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《2008年11月29日》
憲法を活かす世界の人々―伊藤千尋氏が講演
平和憲法・9条を守る岩手の会が全県学習交流会


 11月29日、平和憲法・9条を守る岩手の会の第2回全県学習交流会を開かれ、県内各地の9条の会が会場いっぱいに参加し、私も参加しました。
 ジャーナリスト(朝日新聞記者)の伊藤千尋氏が「活憲の時代―憲法を活かす世界の人々」のテーマで講演しました。世界65カ国を現地取材してきた経験をリアルに報告しました。冒頭アフリカのカナリア諸島のテルデという都市に憲法9条の碑があることを紹介。その広場は広島・長崎広場といって平和を考える原点として作られたとのこと。南米のベネズエラでは反米・革新のチャベス大統領が誕生しましたが、首都カラスでは露天で憲法の本が売られていた。買った子づれの婦人に聞いたら「憲法を知らなくてどうやってたたかえというのか。どうやって生きていけというのか」という言葉が返ってきたそうです。人口400万人のコスタリカは、日本に続いて軍隊を放棄した国ですが、国家予算の30%も使っていた軍事費を教育・福祉に変えたとのこと。「兵士の数ほど教師を」「兵器よりトラクターが役に立つ」と識字率99%の世界でも有数の教育先進国となっています。この国では小学校で最初に習う言葉が「人は誰も愛される権利がある」ということ。愛されていないことがあれば憲法違反で訴えることができる。小学生の訴えまであるそうです。コスタリカでは平和を守るだけではなく、平和を世界に広げる取り組みを粉って、アリアス大統領はノーベル平和賞を受賞したとのこと。憲法は生きるため、平和のためにこそ活用すべきものということがよくわかりました。

バーバラ・リーの1票の反対が米国全体の流れに

 アメリカの9・11以後、アメリカでは「反テロ愛国法」や大統領に戦争の権限を一任する法律が出され、上院では全員一致、下院では黒人の女性議員バーバラ・リーの一人だけが反対するという自体でした。なぜバーバラ・リーは反対したのか、それは米国憲法を読み直して議会・議員の役割とはなにかを考えて、ベトナム戦争の誤りの経験を踏まえ反対したとのことだったそうです。バーバラ・リーはそのことを、集会を開き繰り返し訴え、3ヵ月後には世論が変わり、翌年の下院選挙では85%の得票を勝ち取って再選されたとのこと。イラク戦争の失敗は今では明らかですが、憲法に基づく一人の議員の行動がアメリカを変えた。ついには黒人の大統領を実現させたという変化を、私も地方議員として感動を持って聞きました。
 世界に誇る日本の憲法を実際の暮らしに、平和に活かすことこそ必要と実感させられた講演でした。
 その後、人口の過半数の署名を集めた陸前高田の9条の会、中学校区の9条の会を作って活動している紫波中央の会の活動が報告され、午後からは分科会で県内各地の活動が交流されました。


《2008年11月29日》
犬山市の「学びあいの教育」を学ぶ
前犬山北小学校校長の加地健さんが講演


 11月29日の午後、憲法に基づく教育を進める岩手県民共同の会主催の講演会が開かれました。「学びの学校づくり―学校はここまで変えられる」のテーマで、今年の3月まで犬山市北小学校の校長を勤めた加地健さんが講演しました。
 犬山市では、平成9年から、新しい教育長のもとで教育改革が進められてきたとのこと。犬山市の教育改革の柱は「子どもが学ぶ喜び」「教師が教える喜び」を実感できる教育を進めることと強調。そのために少人数学級でゆきとどいた教育を進めるとともに、授業の質を高めるために独自の副教本を作成して取り組んできたことを紹介しました。特に「学びあいの教育」について、単にグループや班学習を行うことではなく、子ども同士が教えあう人間関係を作ることと強調し、昨年の全国学力テストが行われたときのテレビ取材のときのエピソードを紹介しました。それは、教科書もノートも忘れてきた子どもがグループの討論の中でみんなに助けられ生き生きと発表したことに、取材した記者が驚いたとのこと。犬山北小では、毎日学校公開をしており、特別支援教育では40人の支援者が参加しているとのこと。しかし、学力テスト推進の市長の元で、教育委員が変えられ、来年が学力テスト実施になるのではないかと述べられました。全国的に学力テストの破綻が明らかになった中で、犬山市の取り組みは大きな役割を発揮しました。教育は市長、行政の改革なしには進まないということも重要な教訓のようです。


《2008年11月27日》
大失業・倒産の危険から雇用と中小企業を
守る緊急対策を県に申し入れ


 11月27日、大失業・倒産の危険から雇用と中小企業を守るための緊急申し入れを達増知事に行いました。これには私と吉田恭子岩手1区青年雇用対策室長、高田一郎両磐地区政策委員長が参加し、宮舘壽喜副知事が対応しました。
 私から、アメリカ発の金融危機が世界に広がり、景気悪化が深刻になるもとで、トヨタ自動車など大企業が派遣や期間社員などの非正規労働者の大量解雇を進めていることを指摘し、県内でも自動車関連企業などが派遣社員の雇い止めを進め、北上地区では派遣の求人が約6割も減少している状況を述べ、雇用を守ることこそ最大の景気対策であり、中小企業の経営を守ることが地域経済を守ることになると強調。県政の緊急で重大な課題として(1)大失業の危険から雇用を守るために、県内の派遣きりや解雇などの実態調査を行うこと。知事を先頭に誘致企業等に雇用を守る最大限の要請を行うこと。県独自の雇用を創出する取り組みを行うこと。(2)中小企業対策では緊急保証制度の周知徹底と活用。金融機関の地域貢献と貸し渋り・貸しはがしを行わないよう徹底すること。中小企業の仕事起こしに具体的に取り組むことなど11項目の緊急対策を申し入れました。
 宮舘副知事は、「雇用は大変厳しくなっており、雇用対策をしっかりやらなければならない。企業訪問などで雇い止めの自粛や新規学卒者の就職に特に力を入れて取り組む」と回答しました。「(雇用対策本部の設置など)組織についても検討していく」とも述べました。金融・中小企業対策では、「緊急保障制度の徹底や仕事を増やす取り組みを計画的に進めたい。労働や派遣法の改正についても働きかけることも必要」と回答しました。
 高田一郎氏は、一関市花泉の倉本製作所の工場閉鎖で200人の労働者の人員削減が行われており、地域経済にとって重大な状況となっていると指摘。吉田恭子さんは、20代の青年が大学を卒業してもまともな仕事につけない状況を述べ具体的な対策を講じるよう求めました。

 申し入れの全文は、「政策と活動」をご覧ください。


《2008年11月26日》
紫波診療センターの無床化、ニチコン朝日の吸収合併問題で紫波町を調査

 11月26日の午後、紫波診療センターを訪問し、県立病院の新しい経営計画案で来年4月から無床化が提案されていることについて、小野満紫波診療センター長と藤村光良事務長と懇談しました。

病床利用率が8割、9割なのになぜ無床化なのか
介護施設・高齢者になくてはならない病床


 小野センター長は、現在病床利用率は80%を超えており、満床の場合もある。隣接する特養ホームや町内の介護施設との連携という点でも、自宅に帰れない高齢者の療養にとっても、町内唯一の病床という点でもなくなっていいとは思わない。継続して取り組むことが必要と述べました。常勤医師は現在3人、外来の診療では中央病院、医大から応援を受けています。看護師が17人、レントゲン、検査、薬剤師が各1人、事務の正規が3人の体制となっています。もし無床化となった場合、開業医と違いがなく県立の診療センターとして取り組む存在意義がなくなってしまうのではないかと感じました。

23団体が紫波診療センターの病床守れと結束
6市町村が12月に知事、医療局長に要請


 午後4時に紫波町役場を尋ね、高橋副町長らと懇談しました。高橋副町長は、診療所化されて3年、病床は8〜9割も利用されているのになぜ無床化されるのか納得できないと強調。町内では、紫波郡医師会や歯科医師会、町連合婦人会、町商工会など23団体が参加する「紫波地域の医療と福祉を守る会」が署名運動に取り組むとともに、県議会に対する請願を予定しているとのことです。また、無床化が計画されている紫波町、住田町、九戸村、一関市(花泉)、花巻市(大迫)と岩手町の6市町村が連絡会議を結成し、12月3日に無床化撤回を求め知事と医療局長に要請する予定とのことでした。

ニチコン朝日(従業員278人)の吸収合併
大量の失業の恐れ危惧


 ニチコン朝日のニチコン岩手(岩手町)への吸収合併について、高橋副町長は、3年前に設備投資をしたばかりで固定資産税分の奨励金(08年分、1392万円)を支出しており吸収合併の話には驚いたと述べました。会社は26日まで個別面談をしておりその結果を踏まえて町としても対応したい。3交代勤務で岩手町までは60キロもあり大変だと思うが最大限雇用が確保されるよう町としても相談窓口を設置するなど取り組むと述べました。

従業員とも懇談
吸収合併で本当に雇用が守られるのか疑問


 夜からはニチコン朝日の従業員とも懇談し、従業員の状況や要望などについて聞きました。ニチコンはマレーシアや中国、福井県に工場を持っており、金融危機の世界への広がりで北京五輪以後急速に注文が減少していること。ニチコン岩手に吸収合併されても仕事が増える可能性も見えず、他の工場への出向もあるのではないかと心配しており、100人以上がニチコン岩手への移動に応じられないのではないかと危惧の念を表明しました。紫波町にとっては278人を要する誘致企業で、その撤退は雇用確保にも地域経済にも大きな打撃と影響を与える問題だと痛感してきました。


《2008年11月21日》
花泉診療センター、一関職安、北上職安所長を訪問・懇談
無床化は廃止への道、派遣の切捨てなど深刻となる雇用状況


11月21日、雪降る盛岡を7時30分に出発し高速道路を使って一関に向かいました。高田一郎前一関市議、石山健市議とともに花泉診療センターを訪問し千葉一玄事務長から診療体制や患者の状況などを聞きました。常勤医師は一人で磐井病院や県立病院OB、東北大の加齢研究所の医師の応援で外来診療に当たっており、当直は同様の支援体制となっています。一人の常勤医師が診療から当直まで支えている状況です。入院患者は平均で14人で、19床あるものの医師の状況からは14人でいっぱいのようです。診療所化に当たって常勤医師3人の配置の約束はまったく果たされていませんでした。さらに無床化となった場合、地域住民の死に場所がなくなるとの声が寄せられているとのこと。また、無床化となれば開業医と基本的に変わらず廃止されかねないと感じてきました。今年度半期の経営状況は前年度と比べて1800万円ほど収支が改善していましたが、理由は仕事を十分できなかった医師が辞めたためだとのことでした。
 根本的には、医療費削減、医師不足を招いた国の医療政策の犠牲にされているものです。

製造業で派遣の雇い止め(一関)、
派遣の求人は約6割減少(北上)


 雇用対策で一関、北上の職業安定所を訪問し地域の雇用状況について聞きました。全国的にトヨタを先頭に派遣や期間工が切り捨てられています。自動車7社で8000人以上の派遣切りです。関東自動車岩手工場でもすでに派遣を60人以上、期間工も50人以上削減しています。一関職安の西條與吉所長は、一関地域でも自動車関連会社などでの数十人規模での派遣切りが行われていました。派遣求人は前年比で半分以下になっているとのこと。新規高卒の就職内定率は72.5%、県内就職率は51.3%、管内は43%でこれからが大変だとのことでした。雇用調整助成金を活用して雇用を確保している企業も2~3社あるとのこと。この制度をもっと活用してほしいと話されました。
 北上職安の所長は、派遣の求人が昨年の3534人から今年は1468人に58.5%減少していると述べるとともに、派遣のぞきでは2603人から2252人の求人状況となっているとのこと。北上地域には派遣会社が70社以上あり、そのことから派遣の求人の激減の状況となっているとのことです。派遣の求人はあるもののハローワークでは紹介は無く、自己就職となっているとのこと。製造業の求人は前年比マイナス48.8%、新規高卒の就職内定状況は68.2%(10月末)で、内定取り消しが出ないよう県・振興局とともに企業訪問に取り組むことにしているとのこと。
 どちらのハローワークも若者で超満員で雇用問題の深刻さを実感して来ました。


《2008年11月19日》
緊急経済提言で岩手労働局を訪問し懇談
依然厳しい県内の雇用情勢


 11月19日、瀬川貞清書記長とともに岩手労働局を訪問し、鈴木宏職業安定部長らと懇談を行いました。
 はじめに斉藤県議が緊急経済提言について、「トヨタなどの大企業が派遣社員や期間社員を首切りにする動きが広がっている。ばくち経済・カジノ資本主義の破たんのツケを国民に回すことは許されず、安定した雇用を守ることが特に重要、日本共産党は労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正し、『使い捨て』労働の規制を訴えている」と説明しました。
 鈴木部長は、「県内の有効求人倍率は9月現在で0.54と昨年を大きく下回っている。特に、一番有効求人倍率の高い北上管内で大幅に下回り厳しい状況。景気の先行きも下降局面であり明るいビジョンを政治が示してほしい」と述べました。


《2008年11月17日》
医療局が新経営計画案を公表―5診療所を無床、沼宮内は無床診療所化
地域医療を守る観点を―議案説明会で質疑に立つ


 医療局は11月17日行われた12月県議会提出予定議案等説明会で、「岩手県立病院等の新しい経営計画案」(2009−2013年度)を公表しました。
 医師不足や赤字拡大を理由に、2009年度から花泉、紫波、大迫、九戸、住田の5診療センターを(19床)を無床化し、2010年度から沼宮内病院(60床)を無床診療所化にする計画です。また、久慈、宮古、大船渡、高田、千厩、遠野、二戸の7病院でも2009年度から病床を減らし、全体で396床を削減します。
 医療局は、20日から12月19日にかけて同計画案に対するパブリックコメントで県民の意見を集約して2009年2月ごろには策定する構えを見せています。
 質疑に立った斉藤県議は、「計画案は医療局が示す『県下にあまねく良質な医療の均てんを』という基本理念に大きく反しており、地域医療を守る観点が必要である」と指摘しました。
 また、岩手町長と懇談した際に、「ガン検診で全国の保健文化賞を受賞し、早期発見、早期治療で年間約1000万円も医療費を削減している。沼宮内病院はその中核であり、無床診療所化は考えてもみなかった」との声が出されたことも紹介。診療報酬引き下げや医師不足など国の医療改悪を前提にした計画案は強行すべきではないと述べました。


《2008年11月17日》
緊急経済提言で盛岡商工会議所訪問
雇用・中小企業対策で小原専務理事と懇談


 11月17日夕方、私と瀬川貞清県書記長、吉田恭子青年雇用対策室長が盛岡商工会議所を訪問し、小原専務と懇談しました。日本共産党が発表した「景気悪化から国民生活を守る緊急経済提言」の三つの柱を説明し、商工会議所の皆さんの実情と課題について聞きました。
 小原専務は、「雇用問題では一番弱いところが切り捨てられている。商工会議所としてもジョブカード制度の事業に取り組んでいるが、景気悪化で協力企業が広がらない」「中小企業としては年末の融資対策が重要だが、政府が明らかにした30兆円規模の緊急融資制度、政府ティーネット保障がしっかり行われることが重要」と述べました。中小企業の実態としては、先の見通しが見えず設備投資の元気が無い状況とも指摘、廃業する業者も出ていると述べました。


《2008年11月14日》
35人学級は拡充の方向で検討、地域医療守れ
母親大会実行委員会が宮舘副知事、各部局と交渉


 岩手県母親大会実行委員会は11月14日、1100人余が参加した母親大会の申し合わせに基づいて、医療、福祉、教育、雇用などの切実な要求の実現を求め宮舘副知事に申し入れを行い、その後各部局と交渉しました。これには県内各地から40人の母親、女性が参加しました。私と吉田恭子岩手1区青年雇用対策室長(予定候補)も同席しました。
 35人学級の拡充の要望について、宮舘副知事は、「年内に方向性を示す。後退することは無い。小学校か中学校でやるかどうか検討している」と前向きの回答を示しました。県立病院の統廃合、診療所化の問題については、「医師確保が困難で赤字も県政の大きな課題。今の県立病院の機能・規模を維持するのは難しい」と述べるとともに、17日に公立病院の改革指針案や県立病院の新しい経営計画案が示されるが、公表したから決まるものではない。パブリックコメントを実施してそれを踏まえて1月に決定する」と述べました。
 各部局との交渉では、震度6以上で崩壊の危険のある学校施設は小中学校で53棟、県立学校で13棟と示され、耐震化を図るよう取り組んでいる(教育委員会)。雇用対策では誘致企業によるリストラ・人減らしをやめるよう求めるとともに、使い捨て労働の典型となっている派遣労働者と知事が懇談するよう求める意見が出されました(商工労働観光部)。農業問題では、県内のコメ農家の時給が145円となっている状況を示し、価格保障・所得補償が無ければやっていけないとの切実な実態が訴えられました。
 
特養待機者5422人、計画的整備が必要と回答
福祉灯油は今年度も実施する


 保健福祉部との交渉では、特養ホームの待機者が5422人(在宅1836人)となっており、来年度からの第4期介護保険事業計画でも計画的整備が必要と答えました。低所得者も入所できる多床室の特養ホームやモデル介護支援ハウスの整備も必要と述べました。福祉灯油の実現については、昨年度日本一の補助額となったが今年度も実施すると回答しました。障害者自立支援法の応益負担の撤回については、特別対策で利用料負担は約9割が3000円以下となっているが3年を目途に見直すことになっていると答えました。
 県立病院の再編統廃合の計画について、医療局では「今の状況を維持していくのは難しい」と述べるとともに、医療秘書については増員に向けて検討していると答えました。
 住宅の耐震化について、県土整備部は、耐震診断は35全市町村で実施されこれまで2040戸、耐震改修助成事業は23市町村で50戸の応募となっていると回答がありました。県内の木造住宅は475000戸でそのうち406000戸、40%は耐震性が無い状況。県は平成27年度までに耐震化率78%を目指しているとのことでした。


《2008年11月13日》
県立沼宮内病院を無床の診療所化に―県立病院の再編計画案
民部田岩手町長と懇談―「到底認められない」


 11月13日、県医療局が県立病院の新たな再編計画案(新経営計画)で県立沼宮内病院の無床の診療所化を目指していることについて、急遽岩手町の民部田幾夫町長を訪ね懇談しました。民部田町長は沼宮内病院の診療所化について、「12日に田村医療局長から説明を受けたが到底認められない」「医師不足の状況などの説明を受けたが、地域医療のあり方をどうするのか示してもらいたい」と語気を強めて述べました。「沼宮内病院の問題は『命』にかかわる問題であり、1年後に無床の診療所化ということでは納得できない。もっと地元に努力させてもらいたい」と述べました。また町長は、「岩手町は、がん検診の先進的な取り組みで保健文化賞を受賞したが、沼宮内病院が中核となって進めてきたものであり、町としても大腸カメラや胃カメラなどを寄付してきた経緯からも診療所化は認められない」と述べました。「沼宮内病院の医師確保や待遇の改善が図れればもっと病院は利用されるはず」と強調しました。
 
先進的ながん検診で早期発見・早期治療
県立病院が核になり、医療費も削減効果大


 岩手町の先進的ながん検診事業について、仁昌寺幸子健康福祉課長から取り組み状況について聞きました。仁昌寺課長は厚労省の「がん対策推進協議会」の委員も勤めています。沼宮内病院の診療所化(無床)について「考えてもいなかった」「町民は沼宮内病院で診てもらいたいと思っている」「検診事業も沼宮内病院を中核に取り組んでおり、診療所化になれば精密検査が難しくなるのではないか」と懸念を表明しました。
 大腸がんの検診では、昨年度4070人(受診率69.1%)が受診し、要精密検査が573人、455人(79.4%)が受診し9人のがんを発見、うち8人が早期でした。ポリープは138人から発見されています。573人の精密検査のうち、沼宮内病院での検査は400人で69.8%を占めています。胃がんの精密検査、胃カメラは140人、90.9%が沼宮内病院で実施しています。
 仁昌寺課長は、早期発見早期治療で月約80万円、年間では約1000万円の医療費削減効果があると述べました。こうした検診体制は、20年かけて開業医や町ぐるみで築いてきたものと強調しました。「地元の病院で安心して療養できる病院を守ってほしい」と述べました。
 
沼宮内病院―国保加入者の入院は13.3%
待遇を改善し、介護施設とも連携してかかりやすい病院に


 久保隆造町民課長からは、国保加入者の入院・外来の状況について聞きました。沼宮内病院の入院では、13.3%にとどまっており、盛岡市が68.7%、外来では14%、町内の開業医が56.6%、盛岡市が24.5%となっています。隣の玉山区の八角病院や渋民中央病院の利用があるのではないかということでした。これらの病院は特養や老健、療養病床を持っており、利用されているのではないかということでした。沼宮内病院については「待遇が改善されればもっと利用が増えると思う」との声が多いということでした。岩手町の特養ホームは50床で、老健施設は八角病院が川口に100床整備しているとのこと。介護施設と連携の不足を感じました。
 地域医療にかけがえのない、重要な役割を果たしている県立沼宮内病院の突然の無床の診療所化はとても認められるものではないと改めて感じてきました。


《2008年11月12日》
不況・中小企業対策で岩商連の役員と懇談
仕事減少、貸し渋り、商工ローン、入札問題など


 11月12日、不況・中小企業対策について岩商連の各地域の会長、事務局長と懇談しました。
 最初に私から、当日赤旗新聞に発表された日本共産党の「緊急経済提言」の内容と県内の経済状況、解散・総選挙をめぐる情勢について説明し懇談しました。
 県内各地域の会長、事務局長から中小零細業者の深刻な状況が話されました。誘致企業が多い北上地区でも期間工・派遣などの就業者が減少していること、非正規労働者が多くローンをくめず新築の仕事が無いこと、飲食街も閑古鳥が鳴いており、1週間開けていても2〜3日しか客が来ない、店を閉めてしまったなどの状況が報告されました。
 久慈地域では数十人規模の縫製工場が閉鎖となるなど、建設業者の比重が高く倒産も広がっていると発言されました。また、既存の融資がセーフティーネット融資に切り替えられている状況も報告されました。宮古地区からはSFCGの商工ローンによる一括支払い問題が起きていること。全国4万社で一括支払い問題が起きており岩手でも対応が求められていると報告されました。
 県や市町村の建設事業の入札問題については、全従業員の社会保険加入が義務付けられ、それができないと入札に参加できない、市町村でも県に準じた対応も出ていると報告されました。
 県内の倒産件数は10月末で103件、負債総額が501億円となっています。約9割が不況型倒産です。景気対策というなら雇用と中小企業の経営を守ることこそ一番の課題という立場でお互いに取り組みを強めることを話し合いました。


《2008年11月11日》
深刻な医師不足の中で地域医療守る
県立久慈病院院長と懇談


 11月11日、盛岡市の最低気温がマイナス2度と今週一番の寒さとなりました。県公会堂前での定例宣伝を行ってから一路久慈市に向かいました。放射冷却現象で快晴の下、ドライブロードはすばらしい紅葉でした。
 地元の小野寺勝也、城内仲悦久慈市議、久慈裕子洋野町議、宇部武典野田村議とともに、県立久慈病院を訪ね阿部正院長と懇談しました。これには畠山なを子総看護師長、高橋仁事務局長も同席しました。
 阿部院長は、「常勤医師は平成15年の44人から32人に減少しており、麻酔科、耳鼻咽喉科がゼロとなり、産婦人科も二戸に集約され1名の体制になっている」と述べ、救命救急センターの機能を十分果たせない状況だと述べました。一方では研修医の確保に努力し現在10人、来年度も定員いっぱいの7人確保の見通しで、常勤医師の不足を研修医で補っている状況だと述べました。
 
病床利用率70.8%(20年度)、40床程度の病床削減を検討
7対1の看護体制めざす、院内助産で24人がお産


 医師不足と入院在院日数の減少で、入院患者は1年間で6215人(一日当たり17人)、外来患者は17679人(一日当たり72人)減少しているとのこと、今年度はさらに減少しているとのことでした。阿部院長は新病院となってからの経緯を示し、現在の342床から300床程度に病床削減が必要との認識を示しました。診療科の関係で病棟の削減は考えていないとのことです。7対1の看護体制については、患者に対して質の高い医療を目指し、救急センターとしての機能からも実施したいと述べました。実施には32人の看護師の増員が必要とのことです。また、久慈病院では、中央病院に続き今年度からDPC(包括医療)を導入しています。
 産婦人科医師の二戸病院の集約の中で、11月から院内助産に取り組み、すでに24人のお産が行われているとのことでした。回復期リハビリの病床(43床)は、理学療法士や作業療法士が増員されレベルの高い医療が行われており、救命救急からリハビリへ連続して対応でき、後方病院の無い地域で重要な役割を果たしているとのことです。
 医療局が来年度から実施しようとしている24時間の院内保育については、久慈病院の場合も女医さんや看護師さんの具体的な要望が無く、高額の委託料で大手民間会社に委託するやり方は見直し、現行の保育体制を継続するよう求めました。
 久慈病院は県立病院の中でも胆沢病院に続いて累積黒字が高い優良病院でしたが、医師不足の中で昨年度ついに1億円の赤字となりました。国の医療費削減、医師不足の中で頑張っている広域基幹病院までが赤字となっている県立病院が抱える問題の深刻さを感じさせられました。

県医労久慈病院支部の看護師さんと懇談
すばらしい院内保育所を見学


 阿部院長との懇談に先立ち、県医労久慈病院支部の看護師さんと懇談しました。懇談では、医師不足の中で外来患者を開業医に回すなど患者がいっそう減少していること。急性期の広域基幹病院にもかかわらず4病棟で二人夜勤の体制となっていること。電子カルテの導入で医師が時間を取られ診療にも影響が出ていることなどが出されました。
 懇談の後で院内保育所を訪問し、保育士さんから状況を聞きました。30人の子どもが利用しているとのこと。施設の素晴らしさとともに、20年以上のベテラン保育士さんらによる充実した保育内容―絵本の読み聞かせ、ピアノを使ったリズム、外遊び、栄養士による完全給食と手作りおやつなどにも感心させられました。土、日の休日保育にも取り組み、延長保育は夜9時まで実施しているとのこと。実際には9時まで預ける方は無いようです。
 こうした院内保育の体制を、現状を無視して24時間保育を導入し、民間に委託することはきわめて異常なことと改めて感じてきました。

久慈地域の雇用状況について
久慈職安所長と懇談


 午後4時半から、久慈公共職業安定所を訪問し、金澤勲所長から久慈地域の雇用情勢について説明を受け懇談しました。金澤所長は、久慈地域の特徴として、新規高卒者の就職希望が42.5%と高く、県内、管内の就職割合は低いと指摘。今年度の新規求職者数は1879人で昨年度比189人増となっている一方、新規求人数は491人で83人の減となっている状況です。建設業者の倒産に続く撤退や倒産など厳しい状況が説明されました。産業の中心は建設業となっており公共事業の大幅な減少の中で厳しい状況が続いています。久慈地域の失業給付は約64億円とのこと。工場の増設などに取り組んでいる北日本造船とその関連会社では20数人の採用状況とのことでした。久慈地方振興局、久慈市も一生懸命取り組んでいるとのことでしたが、抜本的な対策が必要と感じてきました。