金として工事請負業者に支払うこととし、調整を進めているところです。
 契約解除となった経過と理由につきましては先ほどご答弁申し上げた通りでございまして、矢巾町から覚書の趣旨と異なる主張がなされたことに起因しているものと考えております。
 県単独で新体育館を整備するには、新たに設計が必要となることから、県教育委員会としましては、支払い済みの設計委託料はもとより、工事請負業者の損害賠償金につきましても、矢巾町に負担を求めていく考えであります。

【斉藤議員】
 設計委託料だけで9846万円余、おそらく請負事業者、損害賠償額は数千万なるのではないかと思います。
 私は契約違反の結果はこういう重いものだと、このことをしっかりと矢巾町は受け止めていただきたいと思います。


5、上司のパワハラによる県職員の自死問題と今後の課題について

(1)議長からの申し入れに対する回答について

【斉藤議員】
 第五に、上司のパワハラによる20代の県職員の自死問題について質問いたします。
 6月議会で遺族からの請求により9674万円の損害賠償を支払う議案が可決されました。
 知事に質問します。この県職員の自死事件は2020年4月に発生したものでしたが、ご遺族の強いご意向で公表されてきませんでした。私が昨年10月15日、総務部の決算審議で、県のパワハラの相談件数とパワハラが認定された件数を質問した際、人事課総括課長の答弁では、「2020年度以降、18件の相談があり、パワハラと認定されたものはゼロ」と答弁がありました。まさにこれは事件の隠ぺいではなかったでしょうか。県議会議長名で「パワハラ事案への対応と再発防止に関する申し入れ」を知事に行いました。対応の検証と再発防止策について示してください。

【達増知事】
 本事案における県の対応の検証と再発防止策についてでありますが、今年度公表を行った令和2年度のパワハラによる職員自死事案については、ご遺族の意向を踏まえた対応を図る中で、昨年度まで事案そのものを非公表としておりましたが、匿名にすることをご遺族に丁寧に説明すればその時点で公表することができた可能性もあったと考えております。
 県議会に対して、誠実かつ的確な説明や答弁に努めることは、そのチェック機能が十分に発揮される上で不可欠であるほか、公務全体の信用を失墜させないためにも重要であります。
 パワハラによる懲戒処分事案については、昨年度までの対応を改めることとし、例外なく、議会への報告や公表を行ってまいります。
 また、再発防止策には不断の見直しが欠かせないものであり、今月からハラスメントに関する相談窓口を総務部人事課だけではなく、それぞれの部局や広域振興局にも拡充するとともに、今後、全ての階層の職員研修にハラスメント対策を盛り込むなど、さらなる対策の強化を進めてまいります。

(2)パワハラと職場の問題について

【斉藤議員】
 上司のパワーハラスメントは本当に異常で悪質なものでありました。若い県職員をわずか2週間の間で自死にまで追い込む叱責と暴言です。自死直前には、30分間にわたって机の前に立たせたまま、叱責と暴言が繰り返されました。若い県職員が自死した後も同じ職場の職員に対しパワハラと疑われる行為が行われました。さらにこの上司は前の職場でもパワハラ行為があったことが確認されています。この上司のパワハラの悪質性と常習性をどう認識しているでしょうか。上司も周りの職員も異常なパワハラを告発し、止めることができなかった職場の問題をどう受け止めているでしょうか。

【総務部長】
 パワハラは、職員個人の尊厳や人格を不当に傷つけるなど、人権に関わる許されない行為であると認識しております。
 本事案の主な原因としては、加害職員とその上司のハラスメントへの認識が不足していたほか、相談体制が結果的に不十分であったためと考えております。
 そのため、ハラスメントの防止等に関する基本方針を策定し、ハラスメントに関する相談窓口を設置したほか、所属長のハラスメントへの対応を部下が匿名で評価する体制を構築するなど、再発防止策を講じてきており、今般、その相談窓口の拡充も実施させていただいたところです。

【斉藤議員】
 少し説得力のない答弁でしたね。

(3)求償権の行使について

【斉藤議員】
 ふるさと振興部は7月28日、加害職員への求償権の行使を決定し、8月29日の職員賠償責任等審査委員会で「求償権の行使が適当」と決定されました。求償権行使の経過と理由、損害賠償額の2割とした根拠を示してください。

【ふるさと振興部長】
 求償権行使の経過についてでありますが、担当部局であるふるさと振興部において、求償権行使について意思決定後、総務部に報告を行い、総務部が開催する「職員賠償責任等審査委員会」で「求償権の行使が適当」と決定され、加害職員に対しては、9月11日に文書により求償権行使の内容等について伝達しているものであります。
 また、求償権行使の理由でありますが、加害職員は前所属において、部下職員への指導方法について複数の上司から指導を受けたにも関わらず、指導方法を改善せず、異動後の所属においてもパワハラ行為を繰り返したこと、また、周囲の職員が気づくほど明らかであった被害職員の体調変化を見落とし業務量の調整や指導方法の改善をせず、部下職員の心身の健康に注意すべき安全配慮義務を欠いたこと、これらの点を踏まえ、加害職員はわずかな注意をすれば被害職員の精神疾患の発症を予見可能であったが、何ら回避措置をとらなかったと考えられ、少なくとも重過失を認め、国家賠償法第1条第2項の求償権の行使を決定したものであります。
 求償割合につきましては、県の顧問弁護士の助言を参考とし、加害職員の過去のパワハラ行為等が担当部局に伝達されなかった等の組織的責任も勘案しながら、他の事例の暴行を加えたパワハラ事件において、個人の過失を3割とした判例があり、今回の事件に関しては、暴力行為はなかったこと、また、一般的な損害賠償において、県の制度上、軽過失であっても職員の年収1年分、今回の損害賠償額の1割程度まで賠償責任を負わせることもあることを考慮し、重過失以上の行為職員に対する求償権は、これを上回ることが適当であることから、2割の求償額が妥当としたものであります

【斉藤議員】
 速やかに6月議会で賠償額が議決され、そして9月議会前に求償権の行使を決定したと。これは評価をしたいと思います。
 重大なのは、今の報告の中で触れられませんでしたが、加害職員の求償割合については、「前所属でのパワハラ行為等について、人事担当部局への伝達が行われなかった等の組織的責任を6割と勘案した」と。ここすごく重要だと思うんですよ。この元上司は、前の職場でもパワハラ行為を行っていた。これは事件後の調査で明らかになったことなんです。それが人事異動のときに何も伝わらなかった。この責任が6割あると。やっぱりここの問題を県庁の組織としては、もっと深く解明する必要があるのではないかと思いますがいかがですか。

【総務部長】
 ご指摘の点につきまして6月議会でもご答弁申し上げましたけれども、人事課として把握できていなかったものでありますが、しっかり把握できるように見直しを図っていきたいと思っております。

【斉藤議員】
 本当に深い検証をされたという感じがしないんですよね。
 実は不来方高校の自死事件というのも同じ構図なんですよ。前任校の盛岡一高事件で顧問教師が同じような叱責、暴言までやっていた。ところが人事異動で不来方高校に異動したときに、全然それが伝わらなかったんですよ。同じことじゃないですかこれだったら。
 本当にパワハラ行為というのは許されないことだということが、本当にこれ幹部職員にも職員にも浸透していない。このことを深刻に私は受けとめるべきだというふうに思います。

(4)パワハラの相談件数について

【斉藤議員】
 そこで、パワハラの相談件数は2020年度以降、今年度の9月1日までに38件となっていますが、パワハラ認定はゼロとなっています。相談件数が少ないこと、パワハラの認定が機械的で厳しすぎるという問題があると思いますが、これだったら誰も信頼して相談しないのではないでしょうか。相談しても認定ゼロですよ。これだったら本当に心寄せて相談しますか。
 もう一つ、実はゼロじゃないんですよ。今回の自死事件、前の職場のパワハラ、そしてこの自死事件が起こった職場の別の職員へのパワハラ疑い。疑いなんていうものじゃない。これはパワハラと認定しておかしくない事件だと思うけれども、なんでこれはカウントされないんですか。
 この2点について、答弁を求めます。

【総務部長】
 パワハラに関する相談につきましては、相談窓口を設置した令和2年度から昨年度までに29件寄せられておりまして、厳密なパワハラの要件には該当せずとも、パワハラ的な行為であっても行われるべきではないため、それぞれ調査を行うなどした上で、必要に応じて注意や指導を行っております。
 また、相談窓口の積極的な利用を呼びかけた結果、相談窓口を設置した令和2年度は2件であった相談件数が、今年度は先月末までの半年間で9件に上っております。
 今月からは相談窓口の拡充を行っておりますので、さらに相談が寄せられることも見込んでおりまして、必要に応じて躊躇なく相談窓口を利用するよう呼びかけてまいりたいと考えております。
 当該事案につきましては、この相談窓口の対象とはなっておりませんでしたので、含まれてはいなかったというものでございます。

【斉藤議員】
 相談されたものでないから入れてないって、認定してるんだからパワハラと。私は本当にこれまで38件の相談そのものが全く少ないと思うけれど、相談しても認定されない。ところが対応状況を見ると、「調査の結果、行為者に対し所属長から注意」と。注意するだけの行為があったということでしょう。アリバイ的に注意しているだけじゃないですかこれだったら。パワハラの認定というのはイコール懲戒処分の調査じゃないと思うんですよ。これ切り離すべきです。パワハラがあれば、それが1回でも複数回であっても、パワハラとして認定すると。これは国際ルールですよ。そういうふうにきちんと認定するものは認定して、是正をする。懲戒処分は懲戒処分で独自の調査をしなきゃ駄目なんですから、そこを分けてやるべきだというふうに思います。

(5)パワハラの実態調査について

【斉藤議員】
 あわせて、これは最後は知事に聞きましょう。
 パワハラの実態調査を全職員対象に実施すべきと考えます。今県がやっているマネジメント調査は部分的で曖昧です。今度の上司のパワハラ自死事件のこの上司は、マネジメント調査の対象にならないんですよ。なってないんですよ。
 いじめと同じで、いま本当に職員の最も切実な課題の一つがパワハラだと思います。
 私にも相談がありました。そして、これは表に出さないでということでしたから、出しませんが、昨年入職した優秀な新入職員が、諦めて途中で退職しましたよ。こういうケースがたくさんあるんだと思うんです。表に出ないのが。だからそういう点では、この際この事件を契機に、やっぱりこのパワハラの全庁調査を毎年定期的にやって、それを検証して、それを今後の対策に生かすということが必要だと思いますが、知事いかがでしょうか。

【達増知事】
 問題になっている事案のこの前所属における行為についても、加害職員とその上司のハラスメントへの認識が不足していたということ、そして相談体制が不十分であったということから、発生していたと思われます。そして本事案に関しても、この加害職員とその上司のハラスメントへの認識が不足していたほか、相談体制が結果的に不十分であったということで、このハラスメントへの認識については、やはり今回相談体制については大きく改善されたと考えておりますけれども、この認識不足の点については、私も憂慮する部分がありますので、パワハラの実態調査、全職員、県組織を挙げてこのパワハラということについて、それぞれ自分の頭で考えて、そして共通の認識を持つことができ、そして今後このパワーハラスメントへの認識不足ということがないようにするため、さらに踏み込んだ対応をしていきたいと思います。

【斉藤議員】
 本当にこの事件を最後にするぐらいの気持ちで対応していただきたい。
 県教委は、岩手モデル=TUBASAモデルを様々な議論をやって作りました。そのぐらいのことが県庁全体にも必要だと思います。


6、上司のパワハラによる警察官の自死問題について

(1)「本部長注意」という対応について

【斉藤議員】
 第六に、2019年1月28日に発生した上司のパワハラによる22歳の警察官が自死した事件について、「本部長注意」という懲戒処分にもならない軽すぎる対応について公安委員長に質問します。
 このパワハラ自死事件は、県警本部の内部調査で、「パワハラが自死の一因であることは否定できないものの、自死の唯一の原因を特定できない」として、わずか2カ月後の3月25日に「本部長注意」の懲戒処分にあたらない対応といたしました。
 「上司のパワハラが自死の一因で自死した」とするなら、「本部長注意」ではなく、免職もしくは停職等の懲戒処分とすべきだったのではないでしょうか。

【公安委員長】
県警察の当時の処分についてでありますが、本年2月定例会の際に、村井前委員長が答弁いたしたように、当委員会では、県公安委員会として、検証の要否を含めて改めて確認をいたしております。
本事案については、非違事案行為の結果は重大でありますが、結果のみならず、非違行為の動機、態様等、個別具体的な事実関係、事情、当時の懲戒処分の指針にパワー・ハラスメントに関する基準がなかったこと、先例は、当時いずれも監督上の措置であったこと―を総合的に考慮して、懲戒処分ではなく、監督上の措置を選択したことは、やむを得なかったと判断しております。

【斉藤議員】
 あまりにもお粗末な答弁でした。

(2)処分の妥当性について

【斉藤議員】
 この事件はその後、2020年12月、遺族が公務災害を申請して「公務と精神疾患の発症に相当の因果関係が認められる」と認定されました。さらに2022年7月に、遺族は損害賠償請求を行い、2023年12月県議会で8310万円の損害賠償の支払いが議決されました。県警本部は2024年6月30日、退職した元上司の巡査部長に対し、「重大な過失があった」として、損害賠償額の2割を求償する審査請求を職員賠償責任等審査会に行い、11月に損害賠償額の2割、1662万円余の求償権行使が適当との決定がなされました。12月に支払いを求め支払いを受けました。
 この間の経過を見れば、上司によるパワハラ自死事件は、「本部長注意」で済まされるべき問題ではなかったのではないでしょうか。重大な過失があったと県警が認めているんですよ。求償権まで発動しているんですよ。市民の感覚で答えてください。

【公安委員長】
 処分後の経過を踏まえた「本部長注意」という処分の妥当性についてでありますが、先ほどの答弁で申し上げたように、当委員会においては、当該事案や県警察の求償権の行使を含めた措置状況について改めて確認しており、その結果についても、繰り返しとなりますが、本事案については、懲戒処分ではなく、監督上の措置を選択したことはやむを得なかったものと県公安委員会としては判断しております。

【斉藤議員】
 その公安委員会の判断を私は問うてるのですよ。

(3)社会通念に照らした処分の妥当性について

【斉藤議員】
 2月27日の私の一般質問に対し、村井公安委員長は「懲戒処分ではなく監督上の措置を選択したことはやむを得なかった。つまり、県警察の裁量権の行使に基づく措置という処理が、社会通念上、著しく妥当を欠き裁量権を乱用したとは認められないと判断した」と答弁しました。公務災害が認定され、8310万円の損害賠償金を支払い、重大な過失があったとして上司に対して県警自身が1662万円余の求償権を行使した事件です。「本部長注意」という処分もしない対応は、「社会通念上妥当を欠くもの」ではないでしょうか。
 県民はこんなあなた方の答弁は納得しませんよ。「社会通念上これが認められる」と。社会通念上というのは、市民の感覚で、常識で見た場合なんです。常識で見ても、22歳の若い警察官が8ヶ月叱責・暴言、それで苦しめた。自死に追いやった。それも「本部長注意」で済むと思いますか。答えてください。

【公安委員長】
 当時の処分の妥当性についてでありますが、当委員会といたしましては、昨年2月の県議会での「検証すべきである」というご意見を受けて、その後に改めて県公安委員会として確認しているところでございます。
 当時の県警察による調査は、複数回、裏付けも含めてできるだけの調査を行っており、それに異論はなく、非違事案の動機、態様等、個別具体的な事実関係、事情等を総合的に考慮すれば、監督上の措置を選択したことはやむを得ないと判断しております。
 一方で、本県の若い警察官が、上司によるパワー・ハラスメント行為を受けて、その後命を自ら絶たせてしまったことにつきましては、公安委員長として、極めて残念に感じているところであり、引き続き、県警察を適切に管理指導してまいりたい、そう思っております。

【斉藤議員】
 今の答弁は公安委員会に対する県民の信頼を裏切るものです。
 もう一つ私問題提起しますけれど、さっき私が取り上げた県職員のパワハラ自死事件です。4月に事件が発生して、調査を開始したのは6月以降です。自死事件という深刻な事件が起きたときに遺族がどういう状況かわかりますか。警察は、自死事件が起こった1月以降2ヶ月で調査しているんですよ。おかしいんですよそんな調査は。遺族が心の整理もできないような状況で調査をした。だから遺族は後から公務災害の申請をして損害賠償もやったんですよ。こんな調査で、たった2ヶ月後に、若い警察官死んでいるのに「本部長注意」なんて、こんな調査がまともだと思いますか。

【公安委員長】
 県警察の当時の調査についてでありますが、当該事案については、関係する対象者が限られており、その対象者は十数名で、かつこれを十数名の職員で調査しており、この職員らはいずれも幹部職員で捜査能力に長けたものでありました。
 また、その調査方法についても、各人、複数回の聴取をするなどしているほか、聴取で得られた情報の裏付けも一つ一つ行っており、その調査は、通り一遍のものではない、十分なものであったと判断しております。

【斉藤議員】
 私の質問にまともに答えられませんでしたね。事件直後の2ヶ月で調査することがどういうことなのか。遺族に思いやって調査したのか。おかしいでしょう。1人死んでいるときに、時間をかけて丁寧に調査するっていうのが当たり前です。厳しく処分するならともかく、懲戒処分にもならないことをやった。

(4)再検証について

【斉藤議員】
 最後に県警本部長に、残念ながら公安委員会が県警察をしっかり管理する、市民の立場で管理することができない。この事件は、第三者による再検証をやるべきじゃないですか。

【警察本部長】
 当時の調査および再検証についてでございますが、まず、調査の関係を申し上げますと、調査については内部調査ではなくて、本部の独立した警務課と非違事案の調査を専門的に行う監察課が所属の影響を受けることなく、行為者である上司をはじめ、交番所長や同僚等関係職員からも広く聴取をし、また、亡くなった職員の状況等についてもご遺族の協力を得て確認をしているところでございます。
 また、短い期間という御指摘につきましては、調査すべき範囲が限定されていたことから、適切な期間で行われたものでございまして、当時の調査を丁寧かつ必要十分であったものと考えているところでございます。
 続いて、第三者機関による検証の必要性ということでございますが、警察行政におきましては、公安委員会制度が置かれているところ、この公安委員会制度は、国民や県民の良識を代表する者が警察を管理することによって、警察行政の民主的管理と政治的中立性を確保しようとするものでございまして、公安委員会が警察とは独立した合議制の執行機関として設置されているものとなります。
 また、県公安委員会は警察法において、県警察を管理するとされておりまして、まさにこのことにより、県公安委員会が第三者機関的な機能を果たしているところでございます。

【斉藤議員】
 公安委員会に聞いているんだから、公安委員会の弁解をあなたがしてもどうしようもないじゃないですか。
 率直に言いますが、パワハラで若い警察官が亡くなった直後の2ヶ月に調査すること自身がナンセンスなんだと。遺族の心に寄り添うことは一つもないじゃないですか。そういうことを一つ公安委員会も検証してください。公安委員会が県警本部の言うことを何でも認めたら意味ないんですよ。
 市民の目線で、市民が納得するような、しっかりした対応をしてください。


7、いわて花巻空港へのオスプレイの緊急着陸問題と特定利用空港指定問題について

(1)オスプレイの緊急着陸問題について

【斉藤議員】
 第七に、いわて花巻空港へのオスプレイ緊急着陸問題と特定利用空港指定問題について知事に質問します。
 今年の7月24日9時50分ごろ、米空軍横田基地所属の輸送機オスプレイCV−22が、いわて花巻空港に緊急着陸しました。「飛行中に警告灯が点灯したため予防着陸した」とのことでした。実は6日前の7月18日には秋田県大館能代空港に同じオスプレイが緊急着陸していました。1週間に2度も緊急着陸することは異常なことであります。2023年11月29日には、訓練中の同じ米空軍横田基地所属のCV-22オスプレイが緊急着陸を繰り返した挙句に、鹿児島県屋久島東側の沖合で墜落事故を起こし、乗員8人全員が死亡しています。
 7月25日に、党県委員会と県議団は達増知事あてに緊急の申し入れを行いました。そこでお聞きします。オスプレイが緊急着陸した原因は究明されているのでしょうか。原因が明らかになるまではオスプレイの飛行を中止するよう求めるべきと思いますがどう対応しているでしょうか。

【達増知事】
 これまで県では、米軍のオスプレイの飛行による県民等の不安の払拭のため、東北防衛局に対し、オスプレイの飛行ルートなど具体的な飛行内容等を事前に明らかにすることなどを繰り返し要請してまいりました。
 こうした中で、7月24日に具体的な飛行ルートが明らかにされないまま米軍のオスプレイ1機が本県上空を飛行し、花巻空港に緊急着陸する事案が発生しました。
 本県での事案は、同月18日の秋田県での事案に続くものであり、短期間のうちに北東北エリアにおいて、複数の事案が発生したことは、県民に大きな不安を与えたものと考えております。
 このため、花巻空港等への緊急着陸事案の原因の情報提供、さらに、オスプレイの故障の再発防止と安全確保の徹底、オスプレイの飛行日時や飛行ルート等の事前の明示などについて米軍に求めるよう、7月31日に改めて東北防衛局に対し、文書により要請するとともに、米軍から情報提供等があった場合には、速やかに説明するよう求めたところであります。
 県民の生命、健康、財産等に影響を及ぼすことがないよう、県民の安全を最優先に対応してまいります。

【斉藤議員】
 いま防衛局には申し入れを行ったと。回答はあったんですか。

【復興防災部長】
 オスプレイが緊急着陸した原因ということでありますけれども、東北防衛局に確認をしておりますが、「米軍に対し、本県から要請があったことは伝達しているが、米軍からの情報提供はない」という回答となっております。ということで緊急着陸の原因はまだ不明ということでありますが、引き続き東北防衛局に対しては確認を行っていきたいというふうに考えております。

【斉藤議員】
 極めて問題ですよね。1週間の間に2度も緊急着陸をした。その原因を求められても答えない。こういうアメリカの米軍空軍、それに全くものが言えない日本の防衛省、これで日本の安全なんか守れないですよ。
 それでもう一つ、原因が明らかにならないときは、オスプレイの飛行の中止を求めるべきですが、これはやられてますか。

【復興防災部長】
 知事から先ほどご答弁申し上げました東北防衛局への要請におきまして、米軍に対し、オスプレイの故障の再発防止と安全確保を徹底するよう求めたところであります。
 先ほど知事からご答弁申し上げました通り、今後も必要な要請や情報収集などを行いまして、県民の生命、健康、財産等に影響を及ぼすことがないよう対応してまいりたいというふうに考えております。

【斉藤議員】
 本当に米空軍っていうのは国民を無視している。防衛省はそれにものが言えない。本当にこの屈従的な関係、本当にこれは許されないと思います。

(2)特定利用空港・港湾の指定について

【斉藤議員】
 5月30日には、国から県に対し、いわて花巻空港を「特定利用空港・港湾」に指定したい旨の説明がありました。「特定利用空港・港湾」とは、2022年12月閣議決定された「安保3文書」で明記されたものであります。「国家安全保障戦略」では、「有事も念頭に置いた我が国国内での対応力の強化」「平素の訓練、有事の際の展開等を目的とした円滑な利用・配備のため」としているように、「戦争する国づくり」を国内全土で進めようとするものであります。すでに自衛隊だけではなく、日米共同訓練等で米軍も利用しているのが実態であります。
 知事に質問します。米軍基地が集中している沖縄県は、「特定利用空港・港湾」の指定に反対しています。岩手県もいわて花巻空港の軍事利用を許すことなく「特定利用空港・港湾」の指定に反対すべきと考えますが知事の答弁を求めます。

【達増知事】
 国が進める特定利用空港・港湾の取り組みは、自衛隊海上保安庁が平素から必要に応じて空港港湾を円滑に利用できるよう、国とインフラ管理者との間で円滑な利用に関する枠組みを設けるものとされており、国とインフラ管理者との間において、連絡調整体制を構築し、円滑な利用に関する具体的な運用のための意見交換を行うものとされています。
 令和7年5月30日に、国から岩手花巻空港を特定利用空港に指定したい旨の説明を受けましたが、県内港湾については、指定の意向は示されておりません。
 特定利用空港については、沖縄県が管理する空港の指定が進んでいないことを報道で把握しておりますが、本年8月に新たに地方管理空港である青森空港および山口宇部空港と国管理空港である仙台空港の3空港が追加されたことにより、全国では14空港が指定されています。
 いわて花巻空港の特定利用空港の指定については、空港所在地である花巻市や空港関係者の意見も踏まえながら、空港管理者として対応を検討してまいります。

【斉藤議員】
 花巻空港は民間の空港ですから、これを軍事利用されないように。実際に指定されてるところは、日米共同訓練で、自衛隊だけではなくて米軍も自由に使う。本当にこれは軍港になっちゃうんですよ。
 いま知事答弁が、沖縄県の例も含めて、そして地元花巻市の意向も含めて、花巻市長も反対していますから、慎重に対応するということでしたので、しっかり対応していただきたいと思います。

(3)大軍拡の推進について

【斉藤議員】
 アメリカ言いなりで、5年間で43兆円も投入する大軍拡に反対し、平和とくらしを守る政治こそ進めるべきと考えますが、知事の見解はいかがでしょうか。

【達増知事】
 防衛装備の増強については、我が国を取り巻く国際情勢を踏まえながらその根拠や必要性など、慎重な議論が必要であるものと考えます。
 特に現在は、食料品をはじめ生活に直結する物価高騰への対策や、国民の可処分所得の増加、地域経済の活性化などの喫緊の課題に対して、国民の暮らしや仕事を守る政策に財政的にも力を入れるべきと考えます。

【斉藤議員】
 全くその通りだと私は思います。
 実は今年の9月9日に、国連がこういう報告書を出しております。「世界の軍事支出は2024年に過去最高を記録し、2023年から9%以上急増するとともに、国連憲章の原則から危険なことに逸脱していることを示唆しています。エビデンスは明らかです。過剰な軍事支出は平和を保障しません。軍拡競争を助長し、不信を深め、安定の基盤そのものからリソースを転用することで往々にして平和を損なうのです」。報告書を公表するにあたりグテーレス国連事務総長はこのように述べました。「世界の軍事支出は昨年2.7兆ドル―これは本来、困った人の人類の未来にこそ使うべきだ」と。私も全くそのように思います。
 異常な軍拡が日本だけでなく世界でもやられている。特に日本は異常ですよ。この3年間で3.3兆円も軍事費を増やして、さらに年間1兆円ずつ増やしていく。どこに財源があるんですか。これだけの財源あったら、消費税減税とか、中小企業を守る対策とか、そういうところにこそ回すすべきだと、この点は知事と一致していますから、質問しません。


8、排外主義の台頭と多文化共生社会の実現について

(1)排外主義の台頭と多文化共生社会について

【斉藤議員】
 最後に、排外主義の台頭と多文化共生社会の実現について知事に質問します。
 7月の参議院選挙では、衆議院に続いて参議院でも自民党・公明党が過半数割れとなる国民の厳しい審判が下されました。これは自民党政治を変える前向きの変化であります。一方で、外国人に対する攻撃、排外主義が公然と主張される民主主義と人権を脅かす危険な逆流も生まれました。
 「外国人が生活保護の3割を占めている」「外国人が増えて治安が悪化している」「日本人の賃金が上がらないのは外国人のせい」などの言動は事実に基づかないデマであります。こうした排外主義の背景には、「失われた30年」のもと、新自由主義政策の破綻による貧困と格差の拡大、暮らしの困難があります。その原因はまさに大企業の利益優先、アメリカ言いなりの大軍拡の政治にこそあり、その転換こそ求められているものであります。しかし、暮らしの困難を外国人のせいにしてその規制を求めることは外国人への差別を助長し、民主主義と人権を破壊するものであります。
 知事に質問します。7月に開催された全国知事会では、青森宣言が採択されました。「排他主義、排外主義を否定し、多文化共生社会をめざす我々47人の知事がこの場につどい、対話の中で日本の未来を拓くふさわしい舞台となった」「民主政治を脅かす不確かで根拠のない情報から国民を守り、国民が正しい情報に基づいて政治に参画できるシステムの構築を求めていく」と宣言いたしました。排外主義の台頭に対する知事の認識と多文化共生社会を目指す知事の見解を求めます。

【達増知事】
 議員ご案内の令和7年7月、全国知事会「青森宣言」は、排他主義・排外主義を否定し、多文化共生社会の実現を目指し全国知事会として採択したものです。
 本県においても昨年度、全ての県民がお互いの国籍や言語・文化などの多様性を尊重し、多様な人材が育まれ、幸せに暮らすことができる岩手を実現するため、「岩手県多文化共生推進プラン(2025-2029)」を策定いたしました。
 外国人県民は、ともに地域づくりに取り組んでいく重要なパートナーであり、今後においても、国籍等に関わらず、岩手を支える人材の確保・定着を進め、外国人県民がより暮らしやすい地域づくりを推進してまいります。
 排他主義・排外主義は、地域社会の分断を招き、多文化共生の基盤を揺るがしかねないことから、正確な情報に基づいた冷静な議論を通じて、多様性と包摂性のある、誰もが安心して暮らせる社会を築いていく必要があると考えます。

【斉藤議員】
 全国知事会が機敏にこのような形で「排他主義・排外主義を許さない」と青森宣言を採択したことを高く評価をしたいと思います。参議院選挙の最中にも日本ペンクラブが「排外主義を許せない」という声明も出しました。いま、さまざまな市民団体が声を上げています。人権と民主主義を守れと。全国知事会が政府にも、各政党にも要請したんですけれども、外国人と私達は、ともに暮らし、ともに働き、ともに学ぶ―。そういう点では、同等に人権は保障されなくちゃならない。そのことが本当にいま求められてるんだと思います。
 そこで知事に追加してお聞きをしたい。実は、ある政党の新日本憲法構想案、「天皇は、いにしえより国をしらす(統治なさる)こと悠久であり」と。天皇主権を主張する憲法構想案を打ち出しました。「教育勅語を復活させる」―これも憲法草案に明記をしています。
 さらにこの政党は選挙戦で、男女共同参画に反対を主張しました。ジェンダー平等にも反対。これは戦前への回帰を目指す、時代の進歩に対する逆流ではないのかと思いますが、いかがでしょうか。

【達増知事】
 議員ご指摘の憲法案の内容については、詳しく存じ上げないところではありますけれども、まず、私といたしましても岩手県といたしましても、この日本国憲法の下、そこに定められた天皇の位置づけというものを尊重し、また、基本的人権、男女の平等ということも含めてそれを遵守しながら仕事をしているところであります。

【斉藤議員】
 今の排外主義というのは、戦前回帰を目指す極右主義と一体で台頭しているというのが特徴です。私たちは、こうした排外主義を絶対許さないと。
 戦前、日本共産党は激しい弾圧を受けました。治安維持法で最高刑は死刑ですよ。天皇制に反対すれば死刑だった。しかしそれは今そんなことは許されないでしょう。そういう戦前に回帰を目指すということは、私たちは絶対に許してはならないんだというふうに思います。

(2)多文化共生社会の実現について

【斉藤議員】
 日本の在留外国人は約370万人(24年末)、外国人労働者は230万人を超えています。県内の在留外国人数は11366人、前年比で1193人・11.7%増加しています。外国人労働者は7866人、前年比で784人・11%増加しています。人口減少が進むもとで、製造業、建設業、農林水産業、福祉など、多くの分野で外国人労働者が求められています。その際、「一緒に暮らし、一緒に働き、一緒に学ぶ」、外国人の人権が保障される多文化共生社会の実現が求められていると考えますが、そのための県政の課題と方針について示してください。

【ふるさと振興部長】
 議員ご指摘の通り、令和6年12月末現在の県内の在留外国人数は1万1366人。また、外国人労働者数は7866人と、いずれも過去最高となっており、外国人県民は、ともに地域づくりに取り組んでいく重要なパートナーであると認識しております。
 そのため、本年3月に策定いたしました「岩手県多文化共生推進プラン(2025-2029)」におきまして、外国人材等の受け入れ定着支援、国籍等に関わらずともに安心して生活できる地域づくり、多様性を理解・尊重する共通認識の醸成―などを課題として捉え、外国人留学生や特定技能外国人材等の地域産業を支える外国人材の県内での就職定着支援、ワンストップ相談窓口の機能充実や、やさしい日本語の積極的な普及、日本語学習支援が必要な児童生徒の受け入れ体制の充実等に取り組んでいるところであります。
 今後におきましても、これらの取り組みを通じて、外国人県民にとって暮らしやすく、お互いの文化的背景や考え方を理解し、地域社会を支える主体として、ともに生きる多文化共生社会の実現を目指してまいります。

【斉藤議員】
 私は、さまざまな震災復興その他の課題で、沿岸の水産加工会社を訪問して話を聞いてきました。水産加工会社は、本当に外国人労働者なしには成り立たない。そのために、外国人のための寮をつくって、Wi-Fiを整備して、そういう形で日本の労働者と同じような形で住居も様々な形で保障してやっている。こういうところは長続きしているんですよ。
 日本の国の政策は、安上がりの労働者を使うということですから、こういうことでは絶対ならないと。このことを最後に指摘をして終わります。